屏風山-箱根旧街道-鷹巣山-浅間山-湯本
(2004.1.6)


☆期日/山行形式:
2004.1.6 単独日帰

☆地 形図(2万5千分1): 箱根 (横須賀13号-4)

☆まえがき
    箱根芦ノ湖の南東側に連なっている屏風山と、鷹巣山から浅間山を経て湯本への湯坂路を歩きに行った。
湯坂路は鎌倉時代の箱根越え古道の跡だと言う。
  箱根の山は冬になると大気が澄むとともに富士山が奇麗になって一段と眺めが良くなるので、日だまりハイクの最適地のひとつとして、これまで何度か出かけてきた。
中央火口丘の駒ヶ岳、神山と、芦ノ湖を取り巻く外輪山のあらかたは歩いたが、今回の山々はまだ歩き洩らしていた。
  屏風山、双子山から、鷹巣山、浅間山を経て箱根湯本まで、ソコソコの山は並んでいるのだが、どういう理由か、中間の二子山が登山禁止になっているため、全部をスンナリ繋いで歩くプランが実行できない。  そうかと言って、二回に分けて別々に歩いたのでは短すぎて物足りず、わざわざ出かけてゆく気になれないという難点があったからだ。
  今回は、関所跡入口(730)から屏風山(948.1)に登ったあと甘酒茶屋(691)に下り、須雲川谷を歩いて双子山を迂回し、畑宿(300)から湯坂路入口(750)まで登り返して、鷹巣山(834)、浅間山(802.2)、湯坂山(546.8)を経て箱根湯本(94.7)まで歩こうと いう計画だった。
しかし、時間的にチョッときついように思ったのと元箱根でお昼を食べたくなったのとで計画を一部変更し、甘酒茶屋上から旧街道の石畳道を通って元箱根に戻り、芦ノ湖湖畔で蕎麦を食べたあと、バスで湯坂路入口まで行って湯本までの尾根を歩いた。

<タイムレコード>
     宮崎台[6:57]=中央林間=相模大野=小田原[8:50]=(バス)=[9:40]箱根関所跡(9:55)-屏風山(10:50/55)-甘酒茶屋上 車道(11:20)-(11:55)元箱根[12:40]=(バス)=[12:46]湯坂路入口-鷹巣山(13:05/10)-小涌谷分岐(13:20) -浅間山(13:30)-湯坂城址(14:40/50)-(15:15)箱根湯本駅[15:26]=相模大野=中央林間=宮崎台

☆アルバム記録
    
穏やかな冬晴れのウイークデイだったため、静かな山を楽しく歩く事ができ た。
ルート自体はごく一般的なハイキングルートの範疇に入るものだったが前半の屏風山は、手許のガイドブックにも紹介されていなかったくらいマイナーなルートなので、概略の道案内になる感じのアルバムにまとめてみた。

  箱根関所跡バスターミナルの前の道路を100m 足らず戻った所に "屏風山、甘酒茶屋" と記した道標が立っている。
  入口から20分ほどで林道と交差するがその先から急登になる。 かなり急な登りだが造りの丁寧な丸太階段に鎖の手摺が設置され、安全に登降できる(左)。
  両側には、3m程もある背の高い篠竹が密生している。
ひと登りで傾斜が緩み、やがて左に曲がって尾根を外れる。


  小ピークを越し、浅い鞍部からひと登りすると屏風山の頂上だった(左)。
三角点標石、道標、山名の由来を記した看板が立っているが常葉樹林に囲まれて展望はない。

  頂上の裏側に入って甘酒茶屋の方に進んで行くと視界が開けて右手に大観山が見えてきた(左)。

  ウッスラした記憶だが大昔の学生時代に、箱根峠から鞍掛山、大観山を通って湯河原に下りたような気がする。
箱根ターンパイクができてからは車であっという間に通過する山になった。


  尾根道には赤松混じりの林の間から柔らかな冬の日が降り注ぎ、穏やかな雰囲気が漂っていた。


  尾根の末端近くまで行くと林の切れ間から駒ヶ岳、双子山の山並びが良く見えた。

  旧東海道は双子山の山裾の浅い谷を通っている訳で、成るほどと思う穏やかな地形になっている。

  やや荒れ気味の沢に入って暫く進むと 車道に飛び出す。 ここには案内地図看板付きの道標が立っていた。

  道路のすぐ上を旧街道が通っているようなのだが入口が分からないので車道沿いに進んで行くと間もなく、石畳道との交差点があった。
左に入ってゆく石畳道の入口には、元箱根まで40分と記した道標が立っていた。
 

