Wondows7 と AthlonX2(45W) で LAN サーバ自作 (2010.1.11)



☆まえがき
    この3年あまり、我が家のホーム LAN でサーバ役を担ってきたのは、低電力 Mobile Athlon 2600+ で Windows XP pro を走らせている自作機でした。
  もともとこのミッドタワー機、A-BIT製 NF7 V2.0 マザーボードを使い、コアクロック制御とフリーウエアの味見とを兼ねた実験機として組み立てたものだったのですが、サーバ機がメモリー不良で突然停止したため急遽ピンチヒッターになったあとそのまま、3年あまりも24時間連続稼動を続ける事となりました。
  システムディスクには素性不明のソフトが何本か残っていたりするので、サーバとして使うには不安もありましたが、ハードディスクの換装が容易にできるようにしてあったお蔭で、逐次容量を拡大しつつ、意外に順調に稼動してきました。

  昨年の高温多湿季にはさすがに長期間の連続稼動による疲れが現れて、2、3度ハングアップし、ブルースクリーンになったりしたので冬のインドアシーズンのうちにサーバを更新しようと、Intel 製 Atom330 mini-ITX マザーボードを入手しました。
  Windows Home Server2003 や Ubuntu などと組み合わせてサーバ機の構築テストをしていたところだったのですが、新しい OS の味見用にと、年末に調達した資材を使って年初に自作機を組み立てた Windows7機が、セットアップの最後の段階で共有プリンタのセットアップができない、と言うトラブルに遭遇。
その回避策を試みているうちにどんでん返しとなり、一転してサーバ役に任じられる、と言う決着になりました。

  まだ稼動しだしたばかりのため、長期的な安定性・信頼性は未知数ですが、自作のホームLANサーバとしてはかなりのレベルの性能が得られたように思われます。
  パーツの選定からOSインストールを経て各種ツールの導入まで、自作によるホームサーバ構築の手順を書き出し、ご同輩の参考に供したいと思います。
[追記] 
    4月11日になりました。  この新サーバが動き出してちょうど3か月です。  一度だけ、Windows 自動更新で再起動したのに気がつかずあれれどーしたんだ?と言う、うっかりミスがあった以外ノートラブル。
非常に安定・高速で調子良く動いています。

☆パーツの選定

(1). マザーボード
    パソコン自作の第一歩は、システム全体の扇の要となるチップセットを何にするか、を決めるところから始まります。
ここ数年、世の中の主流になっている Intel 系でなく AMD/ATI 系で自作をしてきているので今度もその線で行くことににしました。
1920x1080dot の HD (=High Definition) ディスプレイに対応する高性能ディスプレイ・アダプタ(HD4200 相当) を内蔵している 785G が注目され、評判も良さそうなのでこれを選ぶことにしましたしました。

  785G マザーボードは各社から出ていますが、それらの中では、GIGABYTE社の GA-MA785G-UD3H が良いのではないかと思いました。
  左の写真がそのマザーボードです。
通例、VGA をオンボード搭載しているマザーボードは小振りな Micro ATX になっていることが多いのですが、これはフルサイズの ATX ボードです。
  拡張ボード用コネクターの数が多いから色々な拡張ユニットが差し込め、使い出がありそうに思いました。
  付属品がほとんど何も付いて来ない代わりに価格が \11000 程でリーズナブルだし、GIGABYTE ブランドですから信用力は十分です。

(2). CPU

  CPU は今常用している自作機で使っていて、低発熱ながら結構早いのが気に入っている Athlon X2 45Watt シリーズ BE-2350(2.3GHz) の後継にあたる Athlon II X2 240e (2.8GHz) にしました。
  世の中はすでにクアッドコアー時代になっていて、TDP 45Watt の低電力 Athlon シリーズにも X4 605e が出ています。
  クアッドコアーということでこちらに惹かれたのですが、自作ショップで若い店員に尋ねてみたら、2.3GHz のクアッドコアより、2.8GHz のデュアルコアの方が見ていて分かるくらい早いですよ、という返事でした。
値段も前者が \15000 近くだったのに対し後者は約 \9000 と格段に安価でした。
ひょっとするとこれは、AMD 社の低発熱デュアルコアシリーズの最終機種になるかも知れません。
     

