北秋田お山巡り[2] 真昼岳 (2007.7.29)


☆期日:
2007年7月29日(曇)
☆地形図(2万5千分1): 真昼岳(秋田8号-1)、六郷(秋田8号-3)

タイム記録
    千畑温泉[7:30]=(Taxi \2340)=[8:45]赤倉登山口一合目南沢出合(8:50)-石台(8:45/55)-ヤセヅル(9:45)-小休止(9:55/10:00)-峰越ルート合流点(10:25)-真昼岳(10:40/11:05)-兎岱分岐(12:25/40)-松坂口(13:25/30)-大堰堤(13:40/45)-善知鳥登山口(14:30)-(15:20)千畑温泉{サンアール連泊}

善知鳥下降点付近から見た真昼岳は堂々とした双子峰だった    (クリックで拡大します)

☆行動記録とルートの状態
   
早朝目が覚めるとすぐに窓の外を見た。
前の日の夕方、千畑温泉に着いたときは梅雨模様の霧雨で、天気の成り行きが気に掛かっていた。
曇ってはいるが雲行きは落ち着いていて、所々に青空が覗いている。
テレビや携帯の予報では "曇時どき晴れ" と言っているので、真昼岳に登れることに間違いはないだろう。

  予定通り赤倉尾根ルートから登頂し、もとの道を戻って下山するか、尾根を南下して善知鳥へ降りるかは、状況によって柔軟に対応することにした。

  千畑温泉には連泊するので夕方までに戻ればよい。
特に早発ちの必要はなかったので普通に朝食を食べ、7時半に予約しておいたタクシーで山に向かった。
山裾の道路を北上し、大阪集落の十字路を右折してひと走りしたところにある十字路を右折。
直進すれば岩手県沢内村に通じる峰越え林道になるが、雨が降るとすぐに崩れるとドライバーが言った。

  十字路を曲がると間もなく丸太の鳥居が見え、その先で舗装がなくなった。
杉林の間の砂利道はかなり荒れていてグラグラ揺れながら低速で進んだ。

  もう少しで行き止まりのように見える谷間の狭い道の脇に登山口の道標があった。

  奥の方に車が1台停まっていて、その脇に人影が見えた。

  足拵えを整えて右手の道に入り、浅い沢溝を渡って南沢の登路に入った。
ルートはやや荒れ気味だが歩き難いと言うほどではない。

  30分あまり登るとまわりがブナ林になり、道の様子も落ち着いてくる。
やがて左手の山腹に取付き、急な斜面に大きなジグザグを描きながら高度を上げてゆくようになった。


  1時間ほどで石台に着いた。
特に目立つ物はないがやや傾斜が緩み、ちょっとした切り開き広場になっている。
まわりにブナの大木が林立し、良い休憩場所だ。

(クリックで拡大します)
  石台から先は地形が緩み、さらにひと登りで尾根の背を乗り越した。
標柱が立ち、 "真昼ブナ林"、"真昼岳 2Km"、 "赤倉口 3Km" と記してある。

 この先 しばらく道が平坦となり、ブナの森の散策になった。

  僅か下った730m 台の鞍部から780m 圏の小尾根まで、尾根の左側のやや急な斜面を斜上する。
途中樹木が切れた所があって山麓の平野が見渡せた。

  800m 台の尾根に上がり、しばらく尾根右側斜面上縁部を進む。
やがて865m ピークの先で僅か左手に回り込むとヤセヅルの大ガレの上に出た。
20m 程、ガレ場の上縁を歩いたが、雲の中のため高度感はなく、特段の事もなく通過した。


  ヤセヅルの先の尾根は傾斜は緩いが左右から沢が迫って痩せ、細まってくる。
石台からほぼ1時間登った所で小休止。

  休憩を終えて歩き出すとすぐにルート両側の樹高が低くなり、這松と草の中に出た。
登山口から600m ほど登ってはいるが、標高はまだ900m そこそこなのに森林限界だ。
北の山に来ていることを実感した。

  時どき雲の切れ間が来るようになって左上方に尾根が見え隠れし、稜線に近付いている事が分かった。

  ひと登りで稜線に登りつき、峰越林道から尾根をつたわってくるルートに突き当たった。

  ありがたいことに、この頃から雲高が上がってまわりが見えるようになった。
合流点の南の小ピークに上がると前方に真昼岳頂上の小屋が見えた。


  ひと頑張りで登りついた頂上は広広として、意外に大勢の人で賑わっていた。
  赤倉尾根は登山口からずっと人に遭わず、ひとりで登ってきたが、峰越ルートからは大勢が来ていた。


  大きな小屋の戸を開けて中をのぞくと真新しい祠が安置してあった。
米どころの仙北平野の稔りを祈る信仰の対象になっているようだった。
両側に人一人が横になれる大きさの床机が置いてあった。
水や食べ物を担ぎ上げれば素晴らしい夜景が楽しめるだろう。

