終活モデル パソコンの自作(2019年9-12月)

(β Version)

☆まえがき
 パソコンは黎明期 (Dr. Dobb's Journal の時代) からやっているが日常使うデスクトップパソコンを自作機で賄うようになったのは今世紀の初頭あたり。
はじめてケースの中にドライバーを突っ込んだのは東映無線のベアーボーンキット。
Socket 370-Intel 815T で CPU は Celeron 1GHz だったか?

 それからこの方、自作機の OS は、Linux と Windows の二本立て。
前者は、Turbo Linux から始まって 歴代の Ubuntu・Linux Mint の遷移を追跡してきた。
次々に出てくるマザーボードや拡張ユニットの味見を楽しむことができたのは、Linux と言う真っ当な OS がフリーウエアーとして提供されていたお蔭だ。

 これに対して Windws の方は、98SE から始まって 2000(○)、Me(☓)、XP(○)、VISTA(☓) を経て Windows7(○) へ。 (Windows8/8.1は VISTA に懲りてスキップした。)
出来不出来の山あり谷ありの5世代の遷移の間にハードの方は10世代ほどの交代があった。

 この間の技術の進歩はめざましかったが人間の方は旧モデルのままでまったく代わり映えなし!
始めの頃にはいくらか認められた学習効果が年とともに弱まるにつれて "勤続疲労" が徐々に顕になって来ていたうちはまだしも、近頃は頭脳老衰による性能劣化が激しくなっているような気がする。


 前の年にツレに先立たれたあと、寡夫暮らしをどうにか軌道に乗せ、それなりに落ち着いた日常を回復できたのだが、次は自分の "番" であることは明白だ。

 頭が働き、目が見えるうちに、今生終盤の年月の伴侶となる "終活モデル" パソコンを組み立てることにした。

 Windows10 は初期バージョンから味見をしてきていてかなり慣れ、素性も分かった来たような気がしている。

 2、3年前に組み立てた、平凡な性能の自作機(A12-9800E + GeForce GT-1030) に Windows10 を入れ、日常の作業を行うようにしてみたら、Windows 7 ではほとんどお目にかかることがなかったブルー・スクリーンエラーが時々発生し、時々バックアップしながら作業をしないと危険なことが分かった。

 MS 社お得意(?)のダメ(上記 "☓" 印) OS がもうひとつ増えることになるのか、と気を揉んでいたが、春と秋に行われる更新が重なるにつれて徐々に改善されているような感じもある。

 年が変わると間もなく Windows7 のセキュリティーサポートが停止すると言い、業界一同買い換えを迫る大合唱をしているが、せっかくまともに動いている PC をサプライサイドの身勝手で捨てさせられるのは納得できない。 地球の資源や環境をどの様に考えているのだろうか?

 2台ある Windows7 自作機のうち、8-Core CPU を搭載した常用機をキープし、直接ネットに繋がないで運用する一方、4-Core CPU 搭載のサブ機の方は業界繁栄のための生贄に捧げることを決心。
 ケースの中の部品の大部分を入れ換えた上で OS を更新してWindows10 2番機に仕立て、常用機+バックアップ機の二本立てで Windows10 を運用できる体制を整えることにした。

☆主な構成部品

 "ボケるか死ぬかするまで安心して使える 〈壊れない自作パソコン〉を" と、これまでに使った各社のマザーボードのうち、梅雨明けの蒸し暑い夕方などに突然お亡くなりになるようなことがなかった Gygabyte と、ASUS と、ふたつのブランドのうち、幾分格上かと思われる ASUS を採用して信頼性・安定性を確保した。

 ASUS は最新のチップセット X-570 を搭載したマザーボードを9機種出しているがゲーマー用の上位機種に次ぐ中堅クラスの Prime-Pro を採用した。
CPU は、AMD社久々のヒットと評価されている第3世代 Ryzen シリーズ: Ryzen 5-3600 CPU。
システムの性能を決める車の両輪のもう一方となる GPU は NIVIDIA Geforce GT-1650。
これらを含む主要部品の型式仕様は次の通り。

