三ツ峠、天上山尾根(2004.9.26)


☆期日/山行形式:
2004.9.26 日帰り、単独

☆地形図(2万5千分1): 河口湖東部(甲府3号-4)、富士吉田(甲府4号-3)

☆まえがき
    AV用PCの自作に小遣いをつぎ込んだり、大峰奥駆道に出かけたりで、身体も財布も夏ばて気味になった。
異常気象で日本近海で台風が発生し、次々に上陸するせいで好天が続かなったこともあって山行間隔が空いた。
9月中旬の初めに高尾山上にあるビアガーデンで行なわれた山登りMLのオフミパーティに初参加したりで全く山から遠ざかってしまったという訳でもないが、この時はケーブルカーで上がったあと、薬王院に行っ来てパーテイに出たあと、夜道を歩いて山を下っただけだから運動量は限られている。

天気が悪くて何時間も雲の中を歩くこととなったがロープウエイ駅の展望台からは河口湖が見えた


   このままでいると、10月はじめに旧友と行くことにしている、野反湖から秋山郷まで紅葉見山行の長丁場に耐えられなくなってしまうだろう。
下旬の前半に足慣らし山行をしておかなければと思って、行き先を物色した。

  まず6月にやり損ねた、青年小屋起点で南八ッの権現岳から天女山への尾根のトレースが頭に浮かんだのだが、予定日に台風が来そうになったため中止。
泊まり山行がダメなら、せめて好天日を狙って御坂の黒岳から芦川の釈迦ヶ岳を繋ぐ日帰りをしてみようと考え、計画を組み立ててみた。

  御坂峠から黒岳を越し、ドンベイ峠から釈迦ヶ岳に登ったあと檜峯神社付近の林道に下降する尾根伝いは、なかなか魅力のあるプランなのだが、朝発ちで、大月・河口湖を回って行くと歩き出しが遅くなって意外に時間的に厳しくなる事が分かった。
体調を整えた上でないと余裕を持って楽しく歩くのは難しそうで、可能なら前夜河口湖付近に泊るプランにした方が良さそうだという事が分かった。
  それでもどうにか歩いてしまおうと思って用意をしてはいたのだが、予定日の天気予報が芳しくなくなって来た。
前日に急遽計画を変更、ガクンとレベルを落として、三ツ峠に行く事にした。

  安直に登れるおなじみの三ツ峠とはいっても全く新味の無いプランでは面白くない。
そこで、木無山から南方に延び、末端に天上山を盛り上げている長大な尾根を辿ってみる事にした。
この尾根は、数年前の正月に雪が降った翌日に雪見山行に出かけてみたのだが、歩き損ねた因縁のある尾根だ。
理由は些細な事で、たまたまロングスパッツのファスナーが壊れて履けなくなり、新雪のラッセルがやり難くなったため、大勢が踏み固めている達磨石ルートを通って三ツ峠駅に下山して帰った。


  休日に運行される登山バスを利用して三ツ峠登山口(1235)から三ツ峠三角点峰(1785.2)に登頂。 四季楽園横の展望地(1735)、母の白滝分岐(1732)、霜山(1301.7)、新倉山下の西川林道(1130)、天上山ロープウエイ駅(1090)を経て、河口湖駅(855)に下山して帰ろうというのが計画のあらましだったが、"雨癖" にシッカリ嵌り込んでしまっているようで、相も変わらず霧ションの中を歩いて終わる始末となった。



☆行動記録とルートの状況

<行動時間>
    宮崎台[5:59]=[6:17]長津田[6:24]=[6:55]八王子[7:02]=[7:09]高尾[7:12]=[7:47]大月[7:51]=[8:40]河口湖[8:50]=(富士急バス)=[9:15]三ツ峠登山口(9:20)-園地(9:30/50)-三ツ峠頂上(11:15/30)-四季楽園横展望地(12:40)-霜山(13:00)-新倉山下林道(13:30/45)-ロープウエイ駅(14:05/15)-(14:50)河口湖駅[15:14]=(特急\300)=[15:55]大月[16:00]=(特急かいじ)=[16:29]八王子[16:39]=[17:10]長津田[17:15]=[17:26]鷺沼[17:28]=[17:31]宮崎台

