みちのく潮風トレイルと階上岳 (2015.9.13-16)


☆期日/山行形式: 2015年9月13日-16日 リゾートホテル3泊4日、同行2名
<2万5千分1地形図>
    八戸東部(八戸5号-4)、新井田(八6号-3)、角浜(八戸6号-1)、階上岳(八戸6号-4)、
    種市(八戸6号-2)
☆まえがき

    この10年ほど、晩夏から初秋の時期にみちのく山巡りをするのが習いになっています。
脊梁山脈をはじめとする有名な山をひと通りなぞったあと、地域ごとの山巡りをしているのですが、下北半島と津軽半島が粗粗済んだので、次の出番は三陸地方ということになります。

  この地域の山のガイドブックや地図をみたり、ネットで検索してみたりしたところ、地味系ながら面白そうな山が幾つかあるのは分かったのですが、広い地域にパラパラと分散しているところへ、公共交通機関のネットワークが整備されていないため、まとまりの良い山行計画を組みたてることができません。
  あれこれ悩んでいるうちに、海沿いに「みちのく潮風トレイル」 と言うロングトレイルが東日本大震災の復興対策の一環として整備中であることが分かりました。
  仙台にある環境省東北地方環境事務所が統括しているプロジェクトで、八戸郊外の蕪島から相馬の松川浦まで、全長約700Km という国内最長のロングトレイルを整備しようと言う大計画です。

  ウエブに出ていた情報によれば、いま開通しているのは北の端の方の一部の、八戸郊外の蕪島から久慈までということが分かったので、所定書式に必要事項を書き込んだ申請書と送料相当金額の切手を貼った返送用封筒を送ったら、2万5千分1地形図にルート線を書き込んだルート地図と、その裏面に主要なランドマークの詳しい解説を書き並べた案内書が送られてきました。

  「潮風トレイル」というタイトルが示すように、ルートは基本的に海沿いに設定されているのですが、八戸市の南 15Km ほど、海岸線から 10Km ほど内陸に入った所にある階上岳に立ち寄るよう設定されています。
標高 739.6m の低山ですがこの地域の最高峰で一等三角点があり、古くから周辺の人々に親しまれている名山です。

  海沿いトレイルのウオーキングと、地域の名峰の登頂と、一度で二度美味しい徒歩旅行ができることがわかったので3泊4日かけて八戸から久慈に向かって行ける所まで進んでようとする、みちのく潮風トレイル味見山行をすることにしました。

  本式の山ではなくリスクが低いと思ったので、かねてよりせがまれていた昔の仕事仲間にも声をかけたら、3人連れの旅になりましたが、夏から秋へ季節が移る時期によく現れる好天続きに恵まれ、楽しく歩き切ることができました。

階上岳頂上    (画像をクリックすると拡大スクロール)
☆9月13日(曇りのち雨): 蕪島から白浜まで初日の足慣らしウオーク
<行動時間>
    宮崎台[7:29]=大手町=東京[8:40]=(ハヤブサ7号)=[11:26]八戸[11:38]=(八戸線)=[12:00]鮫駅[12:05]=(宿舎送迎車)=[12:10]宿舎[13:12]=(市営バス)=[13:21]鮫バス停(13:22)-蕪島(13:42/49)-水産科学館前(14:02)-八戸漁港(14:09)-カフェ&ギャラリーうみ音入口(14:26)-葦毛崎展望台(14:36/40)-中須賀(14:50)-大須賀海岸バス停(15:00)-砂浜の尻無川(15:13)-車道(15:22)-(15:28)白浜海水浴場入口バス停[15:40+3]=(市営バス)=[15:52]小舟渡-レストランフェザント(15:55/16:51)-(16:59)宿舎{八戸シーガルビューホテル}

<ルートの概況>
    八戸は結構遠い所ですから早朝の新幹線で出発してもトレイル始点に着くのに昼すぎになってしまいます。
初日は、トレイル始点の蕪島から陸中白浜付近まで半日行程を設定し、足慣らしをしました。

  なるべく軽い荷物で行動したいと考え、トレイル始点近くにあるホテルに連泊することにしました。
トレイル沿いを通っている JR八戸線線と随所に運行されている路線バスをフルに活用し、それでも不足する部分はタクシーを利用する計画です。