(1) マザーボード: ASUS Prime X570-PRO
(2) CPU: AMD Ryzen 5-3600  6Core-12スレッド 65W
(3) GPU: NVIDIA Ge Force GT-1650 (DOSパラ製 Palit GTX1650グラボ)
(4) メモリー: G.Skill DDR4-3600 8GBx2
(5) ストレージ: Crucial 240GB SATA3(システム用)、Seagate 4TB SATA3(データ用)
(6) ケース: 15年物のミニタワーケースを流用。
  電源 Silver Stone 750W 80plus silver、LiteON CD/DVD ドライブ、USB F パネル(2xUSB2+4xUSB3)
(7) OS: DSP版 Windows10 Pro DVD (メモリーとセットで30% ほど値引)

☆ハードの組み立て


(1) マザーボード

 マザーボードを箱から取り出してまず目についたのはチップセットに冷却ファンがついていることだった。

バックパネルまわりも CPU電源ブロックを冷やす気流を整えるためか樹脂カバーで覆われている。

 PCI Express 4.0 対応の高速 SSD を取り付けるスロットが2基搭載されていたが発熱が大きいという話もあるので信頼性重視の観点から採用を見送り。
  3.5" ベイに装着して、SATA6G ケーブルでマザーボードに接続する在来タイプの SSD を使うことにした。

(2) CPU ・メモリー・グラボの搭載
 マザーボードの組み立ては、CPU と 付属クーラー、メモリー、グラボを搭載し、CPUクーラーの電線をボードの CPU FAN ピンソケットに差しめばでき上がるので、特段のことはなかったが、 CPU クーラーユニットの取り付け方法が改善されていたのは特筆に値すると思った。

 従来の AMD CPU では、ボード上の CPU ソケッを取り囲んでいる樹脂製ハーネスの爪に冷却ユニットの固定金具を引っ掛けたあと、カム型楔のレバーを回してクーラユニットを圧着固定していた。

 よく冷える大型フィンのクーラユニットを取り付けていた自作機で、何かのはずみで衝撃がかかったらこの爪が折れてクーラが脱落。
電源を入れて起動するとすぐにオーバーヒートでシャットダウンする、というトラブルに遭遇した経験がある。

 今度のは、マザーボードに固定された金属板にネジで止めるように変更され、樹脂部品の経時劣化による破損事故の心配がなくなった。

(3) ケースへの組み込み
 古いミッドタワーケースをクリーンアップしたところへ新しいマザーボードアセンブルを組み込んだ。
5" ドライブベイには、先代の Windows7 機から受け継いだ CD/DVD マルチドライブとデータストレージ HDD 用リムーバブルマウントが入っていたが、取り敢えずはマザーボードが単体で正常に動作するかどうかを確認する訳だから電源とフロントパネルケーブルのみ繋ぐだけで良い。

 実を言うと視力が衰えた年寄りには、ここのフロント・パネル・ケーブルをマザーボードのピンヘッダに間違いなく接続するのがなかなか難しく大変なのだ。
 マザーボードの右下隅に並んで立っているフロントパネルピンヘッダーは、ケースに納めたときに隅っこの暗がりに入ってしまい、小さな文字で印刷されている"PWR"とか "HDD LED" とか言う識別記号が非常に読み難くなる。

 拡大鏡と、ピンセットとで両手がふさがり、ペンライトを持つのに手がもう一本欲しくなる。

 これに対し ASUS のマザーボードは、一部の廉価版以外、写真の様な、 "Q コネクター" と称する中継アダプター付いてくる。
 これがあれば、まずこちらにフロントパネルの導線を繋ぐ事でマザーボードのピン配列に対応した専用コネクターができあがる。
 マザーボードをケースの中に取り付けたあと、ボードのピンヘッダにQ コネクターを差し込めば正しい結線ができる。



 ほかのメーカーのマザーボードには、このようなアダプターが付いてこないのが普通なので困るのだがその時に使える奥の手はないでもない。 - セロテープを使うのである。

 まず、ケースに収める前のマザーボードのピンヘッダーにフロントパネル導線のコネクターを嵌めて仮接続を行う。
全てのコネクターの挿入が終わった所でコネクターの集合体にセロテープを巻きつけて結束すれば即席のQ コネクターもどきのブロックがまとまる。
ちょっとした不注意で配列が崩れてしまうので取り扱いが難しいのが難点だがそれなりに役に立つ "カイゼン" だ。
 (このほかに、同様の役に立ちそうな部品として、Ainex社が出しているコネクタ簡単脱着ケーブル EX-004 というのがあり Amazon などから入手できる。)

