吉井 朝日岳(多胡美人) (2014.12.27)


☆期日/天気/山行形式: 2014年12月27日(快晴) 日帰り単独行
☆地形図(2万5千分1): 上野吉井(長野3号-2)
☆まえがき
    12月初めに登った八束山から見た朝日岳の形が良く、頂上から派生している尾根に小岩塔が林立しているのが印象に残りました。
気懸かりは年のうちにケリをつけようと登りに行って見たところ、「サンショは小粒でも辛い」より、もうチョッと辛目な手応えがあり、面白い低山歩きができました。
☆行動時間
   宮崎台[6:11]=渋谷[6:53]=(湘南新宿ライン)=[8:50]髙崎[9:26]=(上信電鉄)=[9:50]吉井駅-(9:56)文化会館前[10:02+1]=(よしいバス \200)=[10:14-2]東谷(10:24)-朝日岳 登山口-1道標(10:34)-迷い道反転(10:50)-朝日岳 登山口-2道標(10:57)-尾根上岩塔(11:13/16)-東肩のコブ(11:37)-朝日岳南峰(11:45/46)-空堀(11:51)-北峰(11:55/12:09)-岩尾根・給気タンク(12:19)-車道(11:42)-中間道尾根コース入口(12:47)-神戸バス停(12:50/52)-ドリームセンター道(13:16)-(13:30)牛伏ドリームセンター[15:05]=(よしいバス)=[15:12]吉井駅[15:30]=(上信電鉄)=[15:56]髙崎[16:12]=(湘南新宿ライン)=[18:24]武蔵小杉=溝の口=[18:47]宮崎台

☆ルートの概況
   12月の半ばに吉井の朝日岳に登りたいと思っていましたが家の片づけやら賀状書きやらで遅延し、クリスマスを過ぎてしまいました。
最寄りの吉井駅から登山口まで4Km あまりですからアプローチにタクシーを利用してもよいと思いましたが、27日までだったら市営のよしいバスが運行されることが分かったので、その最終日に行ってみることにしました。
ただしこの日は上信電鉄が土曜ダイヤで運行され、吉井バスへの乗り継ぎ時間がちょっきり10分しかありません。
前回と同じ消防署前では間に合ない可能性があるので、ひとつあとのバス停で僅かながら駅に近い吉井文化会館前バス停に行って乗り継ぐことにしました。
それでも乗り遅れたらタクシーを利用する覚悟でいましたが、作戦がうまく行き、程よい加減の待ち時間でバスに乗れました。

  15分足らずで着いた東谷はこの路線の折り返し点で、左のように石垣の下にバス停ポスト、ベンチと朝日岳登山口の標識が立っています。
ベンチのまわりにはヒンヤリした風が吹き通り、爽やかな朝日があたって気持ちのよい支度場所でした。

  この日は、直前に入手した Holux m-241 Bluetooth GPS ロガーを初めてフィールドでテストすることにしていました。
衛星電波にロックオンし、経緯度が取得できていることを確認した上で軌跡記録機能を始動。 あらかじめ設定していた手順に従ってスマフォと接続した上で GPS地図アプリを起動しました。

  バス停の後ろの階段を上がって山畑の中を通り、落合集落のメインストリートに出合いました。

  落合の集落は朝日岳を背に南向きの斜面にあっていかにも住み心地が良さそうでした。
この頃は車が普及。 それに合わせて郊外ショッピングセンターが発達していますから、下手な田舎町の市街地より快適で住み心地が良いかもしれません。

  道なりに曲がり登って集落を過ぎ、山裾に突き当たった所で左に回り込んで行く曲がり角に「朝日岳 登山口-1」と記した標識がありました。
  このくらいの標識がある所だったら大体こうなっている筈、と思って覗きこんだ茂みの中にそれらしい道形が見えません。
おかしいなぁと思ったし、「-1」とあるからには「-2」もある筈と考え、先に進んでみました。