  ここの石畳道は、中仙道の和田峠や那須の大峠付近で見掛けた石畳と違って凸凹が多い。
久し振りに履いてきた布のローカット靴は底が軟らか目なためいつもの革靴のようにドカドカ歩けない。
  雨季にぬからない点は良かっただろうが底の軟らかいわらじを履き、荷物や駕籠を担いで歩くのは結構きつかったに違いない。

  峠を越して少し下った所が元箱根だった。
ウイークデイだが年寄り夫婦や子連れの若い母親達でソコソコの人出になっていた。


  湖畔の食堂に入って山菜蕎麦を食べた。
ちょっと変わった甘口の汁だったが長年作ってきた物らしく、それなりの美味しさだった。

  ゆっくり食休みをしたあと、筋向いの元箱根バスターミナルに行く。
間の悪いタイミングでトイレに入ったため、走り出そうとするバスに手を振って止め、やっと飛び乗って午後の部の山に向う。

  5分あまりの所にある湯坂路入口で降り、進行方向に100m ほど進むと道路脇に標柱と案内地図の看板が立っていた(左)。

  屏風山と違って桧林の間の広い切り開きになっている。
道幅も小形の車なら通れるのではないかと思うほどだ。

  緩やかに登ってゆくと高みがあって野外テーブルと城跡の歴史を記した看板が立っている。
鷹巣山の頂上だ。

  ここは湯坂路ルート上では最も展望に恵まれた場所で、明星ヶ岳から明神ヶ岳の茅戸の連なりが良く見える。
桧の梢越しに駒ヶ岳も見えた。


  鷹巣山の北側を下り切った鞍部で林道と交差する。
道標に従って向かい側の尾根道に入り、抉れて溝になった所を登ってゆくと浅間山頂上に着く。
  広広した芝生になっていて緑の季節には最高の休み場になるだろうと思われる所だった。

  左に分岐する宮ノ下へのルートを見送って右手の方に降り、ひと歩きすると大平台への分岐点がある。
  甘酒茶屋から畑宿へまわった場合は、ここを下って大平台駅から帰ろうと思っていたのだが、ショートカットしてバスを利用したお蔭でその必要がなくなり、湯元までの長い尾根を完歩できるようになった。

  穏やかな尾根が続く。
道の左側は桧林が多く、右側は濶葉樹林になっている。
  今日はほとんど無風だが風除けつきの日当たりの良い尾根道は冬向きだ。


  湯坂山を過ぎた所にやや傾斜の強い所があるがまたすぐに穏やかな尾根道になる。

  ノンビリお散歩ムードで歩けるのはいいのだがあまり展望が良くないせいでやや単調だ。

  防火帯の切り開きが終わった所で右手の山道に入り、また尾根の上に戻ると杉の大木林の中に入る。

  両側の谷間から車の音が聞こえてくるようになったが樹木に妨げられて良く見えない。

  少し飽き加減になってきた頃、湯坂城址に着いた。
狭まった尾根の上に幾つかの大岩が露出し、土塁跡と思われる不自然な凹凸がある。

  道端にザックを下ろし、ひと口チーズパンやゆで卵を食べていると老ハイカーが歩いてきた。
鷹巣山の頂上に着いた時、青ザックを背負った人が少し先を歩いて行くのを見掛け、いずれ追い付くだろうと思っていたのにそれっきり姿を見なかった。
  どこかでキジ打ちにでも行っていて気付かずに追い抜いて来たのだろう。

  城址から下は杉林と濃密な暖帯林になる。
その中を折れ曲がりながら下っている石畳道は、平らな石が丁寧に敷いてあるのだが、落ち葉が積もっているため滑りそうで気持ちが悪い。  膝周りの筋肉も疲れてきたため、スローダウンした。

  間もなく道路に降り立った。
引っ切りなしに車が走っている。  橋を渡るとみやげ物店が軒を連ねている。  駅まで行く途中、金目鯛の開きと梅菓子を買った。

  途中でバスを利用したのと、靴が軽くてピッチが上がったのとで、計画より1時間近くも早く下山した。
まだ空いている電車の窓から、ノンビリ丹沢の山並みを眺めながら家路を辿り、日の暮れ時に帰宅した。