上州富岡 崇台山から城山 (2014.4.7)


☆期日/天気/山行形式: 2014年4月7日 前夜現地泊立ち寄り低山ハイキング
☆地形図(2万5千分1): 富岡(長野3号-1)
☆まえがき
    用事があって西上州に出かけたついでの立ち寄り山行で富岡と安中の市境にある崇台山に行きました。
グルリ360度、西上州一帯の山々を見られる展望峰で、雲ひとつない快晴に恵まれだけでなく、このあたりの桜のピークと巡りあわせ、満開の桜の中から豪勢な山岳展望を楽しみました。

山を下って上州富岡へ行く途中、少し回り道をして中心街の北に臨んでいる城山に立ち寄りました。
こちらも桜が満開で、花の間から西上州の山並みの展望を楽しみ、一度で二度美味しい低山巡りができました。

崇台山頂上の肩で振り返って見た    (画像をクリックすると拡大)
☆行動時間
    東富岡[11:12]=(乗合タクシー 300円)=[11:27]下高尾(11:32)-尾根上変則十字路(12:00)-崇台山(12:15/50)-紫陽花園分岐(12:57)-学習の森分岐(13:03)-長学寺(13:11/22)-溜池(13:30)-中高尾バス停(13:45)-上高尾分岐(13:54)-城山入口(14:06)-尾根上(14:15)-城山(14:19/35)-高田川(14:52)-(15:05)上州富岡

☆ルートの概況
   崇台山は安中市と富岡市の境にある標高僅か299.1m の低山です。
「分県登山ガイド:群馬県の山」には安中から登降するルートが紹介されていますが、最寄り駅からの距離とアプローチの交通機関の双方で富岡側の方が段違いに便利ということが分かりました。

  上信電鉄東富岡駅から登山口の下高尾へは乗合タクシー(小野線)が運行されています。
便数は少ないものの、東富岡発 7:12,9:12,11:12(所要時間12分)のいずれかが利用可能で、1時間ほどで登頂できる小さな山には十分です。(下山時に利用できるのは中高尾12:04 と 14:59。)
日曜日は運休ですがアプローチの距離は4km 足らずしかないので歩いてしまうこともできます。

  下高尾のバス停は農協か何かの赤レンガ倉庫の前にあり、その西側から山に向かってゆく道の入り口の角に 「崇台山」 と記した道標が立っています。 
  県道から別れて北に向かい、山に入ってゆく道は右側が赤レンガ倉庫、左側が生け垣になっている舗装路です。
  家並みを抜けるとすぐ、一軒家がある小さな谷戸を左に見て坂を登り、高台の上に上がりました。
あたりの景色が一変し、穏やかにうねる里山風景が広がりました。
猪でも居るのか道の左側に電気柵が張り巡らされ、「近づくと危険」 と記した掲示板が立っています。

  右手前方の尾根の先に榛名山が頭を出しているのが見えました。

下高尾高台上の景色 尾根の向こうに榛名山が頭を出している    (画像をクリックすると拡大スクロール)

  楓でしょうか、赤い芽吹きの林の間を進んでゆくと、行く手に桜の帯に囲まれた山が見えてきました。

  行き着いて分かったのは、この帯は北面の安中方面から登ってきた道に沿った桜並木でした。
下高尾から登ってきた道はこの道とT字に出合いました。

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  突き当りに立っている「←崇台山」の道標に従って左折、尾根の背を乗り越えると小野中央から登ってきた尾根道に合流。
右折すると行く手に崇台山が姿を現わしました。
斜面を彩る幼木の桜のパッチ模様が綺麗でした。

  尾根の背に沿って進むところでは道端のスイセンとヤマブキの花垣ができていて春爛漫の景色です。

  進んできた道の脇に立っている、毎年4月の第1日曜日が「崇台山の日」の立て札の手前から右上の尾根に上がり、ロープが張ってある急な所を抜けると広びろした頂上広場の一角にでました。

  前の日の日曜日が冷たい風が吹き、小雨もぱらつくような荒れ模様だったせいか、月曜日だったにもかかわらず何人かのハイカーが登っていました。

  広場の西側の縁に出てみると、西上州から妙義、浅間、上信国境の山並から榛名山、大峰山、上州武尊まで一望でした。
 

崇台山頂上から西方の展望    (画像をクリックすると拡大スクロール)

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  景色を見たり飲み食いをしたりしながら休憩しているうちに次第に大気が澄んできて遠くの山が見えるようになりました。
南西の方、四ッ又山の奥の方に雪山の連なりが現れたので、ベンチの近くにある展望盤と照合したら八ヶ岳ということを確認できました。
さらに良く見ると、鹿岳の奥に蓼科と思われる雪山も見えていました。

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  昼時が過ぎるとみな山を降りてゆき、あたりが静かになりました。
無人になった山の頂の雰囲気を暫くの間楽しんだあと下山にかかりました。

