大三島 鷲ヶ頭山 (2020.11.15)

(β版) 

☆期日/天気/山行形式: 20YY年11月15日/晴/3泊 4日巡りの 3日目
☆地形図(2万5千分1): 木浦(岡山及丸亀15号-4)
☆まえがき
    しまなみライナー高速バスで大三島に渡り、宮之浦から大山祇神社、安神山を経て鷲ヶ頭山に登頂し、この山(海?)域随一の展望を楽しみました。
下山はささやかなバリエーションを求め、夕日の滝へ降下したところ風化花崗岩のザレ尾根の急降下で、腕力も動員する事となりました。
降り着いた滝は石英質の白亜の壁壁と滝壺の美しい滝場で、滝行の行場になっていました。


☆ルート詳細図
詳細ルートマップ
 (縮小画像をクリックする
  と元図が表示されます)


★このルートマップは Windows アプリの カシミール3D に国土地理院新版淡色レベル16 を読み込んで作成しました。
 GPS軌跡の記録と地点位置の補正には Android アプリの山旅ロガーと地図ロイドを使用しました。
 ルートの詳細を伝えるため元図は大きなサイズになっています。 ダウンロードしたら適宜縮小するか要所を切り出して印刷、利用してください。
 縦横比は維持し、スケールも付けてありますが縮尺は不定です。国土地理院の紙地図を参照するなどで推定してください。



<行動時間>

    宿舎[8:05]=(送迎車)=[8:18]因島重井BS[8:27+4]=(しまなみライナー今治行)=[8:41+6]大三島BS[8:55]=(せとうちバス宮浦港行)=[9:07]大山祇神社前(9:10)-安神山登山口(9:20/25)-安神山(10:05/15)-安神山第3峰(10:25/28)-夕日の滝下降点(10:50)-上の車道交差点(11:05)-頂稜肩の車止広場と園地(11:16)-鷲ヶ頭山(11:25/49)-夕日の滝下降点(12:22)-夕日の滝(13:02/13)-遊歩道入口(13:21)-安神山直登口(13:43)-安神山登山口(13:52)-神社門前町(14:08)-大山祇神社・海事博物館・神宝館(15:46/15:53)-(15:55)神社前バス停[16:02]=(せとうちバス今治・松山行)=[16:15]大三島BS[16:53]=(しまなみライナー福山行)=[17:07]因島重井BS=(送迎車)=[17:20]宿舎{泊}



☆ルートの詳細

  鷲ヶ頭山は大山祇神社の社殿の右脇にある宝物館の門前を通り過ぎていった所にある園地の奥から取り付きます。

  山に向かう前に、登山の安全を祈るため、本殿に参詣しました。
この大山祇神社は全国各地にある大山祇神社の元締めで、境内には多くのモニュメントがあります。

  こじんまりした園地の奥手に "安神山 0.8Km" と記した道標が立っていました。

  少し先にルート絵図の看板が立っていて、山腹を横切ってゆく遊歩道と左手の山へ上がってゆく安神山一般ルートが分岐していました。

 左手に上がってゆく一般ルートは15年前に通った所ですが、山火事の直後でまわりの山林が黒焦げに焼け、ルート沿いの岩が脆くなって崩れやすく危険な思いをしました。

15年の歳月の間に山林は回復し、登山道も自然研究路として綺麗に整備され、気楽に歩けるルートになっていました。

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  ひと登りすると視界が開けました。
眼下は宮之浦の門前町で、頭の上には雲ひとつない秋晴れの空が広がっています。

  安神山への登路はかなりの急斜面を折れ登ってゆくものですが路面はコンクリートで舗装されて歩き易く、疑似木の杭まで設置され、安全が図られていました。

 前の日に下山して宿に帰ったあとの体調管理が不味く、調子が良くなかったのですが登山口に置かれていた(忘れ物の?)ストックと良く整備された登山道のお蔭でボツボツ歩いているうちに体が温まり、徐々に調子が良くなってきました。

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  小尾根の上部に達するとまわりが開け、頂上へ向かって起伏を繰り返しながら登高してゆくルートを見渡せるようになりました。
僅か 436.3m しかない低山とは思えない雰囲気のある尾根ルートです。