(3). メモリー

  メモリーはマザーボード(と OS)を買った秋葉原の専門店の係員がボードに合う物として出してくれた 1GBx2 のデュアル・チャネル・ペアーを購入したのですが、 DDR2 でなければいけないところを DDR3 を買ってしまう、と言うウッカリミスを犯したことにあとで気が着きました。
秋葉原の店に持って行って交換してもらおうか思ったのですが、年末の大掃除でレシートをどこかになくしてしまったし、秋葉原まで行き来するのも面倒だしで、散歩圏内にある自作ショップに行って、同じブランドの DDR2 を調達して間に合わせ、DDR3 の方は次の自作機の材料として取って置くことにしました。

☆ハードの組み立て
(1). マザーボードまわり


  マザーボードの CPU ソケットに CPU を挿入して固定したあと、ボックスに付いてきた純正冷却ファンを取り付けました。
このあたり、以前はなかなか難しい所があったのですが数年前から取り付け具が改良され、とても簡単にできるようになりました。

  さらに2枚組のメモリーをメモリースロットに挿入すればマザーボードまわりの組み立ては終了です。


(2). ATX電源が合わないため交換!
  結構なお金をつぎ込んで組立てたのにも関わらず、OSがやくざで常用に耐えずと判断し、放置してあった 64bit VISTA 自作機のミッド・タワー機をばらし、そのケースを再利用しました。
しっかりした作りの大き目のケースでしたが2002年モデルのため内蔵電源ユニットの規格が古く、CPU 給電コネクターが4pin でした。
今度のマザーボードは 140Watt CPU 対応で、給電コネクターが8pin に変わっているため合いません。
  1年ほど前に購入したまま棚の重石になっていた Scythe 製 ATX 12V Ver2.2 400Watt 静音型電源に交換しました。
左の写真の黒い方が新しい電源で、ボックスが少し大きかったのでどうかと思いましたが、取り付け寸法はピッタリ同じだったため、いとも簡単に交換できました。

(3). BIOS起動確認

  組み立てたマザーボードと電源ユニットとをケースに組み込む前に BIOS が起動するかどうか確認しました。
左のように BIOS が立ち上がり、CPU はじめ各部に正常な電圧が供給されていることが分かりました。
これにより、マザーボード+CPU+メモリーの組み合わせに問題がないこと、他所から持ってきた電源ユニットが整合していることが確認できました。

(4). ケースへの組み込み

    BIOS 起動の確認ができたのでケースの中に電源ユニットとマザ-ボードを組み込み、電源とフロントパネルへの結線の間違えがないよう慎重に繋いだあと、あらためて電源を入れ、BIOS が立ち上がるのを確認した上で、ディスク・ドライブの組み付けに移りました。

  オプチカル・ドライブ(GSA-4120B)、ハードディスク(Seagate 250GB)、それにもうこれからはあまり使わないかもしれないフロッピー・ディスク・ドライブはすべて廃用した VISTA 機から受け継いだ再利用パーツでした。

  この時点ではまだ LAN サーバに仕立てる積りはなく、Windows7 で色々遊んでみるための味見テスト機にする積りでした。
いずれにしてもあとで色々弄るのに便利なよう、すべてのハードディスクをリムーバブルケースに納めてフロントパネルに並べ、いつでも簡単に取り外し、交換できるようにしました。
(→冒頭の写真)

(5). ディスクドライブの組み込みと結線

  3台のリムーバブルケースとマザーボードとの接続は三者三様で、上から SATA、IDE→SATA 変換、IDE となっています。

  左の写真で分かるように、ケース上部にある4個の5"フロントパネルベイは満員になりましたが、下半分の3.5" シャドウベイ5箇所がまだ空いています。
あとの拡張の余地は十分すぎるくらい残っています。

☆Windows7 の導入


(1). BIOS 設定の確認と変更
  ディスクの組み込みが終わったのでいよいよ Windows7 のインストールに取り掛かりました。
オプチカルドライブに Windows7 インストール DVD を入れて起動し、旧 VISTA システムディスクに上書きインストールをしようとしたのですが BIOS が、VISTA のハードディスクと、Windows7 DVD と、ふたつの Bootable ドライブの、どちらか一方しか認識せず、インストールを進めることができませんでした。
  あの手この手で色々やってみましたがどうしてもうまく行かないので諦め、VISTA機にデータ記憶用として搭載していたハードディスク(Hitachi 160GB) にインストールすることにしました。
250GB HDD はふたつのパーティションに切り分けてありましたからシステムに宛がわれるディスクスペースはこちらの方が広くなります。

  CD/DVD のジャンパーをスレーブに、HD のをマスターとして IDE チャネルに繋いで起動したら左のように BIOS が認識してくれ、ようやく OS インストールに取り掛かれるようになりました。

