西伊豆歩道 井田コース (2017.3.29)


☆期日/天気/山行形式: 2017年3月29日(曇のち晴) 前夜泊単独トレイルウオーク
☆地形図(2万5千分1): 土肥(静岡3号-4)
☆まえがき
    奥沼津アルプスの尾根伝いをしたあと韮山反射炉を見学して修善寺経由、戸田まで行って宿泊し、昨年秋に雨のため歩き損ねている西伊豆歩道の井田コースを歩きました。

  戸田の町外れの歩道入口で迷いかけましたが地元の人の助言のお蔭で無事にルートに復帰できました。
ルートの状態はこれまでに歩いた西伊豆歩道と同様、道標完備でルート明瞭ながら土砂と枝葉の堆積や藪のため歩き難くなっていました。

  井田海岸を俯瞰する煌めきの丘の東屋で休憩していたら見る間に雲が消えて行き、新雪の富士山と対面できました。

  井田からの帰路は、出発時に予約してあった予約制乗り合いタクシーで江梨まで移動したあと沼津行の路線バスに乗り継ぎ、観光バスツアーを楽しみました。

煌めきの丘 井田海岸と富士山の眺め    (画像をクリックすると拡大スクロール)
☆行動時間
   宿舎(8:45)-戸田バス停(8:55/8:00)-戸田コース入口(9:10)-歩道入口(9:22)-車道交差点(9:32)-出逢い岬の上 221m三角点背後の東屋(10:05/13)-舗装林道(10:29)-県道出合(10:50)-林道(10:35)-アブラギリ入口(11:00/15)-歩道入口(11:19)-県道出合(11:36)-煌めきの丘(11:52/12:18)-井田遺跡(12:20/26)-井田明神池入口(12:41)-井田明神池(12:50/13:05)-井田ダイビングセンター(13:15/25)-妙田寺(13:35/40)-(13:45)乗合タクシー井田停車所[14:25-6]=(予約乗合タクシー)=[14:38-6]江梨バス停[14:54]=(東海バス)=[16:11]沼津駅[16:22]=(東海道線)=[16:27]三島[16:50]=(コダマ662号)=[17:28]新横浜=(市営地下鉄)=あざみ野=(東急線)=[18:14]宮崎台

☆ルートの概況
   はじめて西伊豆歩道を歩きに来たときに泊まった美浜レステルに泊まりました。
質素な宿ながら戸田バス停近くの戸田港波止場に面したところにあって、単独ウオーカも歓迎し、魚料理が美味しいのが気に入っていました。

  奥沼津アルプスを歩いてきたあとの泊まりだったので、夜早く寝付いたため、朝早く目が覚めました。
カーテンを開けて外を見ると綺麗なナギの海の上に落ち着いた空模様が広がっていました。

  岸壁では漁から帰ってきた漁師が焚き火で体を温めながら獲物の整理や漁網の手入れをしています。

  観光客か、地元の人か、カメラを持って歩いている人もいます。

  この日に歩く予定の井田コースは半日程で済むので朝急ぐ必要はありません。
ゆっくり食事をしたあと出発しました。
行きがけにバス停の手前にあるコンビニに立ち寄り、乗り合いタクシーの予約をしました。

  戸田-井田-大瀬崎-江梨ルートを運行されている予約制乗り合いタクシーは、以前、このバス停の脇の埠頭から沼津方面へ運行されていた船便が廃止されたあとの代替の交通機関として開設されたようです。

  戸田大川に架かっている橋を渡って県道を北上。
山裾にある沢海集落入口の山裾に左のような道標と案内看板が立っていました。

井田コース案内図    (クリックすると拡大)

  案内看板は、左のようなもので、西伊豆歩道井田コースの詳しい地図が描かれています。

  県道から左に別れて集落の中に入ってゆくともうひとつ地図看板が立っていました。

  ただ、歩道の入口がもうひとつよく分からないのに引っかかりました。
なんとなく山裾の道を進んで行ったら造船所の裏手に迷い込みました。

  ウロウロしていたら近くにいた人が道を教えてくれたので少しあとに戻ると左のような災害避難階段がありました。

  階段を登るとすぐに歩道に出合い、左折して登ってゆくと左のような古い丸太階段道になりました。

  階段道をひと登りすると県道に出合い、向かい側に歩道の続きが見えました。

  県道の先に進むとすぐ、やや急な斜面に掛かり、左のような石垣に沿ったジグザグ登りが始まりました。

  今時ならコンクリートで固めて済ます所を、几帳面に石を積み上げて道を作ったのはかなり昔のやり方です。

  急な所を抜けると幅広で緩やかな登りになりました。
歩く人が少ないためかふやけてフニャフニャになった路面の上に落ち葉や枯れ枝などが積もっていささか歩き難い状態になっています。