  初日は気圧の谷の通過とタイミングが合ったため小雨模様になりました。
鮫駅に着くとすぐ、迎えに出てくれた車に乗って宿舎に直行。
荷物を預けたあと軽い食事をした上でバスに乗ってウオーキングの開始点になる鮫に戻りました。


  鮫の家並み間を通って海沿いの道路に出た所は鮫漁港で、遊覧船が発着する桟橋もありました。

  係留された漁船の向こうにウミネコ繁殖地として有名な蕪島が見えました。
巣立ちが遅れて渡りの群れに置いて行かれる若鳥が多くいるとかで、道端で餌を食べている鳥の大部分はウミネコの若鳥のようでした。


  まず、弁天神社に参拝しました。
この神社はとても嫉妬深く、夫婦で参拝するとその仲を割くと言われています。

  神社の階を降りた所に潮風トレイル始点の石碑が立っていました。
(蕪島弁財天の社殿はこのあとまもなく10月5日に焼失しました。)


  トレイル ウオーキングは車道歩きではじまりました。
小雨模様でしたが陸から海にの方に向かう弱い風が吹いていたお陰で小さな傘をさしただけでも濡れずに済みました。



  鮫灯台の裾を通り過ぎて僅か進んだ所に葦毛崎展望台があります。
晴れていれば下北半島まで見えるそうですが雨模様のため遠くは見えませんでしたが北国の海岸の様子だけは見られました。
 

  展望台の先は磯の縁に添って遊歩道が整備されていました。
山側は花畑でしたが夏が終わったこの時期はあまり花はなく、やや寂しい景色になっていました。

  東山魁夷の画題にもなったという、波が打ち寄せる磯は「山屋」にとっては新鮮な景色でした。

 (画像をクリックすると拡大) 


  一旦道路に上がって大須賀のバス停ポストを見た所から左手に階段を下ってゆくと長い砂浜の中に入りました。

  雲霧と波しぶきで煙っていましたが空気が澄んだ晴れ日に来たらさぞかし綺麗に違いないと想像しました。
 

  砂浜が尽きて松林に入った所で右手に上がると車道に出ました。


  雨模様だったのと、連れの二人の靴の底が揃って剥がれてきたのでこれ以上歩き続けるのは無理な状態になりました。

  白浜海水浴場入口で初日のウオーキングを打ち切り、種差海岸と鮫駅との間に毎時1本ほどの頻度で運行されているバスに乗って帰ることにしました。

  バスは宿舎のホテルの前を通過するのですがそれよりひとつ手前の小舟渡バス停で降りました。

  バス停のすぐ先の林の中に 「フェザント」と言うカフェレストランがあるのをネットで見つけてあったので立ち寄ってみたら当てずっぽうが大当たり!
美味抜群のシーフード・パスタにありつく事ができました。

  隠れ家的な落ち着いた雰囲気の店で大満足の夕食ができました。
  食事の間にほとんど止んだ雨の中を歩いて宿に戻ったあと、壊れかけた靴を修理するための材料を探したりしてひと騒ぎはあったものの早い時間に寝床に入り、旅の初日の疲れを癒やすことができました。

<追加情報>

  この日の写真アルバム

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☆9月14日(晴れ一時小雨): 白浜海岸から階上までトレイル・ウオーク
<行動時間>
    宿舎[7:52]=(Taxi)=[7:57]白浜海水浴場入口(8:00)-白浜海岸東屋(8:06)-田村崎漁港(8:13)-淀の松原入口(8:26)-淀の松原(8:30)-白岩(8:33)-種差天然芝生入口(8:50)-種差海岸東屋(8:54/9:05)-大久喜漁港/神社(9:36/46)-高岩展望台(10:05/18)-南浜中学校(10:35)-浜小屋(10:50)-小川渡渉(11:17)-車道に出る(11:22)-金浜駅入口(11:31)-金浜漁港/塩釜神社(11:38/42)-千歳川音松の碑/一石一字の経塚(11:54/12:01)-魚屋(12:04/07)-海嘯記念碑前(12:09)-アイスクリームもある魚屋(12:17/20)-八戸線踏切(12:33)-(12:45)階上駅[12:54]=(Taxi ホームセンターに立寄り)=[13:10]道の駅(14:02)-郵便局の十字路(14:21)-トチの巨木(14:54/15:00)-茨島バス停(15:20)-(15:32)階上岳登山口[15:43+3]=(南部バス)=[16:17+2]八戸中心街降車場ー交番(16:25/35)-(16:48)本八戸駅[17:25]=(八戸線)=[17:38]鮫駅[17:41]=(宿舎送迎車)=[17:47]宿舎 

