北秋田お山巡り[4] 湯森山-千沼ヶ原-乳頭山 (2007.8.1)


☆期日: 2007年8月1日

☆地形図(2万5千分1): 秋田駒ヶ岳(秋田2号-3)

☆タイム記録
    高原温泉-アルパこまくさ[5:56]=(シャトルバス)=[6:20]八合目(6:30)-笹森山肩(7:00/05)-湯森山(7:25/35)-熊見平(8:10)-小休止(8:25/30)-笊森山(8:50/9:00)-千沼ヶ原入口(9:15)-滝ノ上下山口(9:30-千沼ヶ原入口(9:45/55)-縦走路(10:15)-乳頭山(10:55/11:15)-一本松温泉跡(12:20)-小休止(11:55/12:00)-黒湯(12:50)-ブナの木陰(13:05/15)-(13:20)乳頭大釜温泉[13:35]=(羽後交通バス)=[13:40]上高原温泉(民宿で入浴・着替)[15:43]=(羽後交通バス)=[16:22]田沢湖駅[16:58]=(コマチ#28)=[20:08]東京=大手町=宮崎台

千沼ヶ原と岩手山    
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☆行動記録とルートの状況
    
この山旅の最終日になった。
梅雨明けはまだだが日本海北部を東進してくる高気圧の圏内に入って晴れるという、嬉しい予報が出ていた。
朝食は握り飯にして貰ってザックに入れ、朝一番のシャトルバスで八合目に上がった。

  八合目の駐車場は前の日と打って変わって明かるい陽射しを浴びていた。

  空には昨日の名残の薄雲が広がっていたが大気は昨日の大雨に洗われて透きとおり、北の方遠くには岩木山と思われる山影が見えた。

  ルート入口からの眺めも昨日とは大違いで笹森から湯森への繋がりがクッキリしている。

  笹森山の肩まで上がると正面に乳頭山が見え、その右に笊森山、そして岩手山の頂上部が見えた。

  後ろの正面は駒ケ岳で八合目の小屋もはっきり見えた。

  昨日は五里霧中だった湯森山頂上は朝日輝く広々とした所だった。

  南の方、駒ヶ岳の山腹の先に和賀・真昼山塊が見えた。
またおいでよ、と誘っているかのようだった。

  湯森山の北側へ降りてゆくと雪田があった。
標高は精精1400m ほどしかないのに8月になってもまだ残雪があったのは驚きだった。

遠く、早池峰連峰らしい山影が雲を纏っていた。

  湯森山の北斜面を降りきったあたりは広大な湿原になっている。
遠くに熊見平の宿岩が見えてきた。

  道の脇にひと叢のチングルマがあった。

  ひと登りで宿岩に着いた。
振り返ると残雪のパッチが貼りついた湯森山が穏やかな姿で横たわっていた。



  熊見平の先から笊森山への登りは長い。
傾斜は緩く、息が上がるような事もないのだが、いつまで経っても頂上に登り着かない。

  いい加減嫌になりかかった頃ようやく頂上の標柱が見えてきた。
大石が積み重なった頂に上がると、その先に広大な展望が広がっていた。


  正面は岩手山から三ツ石、大深山から八瀬森へと続く裏岩手の稜線。
右手前の稜線の平らな所に千沼ヶ原が見えていた。(下のパノラマ)

  目を左に転じると乳頭山、大白森から始まる葛根田川源流域のと山々が連なっている。
(もうひとつ下のパノラマ)
笊森山頂上の展望、岩手山・千沼ヶ原方面    (画像をクリックすると拡大)
笊森山頂上の展望、乳頭山と大白森    (画像をクリックすると拡大)

  笊森山頂上から北の肩に降りたところに三又路があった。
道標の指示に従い、右手に入って千沼ヶ原に向かった。


  木製階段の道を進んで高度を下げて行き、水場の沢の縁を過ぎると間もなく湿原の上端部に出た。

  木道の三又路の脇に湿原の概要説明を記した岩手県の看板が立っていた。
それによると、この湿原の存在はマタギの間では古くから言い伝えられていたが登山道が開かれて一般人が訪れるようになったのは比較的新しいとのことだった。

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  左は湿原の縁の木道を少し進んだ所で見た千沼ヶ原である。
沢山の小池塘が散在する湿原の向こうのオオシラビソの森の上に岩手山が頭を出している。

夢幻的な雰囲気が漂っている。





  上から眺めた湿原は2段に分かれ、下の段の方が良さそうに見えた。
木道を進んで行く途中の池塘の縁にはモウセンゴケの大群落があった。(左下)