 マザーボードにフロントパネルと ATX電源の導線を接続したあと、バックパネルのコネクターにディスプレイ、キーボード、マウスを繋げば、初期の配線作業は終了する。

 背面の ATX電源のソケットに繋いだ電源ケーブルを100Vコンセントに差し込んだらマザーボードのバックパネルカバーとチップセットカバーに LED が灯り、無事に通電したことを知らせてくれた。

 左がその時のケース内部の状態だ。
従来のマザーボードは隅のどこかにハンダ付けされているLEDランプが灯るだけだったが、このボードではバックパネルカバーとチップセットカバーから漏れ出す光の色が、時間が経つにつれ徐々に変化して怪しい雰囲気を醸すイルミネーションになっている。
(その様子を記録した短い動画を共有サイトに出してある。)

 マザーボードのマニュアルを見ると WS28128 ベースの LED ストリップを接続できるピンヘッダーが搭載され、華やかなイルミネーションで飾ることも可能なようだが、老いぼれ頭にはこれと言った面白い使い道が思い浮かばなかった。

(4) BIOS 動作確認
  AC ラインに繋いで暫く経っても、嫌な匂いがしたり煙が出たりしないことを確かめた上でフロントパネルの起動ボタンを叩いたら "プッ" とひと声ブザーが鳴って UEFI BIOS が立ち上がり、下の写真のような BIOS 画面が表示された。
画面の左上の方に CPU とメモリーが正常に認識されていることを表す表示が出ていてひと安心。


(5)周辺機器などを繋ぎこんでハード組立完成
 BIOS が正常に動作することを確認したあと外出や用事が続いてハード組み立て作業が一時停止ししたが3日ほど経って時間が空き、残りの作業を行えるようになった。

 Winodws システムやアプリケーションを入れるための SSD、ソフトのインストールや AV プレイに必要なスーパーマルチ・オプチカル・ドライブ、データストレージ用HDDを収めるリムーバブルアダプター、USB フロントパネルを順次取り付け、マザーボードとの接続を行った。

 自作機用 ATX 電源は、いくつかのコネクターが付いた電源導線が何本か出ていて、色々な拡張ユニットを持ち込んでも繋げられる様になっている。

 幅広い拡張性が確保されるがそれと引き換えに余った導線・コネクターがケースの中でブラブラして、藪のようになってしまい易い。

 この ATX電源は不要な導線を取り外せるようになっているのでいくらか助かるが、それでも余った電線を適当に結束・固定して外観を整え、空気の流れも良くして、左のように組み上げた。
 
 組み上がった新自作機のフロントパネルはページ冒頭のようになった。
一番上がオプチカルドライブ、二番目がデータストレージHDD用リムーバブルマウンター、三番目が USB フロントパネルだ。
 これらの下に見えるふたつの蓋はフロッピードライブベイの蓋だ。
10年あまり前までは、Sony が開発したマイクロフロッピードライブは、纏まったデータをネットで送れない時代のデータ交換の媒体としてパソコン必須の周辺デバイスだった。
頻繁に行っていたフロッピー間データコピーの便利のため、ふたつのドライブを装備することが多かったことの名残だ。

 USB ポートは、パネルに露出しているもののほかに、下端のカバーの裏に隠れている USB2 ポートがふたつあるからこれらを合わせるとこのPCのフロントパネルには、 USB3、USB2 がそれぞれ4ポートずつあることになる。
何でも  USB で繋げられる、USB モンスターとでも呼べそうなスタイルになった。

USB のほか、Bluetooth アダプターを介して、キーボード・マウス・スピーカなどの周辺機器やスマフォ・デジカメなどとも簡単に繋がる事ができる。

(6) UEFI BIOS キャプチャー
  ハードの組み立てが全部終わったので各デバイスが正常に認識されているかどうか、BIOS を立ち上げて確認した。
これまで、BIOS 画面の記録はデジカメやスマフォで撮影するものと思い込んでいたがあらためて調べてみたら、 UEFI BIOS になってからは、特定のキーを叩いて生成した BIOS 画面のキャプチャー画像をメニュー操作によって USB スティックなどの媒体に記録できるようになっていることが分かった。
    (例えば BIOSのスクリーンショットを撮影する方法 - Gazee -
       https://gazee.net/tips/uefi-bios-screenshot/ )
 