種差海岸の天然芝生    (画像をクリックすると拡大スクロール)
<ルートの概況>   

  潮風トレイルウオーク本番の初日の朝は西から接近してくる高気圧の先払いとなる青空が広がる爽やかな天気になりました。

  前日の足慣らしの終点となった白浜海水浴場入口までタクシーで移動し、緩やかな坂を下って行くとすぐに砂浜に出ました。

  弓なりに延びている砂浜を進んでもう少しで白浜漁港に差し掛かるというあたりまで来た所で振り返ると昨日通過した葦毛崎が見え、その先に鮫角灯台が立っています。

 (画像をクリックすると拡大)


  白浜漁港はこの辺りに幾つもある小漁港のひとつです。
漁港の先から始まる遊歩道の坂を登ってゆくと、二階岩、田村崎、象の鼻など、激しく出入りしている磯場の上を通過します。

  黒黒とした岩と深い青色の海とが印象的でした。

 (画像をクリックすると拡大)


  大岩の陰に隠れるように築かれている深久保漁港を通り過ぎると淀の松原にさしかかりました。

  松林の中を上下してゆくと海の中に丸っこい岩が立っているのが見えてきました。
この岩は海鳥の糞が積もって天辺のあたりが白くなっているため白岩と呼ばれています。


  松林が尽きると広い芝生が見えてきました。
有名な種差海岸の天然芝生の原に差し掛かったのです。
小高い所にある東屋の前に立つと目の前に上のパノラマ画像のような景色が広がりました。

  寒冷地の荒海に面した荒磯の上に青々とした天然芝の斜面が広がっているのとても不思議な眺めです。
 

  爽やかな風が吹き渡る芝生の中を歩き終えて一旦道路に上がりましたが、またすぐに細い路地を通って浜に戻りました。

  あたり一面にj黄色い花が咲いていて綺麗でした。
見慣れない花だったので写真を撮り、家に帰ったあとで調べたら 「ハマニガナ」 と言うことが分かりました。

  砂浜の先に種差漁港がありました。
出入り激しい磯は小さな港を作りやすいのか小型漁船が10隻も入れば一杯、というくらいの小さな漁港が沢山あります。

  漁港の奥に立っている杭にごく小さなプラスチック板で作った潮風トレイルの道標が取り付けられていました。
  今回歩いたトレイルの要所でこの小さな道標を見ましたが道標としては至って目立たない大きさのため見落としやすいのは困った事でした。

  遊歩道がよく整備されて分かりやすい所では問題ないのですが、一般道や登山道などと交錯しているような所ではもっと大きな道標がないと道迷いの原因になります。

  漁港の奥手の斜面に立っている目印から草生した道形に入り、藪っぽい所を進んでゆくと高岩展望台の分岐がありました。
ここの入り口も分かり難く、危うく入口を通り過ぎてしまいそうになりました。

  国土地理院地形図上に GPS 座標を表示できるアプリを動かしているタブレットを見ながら歩いていたので今通り過ぎた所に分岐があった筈、ということが分かって引き返し、無事にたどり着きました。


  高岩は、素晴らしい展望スポットでした。
神社の覆屋の先の岩頭に展望台が設けられていて、180度超の視界が得られました。
近くに大型車を停められるスペースがないせいか、最前から前後して歩いていた老女三姉妹のほかは誰も来ず、ユックリ眺めを楽しむことができました。

種差海岸南 高岩展望台の眺め    (画像をクリックすると拡大スクロール)
 

  高岩の南の浜に降りて暫く進んだ所で県道に上がり、今どき珍しくなった相撲土俵のある南浜中学校の塀の先から海に向かって坂を下りました。
  この辺りに江戸時代と同じ造りの建物が保存されている浜小屋があるということだったので道で出合った地元の人に尋ねてみましたが要領を得ず、探し当てることができませんでした。