  15分ほど木道を進むと滝ノ上温泉に下るルートと三角山・高倉山方面への踏跡の分岐に着いた。

  結局、上段の方が綺麗なことが分かったのでもとに引き返し、入口の三又路にザックを下ろして、しばらく休んだ。

  乳頭山へのルートに入り、笊森山北斜面のトラバースを始めた。

  地形図で見るとこのルートはほぼ等高に巻いてゆくように描かれているが、実際には水流のある沢溝を5、6回横切る。
その都度短いながら登降を繰り返さなければならない。

  縦走路に戻った所は開けた小ピークで正面に乳頭山が優美なカーブを描き、その右後に大白森の頂上湿原が覗いていた。


  千沼ヶ原と大白森と、対になった湿原のセットは全国レベルでもトップクラスではないか、と思った。
縦走路合流点から乳頭山と大白森を望む    (画像をクリックすると拡大)
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  秋田・岩手県境のゆったりうねる高原状の稜線を歩いて乳頭山に向かった。

最低鞍部の手前ではまわり中が花一杯になった。

  色々咲いている中で薄紫色のハクサンシャジンに混じって白花のシャジンが咲いていたのが珍しかった。
これはアルビノで、シロバナハクサンシャジンと呼ばれているそうだ。(左)

  左側の斜面がやや急になっている所では下の方に綺麗な小湿原が見えた。

  右手に向かってやや急なザレ気味の所を登りあげて行った所で滝ノ上温泉からきた道が合流する。
道標の後にザックが置いてあった。


 乳頭山南面の 崖の縁に出て狭く急な所を突破すると岩が積み重なった頂上に着く。
さっき見たザックの持ち主が休んでいた。

  こちらと同じくらいの年恰好で、一週間ほどの予定で来ていて早池峰のあと滝ノ上温泉にまわり、白沼ルートを登ってきたという。

  白沼ルートは良いルートだが水場がなく、上部の裏乳頭の斜面を巻き上げてくる所で日干しになりかかるのがきつい。

  千沼ヶ原の方に行けば水場があるだろうかと聞かれたので通ってきたルートの様子を話した。

  ご同輩が降りて行き、独りになった頂上でしばらくまわりの展望を楽しんだ。

  田代岱、大白森、曲崎山、森吉山などが一望なのは4年前に来たときと同じだが、どの山もこの1年の間に歩いて何時間かづつお付き合いし、"友達" になっている。


  下山路に入り、15分ほど降りて行った所で田代岱へのルートと黒湯へのルートが分岐している。

  分岐のすぐ上に太陽電池があった。
何かと思ってよく見たら通る人の数を数える登山者カウンターだった。


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  左手の黒湯ルートに入って15分ほど進むと小尾根の突端に出る。
広大な展望が広がり、正面に田沢湖、その左に駒ヶ岳が並んで箱庭のようだ。

  小尾根から右手の斜面を下降すると森の中に入る。
朝から照り付けていた夏の日が遮られてホッとした。

  谷底に下りついた所が一本松温泉の跡だ。
尾根末端の台地に温泉が湧出していた。
ブクブク気泡が湧いて熱そうだったので恐る恐る手を入れてみたら案外ヌルかった。

  一本松で支流の沢を渡って本谷の右岸に移ると至って良い道になった。
腹具合が芳しくなくてろくなものが食べられなかったが、ロングルートを意外に楽に手早く歩いてこられ、楽勝気分になった。

  橋を渡って左岸に移り、右岸にある二箇所の泉源地を過ぎると谷の下手に孫六の建物が見えてきた。

  やがて黒湯の建物の下に出た。
無断で入浴しないでください、という掲示が塀に掛けてあった。

  黒湯の下手で橋を渡ると孫六だ。
真昼間で閑散としていた。

  "美味しい山の水をどうぞ" と掲示のある入口の蛇口の水をご馳走になって先に進んだ。

  大釜への道は川沿いの車道は日が照り付けて暑い。

   尾根の末端を回りこみ、大釜の屋根が見えてきた所はブナの大木林の中で涼しい風が吹いていた。
バスの時間には間があったので、道端に腰を下ろし、涼みながら飲み食いをした。

  小学校の校舎を移築したという大釜の向かい側にあるバスターミナルは景色の良い所で、建物の後に立つ駒ヶ岳の形がよかった。


  午後2時前に高原温泉の宿に戻れ、時間の余裕があったので、ユックリ温泉に入って汗を流し、着物を替えてサッパリした。

  アルパこまくさからは、予定より1時間あまり早いバスで田沢湖駅に向かい、秋田新幹線も指定券をひとつ早い列車に変更して早い時間に家に帰りついた。
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☆あとがき
    田沢湖駅で新幹線を待ち合わせている時、家並みの先の山に気が着いた。
駅の観光案内所で聞いてみたら一番高いのは羽後朝日岳だという返事。
20万分1地形図を参照すると左手の最高点が朝日岳なら右手の高みは和賀岳と薬師岳だということになるようだ。
次ぎはあれを登りに行かねば!