Android System の root 化 (2012.12.30)


☆まえがき
  Lenovo 製 の 7inch Android タブレット: Ideapad A1 を手に入れて遊びだしてから10ヶ月ほど経ちました。
ホーム LAN 環境での WiFi 接続、モーバイルルータと組み合わせたモバイル通信、内蔵 GPS の活用などに習熟してくるとともに、エントリークラス・タブレットの性能限界が見えてきました。
3G 通信回線にしか繋がらない山間僻地での運用が多く、動画も見ないので 1.0GHz シングルコア CPU の非力はあまり気にならないのですが 2GB しかない内蔵 SD (PCのハードディスクに相当)の容量制限はとても窮屈です。
  マイクロ SD スロットに 16GB SD を挿入してユーザーデータはそちらに移動。
さらに App2SD と言うアプリを使って導入アプリは極力そちらへ移動するようにしましたが Google Play Store で見つけた面白そうなアプリを入れようとすると、ギュウ詰めになっている内蔵 SD から既存アプリのどれかを外して隙間をひねり出さなければなりません。

  どうにかしてこの制限を打開できないものだろうか?
あれこれ調べてみるともし root化がうまくできればなんとかできるかも、と言う事が分かりました。

root化に成功した Ideapad のホーム画面


  root化に成功すれば link2SD と言うアプリを導入し、外部 SD に設置した第2パーティションを擬似的に内蔵 SD 拡張部分として見立て、大多数のアプリをそちらへ移動できるようになります。

  ただし、root化は超の字付きのハイリスク・ハイリターン技法です。
もし失敗すれば全く起動不能な、いわゆる文鎮化(英語では Bricked=煉瓦化)と言われる最悪の事態に陥ります。
  また、root 化を行ったあとはメーカの保証外となるので、何かで故障した時の修理も受け付けてもらえなくなるおそれがあります。
そんな訳で暫くの間躊躇っていました。

  しかし、Ideapad A1 は早い時期にリーズナブルな価格で売り出されせいか、大勢の物好きが飛びついたようで、割りと豊富に root化関係の情報がネット上に公開されています。

  それらを見ると、なぜか V2.3系 Android では省かれてしまったスクリーンショット機能や、ホーム LAN に繋いでシームレスな双方向ファイル共有を行うための samba Filesharing など、Android システムを一人前のパソコンとして運用するのに必要なツールの多くが、root化を行うことによってはじめて利用可能になることが述べられていました。

    何れにしても練習機として入手した Ideapad はその役目を果たすとともに性能の限界に達しています。
このままでは早晩、新鋭機に乗り換えなければならないところに立ち至っているいるのだから、ここは大一番、先行き短い年寄りのクソ度胸で取り組んで見ようと決心しました。

root化敢行の結果は 「案ずるより生むは易し」。
案外楽にできてしまいました。

  これにより、貧相なエントリー・クラス・タブレットだったのが目覚しい変身を遂げて大幅に性能が向上。
当分の間は十分使って行けるのではないか、と感じるほどの強力マシンになりました。

以下、そのあらすじを紹介し、大方の (とりわけ、お金持ちでないお年寄り) の参考に供したいと思います。

また最近入手した、超小型 Android V4.1 システム: Rikomagic MK902Ⅲが Android による超快適デスクトップPC環境の構築に役立つことを発見し、さらにその root化にも成功したので、その概況もあわせて報告しようと思います。

☆Ideapad A1 root化の情報ソース

  Ideapad A1 は早い時期にリーズナブルな価格で売り出され、仕様も魅力的だったせいか、エントリークラスと言われている割にパワーユーザが多いようで、root化関連の情報が割りと豊富に得られます。

  ネット検索で見つかった root 化情報をあれこれ見回った結果、「お部屋でモバイル(iPod と Ideapad Tablet A1 で遊ぶ)」 と言うタイトルのブログの 「Lenovo ideapad a1をroot化してみる」 と言うセクションの記述が一番良いと思ったのでこれをなぞって作業を進めました。

