榛名 水沢山から上ノ山公園 (2014.10.9)


☆期日/天気/山行形式: 2014年10月9日 公共交通機関利用日帰り単独行
☆地形図(2万5千分1): 伊香保(長野2号-1)
☆まえがき
    秋の初めの気温の乱高下に身体がついて行けなくて風邪気味になったあとなかなから完治せず、9月下旬からひと月近くも山から遠ざかることになってしまいました。
年寄りはチョッと怠けるとたちまち心身の働きが鈍るので山に登る筋肉がいかほど残っているか?
とても心配だったので榛名山の東の端の水沢山に行ってチェックすることにしました。

  榛名山は近頃、何度か出かけてあちこち登りまわったあとなので、僅かになった残りものうちで水沢山が一番の大物です。
山塊の端で平野に臨んで立っている山ですが山体が薄べったいため、見る方角によっては鋭く尖って見えたりして小真山の集合体のようになっている榛名山の中では、もっとも目立つピークのひとつです。
山は小さいが登路の中ほどに結構な急登があり、筋力のチェックに適しているかも、と思いました。
もし足が痛んだりして上手く登れなかった時には短時間でエスケープできるのも良いと思いました。

山ノ上公園 見晴らし展望台の眺め    (画像をクリックすると拡大スクロール)
☆行動時間
    宮崎台[6:15]=[6:41]渋谷[6:52]=(湘南新宿ライン)=[8:49]髙崎[9:12]=[9:38]渋川[9:55]=(群馬バス)=[10:16]水沢(10:30)-お休み石(11:25/30)-石仏群(12:05/10)-水沢山(12:30/40)-電波塔(12:51)-林道上野原線(13:05)-上ノ山公園展望台(13:30/55)-伊香保神社(14:18/21)-(14:33)伊香保バスターミナル[14:35+]=(関越交通バス)=[14:58+]渋川[15:20]=(上越線)=[15:45]髙崎[15:55]=(高崎線)=[17:15]大宮[17:28]=(湘南新宿ライン)=[18:05]渋谷=二子玉川=[18:37]宮崎台

☆ルートの概況
   水沢山のもっともポピュラーな登山口は水沢観音ですが、東京方面から公共交通機関を使ってアプローチしようとすると以外に不便です。
一番良さそうなアプローチルートはどれか?、あれこれ調べてみたら、JR線渋川駅から伊香保に向けて運行されている群馬バスの何便かが水沢まわりになっているのを見つけました。

  高崎駅で吾妻線のローカル電車に乗り継いで行った渋川駅はあまり馴染みのない駅で、駅前バスターミナルの配置も分かりません。
関越交通のバスは入れ替わり立ち代り頻発していましたが群馬バスの姿は見えず、乗り場の位置も分かりません。
競争相手の関越のドライバーに尋ねて教えてもらい、一番外れたところにある乗り場に行きました。

  乗り場には若い女性が一人いましたが他の客は定刻まで現れず、ドライバーと客二人だけのガラ空き状態で出発。
榛名裾野の坂を登って行く事となりました。

  広い駐車場の脇にある水沢観音バス停で下車。
ベンチに座って山支度を始めると広場の向う側の森の上にこれから登る山がニョッキリ頭を出しているのが見えました。

  支度が終わって登山口の手前にある観音堂の方へ歩いてゆくと、団体ツアーのバスやマイカーで来た観光客が大勢歩いている参道に沿って土産物や食べ物の露店が何軒も並んでいました。

  山を背にした水沢観音の境内には、群馬県重要文化財の経車を収めた六角三重塔と本堂が並んでいます。

  観音堂に賽銭を上げ、この日の山の無事を祈ったあと、お堂の左脇から上がってゆく石段を登りました。
  石段を上った所に飯縄権現堂がありました。
高尾山にも同じ飯縄権現堂があったことを思い出しました。
山岳信仰の対象の山という点で共通点があるのでしょう。

  権現堂の右脇を通り過ぎると万葉公園があり、その先を林道が横切っています。
林道に出た所で左折して進むと100m ほど先に登山口の標識が立っていて、右上に山道が延びています。

  登山道は、お金はかけていないが手間はたっぷりかけていることが分かるいい感じの山道でした。

  長引いた風邪の後で足腰の筋肉が衰えていることは間違いなく、頑張って無理を掛けると脚のどこかを傷める恐れがあります。
歩幅を狭め、スローペースで登って行ったら、後ろから来た人達に次から次へと追い抜かれました。

  尾根の背に上がって左折し、さらにもうひと登りするとちょっとした鞍部状のところがありました。
向かい側の登り口に 「お休み石」 と記したプレートがありました。
駐車場から 1.0Km、山頂へ 1.0Km と記した標識も見え、ここが登路の中間点ということが分かります。

  「おやすみ石」 の先からはかなり急な斜面を斜上します。

  むき出しの木の根や露岩が多くて、歩き難い所ですが危険防止のトラロープが張り巡らされ、ルート整備にあたっている人達の人柄が偲ばれます。

  斜上が終わると急な尾根の背の登りになりました。
相変わらず露岩や木の根が多く登りにくい急登が続きが続き、老体がバテ気味になって歩き続けるのが厳しくなった頃、すぅ~っと傾斜がゆるみました。

  灌木と草原に入ってまわりが開け、道端の草むらにちょっと珍しい形の花が咲いていました。
写真を撮って家に帰ったあとで調べてみたらヤマラッキョウでした。

  ヤマラッキョウの花から僅か先で道が左折するところは頂稜の肩のピークとでも言える高みです。
十二体の石仏が並んでいて山の下の方にゴルフ場のグリーンが見え、その先は渋川方面へ、裾野の扇状地が広がっています。

