高塚山-房総半島先端部最高峰 (2015.3.28)


☆期日/天気/山行形式: 2015年3月28日(曇一時晴) JR線・路線バス利用日帰りハイキング
☆地形図(2万5千分1): 千倉(横須賀3号-1)
☆まえがき
    前回の南房総山行で心残りとなったのは、千倉の高塚山(216m)を登り漏らしたことでした。
高塚山は200m をわずかに上回る低山ながら館山と千倉を結ぶ線より南にある房総半島南端部の最高峰です。
  3月初旬の南房総山行の帰り道のバスから見えた山の感じが良く、俄然気に懸かる山の筆頭になっていました。
また、山ではありませんが、洲崎の南の伊戸から布良の間に綺麗な弧を描いている平砂浦の景色を見損ねてしまったことも気に懸かっていました。

  週末のみ運行されている新宿サザナミ特急で館山に行って、3月末までの週末に運行されるフラワーラインルート路線バスに繋ぎ、一日で南房総海岸のバスドライブと高塚山登頂とを済ませる日帰りツアー計画を立ててみました。
遠隔地の海と山でしたが、鉄道とバスの週末ダイヤのおかげで効率的に移動できたのと、山が小さくて短時間で登降できたのとのお陰で、余裕のある日帰りができました。

高塚山    (画像をクリックすると拡大スクロール)
☆行動時間
    宮崎台[7:01]=渋谷=[7:40]新宿[7:50]=(新宿サザナミ#1)=[10:02]館山[10:20]=(JRバス洲崎経由安房白浜行)=[11:27]安房白浜[12:00]=(日東バス千倉行)=[12:09]七浦小学校前(12:10)-大聖院登山口(12:22)-ベンチ(12:34)-鳥居前分岐(12:42)-高塚山(12:55/13:10)-鳥居前分岐(13:17)-合有土溜池(13:30)-長性寺入口(13:40)-高皇産霊神社(13:45/53)-(14:07)七浦バス停[14:08+3]=(日東バス)=[14:26+1]千倉駅[14:45]=[14:57]館山[15:11]=(サザナミ#82)=[17:13]東京[17:35]=大手町=宮崎台

☆ルートの概況
 週末には、館山行きの早朝の特急が新宿から出るので、週日のように東京駅の中心部から遠く離れている内房線ホームまで行く必要がなく、格段楽になります。
館山から安房白浜へのフラワーラインルート路線バスは、館山駅前から始発するので乗り継ぎは簡単なのですが、この日は偶々東京からくる高速バスが遅れて乗り場が錯綜。
間違えて乗り込んできおばちゃん達が出たり入ったり、ひと騒ぎとなりました。


  館山から洲崎への東京湾側、さらにその先の伊戸までは先日見たばかりの景色でしたが伊戸から先、布良崎までの 10Km あまりは初見の景色でした。
大部分が平砂浦と呼ばれている砂浜で、砂丘と緑地の間を走ってゆく感じでした。
サイクリングの自転車が沢山走っていましたが、風が穏やかな日に来れば外海沿いの砂浜ウオークを楽しめるかも、と思いました。


  安房白浜で千倉行きバスに乗り継ぐとき、30分あまりの待ち時間を利用して軽い昼食をしました。

  バスターミナル向かい側の小さな店に入ってみたら地物の海産物を使ったものがいくつかあった中に「はばのり」入りラーメンと言うのがありました。
西風が吹いた時にだけ採れるわかめと昆布のあいの子のような海藻で、正月の縁起物になっているそうです。

  登山口最寄りの七浦小学校前バス停には白浜から10分も掛からず着きました。
すぐ先に高塚山不動尊入口と記した標柱が立っていました。

  道路沿いの家並みを抜けて畑の中に出ると行く手にこれから登る山が見えてきました。
この辺りでは花の栽培が盛んなようで、わずかに一箇所だけ、左のようなキンセンカの畑が残っていました。

  まもなく大聖院の入口に着きました。
大きな寺ではありませんが蛇抜ガレのある山を背にした佇まいは印象的でした。

  石柱が並び立っている門の手前で右折した所に登山口がありました。

   「高塚山登山口」 と書いた標柱と 「不動尊奥の院登山口 頂上まで 880m →」 と記した看板が立っています。

  登山口から入ってすぐ左折し、木から落ちた夏みかんが沢山転がっている道を進むと左のようなコンクリートで固めた階段になりました。

  年寄りにとっては段差が少々高すぎて登り難く、階段の縁を中段のように使って登りたいところでしたが、そこもコンクリートで固められているので利用できません。
仕方ないので片足登りをし、利き足を入れ替え入れ替え進みました。

  しばらく右手に斜上していったあと古い丸太鳥居の下で左折。
左のようにやや急な斜面を斜上して高度を稼ぎました。


  尾根の背を乗り越えた所が左のように野外ベンチが並ぶ小平地になっていました。
ベンチの脇から手摺のついた急な階段を登り上げたあと左手へ回るとまわりの地形が緩み、谷溝の奥に向かって穏やかに登って行くようになりました。

