大滝不動-棚横手山-甲州高尾山-大善寺
(2003.12.8)



☆期日/山行形式:
2003.12.8 単独日帰り
☆地形図(2万5千分1): 塩山(甲府6号-2)、大菩薩峠(甲府2号-4)、笹子(甲府3号-3)、
                                     石和(甲府7号-1)
☆まえがき
    11月中旬に源次郎岳から恩若峰を歩いた時、樹木の隙間からチラチラ見える隣の尾根が富士を隠すほど高くて意外に長いのが記憶に残った。
  あとで地図や資料を参照してみたら、鬢櫛川谷の南にある宮宕山(ミヤゴヤマ 1368m) から出ている尾根で、さらに南西へ派生している尾根には、棚横手山から甲州高尾山を経て山麓の大善寺に下る一般ルートが開かれ、割に良く歩かれているらしいことを知った。
尾根北面の大滝不動から登るとちょっとした藪もあるというので興味を持ち、Linux いじりによる運動不足解消もかねて出掛けてみた。

勝沼ぶどう郷の景色
勝沼ぶどうの岡の向うに連なる山並み。 乾徳山・黒金山から小楢山

  行動計画のあらましは、勝沼ぶどう郷駅(475)からタクシーで大滝不動(915)まで入って歩き出し、稜線上の棚横手分岐 (1145)から棚横手山(1306.2)の頂上へ往復したあと、富士見台(1120)から甲州高尾山(1091.9)へ。 さらに剣が峰(1091.9)、柏尾山(740)を経て大善寺(465)に下山、勝沼ぶどう郷駅(475)から帰る、というものだった。


イムレコー

    宮崎台=長津田=八王子=高尾=勝沼ぶどう郷駅(9:10/9:13)=[Taxi \1850]=(9:25)大滝不動(9:35)-林道展望台(10:00/05)-棚横手分岐(10:30)-棚横手山(11:00/15)-富士見台 岐(11:35)-高尾山(12:15/50)-大善寺(14:10/20)-(15:00)勝沼ぶどう郷駅[15:13]=[16:32]高尾=八王子 =長津田=宮崎台


☆写真と概況
  勝沼駅のタクシーに乗って舗装林道を15分ほど走ると棚横手山中腹の大滝不動に着く。
この林道は高尾山の頂上直下を回って尾根の南側の深沢川谷に通じているがゲートがあってこちらからは入れないという。
大滝不動の山門

  山深い所に立派な朱塗りの山門がある(左)。 道の向かい側にトイレがあったが故障中でドアがロックされていた。
  山門を潜り、石段を上がると本堂がある。 遥かな高みから落ちている大滝が背後にあって、厳かな雰囲気が漂っている。
  本堂右横に架かっている橋を渡った所から山道が始まる。 薄暗い杉林の中を進んで行くと谷窪に篭堂がある。 そこを通り過ぎて緩やかに斜上して行くと間もなく尾根の背を乗越している林道に出合う。
展望台
  変則的な十字路で、角に道標が立ち、右手に進むと展望台があると記されている。 100m 程進んだ所に東屋が立ち、勝沼・塩山地域を中心に甲府盆地への広大な展望が広がっていた(左)。

  天気予報で快晴を期待して出かけてきたのだが全天が雲に被われ、期待していた "南" や奥秩父の連山を隠していた。

  十字路に引き返し、"崩壊のため進入禁止" と記した掲示のある車止めを跨いで左へ延びている林道に入った。

落差140m、山梨屈指の大滝
  車が入らないせいで、草藪に被われた中にひと筋の踏跡が通っている。
  山腹を横切ってゆく途中、左の谷の向い側に大滝が見えた。 落差140m と言われる山梨県内トップクラスの大滝だが水量が多くないため静かで、ひっそりと山中に潜んでいると言った風情だ。
  10分程進んだ右手に道標が立っていた。 参照した資料にはここから稜線までは藪が深いと記されていたが実際にはその様な事はなく、ごく普通の登山道だった。
  結構な人数が通っているようでシッカリ踏み固められている。
稜線の道標
  やがて道標が立っている稜線に着いた(左)。
10人も居られない位の小さな鞍部で左に折れて棚横手山に向う。 尾根の右側から物音が聞こえてきた。 そちらを見ると棚横手山と思われるピークから出ている尾根の中腹でパワーショベルが動いている。
 源次郎岳の下を通っている嵯峨塩深沢林道の枝道を延ばしてきているようだ。
昨年歩いた奈良倉山南尾根の小佐野峠付近でもこんな所でと思ったのだが、山梨県は山中で行なわれている林道工事が、よそに比べて格段に多いように感じる。
棚横手山頂上

  赤松が林立している所を登って小ピークに上がり、さらにもうひと登りすると、赤く塗られた三角点標石のある頂上だった。
  疎らな樹木に囲まれた細長い高みで、山梨百名山の標柱と "大富士見台" と記した道標とが立っている。