 下は新自作機の UEFI BIOS キャプチャー画像である。
デジカメて撮ったのとは違ってブレやピンぼけのない鮮明な画像が得られている事が分かる。

 データ用4TB HDD はまだ装着していないので、当然のことながら認識されていないが、システム用の SSD とオプチカルドライブは正常に認識されていて、いつでも OS インストールに取り掛かれる状態になっていることを確認できた。
 

☆ ソフトのインストール

(1) Windows10 Pro
 Windows10 のインストールは何事もなく進行して無事に終了。
下のスクリンキャプチャーの様に新自作機がホーム LAN に "DESKTOP-6ORKRN5" として表示されるようになった。

 歴代の Windws システムのインストールをやってきて Linux系・Android系 OSシステムと比べ煩瑣で数倍の時間が掛かるのが問題だと思っていたが、 "10" になってまた一段と厄介になったように思う。

 インストールのはじめの所で設定を要求されるアカウントは、以前はローカルアカウントだったが、今は Microsoft アカウントに変わっている。

 そのため、インストールが終った直後に再起動すると、MS OneDrive に繋がった状態になっているのは、Windows PC をスマフォのようなモバイル通信端末として普及させることを望んだ MS社の野心の負の遺産と思う。

 クラウドストレージは昔から Google Drive 一本に絞っているので OneDrive はスクリーンキャプチャーの記憶媒体として使うだけ。
このウエブページやモロモロのドキュメントの作成、デジカメ写真の画像処理などの作業は、ホーム LAN に繋がっている NAS やほかの PC のデータ用ストレージHDD とのファイル共有に依存して行っている我が家のような環境で稼働するパソコンでは OneDrive の設定はほとんど無用である。

 LAN 上での識別に欠かせないコンピュータ名を適切に設定し、データ共有に欠せないローカルアカウントをしっかり設定することが何より重要なのだが、もうひと手間かけないとこれらができないようになってしまったのはまことに不都合なことである。


 8月末に部品を調達したあと、ハードを組み立て、 OS のインストールまで進んだ所で9月の半ばになった。
夏山の喧騒が去った湿原は秋の実りの色を帯び、青や紫が目立つ花がそこかしこに咲いていて、滋味豊かな山歩きができる。

 自作機のセットアップはしばらくお休みにして、行動パターンをアウトドアモードに変更。
以前から気にかかっていた芳ヶ平湿原の探訪、春の山行で歩き切れなかった瀬戸内島山巡りなどをした。

 12月もそろそろ中旬に掛かろうかと言う時期にようやく秋の山行のあと始末ができたのでまたインドアモードに復帰。3ヶ月ものあいだ停滞していたアプリケーションのインストールに取り掛かった。




(2) データストレージの装着とユーザーデータフォルダーの設置
 アプリケーションを導入したら引き続きセットアップをするのだが、その前に作業ファイルを収容するフォルダーの場所が確定されていなければならない。

 データストレージ用HDD(Seagate ST4000DM004) をリムーバブルアダプターに挿入した上で電源 ON して起動。 スタートメニューから
"Windows 管理ツール"-"コンピュータの管理"-"記憶域"-"ディスクの管理"
で 4TB の全容量を一本の GPT プライマリーパーティションとしてフォーマットし、ドライブレター "E" を割り当てた。

 次にファイルエクスプローラでこのドライブにアクセス。 共有データフォルダー階層のトップレベルに "Win10PC2_Data" という名前を設定した上で、共有フォルダーとして LAN 上にアナウンスすると、既に稼働している Windows10 PC から参照できるようになった。
このフォルダーの傘下に、アプリケーション作業の対象になるユーザデータフォルダー群を転送すれば準備作業は終る。

(3) ミニ LCD ディスプレイを使ってアプリケーションをインストール

  私の遊び部屋では 2台の 23” LCD ディスプレイがデスクの上に並んでいるのだがそれぞれに数台のデバイスが繋がっていて稼働率が高く、時間がかかるインストール・セットアップに使うのが難しい状況になっている。
(終活期老人が一人いるだけなのにドーしてソーなるのか? 自分には分からない。)

 新自作機へのアプリケーションの導入では3番目のディスプレイがあると良いなと思っていたので都心に出かけたついでに秋葉原にまわり、裏通りの店を見て回ったら 11.6" のフルHD LCD ディスプレイが1万円ほどで売られているのを見つけ、即ゲットして持ち帰った。

