Intel Atom330 マザーのコンパクト自作PC (2010.1.28, 7.10改)


☆まえがき
    一昨年の暮、我が家のホームLAN のサーバを更新するため Intel製 D945GCLF2 mini-ITX マザーボードを購入しました。
 大きなミッド・タワーケースに組み込んだのであり余るほどの拡張性を備えたハードシステムに組みあがったのですが、持ち主の怠慢が原因で真っ当なサーバとして必要なソフト環境の構築ができませんでした。

最初に試した Windows Home Server2003 はあまりに作り込まれすぎていて、Windows 95 時代に構築した自己流ホーム LAN 環境に馴染まず。
これではとても好きになれないと感じたので放り出しました。

 次に Ubuntu Linux を試しました。
外向きのウエブ/FTP・サーバは割と簡単に構築できることが分かったのですがそれより重要な内向き機能のセットアップが問題でした。
こちらで中核的な機能となる、プリンタドライバーの導入と共有設定の難度が高かったり、ファイル・バックアップの仕組みをどう構築すればよいのかよく分からなかったり、年寄りがサーバを仕立てるには勉強しなければならないことが多すぎると感じました。

  投入以来4年経った Windows XP Pro 自作サーバー機が曲がりなりにも動き続けていたこともあって、切迫感がなく、作業が停滞したまま月日が経ってゆきました。

  そんなこんなでモタモタしているうちに Windows7が出てきました。
新しい OS は評判も悪くなさそうなので、 その味見をするため HD(High Definition) ビデオとの相性が良いということで評価されている AMD 785G チップセットと AMD 45Watt シリーズの  AthlonII X2 240e とを組み合わせた自作機を組み立てました。
この新自作機、普段使いの常用機のあと継ぎ候補として組み立てたのですが、共有プリンターに繋ぐセットアップで障害に突き当たり、その回避策を探しているうちに突然考えが変わり、いっそのこと新 Windows7 機をサーバにしてしまえば良いではないか、と思い付きました。
こちらをサーバとして設定してみたら Windows XP機はもちろん、VISTA機や Ubuntu機を含め、ホーム LAN 上の全てのPCで、いとも簡単に共有プリンターの設定ができてしまいました。

  魅力一杯なのにサーバ機では使われないことになって行き先を失った Atom330 マザーボードをこのまま放置しておくのはあんまり勿体ないので廃棄寸前だった老朽スリム・ケースをリフレッシュしてその中に組み込み、サブマシンとして格好な、チョッと洒落た感じのPCに仕上げました。

☆マザーボード
  D945GCLF2 は Intel社がネットブック機/ネットトップ機用に売り出した超低電力デュアルコアー A330 CPU に少し古いノートパソコン向けチップセット 945G を組み合わせて作った mini-ITX サイズのマザーボードです。

  172mm×172mm と言う超ミニサイズながらディスプレーアダプタやギガビット・イーサなどを搭載したオールインワンマザーボードなので、適当なメモリーを追加してケースに組み込むだけで擬似4コア CPU を搭載したソコソコの性能の自作機ができます。
初心者でも容易に体裁のよいコンパクト機を自作できることが受け、ちょっとした ブームの起爆剤になりました。

  ネット上にもこのマザーボードで組み立てた自作機に  Windows XP/7 あるいは Ubuntu Linux などを組み合わせてよい結果が得られたという情報が多く出ています。

☆ケース
  最近、ミニサイズ・マザーボードが流行っているお蔭で、自作ショップに行くと、色々なコンパクトケースが置いてありますが、体裁が良くて凝った作りのものが多く、どれも割合高価です。
  お金を使うより頭を使うことにし、老朽化で廃棄寸前だった2002モデルの micro-ATX 用スリムタイプ ケースを再生利用しました。
このケースは当時最新だった VIA C3 800Mhz CPU を搭載した TurboLinux の味見専用機を組み立てたときに入手したものですが、その後、Mobile Athlon 2600+ を搭載した Micro ATX ボードに組み替え、 Ubuntu Linux を走らせていました。
ところが、昨年の夏に電源ユニットの冷却ファンが壊れて回らなくなったのがもとでケミコンがパンクしかかったため使用を中止。  粗大ごみに出そうか出すまいか、部屋の隅に置いてありました

  このコンパクトケースの内蔵電源ユニットを新品と交換できれば一番良かったのですが特殊規格だったのが生産中止になって数年経ち、新品の入手は不可能になっていました。
  パンクしかけているケミカル・コンデンサーを交換できないだろうかと、ケー スを開けてみたのですが、内部の部品がみな接着剤で固定してあって分解修理は難しいことが分りました。
そこで類似サイズの小形電源がないかどうか、インターネットで探し物をして見ることにしました。

