石射太郎-高宕山-奥畑 (2014.2.26)


☆期日/天気/山行形式: 2014年2月26日 単独日帰り
☆地形図(2万5千分1): 鬼泪山(横須賀1号-2)、坂畑(大多喜13号-4)
☆まえがき
    毎冬の習わしになっている房総山行で、かねてより気に懸っていた高宕山に行きました。
房総の山に特有の、グニャグニャ折れ曲がった岩がちの尾根ルートは、雪が随所に残っていて、一段と興趣を添えていました。
崖縁の石射太郎と高宕観音、高宕山の尖った岩峰の天辺では房州山地の広大な展望を楽しみました。

写真の説明    (画像をクリックすると拡大スクロール)
☆行動時間
   宮崎台[7:55]=溝の口=武蔵小杉[8:32]=(横須賀-総武快速)=[10:27]君津駅[10:44]=(日東交通)=[11:05]中島[11:12]=(君津コミュニティーバス豊英線植畑コース)=[11:32]植畑上郷(11:42)-登山口(12:25/30)-石射太郎(12:50/13:05)-高宕観音(13:55/14:05)-高宕山(14:25/30)-三郡山分岐(15:10)-八良塚分岐(15:22)-(15:47)奥畑バス停[16:02]=[16:40]中島[16:55]=[17:16]君津駅[17:34]=[18:53]錦糸町[19:04]=[20:00]宮崎台

☆ルートの概況
   ここ数年、厳冬期には房総の山に行く習慣になっています。
今年は近在の鶴見川流域ウオーキングに精を出していたため時期が遅れ、立春はおろか雨水も過ぎた2月末になって漸く、日帰りで房総への山行に出かけることとになりました。

  行き先は房総で気に懸かっていた山の筆頭: 高宕山です。
はじめ、このあたりの交通事情がよく分からず、泊りがけでないと登れないのではないか、と思っていたのですがあらためて調べてみたら、君津市が運行しているコミュニティーバスがあり、それを利用すれば十分日帰りで登れる、と言うことが分かりました。

  横須賀から君津へは、直通快速電車が運行されているので朝の程々の時間に出発すれば辻褄を合わせられます。

  君津駅前から日東バスに乗ると20分ほどで終点の中島に到着し、君津市コミュニティーバス豊英線に乗り継げました。
君津駅から1時間もかからずに登山口の植畑上郷に着きましたが、バスを降りた所はバス停ポストと関東ふれあいの道のルート図看板が並んでいるだけ。
至極閑散とした所でした。

  バス停の先200m ほどのところから右手に別れる道があって、入口の角に 「石射太郎入口」 と記した標識が立っていました。

  舗装車道を進んでゆくと要所に道標が立っています。
道路脇のあちこちには一週間ほど前に降った雪を除雪したときにできた雪の塊が残り、この調子だと、山の上には結構沢山の雪がありそうだな、と思いました。

  南房総特有の穏やかな山村風景を見ながら歩いて50分ほどで登山口に着きました。
トンネル入口の手前に車を10台ほど停められる広場があります。
トンネルの手前から右手の山に上がってゆく階段の入口に道標が立っていました。

  階段の上から一面残雪で白くなっている沢溝を登ってゆくとすぐ、 「天然記念物 高宕山の猿」と刻んだ石柱が立っていました。
その脇には可愛い石地蔵が6体並んでいました。


 (画像をクリックすると拡大)

  さらにひと登りすると沢の奥壁の登りになりました。
ジグザグに高度を上げてゆくと開けた場所に出て、左手に房総半島中央部の山並みが見えました。

  さらにもうひと登りで稜線直下に着くと、九十九谷を経て鹿野山方面へ行く道の道標が立っていました。

  左手へ進むとすぐ石射太郎の小屋が見えてきました。

小屋の袂に据えられた野外ベンチに座ると谷向いに並んでいる高宕山、八良塚が見えました。

 高宕山と八良塚  (画像をクリックすると拡大)

  左のような山並みが見えたのですが、不慣れな山域で特に目立つピークもないため、どれが何山なのか分からないのが困りものでした。

  地形図と Android タブレットの GPS マップと磁気コンパスとを照合しても確信が得られないので居合わせたハイカーに尋ねてみましたがあいまいな返答しか得られませんでした。
  この頃は地図なし、地理感覚なしで山を歩いている不可解な中高年ハイカーが増えているみたいです。

    方向感覚とは大分違うのですが道は一本しかないので半信半疑でそちらに進んでみました。
すぐにほっそりした尾根に乗り、少し歩いて行った先に道標が立っていて高宕山方面へのルートに乗っていることを確認できました。
尾根がぐにゃぐにゃ曲がっている房総の山ではコンパスも GPS も役に立たず何度かルートミスをやらかしています。
またか、と言う気持ちも頭をかすめましたが、これで今日は大丈夫そうと言う感じになりました。

   尾根が徐々に左手に廻って行って方向が変わり、やがて左の谷の向う側に並んでいる岩峰が見えるようになってきました。
よく見ると鞍部の左手に小屋が見え、石射太郎の野外ベンチは崖っぷちだったということが分かりました。