☆root化の作業

  上のブログにはroot化の作業手順が分かりやすい箇条書きで記されています。
重複しますがあえてソックリコピーすると下のようになります。

1.「Trash 915: 何か - 2643_ROW用」から、「patch-rooted_signed.zip」を入手する。

2.zipファイルのファイル名を「update.zip」にリネームする。

3.microSDカードのルートディレクトリにコピーする。または、内部SDのmnt/sdcardにコピーする。
 内部SDはお勧めできない。何かあった場合に、サービスメニューに入れないため何もできなくなる。

4.A1をシャットダウン(電源OFF状態)する。

5.パッチを当てる
 ・電源OFF状態でVOL[-]ボタンを押しながら、電源ボタンを長押し。
 ・Lenovoロゴが表示され消えるので、VOL[-]ボタンを押したまま、電源ボタンを離す。
 ・音量[-]ボタンを押し続けていると、パッケージ箱からドロイド君を取り出すようなアイコンとプログラスバーが表示される。

6.自動で電源オフされる

7.普通に電源オンする

8.アプリにSuperUserが追加されていれば成功

9.内部SD、外部のmicroSDのどちらかにおいた「update.zip」を削除しておく。
内部SDに「update.zip」があるとサービスメニューに入れなくなる。
  上で重要なポイントは、
1. 作業に取り掛かる前に手持ち Ideapad のファームウエア-バージョンを確認すること
2. 指示された 「Trash 915: 何か - 2643_ROW用」 から入手したアーカイブを 「Update.zip」 にリネームした上で、Ideapad の外付けSDのルートディレクトリーにコピーしておくこと
のふたつです。 ここらで間違いをしなければ大概は成功すると思います。

  なお、私はより確実にと言う観点から上の 1.から 3.の作業を、パソコンで行いました。
その場合は下のような手順となります。

1.まずパソコンで「patch-rooted_signed.zip」 をダウンロードし、適当な場所に保存した上で「update.zip」にリネームしておく。

2. Android 機をシャットダウンしたあと、外付けマイクロSDを取り出す。

3. カードリーダを使ってマイクロSDカードをパソコンに接続。

4. マイクロSDカードのルートディレクトリーに「update.zip」をコピーする。

5. マイクロSDカードを Android 機に戻して上記 5. 以降の手順を実施する。


root化成功後のアプリ・リスト

☆root化成功の確認

    root化作業が終わったら電源 ON して再起動し、アプリ・リストを確認すると、左のスクリーンショットのように superuser アイコンが現れていて成功したことが分かりました。 (左スクリーンショットの 赤い丸の中)

  確認が済んだらもう必要がなくなった Update.zip を SD から削除します。

  引き続き、root化の確認を兼ねて、Total Commander for Android (2 windoews タイプ ファイルマネージャ)の設定メニューに入り、「どこでもルート権限」の設定を行ってみました。

  設定ページでチェックボックスにチェックを入れると、 「superuser」が立ち上がって、権限授与の可否を確認するダイアログが現れ、root化ができていることを再確認しました。
  この権限設定を行うと TotalCommander のアクセス権が強化され、タブレット内のすべてのファイルを見られるようになります。


☆screenshot の導入
  root化に成功したあと最初にやったのは
「screenshot」 の導入でした。
Google Android Play ストアにアクセスしてアプリの検索から 「screenshot」 を探しだして導入しました。
(左赤角枠内)

screenshot
  screenshot のインストールが終わったところで早速立ち上げたら左のような設定/コントロール画面が表示されました。
設定は各自便利なように適宜行えば良いのですが私は左のように待ち時間を15秒、ファイル形式は jpg にしました。
  以降、screenshot を立ち上げる毎にこの画面が表示されます。
画面キャプチャーを実行するときはカメラマークをタップしたあとキャプチャーしたい画面に移ってタブレットを揺さぶります。
  すると少し経って 「カシャーッ」 と言う音が聞こえ、表示画面のキャプチャーに成功したことを知らせるダイアログが表示されます。
キャプチャー画像は /mnt/sdcard/screenshots に
「shot_00000X.jpg」 として保存されています。