 このミニ ディスプレイと長年愛用してきた Happy Hacking ミニキーボードを新自作機に繋げば、ほかのPC群と関係なく、自由にアプリケーション・インストールができるようになる。

 また新自作機が組み上がったら本格稼働に先立って、我が家のユーザーデータの全量をデータ・ストレージHDDに転送する必要がある。
1970年代からこの方、半世紀近くの年月の間に積み上がったデータ量はそれなりのボリュームに膨れ上がっているので、全量の転送が終わるまでに2~3日は掛かると想定される。
このように長い時間が掛かる作業にも独立したユーザーインターフェースデバイスが必要だ。



 上はこのセットアップが動き出した状態を示すもので、常用機と新自作機との、大小ふたつのディスプレイとキーボードが机の上に並んでいる。

 ただ、この作業を始めてすぐに気がついたのは画面サイズの小さいフルHDディスプレイは画素の縮小に比例して表示文字が小さくなり、虫眼鏡を持ち出さないと間違いのない操作ができない、ということだった。

 私のパソコン作業の基盤となっている2ウインドウ・ ファイル・マネージャ(Total Commander)とテキストエディター(秀丸) だけは、このセットアップのままどうにかやり切りったものの、虫眼鏡でディスプレイを見ながらキーボードを叩いて、アプリケーションのインストールを進めるのはとても大変と思ったのでやり方を変えることにした。
 

(4) アプリケーションインストールにリモートデスクトップを使う
  今年の春に、常用機を Windows7機から Windows10機に乗り換えた時から日常的にリモートデスクトップを使うようになっている。

 Pro エディションの Windows で稼働している PC があれば、リモートデスクトップのセットアップはとても簡単だ。
リモート接続の "向こう側になるサーバー" のセットアップは、
"設定"-"システム"-"リモートデスクトップ" で "リモートデスクトップを有効にする"
とやるだけでよい。

 つぎは、 "こちらがわのクライアント" になる PC を設定するのだが、これも簡単で、
"メニュー"-"Windows アクセサリー"-"リモートデスクトップ接続”
とやると、セットアップのダイアログボックスが表示されから、
ここで、サーバーのコンピュータ名、アカウントなどを設定したあと、接続を指示すれば数秒後には繋がって、クライアント側のマウスとキーボードからサーバー機を操作できるようになる。
(このとき、サーバー側はログイン画面に戻ってロックが掛かる。)

 下の画像は、リモートデスクトップでつながった新自作機のデスクトップの一部がクライアント機画面のの右上に表示されているところを示すキャプチャー画像である。

 リモート機のデスクトップはフルスクリーンからタスクバー上のアイコン(=ミニマム) まで自由に表示サイズを変えられる。
リモート機で時間が掛かる処理を始めたらウインドウサイズを縮めて隅の方に持って行き、クライアントの画面を広く使って "こちら側の作業" を行うことができる。


 アプリケーションのインストールにリモーとデスクトップを利用するようにしてからはアプリ・インストール作業を格段楽に進めることができるようになったが、この間も、ミニディスプレイとミニキーボードは繋いだままにして置いた。

 サーバの設定の一部には、リモートからできない項目があるので、必要になったときはいつでも、リモート接続を解除して自立モードに戻し、ミニディスプレイ・キーボードから操作できるようにしておくためだ。

(5) アプリケーションが揃ってほぼ完成!
  必要なアプリケーションのほぼ全てのインストールが終わると新自作機のデスクトップは下のようになったが、まだ暫くの間は味見期間が続く。

 新自作機のステータスに対応して、ファイルマネージャ(TotalCommander)には目下開発中のβテスト版を入れてある。
その他に細かいセットアップをやり切っていないアプリもいくつか。 複数アプリ相互連携の設定も一部しかできていない半熟状態だがハードとしては出来上がっているのでフルパワーで動作できる。

 必要なときは随時、常用機からリモートデスクトップで制御し、新自作機の強力な処理能力を活かした作業が行える。


☆ 新自作機の性能

(1) エクスペリエンス・インデックス
 新自作機はどの程度の性能が得られているか?
簡単に比較するには Windows エクスペリエンス・インデクスを使うのが一番と思ったのだが、Windows8 以降はこのテストツールのユーザー・インターフェースとなるフロントエンドが付いていないことが分かってがっかり。
 コマンドラインから "Winsat" を呼び出して測定。 得られた結果を XML 形式で適当な記録メディアに書き込んだのを読み出し表示させる、という手順を踏めば良い事は分かったが、"Linux機" でもないのに CUI からコマンドラインを打ち込んで操作する気にはなれない。