(2). Windows7 インストール開始
   BOOT デバイスの優先順位を CD/DVD→HD に設定して起動すると Windows7 DVD から起動し、下のような画面から Windows のインストールがスタートしました。

  160GB ハードディスクのクリーンアップと初期化から1時間半近くの時間が掛かりました。
  OS だけでなく、オフイススイートやインターネット、画像処理など大物ツールをひと揃い導入し、主要デバイスのデバドラまで、入れても1時間足らずで済む Ubuntu に比べると、非常に仕事が遅いと思いましたが、我慢できないほどではありません。

  インストール進行中はあまりやることがないので、コーヒを淹れて飲んだり、テレビのサッカー中継を見たりしていました。

(3). Windows7 インストール終了

    インストールが終わって再起動すると目出度く Windows7 のデスクトップが現れました。

  至ってシンプルなところは Ubuntu そっくりです。
緑の Ubuntu とでも言えばピッタリかなぁ、と思いました。

☆チップセット・ドライバーと基本ソフトの導入
  Windows が立ち上がるようになったらまず、マザーボードに付いてきた CD からチップセットドライバーなどをインストールしなければなりません。
  "Xpress Install" でやると楽で良いのですが、押し付けバンドルの Norton などが紛れ込んでしまうのが嬉しくありません。  カスタムモードにして不必要な物のチェックを外しインストールを行いました。


  さらにセットアップを進めて行く上で最低限これくらいは導入しておく必要があると思う基本的なソフト:
avast(フリー・アンチウイルス)、
TotalCommander(ファイラー)、
Adobe Reader と
PDF Exchange Reader、
テキストエディター(秀丸)、
Winshot(画面キャプチャ)、
IrfanView(画像ツール)、
Firefox(ブラウザー)
などを導入。
IME 個人辞書へ常用語句の登録も済ませてようやく "半人前" となりました。

☆ネットワークと共有の設定

    Windows7 に接して最初に気が着いたことは自動的にネットワークセットアップができたことです。
XP 以降の Windows のネットワークセットアップは、扱い難いというほどではないにしても、それなりにゴチャゴチャしていて、たまには引っ掛ることもありました。
  OS インストールが終った時点でば既に LAN と繋がっている Ubuntu のネットワークセットアップに比べて一歩遅れを取っているなぁ、と常々感じていましたが Windows7 では LAN の種類の選択が終わるとすぐに我が家のネットワークに繋がり、おお!良くなってるよ、と思いました。

  左の画面では LAN 上にある4台のPCが認識されていますが、上左端のアイコンは Ubuntu 上で samba を走らせている PC を表しているので要注目です。

☆プリンタードライバーのインストールと共有の設定

    従来の LAN サーバー機、新作 Atom330 サーバー候補機をひっくり返すどんでん返し劇の次第を書き並べてもあまり他人の役には立たないでしょうからここでは普通に Windows7 機でプリンター共有をセットアップする手順を簡単に記します。
今回、Canon 製 LBP-1210 レーザー・プリンターと、EPSON 製 EP-301 インクジェット・プリンターと、2台を共有するようセットアップを行ないました。
両者ともドライバー・ダウンロード・サイトに行くと、最新版のドライバー・ソフトウエアと、非常に丁寧で分かり易いインストールマニュアルが掲出されています。
前者をダウンロード、後者は熟読して内容を頭に入れ、重要な部分はプリントしていつでも参照できるようにしておきます。

  いきなり Windows 機にプリンターを繋いでしまうと Plug&Play 機能が働き、 Windows の一部として提供されている(Microsoft社の低機能)ドライバーが自動的にインストールされてしまうのでそうならないよう注意します。 (たとえ電線で繋いでもプリンターの電源を OFF にしておきます。)
まずダウンロードした純正ドライバーを解凍・実行してインストールします。
純正ドライバーの導入ができたらプリンターを繋ぐと Plug&Play 機能が働いてドライバーがアクティブになりますから、単機として正常にプリントできるかどうか、テストパターンをプリントして確認します。

  次に "スタートメニュー" - "デバイスとプリンター" で表示されるプリンター画像のアイコンを右クリックし、プロパティー・ダイアログの "共有タブ" で、左のダイアログ・ボックスを開き、スクリーン・ショットのように共有の指定を行います。
さらにこのダイアログボックスの下の方に見える "追加ドライバー" ボタンをクリックし、LAN に繋がっているほかのバージョンの Windows に対応するドライバーも導入しておきます。
  ここまでの手順によって Windows7機と同じユーザ・アカウントで LAN に繋がっている PC では容易に共有プリンターからプリントする設定ができるようになります。