  Android V2.3 システムでスクリーンショットを取得するには、パソコンに SDK(Software Development Kit) をインストールした上で、デバッグモードに設定した Android 機を USB ケーブルでつなぐと言う、厄介な段取りを行う必要があって、一般ユーザには 「高嶺の花」 でしたが root化した Android 機なら screenshot を走らせるだけで手軽に画面キャプチャーができ、とても便利になりました。
このページでも screenshot で取得した画像を多数使用しています。

☆Link2SD の導入
  つぎは、今回の root化の本来の目的だった Link2SD の導入です。
まず Ideapad 外付けのマイクロSDカードに2つ目のパーティションを設置し、擬似的に内蔵SDカードの拡張領域として使えるようにておきます。
 
Link2SD の設定状況
十分に広い領域を、と思ったのでSDの全容量16GB のうち5GB を割り当てたましたが、実際には2GBもあれば十分だったようです。

  パーティション設置作業は Android 機ではできないのでパソコンを使って行います。
マイクロ SD に入っている既存データを破壊せずに新しいパーティションを追加設置できる非破壊パーティション・ツールが必要でしたが、使いものになるツールを探しだすのに少々手間取りました。
  Windows 7 内蔵のディスク・ツール、Ubuntu 12.10機の Gparted、Windows サーバー機に入っていた旧版 EASUS Partition Master のいずれもパーティション操作メニューがグレー・アウトしていて動かせず、サァテ困ったなぁ、となったのですがフッと思いついて2年あまり前の古いバージョンだった EASEUS を最新版にアップデートしてみたら即問題解決となりました。
  フォーマット形式は FAT32、ext2、ext3、ext4 のいずれかで良いと言うことでしたが、ext系パーティションではトラブルが出ているケースがあるようなので、安全第一で FAT32 形式にしました。
  パーティションを追加した SDカードを挿入したタブレットで Link2SD を起動し、使用パーティションのフォー-マット形式を指定したあとで再起動すると link2SD が使えるようになります。
擬似的に拡張した内蔵SDのエリアが使えるようになったお蔭で良さそうなアプリを片端から追加できるようになりました。
  左は Firefox、Adobe Flash などが拡張エリアに移動されて 「リンク済み」 になっている状態を示しています。
ただ、一部、link2SD で移動すると不安定になるアプリがあります。
それらは一旦アンインストールしたあとで再インストールし、 app2sd で内蔵SD に移動し状態で使うようにしています。

samba filesharing

☆samba filesharing の導入

    root化によって Ideapad で動かせるようになったアプリは数多く、それぞれ興味深いのですが、それらの中で最も重要なのは samba Filesharing と思います。

  samba はもともと linux システムを Windows LAN へ繋げるためのツールとして発達してきたものです。
すでに我が家のホーム LAN では2台の Ubuntu 機と3台の Windows7機、3台の WindowsXP機などなどとのファイル共有で活躍しているのですがこれを Android 機に導入すると3種の OS で動いている PC の間で双方向のファイル交換ができるようになります。

Android 用の samba Filesharing は Google Android Play ストアに無料アプリとして出ているのでそれをもらってきてインストールし、パスワードとユーザ名などを設定した上で有効化すると左のように 「Enabled-Running 」 状態となり、画面上の通知エリヤに "S"字マークが表示されます。

  この状態で Android から Windows の共有フォルダーにアクセスできることは以前と同じですが、その反対方向の、Windows機/Ubuntu Linux機のファイルマネージャから Android 機上の内蔵/外部 SD へのアクセスが可能になるところに大きな価値があります。