飲み食いをしながら休憩しているうちに視界が広がり、平野が見えるようになった。
真昼岳頂上から仙北平野の俯瞰    (クリックで拡大します)
  岩手から来たというカップルに和賀岳の様子などを教えて貰ったりなどしていたら、次々に人が登って来た。
最後は20人を超す大パーティが来たので急ぎ退散することとした。

  天気はマズマズとなったので善知鳥ルートに回って下山することにした。
頂上からは、左下の谷底の大分離れた所に善知鳥登山口付近の大堰堤が見えている。
登山口に停めてある車も見えている。

  まず隣あった南峰に向かった。
緩やかな草原の尾根にハクサンシャジンやシラネニンジンなどが咲いて、良い気分だった。善知鳥口から上ってきたらしい7、8人の若者パーティとすれ違うとすぐに頂上を越した。
裏側では打って変わった急峻な下降路が待っていた。
右下の沢窪上部のガレ場の縁をヘツリ降りる形となり、なかなか気が許せない。

  慎重に下り続けてようやく傾斜が緩み、ホッとして進んで行った所に這松のトンネルがあった。(左)
越後駒から中ノ岳への途中にあるヒノキ廊下の超ミニ版だ。

  トンネルの下で老カップルに遭った。
こちらは沢内の兎岱口の方から登ってきたらしい。


  すぐ先に短いが急な下りがあって鎖が取り付けてあった。
非常に重い鎖が3本もあって、なぜここにと思ったが、雪があったり雨でぬかっている時には必要なのかもしれない。

  鎖場の下は林の中の道になり、穏やかな散策ムードとなる。

  樹木の間から兎平らしい円頂が見てて来た。

  道端に珍しい花が咲いていた。
あとで図鑑を参照したら "タマガワホトトギス" と言う。
多摩川のどこかで発見された花なののかも知れないがはじめて見たような気がする。



  また森から草原に出た。
善知鳥に下る尾根が目の前で先の方に女神山の三角峰が見えている。
綺麗な形をしていて、再訪する機会があったら登ってみたいと思った。


  善知鳥下降点近くは風衝地になっているようで砂礫が目立ち、花の種類が多かった。

ミヤマウツボクサの小群落が綺麗だった。

ホソバナウスユキソウと思われる可愛い草も生えていた。

  下降点分岐近くの高みで長目の休憩をし、楽しく歩かせてもらった北の山の頂稜との別れを惜しんだ。

(クリックで拡大します)

  分岐点から右手にトラバースして松坂口への尾根に渡る。
谷底の大堰堤とその先に広がる善知鳥の原が見えた。


  尾根道は古くからの交通路と言われ、溝状に深く抉れた部分が目立った。

  途中からかなりの急降下になった。
注意していないとスリップして転びかねない。


   滝見台と記した標柱の脇から大滝を見ると程なく古い祠の脇に着いた。

  祠の段地の下に降りた所は尾根の両側から来た沢の合流点で、松坂口と記した標柱が立っていた。


  尾根の左側から流れ出している本流を渡渉し、僅か河原を歩いた所で右岸に渡る。

  そのあとは要所にあるコースサインに気をつけながら何度も渡渉を繰り返した。
ルート明瞭とは言いがたいが、慣れていれば大体は分かる。
なるべく右岸側を歩くのが原則という。


   雨が少なかったせいか渡渉の流れが浅く、革靴プラス短スパッツで何度がジャブジャブやったが水が入ってくるほどにはならなかった。

谷の下部になると所々に堰堤が出てきた。
同時にルートも明瞭になり、迷わずに歩けるようになった。

左のように急な梯子をつたわって降りる堰堤もあった。

  徐々に道幅が広がり、車が入って来られるほどになるとまもなく、左手から流下して来ている大浅沢との出合に出た。
善知鳥登山口と記した標柱が立ち、谷の奥に真昼岳が聳え立っていた。

  道端に停めてある車の脇を過ぎた所に山上から見えた大堰堤があった。
砂防堰堤というよりダムと言ったほうが良いくらい大きい。
  堰堤の先へ歩いてゆくと田圃の中に出た。
大山積神社の鳥居の下を過ぎると善知鳥集落の人家が現れた。
昔隠れキリシタンの里だったという。

  朝方、車で通った道路にでて1km ほど歩いた所を左に入ると10分ほどで千畑温泉に着く。

  善知鳥の田圃の先に晴れてきた空を背に真昼岳が立ち、今歩いてきた頂稜がクッキリしたスカイラインを描いていた。
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☆おわりに
    山が終わった善知鳥登山口から千畑温泉までの道のりが長く、山麓歩きでかえった疲れたが、思ったよりよい天気に恵まれ、楽しい山歩きができた。
稜線から下降する直前には和賀岳の山影を見ることもでき、何とか工夫して是非登りたいと思った。

  連泊の宿は帰ったあとは特にすることがないので楽だ。
ゆっくり温泉に浸かって汗と疲れを洗い流した。
コインランドリーの設備があるのを見つけたので、汚れた着物をみな洗濯した。