  この LAN には、samba 経由 ファイル共有をしている複数の Ubuntu Linux 機が繋がっているのですが、こちらでもプリンター設定ダイアログを開き、CUPS(Common UNIX Printing System) ドライバーをインストールした上で、LAN上の共有プリンターを検索してセットアップしたところ Windows と同様、共有プリンターでプリントできるようになりました。
  さらに、 この LAN には、別のアカウントで走る複数の Windows PC が繋がっています。
それらからも共有プリンターでプリントできるよう、"コントロールパネル" -"ユーザアカウント" からそれぞれのアカウントの登録を行ったあと、それぞれからネットワークプリンターの検索を行い、共有の設定をしました。

  なお、Windows7 をインストールしたままだと、一定時間入力がなかったらスリープするように電源管理の設定されていますが、クライアントが必要とする時には何時でもプリントできるようにするためには、スリープに入らないよう、設定を変更しておく必要があります。
ただ、ハードディスクが停まっていても、ディスプレイ表示が OFF になっていても支障はないので、これらは一定時間後には停止するよう、設定します。

☆avast アンチウイルスの自動スキャン設定

  数多くの自作 PC と、数台のノート PC とを運用しているので一台ごとに定期的なチャージの取り立てが来るソフトを使うと負担が大きくなり過ぎてやって行けません。
 その代表例がアンチウイルスで、モーバイルで使用するサブノートなど一部を除いてほかの PC はすべて、フリーのアンチウイルスとアンチ・スパイウエアー(と要すればファイヤウオール)を使うことにしています。
  Windows 用フリー・アンチウイルスの中では、リソースの要求が少ないこと、アップデートが早いことなどで avast を愛用していますが、スケジュール・スキャン機能を備えていないのが泣き所でした。
旧サーバ機では Windows 内蔵のタスク・スケジューラに夜中にスキャナーを起動するよう設定して、用を足らせていましたが今回の Windows7 機も avast で行くとして、そのあたりをどうするか、考えどころでした。

  あらためてネット情報を調べてみたら、(最近の) avast にはスクリーンセーバー・モードでスキャンを行なう機能が内蔵されていることが分かりました。
  早速その機能を利用するセットアップをし、様子見をしてみたところ、左の写真のような感じで作動し、とても良さそうに思えました。
  アイドル時のみ、間歇的な動作を繰り返し、所定のタスクを完結させる仕組みは、昨年来  Windows デスクトップ機で愛用している smartdefrag と同じです。

☆味見機だった筈が LAN サーバに昇格!
  マザーボードの組み立てから始まってここまで、順調に進んできた Windows7 機ですが、これが終われば一段落、と言うところでどんでん返しに繋がる問題が発生しました。

  これまで VISTA 機2台での経験と同じですが、Windows7 機は Windows XP 機の共有プリンターに繋がらないのです!

  共有プリンタでプリンタードライバーのセットアップ/更新を行なうときには、ほかのバージョンの Windows 用のドライバを追加インストールするかどうか聞かれるので必要な物を選んで追加しておけば、LAN 上で共有プリンタのインストールが簡単にできるようになるのですが、XP はそのあとから出てきた VISTA と 7 のことを "知らない" のです!

  最新版のプリンタドライバーに更新しても VISTA/7 の認識ができないことが分かり、これは困ったなぁ、と思い悩んでいるうちに、逆様にしたらどうなるんだろうか?と思いつきました。
早速、XPサーバ機と2台のプリンターとを繋げている USB ケーブルを取り外し、Windows7機の方に繋ぎ換えてドライバーをインストール。
共有プリンターとしてLAN 上に公開する設定を行なったあと、これまでサーバだった Windows XP機のプリンタダイアログを開いてみたら、検索を掛けるまでもなく Windows7 の共有プリンターが表示され、あっさりセットアップができてしまいました。
もうこれで良いや、と言うことで、味見機の積りで組み立てた Windows7 機を LAN サーバに仕立て上げることに決め、家族の物も含めて LAN 上の全 PC のプリンタ・セットアップを変更しました。

  なおこの時、Ubuntu PCからのプリンタ共有セットアップが意外に容易にできたことが印象に残りました。
これにより我が家の LAN に繋がっている PC で直接プリントできない物がなくなりました。
従来、何度も挑戦し、なかなかうまく行かなかったことがアッサリ解決したのは、特筆に価します。