  下は、Windows7機上のファイル・マネージャ: Total Commander から Ideapad にアクセスしている状態で、右側パネルに android 機の2個の SDカードが表示され、それらの中に収容されているファイルを自由に操作できます。

Windows 機から Ideapad の SD カードにアクセス中
 

Ubuntu から Ideapad のファイルにアクセス

  Ubuntu機からも全く同様に Ideapad のSDカードにアクセスができるようになります。
アクセス時にユーザ名とパスワードを要求してくるダイアログも色合いがちょっと違うくらいで Windows のと全く同様です。

  左の画像はUbuntu12.10 の Unity デスクトップから Ideapad 外付け SD カード上、picture フォルダー内にあるデジカメ画像にアクセスし、画像ビューアーで表示しているところです。

 

☆Ideapad root化のまとめ

    以上、思わぬところで手間がかかったりしましたが無事に Ideapad A1 の root 化に成功し、ハイリスクを乗り越えたあとで得られるハイリターンを享受できるようになりました。

  内蔵 SD 容量の制限から解放されたメリットは絶大で、Google Android Play ストアに出ているアプリで役に立ちそうなのを片端からインストールできるようになりました。
その結果、もう黄昏かと思っていたエントリークラス・タブレットの機能が飛躍的に向上。
強力な PDA(ポータブルデジタルアシスタント)システムに変身しました。

  ディスプレイが眠たくて暗いのと CPU が非力、と言う難点はいかんともなりませんが、300万画素の背面カメラを備え、マルチメディア対応が良い点では今流行の NEXUS7 より優れているかも知れません。
いま暫く経ってクアド・コア CPU と、ハイレゾ背面カメラと、美麗な液晶パネルと、三拍子が揃ったタブレットがリーズナブルなコスト入手できるようになるまではこれを使い続けて行くことができそうです。
 
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☆Rikomagic MK802Ⅲ MINI PC for Android 4.1 の概要と root化

☆まえがき

    僅かなコストで液晶テレビを Android デスクトップPC に変身させる Rikomagic と言う面白いユニットがあるのですが日本語によるまっとうな情報が公開されていないようです。
その1機種 MK802 Ⅲ Rikomagic Mini PC for Android 4.1 の root化に成功したので、本編のおまけとして製品の概要も含めて紹介します。

  現物は下の写真のような全長 80mm ほどの黒いプラスチックボディーで、USB メモリースティックの親分のように見えるものです。
液晶テレビの HDMI 入力ソケットに差し込んで Android PC化というか、インテリジェント・マルチメディア・プレイヤー化することができます。
  本体の右側にテレビのソケットに挿入する HDMI プラグが突出、左側にはテレビの USB バスパワーから給電するためのマイクロUSB ソケット、およびキーボード・タッチパッドなどの周辺機器を繋ぐ USB ソケットが設けられています。
中身の要目は、
CPU: Rockchip 3066 Android 4.1, 1.6GHz Cortex-A9 (Dual Core)
GPU: Quad Core 2D/3D/OpenGL ES2.0(AMD Z430)/OpenVG1.1
DDR3 RAM: 1GB
Nand Flash: 4GB
Expan Memory: Micro TF2 32GB
OS: Android V4.1
となっています。

  写真の左下に見えるのは同時に購入したワイヤレスキーボードです。
19inch 液晶テレビに繋いだ Rikomagic をリモートで操作するのに適しているのではないかと思い、通販で調達しました。

Rikomagic MK802 Ⅲ とワイヤレスキーボード
☆情報ソース
    Rikomagic はもともと英国の会社だったようですが生産とサポートを行なっているのは中国深川です。
現物にはハガキ半裁サイズで表紙込み20ページのクイックスタートガイド的な説明書が付いてくるだけで初期セットアップにしか役に立ちません。
使いこなしに必要な情報は Rikomagic の Forum に出ています。
英語の交信を読み解かなければなりませんが少しばかりの辛抱をすることによりモロモロの詳しい情報を手に入れることができます。