  グルーっと回って西に向いた車道は山畑の中に出ました。
左手に視界が開け、高崎-藤岡市境稜線を見渡しながら進んでいると畑の中から何かが走りだし、向こう側の藪に向かって逃げてゆくのが見えました。
背中の色が明るい茶色で真ん中に黒い帯があったので狸かも、と思いましたが、どうやらこのときに「-2」の入口に気づかず通りすぎてしまったようです。
  いくら行っても一向に登り口が見当たらないまま進んでとうとう、右上に頂上を見上げる所まで来てしまいました。
  僅か登った所は左の写真のようになっていて、右手の藪の中へ誘導しているコースマークがありました。
タブレットで大縮尺の地形図を表示し、GPSマーカと照合してみると頂上から南に下がってくる急峻な小尾根の背にいることが分かりました。
コースマークはここから登ってゆく直登ルートの入口のようです。
  初見の山で何も情報を持っていないのにいきなりバリエーションルートに入るのはリスキーですから立ち入るのは控え、回れ右してもときた道を戻りました。

  油断なく山側を見張りながら戻ってゆくと、丁度「タヌキ」に見とれていたあたりの山側に、左のような「朝日岳 登山口-2」と記した標識があり、明瞭な道形が分岐していました。

  「登山口-1」よりはるかに明確な取り付きなのでシメシメと踏み込んでみたのですが、50m ほど進んだ所で道形が途絶えてしまいました。

  さてどっちに行けば良いんだろう?とまわりを見回すと右横の竹藪の中に幅広い赤テープのコースマークがあり、こちらに入って来い、と言っています。
  踏み込んでみると、ごちゃごちゃした地形で道形はありませんが雑木が混じった竹藪の中に沢山のコースマークが取り付けてあり、歩き難いけれども迷いようはありません。

  木の根や枝に掴まりながら進んでゆくと次第に地形が急になりました。
おしまいには固定ロープと藪に掴まって強引にずり上ると左のような岩塔の隙間に登り着きました。
 
  一息入れた上で左折して頂上に向かいました。
20日前に八束山から見た通り、尾根の背にニョキニョキ小岩峰が並び立っている様はかなり風変わりです。

  左側はストンと切れ落ちているが右側は割りと傾斜が緩いので、沢山の固定ロープや鎖に助けられつつ岩塔の裾を巻いたり境目の溝状を登り上げたりして登高しました。
 
  岩の突出が小さい所は左のように穏やかな様相になります。

  またニョッキリした大岩に突き当たって右裾に回りこみ、巻き登りました。

  山が小さいお陰でひと登りすると岩尾根が終わって穏やかになり、左のように真っ当な尾根の背に乗ります。

  頂上の手前に小さなコブがあり、南面から登ってくるバリエーションルートの出口と思われる青テープのコースマークがありました。

  コブと頂上の間には穏やかな鞍部があり、至ってのんびりした気分になります。

  右手の藪の先に北峰を見ながら南峰の手前まで進むとまた岩塔が出てきました。
尾根の右肩を巻き登ってゆくとまもなく、左のように南峰と北峰をつないでいる道に出合うT字路に出ました。

  T字の角を左折するとすぐ南峰で、南面が切れ落ちた岩峰の上に出ました。





  南の谷底に東谷の貯水池が見え、目の前に高崎・藤岡市の境界稜線が連なっています。
有名な山はひとつも見えませんが、中々の山岳展望です。

朝日岳南峰頂上の展望    (画像をクリックすると拡大スクロール)

  いま登ってきた左手の尾根の方を見ると、八束山と牛伏山とふたつの山の頂上が一直線上に並んでいました。
いわゆる吉井三山の頂上は同じ岩脈で形成されているようです。

  この山は双児峰で三角点はほとんど同高度の北峰の方にあります。
ひとわたり展望を眺めたあと北峰に向かいました。
そちらへは僅か200m あまり。
岩っぽいほっそりした吊尾根で繋がっています。

  北峰の登りにかかったあたりに幅5m 深さ3m ほど尾根が切り取られた空堀跡がありました。
立ち木を利用して底に下り、向かい側の露岩を固定ロープに掴まって登りました。


  さらに擁壁だったと思われる段差が二段あり、そこを登り上げると直径3、40m ほどの丸い平坦地の端に上がりました。
広場の手前よりに三角点標石があり、その脇に「朝日岳 雨引城址」と記した標識が立っていました。




  ぐるり樹木に囲まれていましたが、その先の視界は開け、西から南にかけて稲含山から御荷鉾山への山並みが見えました。

朝日岳南峰頂上の展望    (画像をクリックすると拡大)
 