  南房総の尾根筋はほっそりしていてぐにゃぐにゃ曲がり、露岩が多いのが特徴ですがこの尾根も同じ様相でした。
小刻みの起伏が多くて変化に富んでいるのでクイズ解きのような感覚があって面白いのですが、まわりが暖地林で常緑樹が多く、遠くを見通せないのが残念です。
 
  しばらく上下を繰り返しながら進んでゆくと石段が現れました。
石段を数段を登った所に狛犬と不動像(?)があり、その先に長く急な石段が続いています。
 
  石段を登り上げた所に石窟と宝篋印塔があり、その先の一段高い所に高宕観音堂がありました。
お堂は石窟につなげて建てられているようで、奥手の岩窟に出入りする口が建物の両脇に見えました。

高宕観音の展望  (画像をクリックすると拡大)

  観音堂正面の階段に腰を下ろすと目の前に左のような景色が見えました。
手前から右手を廻って左の方へ延びている谷の先は上総湊です。
三浦で戦いに敗れた源頼朝が逃げ込んだ所として有名な場所ですが、場所と地形からナルホドと納得しました。
 
  観音堂の軒下でひと休みしたあと高宕山頂上に向かいました。
岩を繰り抜いた穴の中に刻まれた階段を上がって左手の尾根の裏側に出ました。
 
   しばらく尾根を伝わった所に豊英、怒田沢方面分岐があり、それをを見送って進むとすぐに丸太階段がありました。
  ロープが固定された急な露岩や丸太の階段を登って行った先で尾根の右手から南側に回りこみ、岩の隙間の階段を登ると高宕山の頂上に登り着きました。
  尖った小岩峰なのでグルリとまわりの視界が広がり、房総半島中部の山並みを一望にすることができました。

天気が良すぎて上昇気流の雲が湧き、靄もかかって遠くが見えず、富士山はおろか手前の東京湾の海も見えないのは残念でした。
よく見ると南の方にレーダードームを頂いた愛宕山、西の方に富山らしき双耳峰、少し右に寄った方向に鋸山らしい山影が見えていました。

 高宕山頂上の展望    (画像をクリックすると拡大スクロール) 

  しばらく景色を楽しんだあと、階段を下って分岐に戻り、下山にかかりました。

  尾根の東側の窪地に降りると、雪の中に道標が立っていました。
左手へ沢筋を降りてゆくのは怒田沢へ、右手へ沢溝を登ってゆけば豊英へ、と表示されていました。

  以前、三郡山に登った時に入口だった豊英(トヨフサ)バス停に行きたかったので右折。
雪解けでぬかった沢溝を登り、頂上から派生している尾根を乗り越えました。


  高宕山の東肩から南隣の 316m 峰の肩を巻いてゆく途中には、左のような岩庇の下を通るところがありました。 
 
  高宕山の頂上までに掛った時間が予想を大幅に上回っていて帰りのバスに間に合うかどうか心配になっていました。
かなりのハイペースで尾根を南下して行くと、西麓志組への道の分岐点を過ぎた所からわずかで奥畑分岐に着きました。
ここを左折すればその先は2年前の三郡山山行で歩いた既知のルートです。

下降点から八良塚分岐を経て奥畑まで 1.5Km ほどですがバスに間に合うかどうかは別問題です。

 

  2年前に通って様子が分かっている道を進み、中間にある八郎塚分岐の野外ベンチでひと息入れたあとさらに先を急ぎました。
 
   右手に安房高山や三郡山あたりの山並みを見ながら歩いて行くとやがて先のほうが明るくなってきました。
コンクリートの階段を曲がり下ると農道でした。

猫が一匹逃げてゆきました。
近くの農家に飼われているのが昼寝に来ていたところへ、人が出てきたのでビックリして逃げて行ったのでしょう。

  奥畑の畑地の中を進んでゆくと、正面の奥の方に清和県民の森の山が見えました。
  まもなく国道に突き当たると角の左手10m ほどの所に奥畑バス停のポストがありました。
予定していたバスの遅い方の便が来るまでには時間があったのでもうひとつ先のバス停まで行ってみようと歩きかけましたが、行く手にトンネルが見えてきたので中止。
もとに戻って奥畑バス停でバスを待つことにしました。

  下山路をかなりのハイペースで歩き、ほとんど休憩しなかった無理の副作用が出て、帰り乗り物の中では足の痙攣に悩まされましたが、バスの乗り継ぎ時間に立ち寄ったスーパーで地物の大粒イチゴを買えたり、ジャストインタイムで君津始発の直通快速電車に間に合ったりで、まずまずの家路でした。

☆ルートの詳細



  GPS スライドショー



  Flickr の元画像スライドショー



  ルートマップ






ページ先頭へ    

☆おわりに

   早春の草花と日溜まりがキャッチフレーズの房州の山でしたが、今回の石射太郎から高宕山は岩尾根、岩峰と残雪の組み合わせで面白く歩けました。
随所に好展望が広がり、日帰りには分が過ぎると思ったほど楽しい山行でした。