  道が左に回って行き、尾根の背に上がった所に休憩用ベンチがありました。

  尾根の背を進んでゆく所は道が深く抉れていて昔からある古い道であることを示していました。

 (クリックすると拡大)

  傾斜が緩んでくると前方が明るくなり、東屋が立っている峠状のところに着きました。

  東屋がある場所は地形図に 221.0m と記入されている三角点のすぐ東側の浅い鞍部です。

  すぐ脇に地蔵像と古い道標石が立っていて、標石の一面には江戸時代の年号か刻まれていましたが苔で読み取り難く正確な年代は分かりません。

  東屋でひと休みしたあと先に進むとすぐ古い祠がありました。
何の神様が祀られているのかは分かりませんでしたが "交通関係" に違いありません。
賽銭を上げ、この日の歩き旅の無事をお祈りしました。

  斜面を横切って北上してゆくようになると行く手に穏やかな尾根が見えてきました。

  道端に立っている道標に戸田港から 2.11Km、井田海岸へ 5.32Km と書いてありました。
また 1.32Km 先には "アブラギリ群生地" があるとも記されていました。

  常緑樹の多い林の中を横切ってゆくと、突然石段の袂に出ました。

  思いがけない立派な石段が現れたのに首を傾げながら登って行ったら舗装林道の縁に出ました。
曲がり角に井田海岸 5.0Km、アブラギリ群生地 1.5Km と記した道標が立っています。

  左手へ下ってゆくとすぐに県道に出合いました。

  県土は狭く、車に注意が必要ですが "僻地" のためか走って来る車は多くないのでそれなりに歩けます。

  尾根の端を回り込んでゆくと先の方に少し毛色の変わった林が見えてきました。
  近付いてみると "アブラギリ群生地" の案内看板が立ち、その脇から山に入ってゆく丸太階段の入口があります。

  端末の地形図にマーカを書き込んだり、看板の写真を撮ったりしているところへ白塗りの乗用車が走ってきたのが停まりました。
  特段のこともないので車は無視して階段を登りかけようとしたら声をかけられました。
振り返ってみると地元の人と思われるご同輩で、「その道は崩れていて危ないよ」と言います。
  「はい、分かりました。 気をつけます。酷かったら戻ります」と返事して踏み込みました。

アブラギリ林    (クリックすると拡大)

  丸太階段の上部が崩れかけていたので慎重に通過。
先に進んでゆくと藪が深くなってかなり歩き難くなりました。

  左下の沢溝は左の写真のように、まわりの山林とは異なる枝ぶりの落葉樹が林立しています。
高みに上って群生地の全体を見渡すことができたので余計な時間と体力を費やすのを避けるため反転。
崩れている所を慎重に通過して登り口に戻りました。

  県道に戻ってわずか北上した所に左のような階段がありました。

  階段の上は一応道形は残っているものの、藪だらけでした。

  歩き難いのを我慢して進んでゆくとポッカり舗装林道に出ました。

  僅か進んだ所に左のように右側の山に入ってゆく丸太階段がありました。

  短い階段から登り着いた尾根の背の裏側に古いしっかりした道形がありました。

  尾根の背に沿って僅か進み、右手に曲がり下って行くと崩れ気味の急降下になり、最後は丸太の手すりと固定ロープの間を急降下しました。

  間もなく左下に県道が見えてきました。
急な丸太階段を降りて、舗装路に戻りました。

  左側が開け、ガードレールの先に駿河湾が広がっています。
雲がなければ南アルプスや富士山も見えるに違いありません。

煌めきの丘近くの景色    (クリックすると拡大)

