みちのくお山巡り[2-2] 栗駒山 (2007.8.24)


☆まえがき
    焼石岳と栗駒山は、和賀岳と同じ奥羽山脈上のピークだ。
一般的には岩手/宮城側から登降されることが多いようだが、秋田側のルートも開かれている。
たまたま、某誌に出た山行報告で、焼石から秋田側に降りて西麓のジュネスホテルに泊まったらなかなか良かったと書いてあった。
どうかなと思い、ネットでチェックしてみたら、ここに連泊してふたつの山に登る送迎サービス付きパックを掲示していた。

  どちらかと言えば、和賀岳から帰る途中で立ち寄るついで登山だったので安易なこのプランに乗る事にした。
まず栗駒は手軽に須川温泉からピストン。
最終日に焼石を越して岩手県側に下山し、水沢・一ノ関経由で帰ることにした。

栗駒山須川ルート名残が原湿原    (画像をクリックすると拡大します)
☆行動記録とルートの状況
<タイム記録>
    ジュネス栗駒スキー場ホテルブラン(7:55)=[送迎車]=(8:30)須川高原温泉(8:45)-合流点(9:00)-自然観察路分岐(9:15)-昭和湖畔(9:30/40)-主稜鞍部(10:20/30)-栗駒山(10:45/11:15)-笊森分岐(11:50/12:00)-自然観察路分岐(12:45)-(13:10)須川温泉/ビジターセンター-(13:25)-栗駒山荘(13:40)=[送迎車]=(14:20)ホテルブラン{泊}

◆ホテルのマネージャ格の人が送迎車の運転をしてくれた。
バブル崩壊のすぐあと、各地にあった U ターン組のひとりということだった。
田舎に帰って良かったかどうか、立ち入った質問は控えたが、普通の地元の人とは一味違う話が聞けた。

  秋田県の東南コーナ部にある東成瀬村は長大な成瀬川の谷に沿って点在している集落で成り立っていて、谷の奥ではダム建設工事が始まっていた。
ダムがあるからということもひとつの理由となって先ほどの町村合併から外れたそうだが、工事が終わったあとはどうなるのだろうか?
過疎化にストップを掛けるには知恵を絞って持続性のある地場産業を興さなければならないのではないか、と思った。
それにしても、後進国の山野を裸にした上に、国内の山林の荒廃までひき起こしている木材輸入は禁止すべき、と思った。
  30分あまりで須川温泉に着いた。
天気は前夜のテレビの予報ほど良くはならず、頭のすぐ上を雲が流れている。
ただし降るようなことはなさそうだ。
足拵えをして登山道に入るとすぐに2軒の蒸し風呂小屋がある。

  藪の間の岩がゴツゴツしたところを進んでゆくと名残ヶ原湿原の末端に出た。
視界が広がり、冒頭パノラマ写真のような景色が見えた。
縦長の湿原の真ん中を木道が通っている。
木道沿いには色々な晩夏の花が咲いていた。
水流の脇にはモウセンゴケの群落も見えた。

  湿原の奥からの登りの横は地獄谷で、温泉臭が漂い、硫化水素が出ているので柵の中に入ると危険、と記した看板が立っていた。


  登りが緩むと昭和湖が見えてきた。
昭和19年の小爆発によってできたということで、青い水を湛えている。
須川のもとは酸川だと聞いたが、ここの水も酸性が強そうだ。


  湖畔でひと休みしたあと奥手の急な斜面を登りあげると頂稜の下の這松の斜面になる。

  ひと登りで鞍部に上がった。
標柱、道標が立っている。

  山の裏側は宮城県の栗駒で、こちら側は雲が少なく、青空が広がっていた。
山麓を覆う大気は蒸気がこもっているようで、何となく蒸し暑そうだ。

  這松の間を緩やかに登ってゆく道の脇にはシャジンの花が目立った。


  広々した頂上広場に巨大な山名標柱が立っていた。
中高年ハイカーが20人あまり休んでいた。
岩手/秋田側の須川、宮城側のイワカガミ平、どちらから登っても2時間足らずで登れて、景色も良いから人気があるのだろう。


  宮城側にはなだらかな山が立ち並び、北の山国に来ていることを実感する。
イワカガミ平はすぐ山の下に見えた。

栗駒山宮城側の展望    (画像をクリックすると拡大します)

  古くから信仰登山の対象になっているようで、立派な作りの祠があり、横手の壁に坂上田村麻呂云々の縁起が記されていた。


  同じ道を下っても面白くないので産沼コースに入った。
こちらは通る人が少ないようで藪が被り気味だが道形は至って明瞭だ。


  斜面を下ってゆくとその先に広がっている平坦な這松原の真ん中に、ポツンと小屋が見えた。
笊森避難小屋だ。
良い水場があれば最高の泊まり場だろう。



  左手遠くに大きな山の連なりが見えた。
方向と距離から、焼石岳に違いない。

  なだらかだが大きな山だ。
明日は、左手の秋田側から取り付いて一番高い所を越し、右手の岩手側へ乗越さなければならない。

  急な登降はなさそうだが遠くて大変だなぁ、と思った。


  左手に回り込むように下って行くと沢溝に入り、やがて産沼に着いた。
ワタスゲの群落の向こうの水面に山影が映り、なかなか風情がある。

  沼尻に三又路があり、左は須川温泉、右は笊森方面と記した標柱が立っていた。

  ひと休みしたあと左手の道に入った。


  このあたりから潅木帯に入り、まわりの視界がなくなる。
沢を横切る所があり、そこから先は太いゴムホースに沿って歩くようになった。

  河原が茶色の三途の川を渡ると間もなく朝登っていった須川コースの通り道が見えてきた。

  合流点に立つ標柱には苔花台と記してあった。
雲高が上がり、さっき登った頂上が見えている。

  間もなく名残が原湿原に出た。
大白森湿原をちょっと連想させる雰囲気がある。

木道の脇に咲く花を眺めながらノンビリ歩いたあと、藪の間を僅か歩くと須川温泉の建物が見えてきた。

  建物の後の沢溝に大量の温泉が湧き出し、道沿いに足湯ができていた。

  迎え車の時間には少し余裕があったのでビジターセンターを見学した。
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☆おわりに
    須川温泉からの栗駒山は半日コースの安易な山登りだったがその割には、湿原、火口湖、山の花、頂上の展望、池塘など盛り沢山で変化に富み、面白い山歩きができた。


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