  一般的な ATX 規格準拠の電源ユニットはいくらでもあるのですが、小形の物はごく少数で、僅かに Flex ITX と言う規格に準拠したものが2、3種類見つかっただけでした。
それらの中で AOpen 社から出ている 200Watt タイプのものが使えそうでした。
ネットで分かった情報の大要は下記の通りです。
AOPEN製 FlexATX 電源 ¥3,290
FSP200-60SAV BB型 容量 200 W
サイズ 86x65.5x174.9 mm
形状がよく似ていて縦横のサイズが数mmずつ小さいから少し工夫すればケースの所定スペースに納められそうだ、と思いました。
代引き通販で購入したら運賃・手数料込みで4000円あまりになりましたが、新しいケースを購入すれば7、8000円超ですからその半分程で済んだことになります。

☆ケースのリフレッシュとハードの組み立て
  このケース、電源が壊れかかっていたばかりでなく、フロントパネル USB コネクター(2P) の接触ピンが長年使っているうちに変形し、壊れていました
ついでの時に秋葉原のパーツショップに立ち寄ったら僅か70円で交換用部品(左の写真)を入手できたのですが、パネル裏側に固定されている小さなプリント基板に半田付けしてあるのを外すのが意外に大変でした。
  視力が落ちて細かい物が見え難くなっているのと半田コテや半田除去具の使いかたが下手になっていたため、長時間掛かってやっと取り外し、どうにか新しいものと交換できました。

  電源ユニットの交換も少々時間が掛かりました。
取り付けスペースに問題ないことはすぐに確認できたのですが干渉している所があって定位置にスンナリ収まりません。

  まず背面の AC コネクターの角が旧電源ボックス取り付け穴のフランジと干渉しているのをハンドニブラ-で切り落とし、ヤスリで仕上げてシックリ嵌まるようにしました。
  もう一箇所はケース底面にある突起でした。
ケース底面にプレスのエンボス加工で形成した突起があり、それが電源ボックスの底面にある切り抜き窓に嵌まって位置決めが安定するようになっているのですが、両者の位置が2、3mm 横にずれたため少し傾いて固定され、それがもとでケースの蓋が干渉し、閉まり難くなってしまいました。

  突起の一部をニッパーで切り離して引掛け爪として機能するように変えたあと、電源ボックスの切抜きをハンドニブラーで少し広げ、真っ直ぐ正しい位置に固定できるようにしました。
  取り付けネジの位置が違っているのは仕方ないので左の写真の赤矢印のように、スクラップボックスから拾い出してきた金属片を材料にヤスリやハンドドリルで加工して締め金具を作りました。

  マザーボードの方は標準サイズですから取り付けに特に問題はなく、ケース既設のマウント・ポストを使ってスンナリ固定できました。

  ハードディスクはミッド・タワー・ケースから取り外してきた 250GB ATA ドライブを2台用マウンターの片方に装入。
オプチカルドライブは今後の利用を考えて LG 製の新型 ATA スーパー・マルチ・ドライブに交換しました。
フロッピィー・ディスク・ドライブは、マザーボード自体に接続コネクターがないので装着せず、ベイの蓋を閉ざしてしまいました。
ここは将来、追加ハードディスクを収容するシャドウベイとして利用できます。

  以上でハード部品の組み込みは終わり、3.5" ドライブ・ベイがふたつ空いた状態で残ることとなりました。
2台のディスクドライブはマザーボードの IDE コネクターに繋がるのでふたつの SATA ポートが空いたままとなり、スリムケースには似合わない拡張性が確保できました。
☆ワイヤーリングと BIOS 起動確認
 
ハードの組み立てが終わったあと引き続いて結線作業を行ないました。
構成が簡単なのとスペースに余裕があるのとでごく短時間ででき、組みあがった状態は、左の写真のように、程よい余裕のケースに良い感じで収まっています。

  ディスプレイ・キーボード・マウス・AC100V を繋いで電源ボタンを押したら、BIOS 設定の確認をするまでもなく、BOOT 画面から Ubuntu Linux 9.10 DeskTop が起動し、あらためて OS をインストールことなく稼動状態になってしまいました。
☆余裕があるCPU能力
  持ち主の高齢と怠慢が原因でサーバになり損ねたマザボを利用した A330 機ですが、CPU は擬似デュアルコアー2ダイで、擬似4コアーシステムとして作動します。


  左は Ubuntu 9.10 付属のシステムモニターで見た CPU 負荷などのスクリーンショットです。

  Skyrocket と言う、CPU 負荷が結構重い3D 動画のスクリーンセーバが動いていた直後の様子を見たところでは、1、2の CPU にはソコソコの負荷が掛かっていたがそのほかはブラブラ遊んでいたことが分かります。