  左手に曲がってゆくと今越えてきた山が見え、山腹を横切っている県道と、井田の方に別れ下ってくる舗装路が見えました。

  間もなく "煌めきの丘" の東屋に着きました。
ここは西伊豆歩道最高の富士展望点のひとつだそうです。

  戸田の南山の上の東屋からここまで結構な距離を歩き続けてきたし、そろそろお昼時になっていたので東屋のベンチにザックを下ろしました。

煌めきの丘の景色    (クリックすると拡大)

  富士山かも、と思われる山影がうっすら見えるので飲み食いをしながら時どき目をやっていると急に雲が晴れてきて真っ白な姿が青空を背に浮かび上がりました。
強風が吹いているようで頂上の上に笠雲がかかっています。

  手前の山裾は井田の集落で、その手前の田圃に "井田" の文字が描かれています。

  前回の大瀬崎でもそうでしたが最高のタイミングで富士ビューに回り合わせるツキがあるようです。

井田古墳、明神池、駿河湾  
 (画像をクリックすると拡大)

    展望台のすぐ下は井田遺跡群で開けた尾根の上に円墳が並んでいます。
遺跡の方へ降りてゆくと道端に植えられている花木が芽吹きになっていて、もうすぐ桜が咲きだしそうな様子です。

  古墳のひとつは左のように発掘跡を保存、展示していました。

井田古墳尾根下部の眺め    (クリックすると拡大)

  山裾にある明神池はもと、今は田圃になっているあたりの開口を通じて海と繋がっていたそうです。

  このあたりに集落があったのでは、と思われる下部の緩傾斜地で富士山の方を見ると天辺の上にあった笠雲が消えた代わりに中層の雲が増え、7合目あたりから下が隠されてしまいました。
 

明神池と駿河湾    (クリックすると拡大)

  尾根を下るにつれて明神池が近づいてきました。
海を背に建物と田圃と池の組み合わせが奇麗です。

  山裾の舗装路に降り立った所に、道標と井田コースの案内看板が立っていました。

明神池    (クリックすると拡大)

  池の端の歩道を通って対岸に回って行くと小さな園地に野外ベンチがありました。

  予約した車の時間まで大分間があるのでベンチに腰を下ろし、先刻歩いてきたばかりの山並みを眺めながら時間つぶしをしました。

  井田海岸に向かう道は池と海との間に並び立っている大木の赤松並木に沿っています。

 

井田海岸の景色    (クリックすると拡大)

  井田海岸に出ました。
防波堤に上がるとゴロゴロ石海岸の先の海に大瀬崎の根元岬が突き出ていて、その横に富士山が高く見えます。

  ダイビングで有名な井田海岸はオフシーズンのせいか誰もいなくて静かでした。

  右折して村の中に入ってゆくと立派な石造りの塀や倉庫が目立ちました。
井田は江戸城の石垣などにも使われた伊豆石の産地だったそうです。

  村の奥まった所に妙田寺と言う日蓮宗のお寺がありました。
山門の右脇に石像の子供群像がありました。
以前ここにあった分校の遺跡です。




  分校の運動場と思われる広場の脇を通って行くと右手に井田のバス停があり、左手に井田神社の鳥居が立っていました。
  バス停のベンチにザックを置いて神社に行き、井田コースを無事に歩けた事を感謝しました。

  神社の手水場にあった蛇口の栓を開けてみたら水が出てきたのでしばらく流したあとで味を見たら美味しい山の水でした。
PET瓶のイオン水を継ぎ足し、帰り道の水分/塩分補給に備えました。

  定刻より5分あまり早く来た乗り合いタクシーで江梨に移動し、路線バスに乗り継いで沼津駅へ。
三島からは予定より早い時間の新幹線に乗って帰りました。

<ルートの詳細>




  ヤマレコの山行報告



  GPX ダウンロード






  ルートマップ


 
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☆おわりに

   昨年の秋にはじめた西伊豆歩道歩きの初回の2日目の午前に歩く予定だった区間のうち雨のためにスキップした井田コースのカバーができました。
井田コース煌めきの丘から大瀬崎へは素晴らしい展望ができる最高のウオークトレイルであることを確認しました。

  道標完備でルートは明瞭だが手入れが行われていないのと歩く者が少ないのとで土砂や枝葉が堆積してかなり歩き難くなっているのはこの区間の前後に繋がっている道と同じでした。

  このあたりは予約制乗り合いタクシーを利用する事により、日帰りで歩くことも可能です。
秋晴れ、冬晴れの日を選んで再訪したいと思っています。