 エクスペリエンス・インデクスは広く行き渡って皆が使ったものだたから、きっと "穴埋めアプリ" が出ているに違いないと思ったのでネット検索をしてみたら、"SoftwareOK.com” からそっくりさんをダウンロードできることが分かった。

 32bit版と 64bit版、通常版とポータブル版の総当りの4種類が提供されていたが幅広く使えることを考え、 32bitポータブル版:  "ExperienceIndexOK_Portable.zip" をダウンロードした。
アーカイブを解凍して出てきた "exe" ファイルを USB メモリー・スティックにコピーし、対象機の USB ポートに挿入して実行したら下のような結果が得られた。


 左は新自作機である。
一番低いスコアーになったのはプライマリー・ハードディスクで 8.2 となった。

 信頼性を重視して在来型の SATA 接続 SSD を使ったためだが、CPU、メモリーなどは 9 オーバーで申し分ない高得点で、下に並んでいる既存機とは段違いの高性能が得られていることが分かる。

 既存の常用 Windows10 機である。
 A12-9800 APU、メモリー 8GB のシステムだが、ブルースクリーンの発生を抑えるため NVIDIA Geforce GT-1050 グラボを追加している。
 グラフィックスの 6.9 が最低値になっているが全体的にはまずまずの数字になっている。

 こちらは、今年の春まで常用機だった Windows7 機だ。
 AMD FX-8320E 8-core 3.2GB + NIVIDIA GT-710 の 32Bit Windows7 機で CPU とメモリー(4GB) はそこそこの値になっているがグラフィックスは 5.1 に留まっている。


☆ 今度の自作で気が付いたこと2、3

 今回の自作で引っかかった問題や気づいたことで一般性がありそうな事項を2、3書きだし、ここまで拙文を読んでくださった方へのお返しをしたい。

(1) SMBエンジンの更新により NAS へのアクセスがブロックされた
 新自作機の共有フォルダーの LAN への公開は簡単にできたが、ホーム LAN 上で動いている NAS に接続できない事が分かって大いに当惑した。

 この NAS は Baffalo ルータの USB3 ポートにつなげた4TB HDD による簡易 NAS だが、我が家の全情報資産の主貯蔵所であると同時に、異種OS機器の間でデータを交換するときのハブとして重要な役割を担っている。
 一応 USB3 モードに設定してあるにしてはスループットが遅いような気がしているのだが、この先代の IO Data製 NAS がレスポンスが非常に遅く、それが原因と思われるアクセス不調になったあと HDD のリカバリーもできなくなってお亡くなりになった、と言う風な事故の心配をしなくて済むのが最大の取り柄だ。
さらに、メーカーから提供されているアプリを使うと外出先の携帯端末から安定したアクセスができるのが嬉しい。

 Windows10 pro 常用機をはじめ、Windows7機、Android 携帯端末など、既存の全てのシステムがこの NAS へ安定して繋がっているのに新自作機の Windows 10 pro だけは何故か繋がらない!
既設のパソコンから見えている NAS のデバイスID を使い、ブラウザーのアドレスウインドウに
"file://デバイスID"

と打ち込んで強制的につなごうとしたら左のようにエラーメッセージが表示され、
"この HDD は安全でないためファイル共有には接続できません。 この共有には最新でない SMB1 プロトコルが必要です。…"
と言う。

 このエラー・メッセージの終わりのところに書いてある Microsoft社サポートページの URL を糸口として障害回避法を探索した結果、"Windows と Windows Server で SMBv1、SMBv2、SMBv3 を検出する方法と有効または無効にする方法" というタイトルのページに辿り着くことができた。

 このページの記述に従って、
"メニュー"-
"Windows システムツール"-
"コントロールパネル"-
"プログラムと機能"-
"Windows 機能の有効化または無効化設定"
とメニューを辿って左のように
"Windows の機能"ダイアログボックスを開き、
"SMB 1.0/CFS File Sharing Support"
にチェックを入れて SMB V1.0 をアクティブに設定した上で PC を再起動してみたらあっさり NAS へ繋がり、
"めでたしめでたし" と言う決着になった。