  大久喜漁港の奥手の十字路の角にある現代の浜小屋には行きつけたので何か飲み食いができると良いなぁ、と思いながら近づいてみたのですが戸締めになっていて人気がありませんでした。


 (画像をクリックすると拡大)

  また県道に出たり海沿いに戻ったりしながら進んで行くと同じような景色が繰り返し現れて少々単調になってきましたが、やがて巾着袋のような形の小さな漁港が見えてきました。

  湾の奥はコンクリートの斜面になっていて、漁船はこの上に引っ張りあげたり滑り下したりして運用しているようで、横手の小さな岸壁のコンクリート床には昆布を並べて干してありました。

  横手の岩の高みに見えた可愛い鳥居と社殿はは鹽竈神社のようでした。

  また県道に上がって単調な道路ウオーキングを続けてゆくと、八戸市と階上町の境界を示す道路標識がありました。

  大久喜の漁港にいた人に、近所で食事ができる所はありませんか?と尋ねたところ、階上町に入ってすぐの大蛇(おおじゃ)には食堂があると教えくれました。

  地魚料理のお昼が食べられるのを楽しみにあるいて来たのに建物はあっても戸が閉まり、食べ物の匂いもしませんでした。

  なんでも良いから飲み食いできる所はないのかと進んで行ったら左のような経塚遺跡があり、その向かい合わせに飲み物の自販機が並んでいました。

  空腹だっただけでなく、脱水気味になって脚が痙攣しかかっていた所だったのでイオン飲料を買って飲みながら進みました。

  海辺にポツリポツリ店が見えてきたので立ち寄っては聞いてみたが売っているのは生の魚介類ばかり!

  あと2km 足らずで階上駅、と言うあたりまで進んで半ば諦めムードになっていた所に左のような店があって、アイスクリームを買うことができました。

  食事の代わりにはならないけれども繋ぎとしては役に立つので早速買い、ペロペロ舐めながら階上駅に向かいました。
  右手に曲がって坂を上がり、八戸線踏切を渡ると県道に出ました。
  左折してゆくと街灯が並んでいる駅前通りになり、まもなく旧式の腕木式鉄道信号が目印の階上駅に着きました。
  残念なことに、この駅のまわりにも食べ物屋はありませんでした。

  この日は階上駅から茨島のトチの巨木までタクシーを使う計画にしていたのですが、連れの壊れかかった靴の補修材料とできうれば、一時的な履き替えとして使えそうな靴を入手するほか、昼食が食べられる場所に手早く行きつく必要も出てきていました。

    タクシードライバーに用向きを話したら役場の近くにはホームセンターと道の駅があるというのでそちらへ回ることにしました。

  まず、役場の手前にあるホームセンターに立ち寄り、接着剤と安物のウオーキングシューズを購入しました。

  次にホームセンターの僅か北に寄ったところにある道の駅に行ってみたらmはなかなか洒落た感じの綺麗なレストランがあって、美味しい海鮮ラーメンを食べることができました。

  無事にありつけた昼食が美味しかったのでかなり満足しました。

  たっぷり食休みをしたあとでトレイルウオークに復帰し、まず郵便局のある十字路まで行って角を右折。
中学校の前を通って巨木のある茨島に向かいました。

  道端に広い蕎麦畑があって一面白い花に覆われていました。
  この日の昼食はラーメンでしたが、階上では昔から蕎麦が救荒作物として栽培されてきていて、美味しい蕎麦屋があるので知られた町なのだそうです。

  茨島のトチの木は入り口がよく分からず、道端の人家で聞いたりしてなんとか尋ね当てました。
さぞ大きな木と思っていたのですがそれほどでもなかったので拍子抜けしましたが、傍らに立っている立て札に推定樹齢 850 年というとんでもない樹齢が記されていたのでビックリしました。

  巨木を見たあと県道に戻り、また西に向かって車道歩きを続けました
  坂を登ったり下ったり、3Km ほど歩いた所が鳥屋部の十字路で、筋向かいに階上岳登山口のバス停がありました。
バス停に向かい合わせた角にある洒落た建物は、フォレストピア階上と言うレストハウスで、そばが美味しいので有名なそうです。