  ゆるやかに登って行った所に左のような 「富士浅間神社」 の石碑が立つ祭祀場がありました。

  祭祀場から僅か先で右手へ別れて行く道を見送ると平な鞍部に着きました。
鞍部の向こう側から始まる石段があり、その上に石鳥居が立っていました。
 
  伊勢・琴平参拝記念碑の脇から鳥居を潜ると、その先に幅の広い参道が延びていました。
左手に分岐している龍護山・大川堰への踏み跡を見送って岩畳と石段が交互に出てくる参道を登ってゆくと神門の屋根が見えてきました。
 
  ひと登りすると神門の前に登り着きました。
海側の屋根の端が吹き飛ばされているのは台風の被害でしょうか?

  神門を潜ると仔連れ獅子の番が守っている不動堂がありました。
お堂の背後を取りを囲むような形の土手があったので上に登ってみたら以前の不動堂のコンクリート基礎が残っていてその横に屋根瓦が積んでありました。

  神門の脇、海寄りに野外ベンチが並んでいて下のパノラマ写真のような景色が見えました。
手前は今登ってきた尾根で、その下に山麓の町の家並みが連なり、先の方に広がっている大海原は濃い霞の中に溶け込んでいました。

高塚山の展望    (画像をクリックすると拡大スクロール)

 (クリックすると拡大)
 

  境内から見える山と海の景色を暫く楽しんだあと山を下りましたがそれに先立って神前の狛犬と神門の袖に収められている神像をあらためて検分しました。

  狛犬の方は安房三名彫工の一人、後藤利兵衛橘義光が明治22年に彫ったもので、台座側面の龍の頭の浮き彫りがあり、とても精緻な彫り物でした。

  神門の両袖に収められている風神雷神像は文政13年(1830年)に奉納されたもので、古拙な味わいがありました。
 

  鳥居の下の鞍部まで下り、その先の分岐を左に入って照葉樹林の尾根を下りました。

  ひと下りした所に立っている道標の手前で右折。
尾根の右斜面を斜降する道を進みました。
かなり急な斜面を横切って左手へ尾根の背を乗り越えて行くとまもなく溜池の水面が見えてきました。

  合有戸溜池は意外に大きな溜池でした。
付近の集落の飲料水か農業用水を供給するための貯水池なのでしょうか?

堰堤の脇には大聖院と同じ造りの 「高塚山登山口」 と記した標柱が立っていました。

  溜池の土手の下から坂を下った所で右折すると今降りて来た山の斜面が見えました。
中腹から下は崖と言っても良いほど急です。

  このあたりの山裾には寺と神社が並んでいて、まるで神仏の団地のようでした。
長性寺と照明院の入口を通り過ぎると右前方に高皇産霊神社の社殿が見えてきました。

  鳥居が三つ立ち並んでいる真っ直ぐな参道の奥に立派な社殿が見えたので立ち寄ってみることにしました。

 (クリックすると拡大)
 

  高皇産霊神社は、もとは高塚不動尊の里宮だったそうで、由緒は古く、大和と吉野の境にある竜門山に祀られている高鉾神社に連なっている神社ということです。

  本殿がある台地の縁に立つと、三つの鳥居が並んでいる参道が海に向かってまっすぐ延びている光景が格別でした。

  この山の魅力のひとつに、下山後に真冬でも色とりどりの花が咲いている畑の中の農道を散策できることがあるのですが3月末の今どきは、畑の花がみな出荷されたあとで葉っぱの緑色ばかりでした。

  その代わり、畑の中の農家の庭先には色々綺麗な花が咲いていました。

  山麓の花がないので大聖院参道に戻った所で山麓散歩を中止。
先刻歩いてきた参道から国道に出ました。
コーヒでも飲める所があるといいなと思いながら白間津の方へ向かって歩いていたら七浦のバス停ポストがあって、あと1~2分もすれば千倉行きバスが来ることが分かりました。
  千倉か館山なら待ち時間に何かできる筈、と思ったので予定より1時間早いバスで帰途に就くことにしたところ、館山から臨時特急が運行されていたのでそれに乗り、早い時間に帰宅しました。

☆ルートの詳細




  ルートマップ






  ヤマレコの山行報告




  Flickr の元画像アルバム
ページ先頭へ    

☆おわりに

   3月に2回の南房総山行を行い、館山と千倉をつなぐ線より南にある主な山に登頂、あわせて館山-洲崎、野島崎をへて千倉までの海岸線の景色を見ることができました。
殆ど里山と言って良い位の低い山ばかりでしたが濃密な照葉樹林と笹竹藪に覆われた静かな山々で、随所に海と山の好展望が展開していました。
山麓には花を栽培している畑が広がり、海の幸に恵まれた人里が連なっていました。

  今回登った高塚山は名優 早川雪洲の故郷の町 七浦にある信仰登山の山で、頂上にある不動堂の前庭から素晴らしい展望を楽しむことができました。