 それにしても、同じ Windows 10 なのにリビジョンが変わっただけでひと言のお断りもなく、既設の周辺機器に繋がらなくなるのは、Linux のように只で配っているものでなく、万円の桁の金を取っているのにケシカランと思ったことだった。

(2) アプリケーションのインストーラが Windows ディフェンダーに阻止される障害が頻発する

 Total Commander の次期開発β版を入れようとしたときインストーラがブロックされ、左のように危険なソフトのインストールを強行するかどうかを問うダイアログボックスが表示された。

 "実行しない" はないので
"詳細情報" をクリックしてみたら前途が開け、インストール処理を続行できる様になり、以降の処理は正常に進行し、無事にインストールできた。


 ところが、山岳展望シミュレーションの定番、カシミール 3D の最新版 v9.34 のインストールは、インストーラ走り出して数秒後に
Runtime Error
内部エラー: Failed to expand shell folder constant "commondocs"
というエラーメッセージが出て停止し、その先にどうしても進めない。

 アクションセンターに左のような履歴情報が残されているのを見つけたのでアプリのサポート・サイトに行き、状況を書き込んで対策を聞こうとしたが書き込みの途中でスパムブロックに引っかかり、障害の状況の説明が尻切れトンボになってしまった。

 アプリケーションの開発者から回答が得られる見込みがなくなったため、時間をかけて自力で解決するほかはないと覚悟し、カシミールのインストールはひとまず置いといて、ほかのアプリケーションのインストールに移った。
 ところが、その何番目かに HDD/SSD ディスク・モニターの定番として広く使われている CrystalDiskInfo をインストールしようとしたらまた同じようにインストーラがブロックされてしまった。

 そこで腹を決め、本腰を入れて解決策を探索することにした。

 

 いずれも Windows セキュリティによってブロックされている事は間違いないので "Windows セキュリティー" を開き、
"ウイルスの脅威の防止"-
"ランサムウエア防止の管理" -
"アプリをコントロールされたフォルダー アクセスで許可する" を見たら左のように Diskinfo62.exe と、
kas934m.exe と、インストールに失敗していたふたつのインストーラをブロックしている旨の表示が出ていた。

 そこでこれらを選択して "+" をクリックして許可し、あらためてインストーラを実行してみたらインストーラが走るようになり、無事にインストールができた。

 これは、ランサムウエアに対する防御を強化したセキュリティー対策の副作用と思われるが、昔からあって広く使われ、定番になっているアプリケーションでも更新があると見慣れない怪しいアプリのひとつと見なされるようになり、問答無用でブロックされてしまうのは、いくらセキュリティートとのレードオフだと言っても、ぶっきら棒の度が過ぎている。

(3)ストアアプリは曲者
 Windows にも Apple ストアや Android の Play Store と同じような "Microsoft ストア" という物があって "ストア・アプリ" をダウンロードすることができる。

 ストアに出ているアプリを眺めてみたら大多数がゲームソフトだったが、それらの中に  Irfanview が出ているのを見つけた。
デジカメ画像のチェックや軽いリタッチなどに使っていて愛用ソフトの最右翼なので、ちょっと味見を、とダウンロード・インストールしてみたら、在来の Irfanview と様子が違ってアプリの実体がローカルのストレージに書き込まれなかった。

 ネットに出ている解説を見ると "Microsoft ストアアプリ" は "UWP(Unversal Windows Platform)" と称するコンセプトによるもので、インストールするとアプリケーション・プログラムの実体が PC のシステム・ストレージに書き込まれるようなものではない事が分かった。

 作業する都度発行されるリクエストに対して、"ネットのあちら側のストア" から必要なパッケージがローカルに送り込まれ、サンドボックスの中で実行される。
作業が終わったあとは出力ファイルを残してほかのファイルはすべて消去される仕組みになっているので、セキュリティーが高く、異種OSへの対応が容易になるのだと言う。

 昔、Sun Micro が提唱したアイデアが、Googleの  Chrome Book によって実用化が進められてている "Thin Cliant" にヒントを得た "クラウドアプリ" の一種のようだが、いずれにしても、ほかのアプリとの連携セットアップが困難であることが分かったので "使い物にならない" と判断し、直ちにアンインストールした上であらためて開発元のダウンロードサイトに行き、最新版の在来タイプインストーラをダウンロードし、これまでと同様のインストールを行った。
 