  この日は知らない土地で不慣れな海沿いのロングルートを歩いたのですが、曲りなりに無事に歩き切れたのでホッとしました。

  予定していたバスに乗って八戸に戻ったのですが、八戸についたあとでひと騒ぎありました。

  八戸の終点のバス降車場は駅から遠く離れた商店街のド真ん中でした。
バスのターミナルは駅前広場か駅の近くにあるターミナルビルというのが「全国標準」だからこの町もそうなっているに違いないと思い込んでいたのはまったくの見当違い!
どっちに進めば駅に行き着けるのか? どれほど遠いのか?見当がつきません。

  ふたたびタブレットを引っ張りだしてナビゲーションを再開。 見当を付けた方向にに進みましたが、またま通りがかった交番の前に立っていた市街地地図の看板を見ていたらお巡りさんが出てきて道案内をしてくれたのですが、過剰なくらいの親切は有り難いというか迷惑というか?
  こちらの道の聞き方も良くなかったのですが、本署へ電話をかけて延々やり取りを始めたのをカウンター越しに見守っているうちにどんどん時間が経って行き、予定していた八戸線列車の時間が過ぎてしまいました。

  丁寧にお礼を言ってほうほうの体で交番から脱出!
ふたたびタブレット・ナビゲーターを頼りに進んで駅を探し当てました。
次ぎの日に利用することにしていた階上登山口行きバスの乗り場を確認した上で次発の八戸線列車に乗り、1時間ほど遅れで宿に帰り着きました。

<追加情報>

  この日の写真アルバム

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☆9月15日(晴れたり曇ったり): 鳥屋部から階上岳に登って寺下観音へ
<2万5千分1地形図>
    新井田(八戸6号-3)、階上岳(八戸6号-4)、角浜(八戸6号-1)
<行動時間>
    宿舎[8:10]=(宿舎送迎車)=[8:15]鮫駅[8:28]=(八戸線)=[8:40]本八戸駅[8:49]=(南部バス階上循環(階上庁舎まわり・階上中学校線)=[9:50-5]登山口バス停(9:52)-階上岳鳥谷部登山口(9:58)=トンネル入口(10:16)-しるし平(10:31/39)-林道交差点(11:14/16)-休憩舎(11:30/40)-階上岳(11:52/12:13)-休憩舎(12:20/23)-大開平/ツツジの駐車場(12:30/40)-車道(12:52)-石倉展望台入口(12:55)-海が見える所(13:01)-階上観光協会の指導標(13:59)-スイカをご馳走になった畑(14:13/26)-寺下観音(14:30/35)-潮山神社(14:37/42)-(15:12)寺下駐車場/龍神の松[15:28]=(Taxi)=[15:35]階上駅[15:59]=(八戸線)=[16:24]鮫駅[16:25]=(宿舎送迎車)=[16:31]鮫角灯台入口-鮫角灯台(16:34/56)-(17:06)宿舎

階上岳頂上の展望    (画像をクリックすると拡大スクロール)
<ルートの概況>
   みちのくの旅の3日目、階上岳に登る日も秋晴れになりました。
朝の程よい時間に本八戸駅に行き、北口前のバス乗り場から階上岳登山口に向かいました。
たまたま、前日と同じ方向の右回りの便だったおかげで、八戸工業大学前から階上役場へ向かう海寄りの国道を南下。 巨木を見た茨島を経て鳥屋部登山口に着きました。