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 安神山に登りつくと山の背後に広がっている海が見えました。
海の向こうは生口島の観音山です。

  安神山の頂上は石祠が据えられたこじんまりした穏やかな高みでした。
頂上への登高差の6分がたを消化できた所にある格好の休み場でゆっくり休憩しました。

  所々に短い下りや平らな所がある尾根伝いになり、一本調子の急登から開放され、爽快な縦走ムードになりました。

 穏やかなコブを一つ越えた先にある 280m圏の安神山第3峰は、てっぺんに大岩が突き立てている小岩峰です。
大石がゴロゴロしている間をを登ってゆくところは僅か 280m 台の低山とは思えない雰囲気がありました。


  天辺に上がって岩塔の脇に立つと正面は鷲ヶ頭山の頂上で、この先は、頂上北肩の下で頂稜と出合うジャンクションまで、上下を繰り返しながら徐々に高度を上げて行きます。

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  過剰とも思われたほど徹底的に整備され、とても歩きやすいルートを進んでゆくと徐々に高度が上がり、それにつれてまわりが開けてきました。
振り返るといま越えてきた安神山第3峰が海を背にして良い格好をしています。

  行く手に聳える頂上が迫ってきました。
尾根の背の登山道はコンクリートで舗装され、これほどまでしてくれなくても良いです、と言いたくなるほどです。

  道幅が広がり、林道のようになったところに出て僅か進んだ所に右下の谷に降りてゆく道の分岐がありました。
入口の角に立ててある標識に "夕日の滝へ" と記されています。

  まもなく舗装車道と出合いました。
頂上から北に伸びている尾根筋に沿って大きく迂回してきた舗装車道が安神山ルートの尾根を切通で横断している所です。

安神山ルートは切通しの脇で舗装車道を横切って向かい側を左手に上がり、切通の先の尾根の背に上がった所から続いています。

  切通の先は幅が広がった尾根の背を真っ直ぐ進み、左のように右上に頂上の電波塔を見ながら緩やかに高度を上げてゆきます。

  ひと登りした所でふたつ目の舗装車道出合い着きました。

先刻横断した舗装路が斜面の右手へ斜上していった先で、折り返し、戻ってきたものです。

 昔、ここから先の尾根の背を直登したらなかなかの急登で扱かれたことを思い出しました。

体調が芳しくないのをだましだまし登ってきた所だったので最後の部分は易きに就くこととし、右手へ迂回してゆく車道を歩いて登ることにしました。

  頂稜の右手の肩に向かってゆく車道は険しい斜面を削り取って造った道で山側は岩壁が続きました。
右側は至って眺めが良く、景色を見ながらのんびり歩いてゆくことができました。

  頂稜肩を乗越す所は道幅が広げられ、車止め広場になっていました。
U字カーブ状の車道の内側は園地になっていて草原の手前側に野外ベンチ、奥の方に公衆トイレがありました。

  山の裏側に入って緩やかに登ってゆくと行く手に頂上広場の入口が見えてきました。

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  頂稜の上に上がった所は右手に電波塔が並び立ち、西へ向かって180度の視界が開けていました。


 南へ僅か進んだ頂上には、下のパノラマ写真のような展望が広がっていました。

 正面から右手にかけて呉から広島への海岸線に沿った島なみが連なっています。
 左手遠くには、四国の山並みが霞んでいます。


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  。


 頂上の裏側は東隣の生口島から因島へ、しまなみ海道の島々が折り重なり、まるで陸続きになっているかのような眺めです。
手前正面の海の中にある小島は瓢箪島です。
ふた昔のテレビの人気番組 "ひょっこりひょうたん島" のモデルになった島です。


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  。

  下山は車道を歩いて戻ることとし、肩の広場の公衆トイレに立ち寄ったりしながらのんびり歩きました。

 先刻通過した夕日の滝への分岐まで戻ってきた所で思案しました。

 頭の上を頂上の電波塔へ給電するための送電線がを通っています。
夕日の滝への道はこの送電線を通すために開かれたもののようですから送電線巡視路の一種と考えて良さそうです。

