上野原 能岳-八重山-秋葉山 (2018.1.21)


☆期日/天気/山行形式: 2018年1月21日(晴れ時どき曇) 日帰り単独ハイキング
☆地形図(2万5千分1): 上野原(東京15号-3)
☆まえがき
    去年の11月、4ヶ月ぶりの山行で奈良倉山に行ったとき、上野原駅前バス案内係のおじさんから近在の山のハイキングルートの案内ビラを何枚か貰いました。
  それらのうちで、能岳から八重山は、上野原市街地のすぐ後に連なっている山並み の尾根筋をたどるもので、ごく容易なアプローチで好展望が見れそうでした。

  年寄りが厳冬期の運動不足を埋め合わす軽い山歩きとして丁度良いと思ったので、冬晴れの日を選んで出かけてみたら、綺麗で歩きやすい歩道が整備されている里山コースがあって、期待を上回る好展望を楽しみました。

  曾遊の山々を眺め、あれこれ追憶に浸りながら気持ち良く歩きましたが、思ったほど疲れなかったのと時間が早かったのでもうひと山をと、さらに東へ続いている尾根を辿り、秋葉山から根本山へのルートをトライしてみました。

 こちらの方は、金比羅山(仮称)の先でルートを見失い、保福寺の東寄りにある山畑に出てしまいました。
ルートをミスったせいで根本山まで行き着けずに終わったのは残念でしたがそれと引き換えに、保福寺という巨刹を拝観する機会が得られ、日本の溜池百選のひとつに選ばれている 月見が池と上の原の大ケヤキに巡り合うことができました。

八重山展望台の眺め    (画像をクリックすると拡大スクロール)
☆行動時間
    宮崎台[7:08]=長津田[7:34]=八王子[8:10]=[8:37]上野原[9:09]=(富士急山梨バス)=[9:22]光電製作所前(9:25)-西沢泉橋手前の登山口(9:47/52)-支尾根鞍部(10:11)-主稜上右折点(10:30/35)-赤松のコブ(10:42)-能岳(11:00/13)-八重山(11:27/40)-水谷八重歌碑(11:57)-八重山展望台(12:00/15)-変則十字路の休憩地(12:22/25)-谷底(12:37)-三叉路(12:38)-八重山登山口駐車場(12:48/13:03)-根本山・秋葉山入口(13:08)-墓地の曲がり角(13:13)-東屋・鳥居(13:24)-秋葉山三角点峰(13:29/42)-金比羅宮祠のコブ(13:46)-車道(14:02)-保福寺・月見が池(14:04/12)-上野原宿和食堂(14:25/15:07)-酒饅頭屋-(15:35)上野原駅[15:41]=(JR中央線)=[16:18]八王子=長津田=[17:20]宮崎台

☆ルートの概況
   上野原あたりの山は丹沢・高尾についで手近な山ゆえ、程々の時間に起きて家を出て行けばちょうどよい加減の時間に登山口に行き着けます。

  8時半過ぎに上野原駅に着いてみたら日曜日なのにほんの僅かな人しか見えず、閑散としていました。
ふた月前に来たときとはあまりにも違い過ぎるのでこれはどうしたことかと思い、バス案内係のおじさん(と言ってもこちらよりひとまわりは若い)に聞いたところ、”もう皆んな行っちゃった後だよ" というお返事。
日曜の朝に上野原の町外れまで行って折り返す市内循環バスに乗る人は少なく、乗り合わせた僅かな人達もみな町の中で降りてゆき、最後はひとり車内に残されることとなりました。

  "どこへ行くのかね?"、とドライバーが聞いたので  "終点の新井まで行って西沢泉橋まで歩き、能岳へ" と言ったら、"折り返し点は新井より先だからそこまで乗ってい良いですよ" というありがたい話。
結果的には、もうひとつ先の光電製作所前バス停まで運んでもらえました。