  バス停の筋向かいにあるレストハウス階上は左のようにとても洒落た建物ですがこの日はあいにく定休日で戸が締まっていました。

  レストハウス脇のベンチで支度を整え、山に向かって10分足らず進んだ所で左手の土手に上がって行く歩道が分岐し、登山口の標識が立っていました。

  山に入るとすぐに沢沿いの道になりましたがやがて右手に回って行きました。
自然林の中をひと登りした所に車道の下を潜るトンネルがありました。

  トンネルの先をもうひと登したらしるし平に着きました。
舗装車道のカーブと登山道が接している所で、東屋、水場、公衆便所が設置されています。

思いがけない大勢の人達が来ていたので驚きましたが、地元の人達は大抵ここまで車で来て登りだすので事実上の登山口になっているようでした。

  事前の調べではしるし平の先で家族向きと中級向きとふたつにルートに分かれているということでした。

  初めて登る遠くの山ですから、とにもかくにも、よく踏まれている方のルートを登れば間違いないに違いないと思いながら山道に入りました。

  所々に緑色の矢印のコースサインが立っているのでそれらを伝わって行ったところ、別にルートの分岐らしい所は見当たらないまま登り続けることとなりました。

  舗装林道と廃林道とを何度か横切って行ったあと、やや急に数回折れ登るとぽっかり開けた所に出ました。

  目の前に2棟の小屋が並び立っていいて、一方の小屋は開放され、休憩舎になっていました。
階上岳の肩の広場とでも言える良い休憩場所でした。

  小屋の庭先で右折して進んでゆく所は広く平らな道になっていましたが、やがて幅広い階段があり、その上に鳥居が立っています。
鳥居の下を潜ると、嶽大明神の石祠と不動明王像が並んでいました。
   

  この山の天辺は石祠の背後の岩群で、その上には信仰登山の象徴とも言うべき石碑が立てられていました。

  岩群の北側が広場になっていて、大きな黒御影石の山名標石、野外ベンチなどがあり北の方への視界が広がっています。

 (画像をクリックすると拡大)

    見慣れない3人組に気がついた地元ハイカーの1人が親切に景色の説明をしてくれました。
山麓に見える巨大な凹地は石灰石の採掘跡だそうです。
先の方には八戸市街の家並みが広がり、その先には八戸湾の水面が広がっていました。

  遠くの雲の中に見える山影は下北半島でしょうか?
左手の森の端から覗いている山影はは八甲田だそうです。

  存分に頂上の展望を楽しんだあと下山に掛かりました。
小屋の前を通過した先からひと下りした所は大開平で、広々した芝生の広場の一角に電波塔が立っています。

  芝生の斜面の下は広い駐車場になって居ました。
山登りをしない人も車でここまで上がってきて景色を楽しめるようです。

  駐車場の下手から右に分岐している山道があって入口に「潮風トレイルの超小型道標」がありました。
最近藪払いが行われたものの踏み固められてはいない山道を下ってゆくと右側に牧場の柵が現れました。

  牧場の背後の尾根の上に電波塔が立っているのが見えました。

  ぐるっと回ってきた舗装路と出合った所から車道歩きを開始。
牧場に行く道を見送って左手に進むと石倉展望台入口の道標が立っていました。

  寺下観音ヘ下ってゆく潮風トレイルのルートは穏やかな地形の山の中腹を横切りながら徐々に高度を下げて行くながぁ~い車道でしたが、階上町が立てた道標が要所に立っていて迷わずに進めました。

  大きな谷の中へ下ってゆくのでまわりの展望が開けず少々単調な車道歩きとなりましたが途中まで来ると行く手に海が見える所があったりして気が紛れました。

  左下に曲がり下って沢沿いに進むようになるとまもなく前のほうが開け、山畑の脇に出ました。

あと僅かで寺下観音と思いながら、畑の中で作業していた老夫婦の横を通り過ぎとしたら「おーい、ちょっと待てぇ」と声がかかりました。

  何事か?、と訝りながら近寄ってゆくと草叢から大きな西瓜を持ち出してきてこれを食ってゆけ、と言います。 

  草刈り鎌で割った西瓜を5人で平らげたら喉の渇きが潤っただけでなく、腹も膨れました。

  野趣あふれる大ご馳走に厚くお礼を言ったあと道に戻って歩き出すとすぐ寺下観音でした。
大蔦が巻き付いた大木の脇に鐘撞堂があり、その後ろにある古めかしいお堂が寺下観音の本堂でした。

  神亀元年((724)開山と伝えられる古刹だそうですが小じんまりしたお堂の中に灯明が灯され、入口の両脇の壁一杯に願い事を記した紙が貼ってあります。

  お堂の下の石段を下って川を渡り、左手に進んだ奥まった所に潮山神社がありました。
こちらもこぢんまりした社殿でしたが苔に覆われた地面から巨木が林立している中にあり、異次元空間に迷い込んだかのような雰囲気が漂っていました。