  これまで Mobile Athlon 2600+ シングルコアー CPU にメモリー1GB のシステムを Ubuntu 味見用に使っていましたが、CPU が 1.6GHz の擬似4コアーでメモリーも2GBあるこちらの方がワンランク上であることは明白です。

  VirtualBox 内 Windows XP 上の MS Office 2003 の動きが、今のメモリー1GB シングルコアー機ではいささか鈍重ですが、メモリー2GB の擬似4コアーシステムではかなり改善すると期待できそうです。
このあたりをトライしてみて調子が良いようだったら、Ubuntu 味見機はこちらに乗り換えることになるでしょう。

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[追記]
1. Windows7 のこと

   LAN サーバになった AthlonII X2 + Windows7 システムの調子が良いのでこの A330 機にも Windows7 Pro を導入し、もし調子がよかったら常用機にしてみようか、と思いました。
そのために2本目の DSP 版 windows7 pro を入手したのですが、上に記したように組みあがるとすぐ Ubuntu がスンナリ立ち上がってしまったので、暫くの間は Ubuntu で動かしてゆく考えになりました。

  折角購入した Windows7 が一時的に使い道がなくなったのですが、新OSをこのまま放って置いたのではあんまり勿体ないので、だめ元と割り切って Lenovo ThinkpadX61 サブノート機に入れてみることにしました。
2007年8月製で Windows XP ダウングレード権つきの VISTA が入っていた1スピンドル・モーバイル・ノートです。
  前もって BIOS のアップデートを行う所から作業しなければならないので少々手間が掛かりましたが、外付け DVD ドライブを使って1時間ほどでインストールした Windows 7 は非常に好調です。
VISTA の欠点の筆頭格だった、ズルーッとした動きが影を潜めてキビキビ動くようになり、ほとんど XP 並みの俊敏さを取り戻しました。
ライセンス認証も問題なくできたので細部のカスタマイズを進め、長く使って行けるようにしたいと思っています。

  この結果、デスクトップ/サブノート各1台保有していた VISTA 機が全滅し、全て Windows7 に移行してしまいました。

2. BIOS Boot device の設定
  メモリーを2Gbyte に換装し、Ubuntu が調子よく走ることが確認できたのでこれを Ubuntu メイン機に格上げし、ゴールデンウイーク明けに出た10.04LTS(Lucid Lynx) にアップデートしてさまざまなテストに使用しているのですが、BIOS の起動に関する設定で少しひっ掛った所があったので後々のため記録しておきます。

2-1. Boot Device Priority

    10.04 の Live CD から更新をしよとしたところ、内蔵オプチカルドライブを認識せず、HD の 9.10 ばかり立ち上がります。
とりあえず外付けの USB CD ドライブを繋いでみたら、こちらからなら Live CD 起動ができることが分かったので用を足らせました。
故障かと疑った LG製スパーマルチドライブは旧型 Liteon製に交換していたのですが、あとで調べてみたら  BIOS の Boot Device 優先順位の設定が原因と分かりました。(ご粗末)
Boot Device のトップにあった内蔵 HD の順位をオプチカルドライブより後に変更したところ、あっさり問題解決となりました。

2-2. USB メモリーからの起動
    次は USB メモリーに仕込んだ Ubuntu の起動ができないと言う問題にあたりました。
Bootable USB システムの作成は至って容易で、ここ5年以内くらいのノートPCにちっちゃなマイクロSDに入れたシステムを挿入して簡単に Ubuntu 機として動作させられるようになったのですが、肝心のベースマシンは BOOT ERROR となってしまいます。
あちこち調べたら、海外の Q/A サイト:
http://www.tomshardware.com/forum/262853-30-intel-d945gclf2-mini-boot-stick

"I have two USB sticks, one with Clonezilla and the other with GParted.
Sticks are recognized by D945GCLF2, they do appear on the BIOS boot options and it is possible read their contents (Windows).
The problem happens on all USB ports but only on that board - every other board I have boots OK with them.
I have tried every possible BIOS setting but always get Boot error.
I'm running the very latest BIOS version.
What may be the problem?"
と言う質問があり、それにに対する Best Answer として
"I have same problem and experimental this solution refer to mainoard INTEL D945GCLF2.
In BIOS SETUP select BOOT and set item USB MASS STORAGE EMULATION TYPE to All Fixed Disc."
と言うのが見つかりました。
これに従って BIOS の設定を変更したところ、あっさり解決に漕ぎつけた、と思ったのですが、今度は CD/DVD からの Boot Up がうまく行かなくなりました。
あちらを立てればこちらが立たず。 随時で BIOS 起動時に F2 キーを叩いて Setup を変更しなければいけなさそうです。  (July 2010)