  展望台から幾らも時間が掛かっていないのに雲はあらかた消え、まわりの山が見えるようになって来た。
  アンテナが林立する三ツ峠山が意外に近く見えている。 その右横に富士山があるらしいのだがそこだけは雲が巻いている。
富士見台から三ツ峠、富士山方面
  ほかに誰もいないため、時どき建機の音が聞こえてくる以外、物音は聞こえてこず至って静かだ。
キジを打ったら腹が落ち着いたので、ミニパンやチーズを食べる。
  もとの分岐まで戻り、コルの向かい側をひと登りすると富士見台の頂上だった。 そこはピークというより長い尾根の高まりだ。
  尾根の左側斜面は数年前の山火事で全焼したようで、見渡す限り桧の幼木林になっている。 まだ視界を妨げるほどまで育っていないためすこぶる展望が良い。
雲の切れ間から富士山が覗き始めている。
尾根の前方に並び立つ白根三山

  暫く平坦に進んで行くと下り坂になって行く手が見渡せるようになった。
  前方の高みの先に広がっている甲府盆地の向こう側に雲を纏った "南" の連山が並んでいる。
正面に並んでいるのが白根三山だ。
甲州高尾山の頂上

  下から上がってきた舗装車道との高度差が10m もない位まで下った所からひと登りすると高尾山の頂上だ(左)。
  ここは頂上らしい頂上で、左側は幼木の植林、右側は疎らな落葉樹林で、至って眺めが良い。

  雲はすっかり消え去り、澄み切った青空が広がっている。 風は殆どなく12月だと言うのに寒さを感じない。   大展望を独り占めにして飲み食いをしながら長休みをした。
  高尾山からひと下りして僅か登り返した所に "剣が峰" と記した道標が立つ小ピークがあった(下左)。

剣が峰の頂上
  ここでも南東から西北に掛けて広大な展望が得られる。
  頂上の東側には山火事の痕跡と思われる枯れ木が林立している。
  途中には幹の片側が黒焦げになっているのに反対側の枝に緑の葉が出ている松の木もあった。
  すぐ下で深沢川谷から上がってきた車道が尾根を乗越している。 車道を横切ってその先の尾根道に入ると間もなく高度差80m あまりを急降下する。
  疎らな潅木の間の道がザレ気味になっていて少々注意を要したのは山火事の後遺症かもしれない。
  下り切ったコルから緩く登り返して行くと両側が草原状の緩やかな尾根に乗る。

  (下の写真はクリックすると拡大します)
柏尾山付近からの山岳展望
 剣が峰南方の展望。 北の方に甲武信、国師、乾徳、小楢山から水ガ森あたりまでの連なりが一望だ。
  降りてきた尾根のある真西以外グルリと視界が開け、奥秩父の船形山から木賊山、甲武信岳、乾徳山と黒金山、ゴトメキとトサカ、小楢山から水ヶ森あたりまで、さらに甲府盆地を挟んで、甲斐駒、鳳凰、白根から赤石、笊ヶ岳までの "南" 、その右手には、毛無山脈と芦川、御坂の山々、その手前側に笹子雁ガ腹摺山からお坊山、コンドウ丸へと連なる笹子周辺の山並みが居並んでいる。
  ここ数年の間に出遭ったうちでは、最高の山岳展望だ。
見えているどの山も、快調で気分良く、あるいは不調でバテバテになって歩くことで知り合いになった "旧友達" だ。
国宝、大善寺薬師堂

  尾根末端の柏尾山から大善寺までへの下りはなかなか急で、この頃のトレーニング不足で弱体化した足腰には厳しい下りだった。
  ようやく尾根末端にあるお堂に降り着いたときには、ちょっとした弾みで頚痙を起こしかねない状態になっていた。 お堂の下は眺めの良い小園地になっている。
  下の道路を行けば分かりやすそうだったが車が頻繁に行き来しているので山裾の一段高い所を通っている道を通って大善寺に向った。
  大善寺は武田氏の興亡と関わりの深い勝沼家に連なった寺で、山を背に立つ古風な薬師堂(国宝)は、貫禄の漂う堂々とした建物だった。

  本堂の脇に蛇口があった。試しに捻ってみたら水が出たのでその近くにザックを下ろして喉を潤し、水袋を汲み替えたあと暫く休憩する。
  寺から勝沼ぶどう郷駅までは果樹園の広がる扇状地の上部を横切っている農道を歩く。 距離は3Km 程、登り降りもあって想像したほど楽な道のりではなかったが、ほぼ目論見通りの時間に到着し、予定の電車に乗って帰宅した。

☆おわりに
   気軽な日だまり山行の積りで出掛けた山だったが山火事のおかげ(?) で近来稀な大展望に恵まれ、望外の楽しみが得られた。
登山口の大滝と下山地の大善寺周辺からの山岳
景観は、それぞれ観光に訪れる価値があると思うほどのものだった。

  この一帯の尾根筋なぞりもかなり進んで、あとは宮宕山周辺、日川尾根の杣坂峠以南、および徳並沢ノ頭から柏尾くらいかと言う感じとなった。
 全般的に藪が少なく、林道と仕事道が四通していているから短時間でアプローチを消化する工夫のもとに数回の日帰り山行をすれば、比較的容易にひと通りのトレースができるのではないかと思えてきた。
この冬から来年の春までの間にトライしてみようと考えている。