☆LAN サーバにはモニターが重要だ!
  新作機を LANサーバとして使うならオフイスソフトや画像処理ツールのような大物ソフトを導入する必要はなくなりますが、その代わりにハードディスクをはじめとする監視モニターの類はしっかり導入し、ハードウエアーのどこかに無理が掛かっていないかどうか、ハードディスクのクラッシュが近付いていないかどうか、などの情報を監視できるようにしておかなければなりません。

  そこでまず持ち込んだのは、CrystalDiskInfo でした。
これは常時はタスクバー上に内蔵ドライブの温度のみを表示していますが、温度やシークエラーなど、重要な S.M.A.R.T. パラメータが上限を超すとアラームを発信します。

  左は内蔵ディスクの中から Windows7 システムのファイルを保持している160GB ディスクの状態を表示しています。
このほかに、500GB のデータ記録用ディスクを2台搭載していますがそれらも同列に監視できています。

  この自作機の CPU/GPU/メモリーは、ホーム LAN のプリンター/ファイル・サーバとして使うなら有り余る程の能力を備えています。
CPU 負荷なども低水準に止まるだろうと予想できますが、高温多湿な時季にどうなるかは未知数です。
  念のための監視ツールとして thilmera と言う新しいモニターを導入しました。
thilmera(シルメラ) はマウスオーバで隠蔽する小さなウインドウに CPU/GPU/HDD/メモリーの情報を表示してくれる総合モニターツールです。  上記モニターの作者で、かつて CrystalCPUID の作者として名を馳せた hiyohiyo 氏が開発したエンジンを使っているそうです。

  基本的にハードウエアー・モニターは上の2本の監視ツールでやって行くことにしたのですが、マザーボードに付いてきたバンドル・ソフトの中に入っている EastTune6 も時どき立ち上げています。
  こちらで特に興味があったのは CPU コアクロックの制御でした。
このマザーボード、FSB は200MHz で CPU のコア・クロックは2.8GHz ですからコア・クロック倍率は×14と言うことになります。
  左の画像で分かるように、CPU 負荷が軽いときにはクロック倍率が×4、コアクロック800MHz まで下がっているのです。

  プリントを実行する時にどうなるか見てみたら、印刷用パケットが届くと一瞬、クロック倍率が大きくなってあっという間に処理が終ると、プリンタはまだ動いているのにクロック倍率はまたもとの×4に戻って待機状態になります。
  CPU の TDP(熱設計電力値)は45Watt ですが、アイドル時の電力はズゥーッと低く、ピーク負荷時には瞬間的にかなりハイパワーになる瞬発的な動作をしているように思われます。

☆旧サーバのユーザデータを転送
  新自作機がサーバとして稼動するには、十分大きな容量のデータ貯蔵用ドライブを設置し、そこへ旧サーバのデータ・ディスクに入っていたユーザデータをそっくり転送しなければなりません。
この作業は LAN 経由で行なっても良いのですが、旧サーバの LAN I/F のスピードがネックとなって長時間が必要になる恐れもあるので、できることなら新サーバの内部でファイル・コピーをしたい所です。

  ここでひとつ問題があるのは、近年、ハードディスクとマザーボードを繋ぐインターフェースが長年使われてきた IDE がフェーズアウトし、STAT への移行があったことです。
在来機のマザーボードには IDE 接続チャネルが多数ありましたが、最近のマザーボードは STATA 接続のコネクターが増えたのと引き換えに IDE チャネルがひとつしか備えていないのが多くなっています。
今度の自作機のように、先行機から受け継いだ IDE のオプチカルドライブとシステムハードディスクを繋ぐと、それ以上の IDE デバイスは繋げられなくなるので、何か工夫をしなければなりません。
  たまたま、この自作機では Windows7 のセットアップに掛かろうとする所で起きたトラブルを回避する対策のひとつとして、IDE ドライブを変換モジュール経由でマザーボードの SATA コネクターに繋ぐアレンジができていたのでそこに旧サーバから取り出してきた旧データ用ハードディスクを繋ぎ、常用ファイルマネージャ経由新自作機のデータ用500GB  SATA ディスクに転送しました。
単一システム内のファイル転送でやれたお蔭で、総量180GB 近くを、2時間弱で転送することができました。(左)
   