  南尾根の下りはやや急な丸太階段になっていて、少し下りかけた所から登ってきた尾根の下の斜面をが綺麗に彩っているのが見えました。

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  ひと下りしたところにあるコースサインの所で右折、学習の森・長学寺方面へのルートに入りました。

  さらに紫陽花園近道を左に分けて行った先がT字路になっていて右は学習の森、左は長学寺前田家廟所と記した道標があります。

  左折して僅か進むと明るい子尾根の上に出て左下の谷間に長岳寺が見えてきました。
ひっそりした谷間にある寺の佇まいはまるで桃源郷でした。
 
  小尾根の先の方にある歴代住職の墓を拝んだあと谷間に下り、旧七日市藩前田家の廟所を訪ねました。

  加賀を治めた前田利家の五男利孝が関ヶ原で立てた軍功によって七日市に封ぜられ、明治まで存続した七日市藩の旧跡で、二代利意、三代利広、五代利英、六代利理、十代利和がに葬られていると言うことです。
 

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  寺をひと通り拝観したあと、中国風の鐘楼門を潜って石段を降り、谷間の道を歩いて中高尾に向かいました。

  里山の小さな谷でしたがあちこちに綺麗な所があり、左のように道端の墓地の前が花筵になっていたり。
楽しい春の里山歩きをしました。

  谷間の道が終わって県道に出るところには左のように「曹洞宗 長学寺」と刻んだ石柱が立っています。

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  県道に出た所から約800m 西に行ったあたりに富岡市街に通じる広く新しい道路が分岐するT字路があります。

  左折して南に向かって800m ほど進んだ所で低い峠を越しますが、その手前の十字路で道路を渡り、西側の山(というより丘)に向かって進むと崇台山への登路とよく似たコンクリート舗装の農道になりました。

  畑の中からゆるやかにひと登りすると尾根の端に上がりました。

  左に一段下がった所にはこの頃ほとんど見られなくなった桑畑が残っていました。
かつてこの地方で盛んだった養蚕の痕跡です。


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  尾根を乗越すと丘陵の南裾を流れている高田川を見下ろす急斜面の縁に出ました。

  満開の桜並木に沿って歩いてゆくと、小高い高みがありました。
物見櫓か何かの土台として築かれた高みのように思いました。
城山と呼ばれているこの山の名前の由来と関係があるのかも?
 
  頂上のすぐ下に人家が二軒あります。
今は無住になっているようですが数年前までは人が住んでいたようで、このあたりの桜もここの住人達が植えたもののようです。

  北の方はゆるやかに起伏している丘陵地形なので、山と言うよりは台地の縁と言った方が分かりやすい地形ですが南側は急な斜面になっているので桜の花の梢の先に富岡市街を見下ろせます。
市街地の先の方には西上州の赤久縄山、稲含山から小沢岳への山並が連なっています。

  左は南東から南にかけて御荷鉾山から赤久縄山への山並が見えました。
    南西方向は下仁田を中心に佐久との国境まで広がっている西上州の山並みです。
手前側には四ッ又山、鹿岳、鍬柄岳など、特徴のある形をした山々が並んでいます。

一番奥の方には八ヶ岳がいる筈ですが崇台山から歩いて来る間に春霞が出てきて国境の尾根も定かではない程になっていました。

 桜のトンネルの中から下山路に入って山を下り、麓の畑の中に出たところで振り返ると一面桜に覆われている本峰あたりと手前側のパッチ模様になっている斜面が面白い対照になっていました。

桜が満開の城山    (画像をクリックすると拡大)
  畑の中の道から県道に上がるとすぐ高田川に架かっている橋を渡り、その南にあるバイパス道路の交差点を横切ると市街地になりました。
まもなく踏切を渡り、その先で左折すると100m ほど先に上信電鉄富岡駅があります。

  富岡は関東平野の外れにあるささやかな田舎町ですが明治5年に創業した富岡製糸場が世界歴史遺産に登録されそうになって見に来る人が増えて賑やかになり、活気づいているようです。
上信電鉄の古い駅舎も全面改築され、とてもモダンな建物になりました。
ただ、以前の木造建築の雰囲気が失われたのはチョッピリ寂しいよう味気ないような気がしないでもありません。

☆ルートの詳細




  GPS スライドショー



  Flickr の元画像スライドショー


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☆おわりに

   西上州と言うより前縁の丘陵とでも言うべき崇台山と、山行前日に駅から見て桜が綺麗そうと思った城山とを繋いで歩いてみたところ、春には稀なクリヤーな快晴に恵まれ、満開の桜と広大な山岳展望とを楽しみました。
無名の超低山にも掛け替えのない魅力がある、ということをあらためて実感した山行でした。

☆参考資料 -崇台山ハイキングコース地図
   
富岡駅のパンフレット棚に置いてあった富岡観光協会のルートマップです。
    H25.10月現在、富岡市観光協会 0274-62-6001 などと記されています。




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