Linux PC と Windows PC を仲良しに (2003.12.19)


まえがき

    別項に記したように、Turbolinux ユーザーズフォーラムの熱意に満ちたサポートのお陰で Turbolinux 10 Desktop (=TL10D) を搭載した Linux 機(tlpc) が既設の Windows ホーム LAN につながりました。
(詳しくは、http://www.turbolinux.co.jp/cgi-bin/dcforum/dcboard.cgi?az= show_thread&om=5991&forum=DCForumID11&omm=0
にある "Windows LAN から TL10D 機が見えない - posted by さいだ" というスレッドを参照してください)。

 tlpc  のユーザー名を Windows LAN の "庄屋" をやっている Windows2000 pro 機(Sabre) と同じ(y-saida) にしてあったので繋がるとすぐに双方の PC はお互いの共有フォルダ(ディレクトリ) を参照し、その中にストアーされたファイルの操作ができるようになりました。

 ひとつだけ、tlpc の ファイルマネージャ(Konquerer) からディレクトリー構造を含む複数ファイルを Sabre へコピーしようとすると、"ストール" してしまうという障害があるのが不便だなぁ、と思いましたが個別の作業で取り扱う数個のファイルなら問題なく操作できるので当面は我慢する事にしました。
 2週間ほど、この状態で Linux 機に入ったいろいろなアプリケーションを "味見" して、なかなか "いい感じ" になってきたので、もう少し本格的に使ってみようと考え、LAN 上のほかのPCからのアクセスもできるようセットアップすることにしました。

 これは、昨年 TL8W で何とかやり抜いたセットアップなのですが、Windows に飼い慣らされて怠け癖が身体に染み込んでしまった年寄りユーザには少々やっかいな作業です。

以下、自分自身のためのメモ兼ねた作業経過の概略の記録です。

まず Linux 機にユーザ名を登録する

 Linux は1台を数人が共用する事を前提にしているマルチユーザOSです。
ユーザー名を登録するとそれぞれの専用ディレクトリーが設置され、お互いのプライバシーを守りながらその機械の計算能力を共用できるようになります(棟割 り長屋だ!)。

 一人で何台かを使う、"シングルユーザマルチPC" になっているパソコンユーザの立場からみれば、現状とアベコベの古風なアレンジで、気に食わない所もあるのですがとにもかくにもこれをやらなければ Linux 機へのアクセスができないのだから仕方がありません。



 従来、これを行うにはシェルを起動してコマンドモードから "useradd" とやるのがシキタリだったようなのですが、TL10D では KDE GUI の、
"プログラム" - "設定" - "コントロールセンター" - "システム管理" - "ユーザ設定"
という手順で、ユーザの登録ができる事がわかりました。

  今回はこの機能を使って登録作業を行いました(左)。
swatwizard1


 "ユーザ設定" に入ると左のようなウインドウが表示されます。

  一番下の行には、最初に登録した "y-saida" があります。

  ツールバーに並んだアイコンの左端から2番目の "add" をクリックすると、
swatwizard01


 左のような "ユーザの追加 - ユーザ設定" 画面になり、"ユーザの追加 - ユーザ設定" ダイアログボックスが表示されます。

  ここで LAN 上のほかのPCのユーザ名を入力し、


 さらに左のような設定画面でホームディレク トリ名やパスワードを設定します。

 以上の手続きが終わるとたとえば "dbss7020x2" と言うユーザ名によって Linux 機にアクセスができるようになります。



samba でも同様の設定をする

 Windows2000 pro 機の場合だったら、これで設定は終わりで、LAN に繋がった Windows98 機から共有フォルダにアクセスが可能となるのですが samba で LAN に繋がっている Linux 機ではさらにもうワンステップが必要で、 samba の設定ファイル(/etc/samba/smb.conf) にもユーザ名を登録しなければなりません。
swatwizard3

 この作業は swat でやることにしました。

ブラウザーから "http://localhost:901/" にアクセスして swat を起動します。
要求に応じて "root" とそのパスワードを入力して立ち上げ、"パスワード" で上と同じユーザ名とパスワードを登録したあと、"動作状況" に入って samba を再起動します(左)。


 老人にとっては少々厳しい長い道のりでしたがここまで なんとか漕ぎ着け、Windows 機から Linux 機のディレクトリにアクセスできるようになったのですがこれで目出度し目出度しという事にはなりませんでした。


共有ディレクトリへのアクセス設定も必要だった!