  工場の正門の前でバスを降りると、道の向かい側から山に向かって行く道があり、入り口に "虎丸山登山口" と記したのと "能岳・八重山 観音様コース" と記したのと、ふたつの道標が並び立っていました。

前道志の山並み    (クリックすると拡大)

  山風呂とか、向風とか、古風な字名の集落を繋ぐ道を進んでゆくと鶴川の谷向いの河岸段丘上の集落の背後に前道志の山が並び、さらにその背後に富士山が頭を出しているのが見えました。

  向風の村を抜け、むじないり沢に架かっている橋を渡ると間もなく登山口に着きました。

  入口の脇に立っている道標に "能岳八重山ハイキングコース" と記してあるほかに  "復路 4.75Km" と記した看板があるのは駅までの距離を示しているようです。

  山に上がってゆく道の始めの部分は結構な急斜面を通っていて数回折れ登ったあと左手へ車上して行くところには滑落防止の金網フェンスが設置されていました。

見晴所の眺め    (クリックすると拡大)

  二度ほど折り返して高度を上げると見晴所と呼ばれている鞍部に上がりました。
背後の視界が開け、隣りの聖武連山から西の方に起伏している前道志を見渡し、気持ちのよい休み場です。

  見晴らし所の先のルートは鞍部を乗り越え、山の北側の斜面に入ってゆきます。
途中にはかなり急な斜面を横切ってゆく所があって、雪が積もったり凍結したりしている時は注意が必要と思いました。

  急斜面のトラバースが終わると間もなく能岳頂上から北に派生している尾根の背に上がり、右折して頂上に向かうよう指示する道標が立っています。


  尾根の背に上がってみると良い感じの尾根道が延びています。
きれいな山林に覆われた尾根道を進んでゆくと、市街地に接している山とは思えない落ち着いた雰囲気が漂っています。

  ちょっとしたコブに差し掛かるあたりからまわりに赤松の大木が目立つようになりました。

コブを乗り越すと左下にゴルフ場のグリーンが見えるようになりました。

  能岳頂上への登りに差し掛かる手前の鞍部には右下に分かれてゆく道があり、分岐点の角に
"虎丸山 上野原中学校"
と記したプレートが取り付けられた道標が立っていました。
 

  能岳頂上の直下はかなり急な斜面になっていました。
疎林の中を細かく折り返しながら高度を稼いでゆくとやがて傾斜が緩み、能岳頂上広場の一角に登りつきました。

  赤松に囲まれたこじんまりした頂上広場には、"八重山 八重山展望台" と記した山名標柱と 542.7m の三角点標石と野外テーブル一基が並んでいました。


能岳頂上の眺め    (クリックすると拡大)

  西方への視界が得られ、道志の山並みを眺めることができました。
雲がなければ富士山なども見えたに違いありません。

  誰も居ないのを幸い、野外ベンチを占領してノンビリ飲み食いをしいたら八重山の方からおじさんが登ってきました。

  頻繁に来ている地元の人で、まわりの山の話をあれこれ説明してくれるのを聞きながら久しぶりに再会した山々の思い出をリフレッシュしました。

  長引いた休憩で身体が冷えてきたので立ち上がって頂上をあとにすると、行く手の峰の天辺近くに東屋のような物が見えました。


  ひと下りで浅い鞍部に降り立つと三つの道標が並び立っていました。
そのひとつには右手に分岐してゆく道は虎丸山を経て上野原中学校に行くルートである旨を記した腕木が取り付けてありました。

  鞍部からひと登りで八重山頂上に着きました。
530m の最高点に "八重山" と記した標柱が立っていて、南寄りの一段下がった所に東屋があります。
西側の山林が間引かれ、梢越しに権現山、不老山、扇山などを見晴らすことができました。

  湿った上昇気流が生み出した雲が増え、遠くの山は見えなくなってしまいましたが、乾いた北風が吹き渡る冬晴れの日に来れば富士山をはじめ、三つ峠山、御正体山などが綺麗に眺められるでしょう。


