大志戸林道 白蛇沢-森林公園-田野-景徳院 (2004.3.27)



☆期日/山行形式:
2004.3.27 単独日帰り

☆地形図(2万5千分1): 笹子(甲府3号-3)

☆まえがき
    現役から退いても年度替りの影響はあるもので、3月末から4月初旬に掛けては色々な用事が続く。
山の方はペースダウンしなければならないが足腰は維持しておきたい。 雑多な用事の間隙と好天とが重なるのを狙って日川尾根南端部に軽い林道歩きをしに行ってみた。
昨年末、徳並沢ノ頭に登ったとき、登っている尾根の右下の白蛇沢に開かれている "大志戸林道" が谷の奥壁を回って日川尾根南端部のかなり高い所を乗越しているのが見えた。
2万5千分1地形図では標高1000m あたりの地点で尾根を乗越したあと、3、400m 進んだ所で途切れ、行き止まりになっているように描かれているが、この前の山行で乗ったタクシーの運転手は、景徳院の上手の竜門峡入口に掛かっている橋まで通じているような事を言っていた。
  至って地味で人気がない日川尾根の、さらにその南端部は、歩く者もごく少ないようで、インターネットで検索を掛けてみても新鮮な情報は得られない。
林道を実際に歩いてどこらあたりで山との出入りが可能か、実態を確認しておけば今後の山行のプランニングがやり易くなる。
  甲斐大和駅から歩き出し、古部集落の先で大志戸林道に入り、白蛇沢最奥から古部山南方にある1231.3m 峰と水野田山(1030.8)の間の林道最高点(1000)から日川谷の田野に下降。 時間があったら景徳院を見て甲斐大和駅に戻るプランとしたが、状況によっては、林道最高点から尾根の鞍部(975)を経て水野田山(音沢ノ頭1030.8)に登り、南尾根を水野田(730)に下ってもよいと考えた。

SasagoMountains&Keitokuin













大志戸林道最高点にある森林公園から下り始めるとすぐ、日川谷の向かい側に笹子連山、谷底には景徳院が見えた。

☆概略の記録
<タイムレコード>

    宮崎台[6:41]=長津田=八王子=高尾[8:01]=[9:04]甲斐大和(9:15)-古部集落(9:30)-大志戸林道白蛇沢(10:40)-林道分岐(10:45)-林道林道枝道終点(10:55.11:05)-林道分岐(11:10)-日川尾根乗越点森林公園(11:20/25)-尾根入口(11:45)-U字折返し点(880m 11:57)-県道(12:05)林道-砥草庵蕎麦(12:20/40)-景徳院(12:50/13:05)-(13:25)甲斐大和駅[13:34]=高尾=八王子=長津田=[15:46]宮崎台

Saikouji Temple
  古部集落のメインストリートでは舗装の張替え工事をやっていた。

  集落の中心的な存在である西光寺はこじんまりした寺だが南向きの簡素な山門と石段とが好ましい雰囲気を醸している。
Mizunotayama beyond Kobu Village
  寺の下にあるコミュニティーセンターの先まで行くと前方に水野田山が姿を現した。
頂上の南肩に四角い電波反射板が立っている。

  大志戸林道は画面の右手に写っている家の前から左に折れて谷に入るのだが、ボンヤリしていて直進して行ったら国道が見えてきたのでビックリして回れ右して戻るというご粗末をやった。
Rinndou start point
  正しい道に入るとすぐに左のような "林道 大志戸線 起点" と記した標柱が立っている。
Tokunamizawa ridge
  橋を渡って左岸に移ると、いったん出口の方の戻るように歩くがすぐにUターンして谷奥に向かう。
道の両側は果樹園で対岸の上方には徳並沢ノ頭への登路になっている尾根がよく見える。

  一見した所では至って穏やかな起伏を描いていて、数箇所もの岩場を隠している険阻な尾根だという事などとても想像できない風体だ。
Kobuyama
  穏やかな地形の谷だ。
古部山ではないかと思われるピークが前方に見えている。
林道は、幅広ではないが奇麗に舗装されている。
週末だと言うのに車は一台も走ってこない。

  時折Uターンをして高度を稼ぎながら進んで行くと谷奥の稜線が次第に近付いてくる。
林道が谷の奥壁に到達する手前で枝道が分岐していた。
地形図では1Km 足らずで行き止まりの様に記されている。 終点まで行けばかなり頂稜が近くなる様なのでこの際偵察をしておこうと入ってみた。
Misaka mountains
  舗装されていない荒れ気味な道で一部岩塊に埋まっている所もあったが10分あまりで終点に着いた。
  まわりはかなり傾斜の強い斜面だが桧の植林が行なわれている。 そのときの作業道として開かれたのかもしれない。
 一服し、キジを打ったあと元に戻った。