 Linux 機の "/home/y-saida/MyDocyment" ディレクトリーを LAN 上のすべてのPCがアクセスできる共有ディレクトリとして利用したいのですが、せっかく設定作業を終えたのに "y-saida" 以外のユーザにはこのディレクトリが不可視でアクセスできません。

1台のコンピュータを何人かで共有する "マルチユーザ" 環境では、このような設定が当然なのですが、一人が数台のコンピュータを使う、"マルチPC" 環境ではこれとあべこべの設定をしたい訳で、まったく具合の悪い状況です。
  どうすればこの問題にけりをつけることができるか、手近にあった "Linux Q&A ビギナーズ Tips" というタイトルのノウハウ本(*)をめくって見たら、 「samba の共有ディレクトリに書き込むユーザー名を統一するには」、と言うタイトルのセクションが見つかりました。
そこには、 /etc/samba/smb.conf に
        path = /home/y-saida
        readonly = no
        force user = y-saida
と言う記述を書き加えることでどのユーザ名でアクセスしても "y-saida" がアクセスしたことにしてしまう、という便法が紹介されていました。
 セキュリーティーの面ではいささか問題のあるやり方ですが、他人がアクセスする事がないホーム LAN ではまずい事が起こる心配はありません。
  早速実行する事にしてエディタで smb.conf を修正したあと、シェルを起動してコマンドモードから
        # service smb restart
とやって samba を再起動。
目出度く Linux 機の /home/y-saida 以下のディレクトリーが LAN 上の全ての Windows機に姿を現し、ファイル操作ができるようになりました。


あとがき

 少々苦労しましたが我が家の快適ホーム LAN環境の良きパートナとして Linux 機を参加させるために必要な作業がひと通り完成しました。

  ようやく "永住権" を得た Linux PC の初仕事はマイホームページに出すこのレポートの作成です。

一年ほど前に開設したホームページの内容が少々少々ゴタゴタして来たので、自作PC、LAN、Linux 関係のコンテンツをソックリ "離れ" の方に引っ越そうと考えていた所でした。
既設分のコンテンツも含めて "分家" 構築に必要なもろもろの作業を、Linux 機にインストールされている Mozilla Composer で行ってみました。
これまで使ってきた IBM Home Page Builder に比べるとずっと簡素な作りのソフトですが基本的な機能はひと通り備えているので、凝ったことはしない個人ホームページ作成だったら充分用が足ります。

  初仕事も無事に終わって "分家" へのファイルの掲出を済ませた所での感想は、由緒正しいがゆえに格式に縛られ、民草と親しむことができなかった Linux も、ようやく呪縛から解き放たれ、オジイサンでも使えるような物になったかなぁ、ということです。

  TL10Dと前後して登場した Lindows も同じようなコンセプトに基く Linux ディストリビューションです。
特に Lindows CD は、買ってきた CD-ROM を Windows PC のドライブに挿入して電源を入れればそのまま Linux が立ち上がります。
 さらに、産業技術研究所がフリーウエアとして頒布している knoppix も同じように boot CD-ROM です。
両方とも既存の Windows システムに何の影響も与えないので気楽に味見ができます。
どんな感じの物か、テストをしてみましたら、何もしないのにそこそこ使える Linux 作業環境が Windows PC 上に形成されたのに感心しました。

  Linux を常用しないまでも、Windows システムがウイルスか何かで潰れてしまったとき、ユーザデータを救出するために持っていても良いのではないかと思いました。

"安くて、早くて、美味く" なった Linux は "誰でも便利に使える" 段階にまで進化して来たようです。

  独占による法外な価格のオフイススィートに対する出費、どうしても抜け出せないウイルス騒動の蟻地獄など、Windows を使うことによって蒙る諸々の不愉快にオサラバできるのも真近かなように感じられます。

何台もの Windows 機の中で Linux 機が1台だけでは寂しいでしょうから、ちかじかもう一台のデスクトップ PC にも  TL10D をインストールし、Linux 機同士の接続はじめ、複数 Linux PCの Windows LAN 上での運用を実験してみようと思っています。