  登りついたときに居た人は東屋と、野外ベンチと、合わせて10人に満たなかったのが、景色を見ながら休んでいるうちに大人や子供だけでなく大きい犬、小さい犬まで登ってきて賑やかになりました。

八重山頂上の景色(180度)    (クリックすると拡大スクロール)

  心ゆくまで展望を楽しんだあと東隣りのピークに向かいました。
八重山は二子山で、東屋のある頂上の南東350m ほどの所にもうひとつ、506m の高度が書き込まれたピークがあります。

  八重山から "南峰" への尾根筋は、この山並みで最も多くの人に歩かれたいるようです。
整備が行き届き、急な所には段差の低い丸太階段が設置され、とても歩きやすくなっていました。

  ふたつのコブの間を繋ぐ最低鞍部から右下に下ってゆく道が分岐し、入り口の角に "上野原中学校前登山口、駐車場・トイレ方面" と記した腕木が取り付けられた道標が立っています。

  "八重山展望台方面" の指示に従って直進し、ひと登りで506m 峰の肩に上がりました。

  僅かに平になっている尾根の背に "水越八重さんの心が息づく八重山" というタイトルが刻まれた黒御影の大きな石碑が立っていて、昭和のはじめに、上野原で育った女性が、故郷への恩返しとして40ヘクタールの持山を町に寄付した旨が刻まれていました。

  市街地に接している里山が開発を免れ、素敵な展望の尾根筋が破壊されずに済んだのは、町の小学校の学校林になっていたからでした。
  石碑の先からもう一段登ると頂上で、そこを越してやや右手へ僅か下った尾根の背に左のような鐘撞き台がありました。

  鐘撞き台のすぐ先に花びらを象ったような感じの屋根が付いた展望台がありました。
八重山頂上では見え難くかった東南方の視界が広がり、下のパノラマ写真のように、すぐ隣の陣場山から東丹沢、大山あたりまで見ることができました。

  権現山方面もこれまでになく広大な視界が得られ、鶴川谷の最奥部に三頭山らしい山影まで見ることができました。

八重山展望台から陣場山、大山方面    (クリックすると拡大)

  展望台に先着していた "能岳おじさん" と二度目の山談義をしたあと下山を開始し、展望台の下に降りてみたら左のような面白い構造になっているのに気がつきました。

  ドアのある部屋は資材置き場のようで施錠されていましたが建物と山の間に3、4人が入れる空間があり、雨宿りなどはできそうです。
良く考えられたユニークな展望台です。

  展望台のすぐ下で右折して山腹を横切り、隣の尾根の背までトラバースした所で左折し、左のようになだらかな尾根の背を下りました。

  この尾根道は上野原の桜の名所のひとつになっているようです。

  ひと下りしたところで左折して谷に降りると細い水流に沿う道になりました。

  沢の右岸に移り、コンクリート擁壁に沿って進むと先のほうが明るくなって来ました。

  谷が開けた所は山に来た人達が車を止める広場になっていて、山側のコーナーに公衆トイレ、水飲み場、休憩ベンチがありました。

  広場の隅から中学校の横手の車道に降り、跨線橋の下を潜って僅か進むと左手に入ってゆく車道の入口に "根本山・秋葉山(上野原遊歩道)" と記した道標が立っていました。

  分岐から道なりに曲がり登ってゆくと墓地に入りました。

  左折して墓地の中を横切って行くと台地の縁に出て下のように上野原の市街を見渡し、その先に雄大な山岳景観が広がっているのが見えました。

秋葉山中腹墓地の眺め  
 (画像をクリックすると拡大)