  踏み込んでみた下降路は急な小尾根の背をまっすぐ下ってゆく切り開きの中を通っていて、なかなかの急降下でした。

  風化花崗岩の砂利に覆われたザラザラの尾根の背で、ちょっと気を抜くとすぐズルっと滑ってしまいそうでです。

  足もとに注意するのと摑まれる灌木を探すので忙しく景色を見る余裕fがありませんでしたが、たまたま目を上げると、まわりは所々に紅葉を散りばめた谷の斜面で、その先の方に海が見え、なかなかの景色です。

  小尾根をあらかた下ってもうひと下りで谷底に降り着く、という所で降りてきたルートを見上げたらほぼ電線に沿ってまっすぐ降りてきたことが分かりました。

  谷底に降り着いて見たら、意外にパットしない所で、僅かな水が流れている細溝があるだけでした。

  右手の藪の間を少し進んだ所で左折して下ると下の方に瓦葺きの小屋が見えてきました。

 滝行の籠もり堂のようで、すぐ下まで軽自動車やバイクが入ってこれる道が来ています。

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  小屋の背後ににある夕日の滝は高さ8m ほど。
水がほとんどない涸れ滝でしたが白っぽい石英質の岩壁と滝壺が綺麗な美しい滝場でした。

 程々の水が流れ落ちている所へ西に傾いた太陽の光が差し込んで来る時間に再訪したいと思いました。

  滝を眺めながら休んだあと神社へ帰る道を進みました。
車道を少し歩いたところの右側に車止め広場があり、その奥手から山に上がってゆく階段道が安神山の裾を登高線沿いに回ってゆく破線路の入口の様でした。

 広場に止めた車の脇で山支度をしている若いハイカーに確認して踏み込んだ道は、意外にアップダウンが多く、ひと山越えてきた年寄りは時々息を上げながら進むこととなりました。
まわりの山林の植物相は変化に富み、所々で海側への視界が開け、とても良い感じの森林浴ルート、と思いました。

 大きな堰堤の下を通過したあと、安神山への直登ルートの入口を通り過ぎると間もなく朝の出発点だった立て看板の前に帰り着きました。

 ここから先は朝方歩いてた所なので宝物館の前で右折し神社の背後を回ってバス通りに出ました。
こちら側には道の駅があったりするので食事ができるでは、と期待していたのですがあてが外れました。

 門前町の方まで行ってみたがいずれも営業時間外でした。
仕方なく角の店で饅頭を買って空腹を凌ぐこととなりました。
 
 大山祗神社のあたりは、この15年の間にかなり様変わりし、参道入口近くに壮麗な神門が建てられ、参詣者も増えていました。

 門前町も以前の寂れた感じがなくなって小綺麗になり、ドライブイン風の食堂もできていましたが営業時間が短く、みな閉まっていたのは困ったことでした。


<補足情報>
 GPS軌跡・地点マークのダウンロード
   ★上の地図の GPS 軌跡と地点マーク情報をまとめて ZIP 圧縮したものです。
       解凍するとそれぞれの GPX ファイルが得られます。


Googleフォトアルバム
  ★撮影地点の経緯度情報が付いた元画像のアルバムが見れます。

☆おわりに
    鷲ヶ頭山は、2004年の5月に、四国の赤石山に行く途中に立ち寄って登り、それまで見たこともない多島海の絶景との、衝撃的な出合いがあった山です。(2004年5月の記録)

 15年ぶりに再会した頂上の展望はやはり素晴らしいものでした。
春の瀬戸内山巡りで見てきた瀬戸内西部の幾つかの島の山の頂上の景色と比べても、一、二の座を争うものでした。

 大山祇神社の本殿に戻り、無事に登山ができたことへの感謝を捧げたあと、海事博物館に入って昭和天皇海洋生物御研究用船、海洋生物標本、国内鉱山標本鉱石などを見学しました。
また、平安・源平時代の貴重な武具の展示で有名な宝物館も見学して盛り沢山な一日を終わりました。

 大三島は15年前に来たときには山火事のあとだったせいか神社境内は閑散としていて門前町も寂れていましたが、しまなみサイクリングや海外からの観光客などのお蔭で賑わいが戻り、なんとなく華やいだ雰囲気が漂っていました。

 瀬戸内諸島の島山巡りは大きな山に登れなくなった年寄り山屋が楽しめる最高のフィールド、と思いました。

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