水沢山 石仏ピークの展望    (画像をクリックすると拡大スクロール)
 

  石仏ピークの先に出ると、行く手に伸びる細尾根と、その先に鋭く尖って立っている頂上が見えました。

  ほっそりした尾根を上下してゆくこととなりましたが両側が灌木のため高度感はありません。
やがて大岩に突き当たったので左に交わして進むとひと登りで頂上に上がりました。

  山体が薄べったいせいで山名標柱と展望盤がある頂上広場は幅が狭く、細長い露岩のこじんまりした高みでした。



両側に視界が開け、南から西は西上州から上信国境の、北から東へは上越国境から尾瀬方面などの、沢山の山が見える筈なのですがこの日は雲が多だけでなく、谷間から霧が上がってきているような状況だったため、なおさら展望が捗々しくありませんでした。

水沢山頂上南面の展望    (画像をクリックすると拡大スクロール)
 

  楽しみにしてきた展望が見えなくて口惜しいので、その代わりに展望盤の写真を撮って頂上を後にしました。

  どうかな?と思っていた急登を、思ったより順調に消化できたのを嬉しく思いながら頂上から西に延びている尾根伝いを開始しました。

 

  頂上西側の頂稜を辿る道は、それまでとは一転して 「昔風の」 藪岩尾根ルートの雰囲気でした。
この山に登る人の大部分は水沢観音から往復していてこちら側を歩く人は段違いに少ないようです。

  しばらくほっそりした尾根を進んでゆくと大きな電波塔に突き当たりました。
群馬県の防災無線設備です。
フェンスの手前から右折して通り過ぎるとまわりの地形が一転して穏やかになり、尾根の幅が広がってきました。

  高原状の地形になった自然林の中を進んで行くところではとても穏やかですっかりのんびりムードになりました。

  道が僅かに登り気味になるとまもなく、舗装道路の縁に出ました。
榛東村と伊香保温泉を結んでいる林道上野原線で、左に行って谷へ下れば船尾滝を経て水沢温泉に戻ることができます。

  今回は病後のリハビリ山行なのでそちらへ回るのは止め、右手に進んで上ノ山公園経由、伊香保に下山することにしました。

   こちらは、4,5年ほど前に二ッ岳から降りてきたときに通っているルートで、様子が分かっているからとても気楽な下山路です。

  林道を進んでゆくと右手の谷越しに今降りてきた水沢山の横顔が見えてきました。

  つつじが丘の尾根の端をヘヤピンカーブで回り込んで行くところまで来ると、行く手に二ツ岳が見えてきました。

  後ろを振り返ると思いがけないほど平ったい形に変わった水沢山が見えました。

  カーブの突端にあるガードレールの切れ目に道標が立ち、憩いの森・伊香保方面へ下る道の入口を示しています。

  踏み込んだ遊歩道は、綺麗に整備された幅広の道ですがあまり踏まれてはいないようでした。

  ひと下りした所で舗装路に出て右手に300m ほど進むと 「上ノ山公園」 の入口を示す標柱が立っています。

  分岐に入って僅か進むと行く手の高みの上に展望台が見えてきました。
  展望台の上は誰も来ていませんでした。
広大な展望を独り占めして長い時間の休憩を楽しみました。


  山の下は伊香保の市街で、谷向かいには小野子山から大峰山の連なり。
その奥には上越国境の山並みが連なっている筈なのですがこの日は雲の中でした。

山ノ上公園 見晴らし展望台の眺め
   (画像をクリックすると拡大スクロール)
 

  リング状に造られた展望台の後ろ側に回ると正面の森の上に二ッ岳が顔を出しているのが見えました。
 
  展望台の下からロープウエイ駅の方に向かって延びている遊歩道のまわりの森はそろそろ葉が色づいてきて秋の気配が漂っていました。
 
  休業中のロープウエイ駅舎の左脇から伊香保へ下って行く道に入ると左のような長い階段道になりました。

  道は良いし、手摺りもあるので至極安全なのですが、足の筋肉の使い方が一定になるのは意外に辛いことでした。
片足下りで階段を降り、負担の掛かる足を切り替え、切り替え降りてゆくこととなりました。

  長がーい階段が終ると伊香保神社の境内に降り着きました。
小さいが古い由緒がある温泉町の鎮守の神の社です。

  バス停に向かって街中に入ると伊香保名物の石段街になりました。
車社会には全く背を向けている家並みでには懐かしい雰囲気が漂っていました。
小学校の修学旅行だったか、はじめて伊香保に来たときに飲んだサイダーのことを思い出しました。
うるさい親がいないのを幸い、サイダー瓶を一本買ったのをイッキ飲みしたら炭酸ガスで胃袋が風船になり、大きなゲップが出るまでとても苦しい思いをしました。

  渋川行き関越交通バスのターミナルを探り当てるのに地形図と GPS とを使ったところ、あと5分待てば渋川行きバスが来るタイミングでターミナルに着く、という嬉しい結果になりました。

  見晴下から水沢入口を経て渋川に下り、JR吾妻線電車に乗り継いで、高崎駅へ。
さらに湘南新宿ラインの快速電車に乗り換え、早い時間に家に帰りました。

☆ルートの詳細

  ヤマレコの山行記録

  Flickr の元画像スライドショー


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☆おわりに

   長引いた風邪の影響を心配しながら山を登りましたが思ったより順調に歩けたのは嬉しい事でした。
帰りの乗り物の中で身体が冷えてきたときによく起きる足の筋肉の痙攣もごく軽くて済みました。