    また、僅か$70でほとんど手間を掛けずに性能の良いパソコンができるせいか、欧米には熱心なマニア・グループの Forum があって活発に活動しています。
液晶ディスプレイに繋いで超小型パソコンに仕立てたのに Ubuntu linux を導入した話や、さらには Windows XP を走らせてしまった強者の報告も見られます。
いろんな国のマニア達が言語の壁を超えて情報交換する工夫として Yutube の動画を多用する動きがありますが、言葉は分からなくても “絵” を見ているだけであらましを理解できるのはありがたいです。
  あとで詳しく紹介しますが、タブレットから WiFi LAN経由、 Rikomagic システムのリモコン実演は、特に興味深く閲覧し、自分でも実験してみる動機になりました。

☆基本セットアップ
    Rikomagic のセットアップは至って簡単でした。
使用したテレビは Sharp AQUOS LC-19K5 で、セットの裏側にある3つの HDMI 入力ポートのひとつはすでに Ubuntu 自作機に占領されていたため、残りふたつの片方に HDMI 延長ケーブルを介して繋ぎました。

  電源はマイクロ USB ソケットから供給する事になっていましたが、接触が悪くて通電しなかったのでそちらは諦め、隣の USB ソケットを使うことにしました。
USB にはワイヤレス キーボードのレシーバーなど、様々な周辺機器をつなげる必要があるため4ポートのミニチュア USB ハブを差しこみ、そのひとつを電源供給用に割り当てました。
 
Android が起動したテレビ

  電源を入れるとまず Rikomagic のスプラッシュ画面が表示され、Android ロボットのアニメがでて OS 起動サイクルに移行。
10数秒で Android V4.1 が立ち上がってホーム画面が表示されました。

  左の写真は Android PC として立ち上がったテレビのデスクトップを示す写真です。

液晶画面の左脇にちょっと見えている黒い物が Rikomagic で、テレビの手前においてある弓なりかまぼこのようなものがタッチパッド付ミニキーボードす。
 

WiFi 設定画面
  ホーム LAN へスンナリ繋がるかどうかは不安要素のひとつだったのですが、左のようにタブレット機で見慣れたのと同じ SSID のリストが表示されたので、常用ワイヤレス・ルータを選び、その暗号化Key を入力したらスンナリ繋がりました。

  ひとつ問題だったのは、画面表示が不安定で頻繁にブラックアウトすることでした。
これも made in China の作りこみ不全で GPU まわりのバグか、と思いましたが、ふっと思いついて電源を5V2Aのスマフォ用充電器につなぎ替えてみたらピタっと直り、以降は至極安定して動作するようになりました。

☆root化
    Rikomagic と液晶テレビの組み合わせシステムは Google Android Play ストアから持ってきたアプリで自由にカスタマイズできます。
大画面で見られる Yutube などの動画コンテンツなどはなかなか楽しいのですが、リモコン用に購入したワイヤレスキーボードは "外れ" でした。
タッチパッド付きの小形キーボードとしてはよくできているのですが、生まれた時からこの方ずっと左ギッチョのままでいる年寄りには具合が悪いのです。
shift キーと Ctrl キーが左側にしかないためうまく操作できません!

  Windows機/Ubuntu機で愛用している Happy Hacking の小形キーボードを繋いでみたところ、それに繋がっているマウスともどもスンナリ認識して正常に動作し、快適に操作できるようになったのですが、英語配列のキーボードとして認識されるため、一部キーラベルと実際の入力とが違う所が出てきます。
英語キーボードを持ってくれば良いのですが手許にありません。

  キーボードの代わりに Ideapad タブレットを入力デバイスとして繋ぎ、タッチスクリーンとして使う事ができれば Android っぽい操作ができ、より快適になるのでは、と思いついたのであちこち探してみたら、 "DroidMote turns an Android phone into an MK802 remote control" と言うタイトルのウエブが見つかりました。
ナレーションは英語ですが動画による詳しい動作の説明を見て、これだっ、と思いました。