(4) もっと広く活用したいリモートデスクトップ
 今度の自作機のアプリケーションインストールではリモートデスクトップが大活躍した。
一部の設定はコントロールパネルからでないとできないが、それ以外の大多数のインストール/セットアップはリモートから行うことができるから、とても利用価値が高い。

 Windows Pro エディションでないとリモートデスクトップ・サーバのセットアップができない、という制限があるが、クライアント側のパッケージはエディションに関わらず付いてくるので、市販の Windows パソコンがフル機能のクライアントになれることが重要だと思う。

 Windows Pro エディションが稼働する高パワー PC が1台あればこれをリモートデスクトップ・サーバとして動かせるようにセットアップすれば、 LAN で繋がっている全ての Windows  機がリモートデスクトップ接続のクライアントになれる。
 モーバイルノート機など、非力な PC でも強力なサーバー機にリモートデスクトップで接続するれば、あたかもサーバー機のパワフルな処理能力が乗り移ったかのかのように高速な処理ができる。
セキュリティーサポートから外れた古い Windows パソコンをターミナルとして有効に利用することもできそうだ。

 リモート・デスクトップのこのような効用に気付いたお蔭で、非力で使い道がなくなっていた windows10 初期の 2 in 1 モバイルノート: ASUS T100HA が生き返った。
茶の間のテレビの前から "我が家のコンピュータ室" においてある常用機にリモートデスクトップで接続する事によって桁違いに強力な処理能力を持っているシステムであるかの様に使うことができる。

 使用が終わったあとシャットダウンせずスリープするようにしていれば、サーバPC がリモート接続クライアントの起動停止に追従して自動的にアクティベートするようになり、それぞれを個別に起動停止する必要がなくなる。
 クライアント機のキーボードのどれかひとつを叩くと回りにある数台のPC全てが目を覚まし、動き出してくるのはなかなか気分の良いものである。


 いささかお遊びが過ぎるかも、と言う感じの話になるが、複数の Windows Proエディション機があれば、カスケード・リモートデスクトップ接続で、親亀-子亀-孫亀式に繋がった左のような状態を作る事ができる。

 3台のPCを一対のキーボード/マウスから操作することができるようになるのだが、それぞれの PC は独立していてフルパワーで作動できるから、作業によっては非常に役に立つことがありそうだ。

 悪乗りすればこのカスケード接続を4段、5段と延ばして行くこともできる筈だ。
これまでのパソコンの使い方とは異なるなにか面白いことができるかも、と思っている。
 

 なお、Windows Pro 機がなくても、リモートデスクトップを利用することは可能である。
昔から定番ツールとして知られているのはVNC であるが Chrome ブラウザーの拡張アプリ:Chrome リモートデスクトップを使えば簡単にリモートデスクトップ接続ができるので便利だ。

 Chrome ブラウザーで "Chrome リモート デスクトップ" を検索すると Chrome ウエブストアのインストール画面になるので画面右上の "Chrome に追加" ボタンをクリックするだけで簡単にインストールできる。

 "Chrome リモート デスクトップ" が良いのは、無償で使えるフリーウエアであることと、Chrome ブラウザーが動いている環境なら、OSの如何に関わらず、 Linux(iOS) でも  Android でも繋がることである。

 ウインドウサイズに制限があったり応答が遅かったりするが時たま Windows 常用機から Linux Mint 機を操作するなどに使うには便利である。


☆ あとがき
  今度の自作機は、部品の調達からアプリケーションインストールが一段落するまで長い月日がかかった。
コストも従来の自作機の3倍近く掛かったが、それなりの性能が得られ、少々ゲームマニアの若者でも満足できる水準の性能が得られた。

 ゲームはやらない、動画像やデジタルオーディオ音源などのストリーム系データ処理もたまにやるだけ、と言う年寄りゆえ、この自作機に入れたアプリで一番重いのは GIMP と Fijifilm製フラグシップ ミラーレス の RAW 現像ツールくらいだが、これらが A12-9800 プロセッサーの既存常用機とは段違いの速さで動作する事が分かった。

 "終活期老人には猫に小判だ" と言われそうな気もしないでもないが、今生の持ち時間の残りが僅かになった老人は出来るだけ早い機械を使って貴重な時間を有効に使うべし、という理屈もありではないだろうか?

ページ先頭