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☆あとがき
    この3年あまり、我が家のホーム LAN のサーバを勤めてきたPCは、A-Bit NF7 V2.0 マザーボードに Mobile Athlon 2600+ を搭載し、Windows XP pro を入れた上でコアクロック制御を掛けた低発熱ミッドタワー機でした。
もとは色んな実験をする味見テスト機として組み立てた自作機で、あれこれさまざまなソフトを取り替え引き換えテストしていたところ、ある日突然(メモリー不良で)サーバー機が動かなくなったため、急遽、代役になったあと3年あまりもの間、24時間通電で動き続けることになったものでした。

  もともとの素性に問題があったのが長期の連続稼動により疲れてきて、昨年の梅雨明け頃から夏が通り過ぎるまで、時たまブルースクリーンになったりしはじめました。

  この冬のうちに更新せねばと思って、Intel 製 Atom330 mini-ITX マザーボードを入手し、それと Windows Home Server2003 とで試作サーバを組み立ててみましたが、OS があまりに作りこまれすぎていて、古くから自己流セッティングで構築していた我が家の既存 LAN と整合を取るのは難しいことが分りました。
さらに、レーザ・プリンターのドライバーが提供されていないことも分かったので、この OS で前に進むのは中止しました。
  一方、Intel Atom330 マザーボードは評判が良く、Windows7 を入れたとか、Ubuntu を入れたとか、ネットにさまざまな情報が流れ出していたので、思い切って Ubuntu でサーバを構築してみようと考えました。
Ubuntu はデスクトップ OS としてはある程度使いこなせるところまで勉強が進んでいたので、それを足がかりに、味見インストールをしながら勉強に取り掛かりました。
しかし、ハードディスクのパーティションはどう設定・配分するのが良いか、プリンタードライバの導入と共有の設定はうまくやれるのか、セキュリティー/バックアップツールは何を入れてどのように運用すればよいのかなど、古希を過ぎた年寄りには結構な高さのハードルが幾つか出てきて、半年近くも停滞していました。

  交通事故的などんでん返しで我が家のサーバ OS に昇格することになった Windows7 ですが、2週間足らずの間動かしてみた範囲ではなかなか良さそうな動きを見せています。
役立たずで邪魔にしかならない飾り物をゴテゴテ盛り上げた重みで鈍重になった VISTA を売り出して世界中から不評を買った Microsoft 社も、本来縁の下の力持ちであるべき OS の原点を思い出せたのかなぁ、と思いました。
不況によるデフレ圧力のせいか、\25000 程もした VISTA ultimate と大差ない機能を提供し、性能が格段向上した Windows7 professional の DSP 版が \15500 程で購入できるのは嬉しいことです。
  当面の行き先を失った、Intel Atom330 マザーボードを生かして作り損ねた Windows7 味見機を作るため、もう1本購入して見ようか、と思い始めています。

  ただ、今回の逆転劇の原因となった Windows XP のプリンタードライバの "あとから出てきた弟分の Windows のことは知りませーん" によるセットアップ障害はどうもすっきりしません。
 サーバー用OSではないのだから、と言われるような気もしますが、何も問題なく動いていた Windows LAN に新しい Windows で動くPCが加わった途端、共有プリンター機が使い物にならなくなってしまう言う状況は理不尽です。
WDM とかでデバドラの API が変わったからと言う事もあるようですが、それらも含めて、キチンとしたアフターケヤーをするのが、お金を取って人に使わせる商業ソフトの義務だと思います。

☆追記(解説本のこと)
  VISTA で懲りて Windows 関係のマニュアル本に手を出す気になれなくなっていましたが、折角 Windows7 の感じが良いのに、パソコン雑誌の Windows7 特集記事が相変わらずご粗末な提灯持ちばかりでどうにもならないので、ちっとは役に立ちそうな解説書はないものかと、近くの書店に行きました。
 書店の棚は VISTA の時のように、高校のパソコン倶楽部が書いたのでは、とでも言いたくなるような紙屑で一杯、と言う状態ではなくなっていましたが、2、3目についた解説書の中から "windows 7 上級マニュアル"(橋本和則著 技術評論社 ISBN978-4-7741-4026-1 C3055) を選んで帰りました。
Ready Boost や Pri-Fetch は有害無益だからすぐにも disable すべきと言う理由を理路整然と述べている反面、GUI の不出来が改善された結果 Long Horn カーネルの真価が発揮されるようになったと言う見解が述べられていたり、パーティションツールやバックアップツールなどが大幅に改善されていることが紹介されているなど、O'RAILLY から出た Windows XP Hacks 以来の折り目正しい Windows 解説本ではないか、と思われます。