  途中のカーブからは御坂方面の山並みが奇麗だった(左)。
以前清八山から大沢山、摺針峠を経て笹子峠まで尾根伝いをやった時の事がフィッと脳裏に蘇った。
South Alps mountains
  長い尾根歩きで時間が遅くなり、疲れもかなり溜まった所で、旧笹子峠への最後の下りが非常に急だったため、ヒィヒィ言いながら笹薮の中を下った。

  本道に戻り、白蛇沢谷の奥壁を横切って緩やかに登ってゆく。
"南" の中核部が奇麗に眺められる所があった。
Park and View Tower
  坂を登りきった所は日川尾根主脈上1231.3m 峰から南西方向に派生している尾根のタルミの上部にあたり、10台以上の車が車が停められるほどの広場と、木製ながら大きく堅固な造りの展望櫓が立っていた(左)。
広場の山側には "森林公園" と記した案内マップの看板が立ち、すぐ上の斜面に幾つかのリクエーション設備があることや、1231.3峰まで40分で行ける事などが記されている。
  展望櫓の脇から下って行く道も整備されているようで音沢ノ頭(1030.8) を経て水野田に下れそうな雰囲気だったが林道の終点まで見届ける事にしてそのまま歩きつづけた。
Mizunotayama
  こちら側の地形はかなり急峻だ。
よく整備された舗装路が続くが急な谷の奥壁をやや急に斜下降してゆき、すぐに音沢ノ頭を見上げるようになった(左)。
谷底には景徳院らしい建物の屋根、その上には大鹿峠からお坊山、米沢山を経て笹子雁ガ腹摺山への山々が連なっている(冒頭写真)。

  景徳院の対岸から茶湯山(957) を経て1231.3峰に上がっている尾根にも入口に丸太階段が整備されている。 ここからだと頂上まで1時間ほど掛かるようだ。
 
Douhyou
  下り坂が急な分高度が下がるのも早く、1,2回Uターンをするとすぐ下に人家の屋根が見えてきた。

  間もなく大志戸林道の終点と竜門峡遊歩道の入口を示す道標(左)の前を過ぎ、橋を渡ると日川谷の底を通っている県道だった。

  県道に出てすぐの所に大和村の福祉センターがあり、"田野の湯、どなたでも入れます" と記した看板が出ていた。
  汗はあまり掻いていないが空腹だったのでそのまま歩きつづけていると数分で "砥草庵" という看板をだしている蕎麦屋に着いた。
Keitokuinn Temple
  メニューの筆頭に、特製十割蕎麦限定20人分と記されていたのでそれを注文した。
看板に偽りなしで、久し振りというほどの美味さの蕎麦だった。
  食休みを終わって店を出たがまだ時間が早いので、すぐ下手にある景徳院に立ち寄った。
武田滅亡の時、一族が自害した場所だ。
栖雲寺のような古びた感じはないが手入れの行き届いた奇麗な境内だった(左)。
  ひとわたり見回ったあと運動ついでに甲斐大和駅まで歩いた。
13時半過ぎの登り電車にジャストインタイムとなり、早い時間に家に帰り着いた。


(資料)大志戸林道

    実際に歩いて分かった大志戸林道のルート図を右に示す。
サムネイル表示にしてあるのでクリックすれば拡大する。
  元図は国土地理院の2万5千分一地形図画像CD−ROMから切り出した画像で、その上に林道の軌跡と簡単な注記を重ね書きした。

  山勘で描いたので山歩きの参考資料としては用が足りる程度にはなっているだろうが、細かい点では実際と違っているかもしれない。

  赤反転文字の×はその地点に山道との交点があることを示している。
(×) は山道があった筈だが確認し損ねたことを示している。
 
 この図の利用は自己責任でお願いする。


☆おわりに

    実質半日の林道歩きだったが日川尾根南端部のアプローチ道路の状況が頭に入り、それなりの収穫が得られた。
林道は全区間舗装され、特に傷んだ所もないからタクシーが入れると思われ、この一帯の山行のアプローチと下山のルートとして利用価値が大きい。

  西/東の大志戸山は徳並沢ノ頭から古部山へ抜ける形で登るのがもっとも良さそうだ。
この場合、大志戸山から北上し、三角コンバあるいは杣坂峠から牛奥へ下っても良いし、深沢峠から勝沼方面に下山しても良いだろう。
  日川尾根主脈南端部の1231.3m峰、1273m峰は、今回歩いた林道を利用すれば楽に登れそうで、林道最高点の森林公園に降りてくるのが一番便利だろう。
  また、林道より下にある茶湯山(957)、音沢ノ頭(1030.8)は、まず日川谷からどちらかに登ったあと林道上がり、それを中継してもう一方に登頂後、日川谷に下るようにすれば一回の山行で歩く事ができる。