  墓地の奥から山道をわずか登ると鳥居と東屋があり、その脇から始まる丸太階段を登りあげると天辺にこじんまりした社殿がありました。

  社殿の横には三角点(391m)の標石が据えられてあり、向こう側にはテレビ共聴用と思われるアンテナが立っています。

  北の方を見ると今しがた歩いてきた尾根筋が穏やかに起伏し、その背後に笹尾根が高く連なっています。

    社殿の袂の日だまりで暫く休憩したあと東に延びている尾根の背を進みました。
参道のような雰囲気の細い山道を下ると丸太階段の下に "秋葉神社入口" と記した立て札が立っていました。

  尾根の背を辿ってゆくと道が二筋に別れ、"さてどっちに進もうか?" という感じになりました。

道の横に立っている木に添うように立っている道標があり、"根本山 秋葉山" と書いた腕気がついていたので尾根の背を進むことにしました。

  僅か登ったコブの頂上に石祠と風変わりな石標が立っていました。
石標には "金毘羅…" と読める文字が刻まれていました。
神域であることを示しているのか、回りに縄が張ってありました。

  金毘羅山(仮称)のすぐ先に立っている道標には、後ろは休憩舎、行く手は根本山、右折すれば羽佐間と指示する腕木が取り付けてありました。

  尾根の背を通っている幅広い道を進んで、左下に大きな貯水槽を見ると間もなく建物の基礎コンクリートがが残っているコブに上がりました。


  建物跡を過ぎると何故か道形が見えなくなりました。
仕方ないので尾根の背の藪の中に見えたかすかな踏み跡を進みました。

  僅か進んだところから急にひと下りするとひょっこり山畑の縁に出ました。
畑の向こうに上野原工業団地と本町をつなぐ道路のトンネルがあります。

  車道に出てしまった結果、根本山をミスったことが確実になりましたがまた登り返すのは面倒なように思ったので坂を下って行くとすぐ右手に寺の大きな屋根が見えてきました。

  右折して行ってみたら保福寺の本堂の前に出ました。
巨大な屋根は本堂ではなく、その横に立っている庫裡のものでした。

  裕福な感じの寺で、本堂も新しく建て替えられたばかりの朱塗りの立派な建物で、今は鐘楼を建てている所でした。

  山門を出て参道を進むと左横に池が見えてきました。
ちょっとした公園のようになっていて水際の遊歩道を人が歩いています。

  池の下手に回ってみたら、"ため池百選 月見が池" という文字が刻まれた碑が立っていました。

  池の下手の右側に小学校がありました。
2万5千分1地形図に "上野原の大ケヤキ" と書き込まれた大木が校庭の奥の方に立っていました。

  雷が落ちたためか、幹の途中から先が枯れたのを切り落としたあとで、年老いて背丈が縮まった老人の様になっていました。

  小学校の下手の細い道を通り抜けると上野原の大通りでした。
出口には "金仏横丁"、向かいの路地の入口脇には "富士見横丁" と書いた標識が立っていました。

  久しぶりの上野原の町を見ながらブラブラ進み、たまたま開いていた和食屋に入って牡蠣鍋焼きうどんを食べました。

  熱々のうどんで身体を温めたあと店を出て上野原駅に向かう途中、この町の昔からの名物になっている酒まんじゅうを買いました。

<ルートの詳細>




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詳細ルートマップ
     (国土地理院地形図を利用し
      Android アプリ 地図ロイドで
      作成しました.
      A4紙に印刷すると約1/125000
      になります)




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☆おわりに

   寒中の運動不足対策、という程度の気軽な山行でしたが綺麗な尾根道で思いがけない雄大な山岳景観とめぐりあい、曾遊の山々を眺めながら歩いて、楽しい時間を過ごしました。

  保福寺の裏山でルートミスをやらかして途中敗退となりましたが、きれいな池や大ケヤキが見れました。
近いいうちにまた出掛け、保福寺から尾根筋に登り返し、日大明誠高校の裏手を通って根本山に到達。
さらに尾根の末端まで歩き切って福泉寺に降りてくるルートをトライしようと思っています。