  ただし、これを動かすには Rikomagic を root化しなければなりません。
Ideapad と違って Rikomagic は国内ではまだごくマイナーな存在にとどまっているせいか日本語で記述された root化の情報は見つかりませんでした。

  サテどうしたら root 化ができるのだろうか?と思っているうち、Rikomagic のフォーラム: Rikomagic MK802 Forums に 「Recovery firmware for MK802 III」 と言うタイトルでファーム・ウエア・アップデート告知が出ているのに気が付きました。

  指示された URL: http://www.sendspace.com/pro/dl/xrjnx4 からダウンロードしたアーカイブ(1129 MK802III update FW(TF card).zip) を解凍。
出てきたファイルの中にあった 「1129 fix list and update method.txt」 を読んでみると、"rooted" と言う文言が見え、これでやれるみたい、と思いました。
 
Firmware アップデート中

  アップデート法も Ideapad より一段易しいようで、 ルート・ディレクトリーに Update.zip をコピーした外付けマイクロSDを本体のスロットに挿入したあと電源を入れて起動するだけ、と書いてあります。

  善は急げとばかり早速やってみたら、Rikomagic のスプラッシュ画面が表示されたあと、左のようにロボットのお腹が開いて原子核がグルグル回りながら入ってゆくような動画が表示されてアップデートが進行。
2、3分かかって終了しました。

root 化後の Rikomagic ホーム画面

☆各種アプリの導入
  更新が終わったあと、TotalCommander の "どこでもルート権限" で設定ダイアログを呼び出して本当に root化ができていることを確認。
さらに Ideapad のときと同じ様に、screenshot、samba filesharing などをインストールし、使い勝手の良いシステムに仕立てることができました。
  左は screenshot でキャプチャーした Rikomagic システムのホーム画面です。
横長でタブレットとは違うレイアウトになっていますが操作性の良いデスクトップになっています。

☆Droidmote の導入

  root化ができたのでいよいよ Droidmote の導入にとりかかりました。
Droidmote については、DroidMote Server and Client Support Forum にフォーラムがあり、英語メッセージを読み解く努力を厭わなければ様々な情報を入手することができます。
アプリは Rikomagic 側に導入するサーバアプリ(有料)と、タブレット側に入れるクライアントアプリと、双方とも Google Android Play ストアに出ています。
それぞれをダウンロードし、Rikomagic にサーバを、 Ideapad にクライアントを、インストールしました。
 
Droidmote server 起動後の画面


  Rikomagic 側に入れたサーバーのセットアップを行ったあとアクティブにし、タブレット側のクライアントを起動して所定のID/パスワードと接続暗号を使ってサーバにアクセスしたところ一向に繋がりません。

  色々弄っているうちにサーバ側には前もって busybox をインストールしておく必要があった事に気が付きました。
busybox は 「組み込みLinuxの十徳ナイフ」と呼ばれているコマンド処理アプリです。
ideapad ではいつの間にか入っていましたがこちらでは明示的に導入する必要がありました。
 
Droidmote server 有効の画面


  そこでいったんサーバをアンインストール。
Google Android Play ストアから busybox を もらってきてインストールしたあとで Droidmote を再インストールし、設定からやり直したらアッサリ繋がり、左のように Ideapad のタッチスクリーンからマウスポインターを動かせるようになりました。



  Droidmote が最初に繋がった時はマウス・モードになっていて、クライアントであるタブレットの画面は左のスクリーンショットの左側のようになります。
  この画面の上をなぞるとサーバーである Rikomagic の画面でマウスポインターが動き、タブレットの画面をタップすると Rikomagic ではマウスをクリックしたのと同じ動作をします。

