酔仙島大弥山と鞆の浦 (2019.11.16)

(β版) 


☆期日/天気/山行形式: 2019年11月16日/ 晴/3泊山巡りの4日目
☆地形図(2万5千分1): 鞆(岡山及丸亀10号-2)
☆まえがき
    超低山ばかりの瀬戸内島山巡りながら、久しぶりの連日の行動で老体のあちこちに疲労素が溜まって動きが渋くなりました。
 老友と一緒に3泊4日で島山巡りをする計画したが、もしかしてコンディションが良かったら1人で居残ってもう一晩泊まり、5日目に佐木島の大平山から狗山への尾根伝いもしてみたいと思っていたものの、天気が良くても身体の方は山に行くのを嫌がるのでは、という事になりそうな気配になってきました。

 山歩きも所詮ただの遊びだし、無理に頑張って歩く山は楽しくありません。
今回は延長戦を中止し、四日目に鞆の浦酔仙島の大弥山に登ったあと福山から新幹線に乗って家に帰ることにしました。

 鞆の浦は有名な観光地ですから鉄道やバスの便はよく、因島から尾道を経て容易に到達できるのですが、この山行の計画を立てていたときに、週末には尾道港から鞆の浦港への高速クルーズボートが運行されているのを見つけ、海上からのアプローチを試してみることにしました。

 島々の山の上から見渡している海上の景色は、近くから眺めるとどう見えるのだろうか?、と言う好奇心から試みた海上からのアプローチでしたが、海の市街地とでも例えられそうな瀬戸内の島々と陸地の間を縫うように航走してゆくクルージングでは、山上からの鳥の目とは好対照の "トビウオの目" の視点が得られ、爽快なサイトシーイングとなりました。



☆酔仙島大弥山・鞆の浦の詳細なルート


詳細ルートマップ
 (縮小画像をクリックする
  と元図が表示されます)


★このルートマップは Windows アプリの カシミール3D に国土地理院新版淡色レベル16 を読み込んで作成しました。
 GPS軌跡の記録と地点位置の補正には Android アプリの山旅ロガーと地図ロイドを使用しました。
 ルートの詳細を伝えるため元図は大きなサイズになっているので、ダウンロードしたら適宜縮小するか要所を切り出して印刷、利用してください。
 縦横比は維持し、スケールも付けてありますが縮尺は不定です。国土地理院の紙地図を参照するなどで推定してください。


<行動時間>

    宿舎[8:35]=(送迎車)=[8:40]因島北インター入口[8:50]=(おのみちバス尾道駅行)=[9:23]尾道駅前/尾道港[10:00]=(瀬戸内クルージング船)=常石造船所沖(10:29)-内海大橋(10:36)-阿伏兎ノ瀬戸(10:42)-[10:58]鞆の浦港-(11:06)市営渡船桟橋[11:10]=(市営渡船)=[11:15]酔仙島桟橋-登山口(11:28)-中弥山大弥山鞍部(11:46)-大弥山(12:03/13)-赤岩展望台下(12:34)-(12:49)渡船桟橋[12:55]=(市営渡船)=[13:00]鞆の浦桟橋-街歩き・昼食-(15:05)鞆の浦バスターミナル[15:18]=(鞆鉄バス鞆線)=[15:50]福山駅[16:46]=(さくら558号)=[17:48]新大阪[18:16]=(ひかり532号)=[20:53]新横浜=(市営地下鉄)=あざみ野=(東急線)=[21:39]宮崎台


☆ルートの詳細


  尾道港から1時間ほどの楽しいボートクルーズををして鞆の浦港に着いたら港外に停泊しているクルーズ船から来るビジターを歓迎する飾り付けをしているところでした。

 お祭りのような雰囲気で賑わっている街の中を5分程歩いた所に酔仙島行き渡船の乗り場があって毎時3便運行され、所要時間5分で島に渡ることができます。

 3本マストの帆船を模した渡船はなかなか格好の良い船でしたが乗降口のある舳先を上げっぱなしにしているのは少々シマラない格好で、大口を開け、空を見上げたような格好で走っていました。

  乗客の殆どは若者でしたがその大多数は異国の言葉で話していました。
広島や尾道と並んで鞆の浦が海外でも知られた観光地になっていることを実感しました。


  5分程で酔仙島の埠頭に到着しました。
埠頭のゲートを出た所から水際の道を進んでゆくと行く手の小高い所に大きな建物が立っているのが見えました。

  建物の手前で左折して短い坂を乗越すと田ノ浦の砂浜に面した芝生広場が見えてきました。

 週末ピクニックグループが何組か来ている広場の縁の道を山に向かって進みました。

  山林に突き当たった所に大弥山登山口を示す標柱が立っていました。
海沿いを進んでゆく遊歩道が右手に回ってゆくカーブの頂点から山林の中に進入してゆく道が登山道が分岐しています。

 道標に従って直進し、谷溝に沿って緩やかに登ってゆくとT字路に突き当たりました。

 T字路の角に立っている標柱には左へ進むと中弥山、右は大弥山という文字が書き込まれています。

  右折して大弥山に向かうと広い斜面を斜めに横切って行く道になりました。
緩やかに登って行って斜面の端まで行くと、V字に折り返す角がありました。

  折り返して左へ斜上して行く道になると左側の山林が落葉樹混りの混交林になり、紅葉と落葉で明るい雰囲気になりました。

  斜上していった道が尾根の背にあたった所で右折しました。
尾根の背を通っている穏やかな道を緩やかに登って行くと行く手が明るくなってきて大弥山頂上広場の一角に着きました。