   天気予報が芳しくなかったせいだろうか?
日曜日だし、人気のある山だから混むのではないかと思って行ったのが意外な閑散状態だった。
まず、河口湖駅のバス乗り場に誰もいなくて拍子抜け。
バスが発車したとき、ほかの乗客は "初熟の夫婦" ひと組と、高校生一人。
全部で4人しかいなくてガラ空き状態だった。

それでも登山口の下の駐車場にはバスが1台、マイカーが10台あまり停まっていた。

三ツ峠登山口
 まずトイレで用を足し、テルモスのコーヒでチーズパンを食べる。

  空模様は芳しくない。
頭のすぐ上を雲の層が覆っていて、降られずに済んだら運が良かったと感謝しなければならない位の状態だ。

  四季楽園の主人が降りてきていて車の荷物を降ろしたり、トイレの点検をしたりしていた。
「昨日と天気はどうですか?」、と聞いてみたら、「昨日の方が良かったよ」と言う返事だった。
とりかぶと
  スパッツを着けて歩き出したが、10分程すると気分が悪くなってきた。
  さっき食べたパンでダンピング症が起こったに違いない。
パンとか饂飩とか、澱粉質の消化の良い食べ物を食べるとこうなる事が多い。
濃厚な澱粉液が急に腸の方に流れ込むためのようで、暫く我慢していれば治るのだが、軽い貧血のような状態になって吐き気もするので良い気分の物ではない。
道端の石に腰を下ろし、やや多めの水と一緒にセルベックスを服む。


  ひと休みしたあと、ポツリポツリと、身体のご機嫌を取りながら登って行く。
暫くすると徐々に治って来て気分が良くなった。

  道端に秋の花が咲いている。
トリカブトが多い。
根には猛毒があるということだが花は奇麗だ。

  ジグザグを繰り返しながら高度を稼いで行くとシラビソの大木林に入る。
登ってきた尾根の背から左に折れ、東に向うようになると高度稼ぎは大体終りだ。

  笹と潅木の間の緩やかな道を進んで行くようになれば頂上は近い。
三ツ峠山荘への道を右に分けると間もなく四季楽園の前に出る。
ジープで戻った筈の主人は見えなかったが、大きな白犬が寡黙に留守番をしていた。

  小屋の前でひと息入れ、そのまま山頂に向う。
冨士見山荘の手前のトイレの前には30人近い老人パーティがいた。
バスで来た人達に違いない.。

  山荘の先から木の階段道になる。
五里霧中で何も見えない所を登って行くと下って来た人達と出遭った。
頂上広場には10人ほどが休んでいた。
晴れていれば有数の展望地なのだが何も見えない。

2、3人は展望説明盤を見ていたがほかの者は皆、おしゃべりと飲み食いに精を出していた。

  テルモスで喉を潤しながらひと休みしたあと下山に掛かる。
 

  山荘の下のトイレに立ち寄ったあと四季楽園の前から広広した木無山の頂上広場に出る。

  ルートを記した看板を眺めていると尾根の方から熟年夫婦が来た。
「ロープウエイの方から登ってきたんですか?」と尋ねてみたら、「ええそうですよ」、という返事だった。

  霧で何も見えない状態の初見のルートだが問題はなさそうなことが分かって気が楽になる。

  三ツ峠山荘のすぐ先の分岐点の道標も進路を確認するのを助けてくれた(左)。

  展望地と呼ばれる草原のピークで母ノ滝への道が右に分かれる。
眺めの良さそうな所なのに白く煙った草原の一部が見えるだけだ(左)。

  直進して尾根筋に入ると、所々で草が道に被っていてズボンを濡らす。
  前方に何かいる気配がしたので獣避けの声を上げて進んでいったら何とバスで一緒だった夫婦だった。
トイレに入っている間に後先が逆になっていたようだ。
変な声を出した理由を説明したあと暫く一緒に歩く。