  広場の西側には「北登山口→」と記した道標がありました。

  北側には「尾根経由 神戸バス停→」と記した道標がありました。

  ここまで歩いてきてこの小さな里山が中々変化に富み、色々なルートが開かれていることが分かりました。
小さな山なのになかなか登りでがあることが分かりましたがとりあえず今回は、尾根経由神戸バス停ルートをトライしてみることにしました。

  北側の擁壁跡と思われる段差を降りると「←7 8→」と記した標識がありました。


  落ち葉が積もって道形は見えないものの明瞭な尾根の背に乗れたので楽勝ムードで下って行きました。

  ひと下りした所に露岩の細尾根がありました。
自然の地形ではない見たいだなぁ、と思いながら左側をまわり下りって尾根の背に戻ってみると左のような鉄のタンクと配管がありました。
  近寄って見た限りでは圧縮空気の空気溜めのようでした。
露岩の方に延びている配管は採石用削岩機への給気管ではないかと思いました。

  あとで気がついたことですがこの付近で尾根が二股に別れています。
配管の向こう側へゆけば中間道経由神戸に行くルートに乗れたのかもしれません。

  直進していま降りて来た尾根の背を下ってゆくと地表が白っぽくザラザラしてきて樹木が疎らになりました。
傾斜が緩い割に滑りやすく、歩き難い状態になりました。
樹木と樹木の間隔が開いていて木の枝を掴まえにくいのも嫌らしいことでした。
  下の方にゴルフ場が見えて来ると竹藪になりました。
山裾を通っている車道のガードレールが見えてきたあたりからは竹の間の下降になりましたが細目の竹が密生しているので、押し分けて行かないと前に進む事ができません。
  下の方が開けてきたのでヤレヤレと思ったのは間違いで、道を通すため尾根の末端を削った部分の擁壁の上の草付き斜面の縁に出てしまい、そのまま下ってゆくことができなくなりました。
たとえ草付きをまっすぐ下った所で最後は高い擁壁の上に出て進退窮まるに違いありません。
草付きと竹藪の縁に沿って右下へ下ってみました。

  擁壁の端の傾斜部の下端まで下りましたが道路までまだ2m あまりの高さがありました。
昔だったら簡単に飛び降りてしまうところですが年取った今は危険です。
手近に立っていた程よい太さの竹を一本掴んで釣瓶のように撓ませ、擁壁をずり下がって無事道路に降り立ちました。

  車道は雨引と神戸を繋いでゴルフ場の縁を回っている道路で道端に立っている標識看板に、「草喰-八町河原林道」と記してありました。

  右折して東に向かい、のんびり歩いてゆくと山から降りて来た幅の狭い舗装路が出合いました。

  さらにもう少し進んで神戸の家並みにかかる手前に左のように山道が出てきていて、角に「中間道 尾根経由朝日岳」と記した標識がありました。

  神戸集落には山中に珍しい広々した十字路があり、角のすぐ近くにバス停のポストが立っています。

  十字路を横切り、山裾に沿ってショートカットしてゆく道に入りました。
少し進んで大沢川に架かっている橋のあたりまで来たところで振り返るといま降りて来た山が穏やかに佇んでいました。

  奥武蔵や秩父盆地と似通った雰囲気の山村風景の中を歩いて石灯籠と道標の立つT字路に出ました。

  右手から出合うのは前回八束山から降りて来た道です。
石灯籠の先に見える朝日岳は巨乳の女性の寝姿に似て、これが「多胡美人」と言う異名の所以かも、と思いました。
  前回歩いた坂道を登って牛伏ドリームセンターに行きました。
20日ぶりに見る冬桜はもう盛りを過ぎていましたがまだ幾つかの花が残っていました。

  取り付きでルートミスをしたせいで前回より30分ほど遅くなりましたが、3時過ぎのバスが出るまでには十分な時間があったので食堂で遅い食事をしたあと、ゆっくり入浴して汗を流し、体を温めました。


☆ルートの詳細




  ヤマレコの山行記録



  Flickr の元画像スライドショー




  詳細ルートマップ
       
(カシミール使用、国土地理院地形図
      に GPS 軌跡を埋め込んで作成しました)

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☆おわりに

   約60年前まで、腕白時代に住んだ群馬吉井町の奥にある里山に登りに行きました。
小岩塔が林立している急峻な尾根の登高と、ルート不明瞭な尾根の下降と、小さな山に似合わない手応えがありました。
静かな奥山の展望を眺め、一年を締めくくるに相応しい楽しい山歩きができました。