  さらに、タブレット画面の右上のキーボード・アイコンをタップすると左の画像の右側のようにタッチパッド・キーボードが展開し、文字入力ができるようになります。


  Droitmote にはほかに3っつのモードがあって、タブレット画面下方のアイコンをタップすることにより、切り替えることが可能です。

  左は、方向制御モードとマルチメディア・モードです。
4番目はゲーム・パッド・モードで、左のようにタブレットを横持ちで使うようなレイアウトになっています。
  タブレット クライアントのタッチパネルから WiFi LAN 経由、 Rikomagic システムを自由に操作できる Droidmote はなかなか楽しいツールです。
  なお、Ubuntu、および Windows 用サーバも開発され、フリーウエアーとして提供されています。
それらのシステムに Droidmote を導入すればプレゼンやゲーム遊びなど、幅広い分野で活用できそうです。

 
Airdroid にアクセス中の PC

☆Airdroid の導入

   root化ができた Rikomagic システムは Windows 機との間でも面白いリモートコントロール・ツールを走らせることができますがその代表例のひとつが Airdroid です。
左は Windows から Rikomagic システムを制御している状況で、Airdroid が立ち上がっている Rikomagic 機のデスクトップ画面を Windows 7 機からリモート・キャプチャーしたところを示しています。
  大概の Android 機は縦長画面なので、Windows 機に表示されたキャプチャー画像は横倒しになっています。
  Airdroid が提供する注目すべき機能として、クリップボードを Android 機と Widows 機との間で共有できる事があげられます。
Windows LAN 内でクリップボードを共有するツールはセキュリティー上注意が必要なツールのため、広く使われてはいませんが昔から存在していて、とても便利なものです。
Airdroid によってこれと同じ事が Android - Windows 間でもできるようになったのは、私にとってとても嬉しいことでした。

☆Rikomagic root化のまとめ

    以上、ごく粗筋となりましたが、Rikomagic MK802Ⅲ Android V4.1 システムの root化と、それによって開けた可能性の一端を紹介しました。
僅か7000円ほどの低コストで液晶テレビを知能化できるだけでなく、ごく手軽に使い勝手の良い Android デスクトップ機に変身させてくれる、素晴らしいユニットです。
国内で Rikmagic を弄っている人の数は多くないようですが、もっと注目されるべきです。

  年寄りがごく僅かな投資で、手持ちのテレビを取り扱いの易しいパソコンとしても活用できるようになるところに、特段の価値があると思います。
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☆総まとめ
   2012年3月、なかば衝動買いで Ideapad A1 を入手してから 10ヶ月ほど経ちました。
最初は不慣れで取り扱いが適切でなかったために OS をふっ飛ばし、メーカに修復を依頼すると言うひと幕があって、ヤッパリ made in china の安物はダメなんかなぁ、と思ったりもしました。

  どう設定してもおかしな色調の画像しか作れない背面カメラ、すぐに昼寝してしまい、満足なトラックが記録ができない内蔵 GPS など、かつて物造りに心血を注いだことのある年寄りの目には未熟が目立つシロモノではありますが、この頃発展著しいモーバイルコンピューティングの楽しさを充分味あわせてくれています。

  今回紹介した root化は、誰にでも勸められる技法ではありませんが、自己責任の冒険であることをわきまえて敢行した結果、飛躍的な性能向上が得られました。
この結果、より熟成度の高いモデルが国内のメジャーなメーカから提供され、リーズナブルな価格で入手できるようになるまで、引き続き使って行けると思えるようになりました。

  ページのあとの部分でおまけ的に紹介した Rikomagic は、$70 あまりと言うごく僅かな投資で、とても扱いやすく、楽しいデスクトップ PC が得られる点が素晴らしいと思います。
利益追求を第一とする市場原理とは整合しないのかなぁ、とも思いますが何故もっと注目され、普及しないのか不思議です。

Android によって構築できるデスクトップ PC や、程よいサイズで扱いやすい7インチタブレットは、設定/操作/維持の3点で、これまでにはなかった年寄り向きの適性を備えていると思います。

「老人に Android を!」 と言う運動を起こしたいと、しきりに思うようになっているこの頃です。

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