  二人とも山を始めて間もないようで、旦那にはこのあたりにどんな山があるか、聞かれた。
黒岳、節刀ヶ岳、鬼ヶ岩山、釈迦ヶ岳など、ひと通りの名を上げると、案内書では見た事がないと言う。
カラー版の県別ガイドブックの "山梨県" に詳しく書いてあるからそれを見たらどうかと奨めた。

  暫くすると夫婦が立ち止まったので先に出る。
この尾根は花の多い所のようで、この時期でも何種類もの花が咲いている。
野菊の類が多かったが、アキノキリンソウが奇麗だった(左)。

  緩急を繰り返して下ってゆくと、地形の関係か、ところどころで霧ション状態になっている。
そのうちに、パラパラッと降ってきた。
  これ以上下半身を濡らすとあとで気持ちの悪い思いをするだろうと思ったので道端にザックを下ろし、ゴアテックス・パンツを着ける。
脇を夫婦が通り過ぎていった。


  冗長な尾根で現在位置の判断が難しかったが、暫くすると送電線が上空を横切っていて確認ができた。
鉄塔の下で夫婦が休んでいた。

  間もなく霜山頂上直下であることを示す道標をみた。
  革製ながらローカットシューズで幾らか足が軽いため疲れを感じなかったのでそのまま歩きつづけた。
  新倉山の先まで行った所でようやく雲の層の下に出た。
"下界" が意外に近く、富士吉田の市街が視界一杯に広がっていたのに驚いた。

  河口湖畔に下る道を左に分けたあと、ひと歩きで西川林道に出た。
雲の下の天気はそんなに悪くはなかったようで舗装が乾いている。
この奥は工事中という看板が立ち、ゲートで閉鎖されている。

  ここまで来れば河口湖駅まで1時間もあれば十分だ。
道端にザックを下ろして飲み食いをしていると送電線の下で休んでいた夫婦がやって来た。
旦那のほうは休みたいような雰囲気だったが奥さんの方は元気一杯で、そのまま進んで行った。
  林道の先は稜線の右側を通ってゆく。
緩く登って祠のある天井山頂上を乗越すとやや急な下りになる。
右足の膝周りの筋が引きつり、少々危ない状態になってきた。
山行間隔が空いたのと、手入れを怠っていたのとのせいだ。

  間もなく戸締めになった茶店の脇に出たのでひと息入れる。
庭先からは一段と近付いた富士吉田市街への展望が得られた(下)。
富士急ハイランドの遊戯施設がすぐ近くに見えている。

  さらに一段下ったところがロープウエイの駅で大きな展望台があった。
下から来た家族連れやカップルで賑わっていた。


  展望台で景色を眺めながら膝周りの筋を休ませる。
御坂の稜線は雲の中だが河口湖とその周りの集落は良く見えている。

  展望台広場から下ってゆく道は遊歩道として整備され、両側にアジサイが植えられている。

途中の平坦な所は公園になり、太宰治の文: "惚れたが悪いか" を刻んだ石碑があった(左)。


  さらにもう一段下った所には神社があった。
大きくはないが奇麗に整備された社殿と、湧水を引いた手水場がある。

  山裾に広がっている集落の氏神として祀られているのではないだろうか?

   神社の石段を下り、人家の間を抜けるとすぐに国道に出て、真近かに河口湖駅への入り口があった。

始めて富士急の特急電車に乗った。
クロスシートの間隔が広く、床にザックを置いても全く邪魔にならない。
大月ではJR中央線の特急に接続した。
少々余計な足代は掛かったがあっという間に八王子に着き、早い時間に帰宅できた。


☆おわりに
    今回は天気が悪くてあまり楽しめなかったが、初夏の花の季節か、空気が澄む冬の日にこの尾根を下ってみたい。