 大弥山の頂上は西側を除く3方が濃密な暖地林に囲まれ、広場の北側に案内地図看板が立ち、切り開くに面した展望地点に東屋があります。

  また、東屋の南脇には 158.7m の三角点標石があります。

(画像をクリックすると拡大)

  東屋の西側に出ると鞆の浦から西隣りの平漁港のあたりを見渡すことができました。

 海際の賑わいにと対照的に静かな山上で暫くの間のんびり景色を楽しみました。

 山の大小に関わらず、登ってきた道を戻ることはしない主義なので頂上の反対側の道に進入して下山にかかりました。
 こちらも登路と同じ様に幅広い遊歩道になっていましたが幾分岩っぽく、ところどころに大きな岩盤が露出しています。

 
 海際まで下って右折し、緩やかに上下を繰り返しながら進んで行ったら先刻通った登山口に戻れました。

 広場に来ている人の数が大分増えていてあちらこちらでバーベキューなどをしているようです。

 広場の下手まで下って右折。 お店の前を通って乗越を越えると海際の道に出まして。
左のような可愛い石門があるところを通り過ぎるとすぐ先が渡船埠頭でした。


  戻りの渡船も20分毎に出ていて所要時間5分ゆえ、すぐに鞆の浦の街に戻りましたが、時間が早かったのでお昼を食べたり古い家並みの港街を散策したりして帰ることにしました。

 海岸沿いの道から見た酔仙島は、至って穏やかな姿です。

  足の向くままに歩いていると坂本龍馬との所縁を刻んだ石柱が立っていました。
この近くの海で海援隊の蒸気船いろは丸が紀州和歌山藩の明光丸に衝突されて沈没したあとの賠償交渉で、坂本龍馬が決死の折衝をした場所を示しています。

  小高い所にある福禅寺は境内に朝鮮通信使三役の迎賓館として使われた建物があり、地元の文人・墨客らと交流が行われ、ここ眺めた酔仙島の景色は「日東第一形勝」と讃えられたそうです。

  港の端に「安政六年己未七月」(1859年)に建造され、今でも浦の港のシンボルとされている常夜燈が立っています。
大勢のツアー客がガイドの解説を聞いていました。

(画像をクリックすると拡大)

  対岸の高台の上に大きなホテルが立っていてその横手に福禅寺の屋根が見えました。
 穏やかな雰囲気が漂ういい感じの小港ですがこの湾口に自動車道の橋を架けようと言う計画が立てられたそうです。

 賛否両論で紛糾したあと住民投票が行われ、中止になったそうですが、こうのような旧跡の地は交通の便を良くし過ぎないようにして置いた方が良いのではないかと思いました。

  このあとも暫く、お昼を食べたりしなが街歩きを楽しんだあと、路線バスに乗って福山へ向かい、夕方の新幹線に乗って帰宅しました。


<補足情報>

 GPS軌跡・地点マークのダウンロード
   ★上の地図の GPS 軌跡と地点マーク情報をまとめて ZIP 圧縮したものです。
       解凍するとそれぞれの GPX ファイルが得られます。


Googleフォトアルバム
   ★下記ボートクルーズも含む元画像(撮影地点情報付)のアルバムが見れます。


☆尾道から鞆の浦へのボートクルーズ


尾道から鞆の浦への航路  

  (ランドマークをクリックすると
  その地点の風景写真の縮小
  画像を閲覧できる Google
  マイマップです。)


 この山行の計画を組み立てていたとき、尾道港から鞆の浦港へ直行する高速ボートが週末に運行されているのを見つけました。
歳はとっても乗り物への興味は相変わらずなので、興味半分で利用してみることにしました。
結果は "大当たり" で、約1時間の "超" 楽しいクルーズを経験することとなりました。

 島山巡りでは、大三島鷲ヶ頭山をはじめ、山上から "鳥の目" の広大な展望を楽しみましたが、このクルーズではこれと対照的な視点となる、時速20ノットほどで移動しているボートの海面上数メートルの位置から刻々変化してゆく航路沿いの景色を楽しみました。

 瀬戸内のこのあたりは海の市街地とでも例えられそうな海域で船が進んでゆくにつれて次つぎに現れるさまざまな物の応接に追われ、大忙しのうちに鞆港に着いてしまいました。

 航路の概要は上の Google MyMap で分かると思うので、航路上で見られたものを幾つかの写真を掲示します。


(画像をクリックすると拡大)

  尾道港から出ている鞆の浦行クルーズボートは土日休日のみ運行される。
"藤間" 号は瀬戸内クルージングの持ち船の中では一番小さい船で 排水量 16ton、速力18Kt。

(画像をクリックすると拡大)

  大型クレーンが林立している常石造船所。
ばら積み貨物船を主軸に、コンテナ運搬船やタンカーを建造している。

(画像をクリックすると拡大)

  内海大橋は 1989年に開通した全長 832m の 2連バスケットハンドル型ニールセンローゼ橋。

(画像をクリックすると拡大)

 沼隈半島の南端阿伏兎岬の突端に鎮座する「阿伏兎観音」は 1570〜73年(元亀年間)に、毛利輝元によって創建され、国の重要文化財に指定されている臨済宗のお寺。

(画像をクリックすると拡大)

  鞆の浦の近くに停泊していたクルーズ船は、日本クルーズ客船が運航している PACIFIC VENUS号( 26500トン) でした。

☆おわりに
    3泊4日の島山巡りの最終日は海の銀座通りを行く爽快なボートクルーズと、森が綺麗な島山と、様々な史跡を満載して懐かしい雰囲気を漂わせている古い港の街歩きを楽しみました。

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