  社殿の横に並び立っているひと群れの巨木の向こうに小さな滝がありました。

  参道を歩いて鳥居の外に出た先の左側に龍神の松がありました。
枝が横に長く伸びた巨木で、推定樹齢300年と言われています。
  これと同じような枝ぶり松は、東京江戸川区の善養寺に影向の松と呼ばれるのがあるのを見ました。
そちらは、大きさと言うか広さというか、日本一と言われています。

  川の対岸の短い坂を上がった所にある十字路の筋向かいが車止め広場になっていてその横手に「茶屋 東門」がありました。
町内美味随一と言われる階上蕎麦の名店と聞き楽しみにして山を下ってきたのですが店の戸が閉まっていました。
住居として使われている建物ではないようで、奥の方を覗き込んでみても人気がありません。

  繋ぎに持っていた行動食を食べてタクシーを呼び、階上駅に戻ることにしました。

  この日は階上駅からさらに南下して県境を越え、岩手県に入ったところにある角の浜駅まで行く計画でしたが山ひとつ越えて少々疲れたし、西瓜のご馳走で時間が遅くなった上に東門の階上蕎麦を食べ損ねて気力が削がれました。
階上駅でウオーキングを打ち切り、八戸線列車に乗って鮫駅に戻ることにしました。

  行程のおしまいの部分を端折ったため早い時間に戻れたので、宿のすぐ先にある鮫角灯台まで足を延ばしてみました。
晴れ渡った空に下に北の海が広がり、沖の方を一隻また一隻、船が走ってゆきます。

  灯台のすぐ後ろの台地は競馬馬を育成しているタイヘイ牧場です。
灯台の陸側の塀に近寄ると柵の向こうに牧場の芝生が広がっていて、遠くの方に数頭の若駒がのんびり草を食べているのが見えました。

写真の説明    (画像をクリックすると拡大スクロール)

<ルートの詳細>




  ヤマレコの山行報告



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☆9月16日(晴): 階上駅から種市までトレイル・ウオーク
<行動時間>
    宿舎[7:15]=(宿舎送迎車)=[7:20]鮫駅[7:35]=(八戸線)=[8:03]階上駅(8:05)-小舟渡港(8:21/24)-民宿はまゆう前(8:28)-階上灯台(8:40)-青森・岩手県境(8:42)-コンクリートの丸東屋(8:56)-角の浜漁港(9:01/05)-渋谷川(9:14)-種市高校(9:33/44)-平内駅入口防波堤(9:50)-川尻川河口水門(10:04/06)-川尻津波供養塔(10:08)-ウニ増殖溝(10:11/28)-種市漁港(10:42/46)-ひろの水産会館ウニーク(10:50/11:10)-種市海浜公園(11:19/24)-県道(11:26)-食事処和井内(11:34/12:40)-洋野町種市庁舎(12:47/54)-(13:02)種市駅[13:44]=(八戸線)=[14:09]種差海岸駅[14:22]=(市営バス)=[14:41]シガールビューホテル[16:10]=(宿舎送迎車)=[16:15]鮫駅[16:24]=[16:48]八戸[17:06]=(ハヤブサ28号)=[19:39]大宮=(高崎線)=熊谷{駅前H泊}

写青森・岩手県境 階上灯台付近の海岸    (画像をクリックすると拡大スクロール)
<ルートの概況>
   この旅の最終日となる四日目も引き続き秋晴れに恵まれました。

  夕方の新幹線で帰郷するのでこの日は昼までの半日行程になりますが最低でも種市まで到達し、切りの良い終わりにしたいと思いました。

  早朝の八戸線列車の車窓から、綺麗に晴れ上がった秋空の下に広がるみちのくの海と山の景色を眺めるローカル列車の旅をして階上駅へ。

  駅舎の前を横切っている道の角で左折し、南に向かいました。


  突き当った角を左折して踏切りを渡り、下り坂にかかるあたりの家並みの中で浜から昆布を運んできた軽トラックと出合いました。


  坂を下りきると海沿いの道路に出ました。


  階上町内で最も南にある小舟渡の漁港はこれまでに見てきたのと同じようなこぢんまりした漁港でした。


  家並みを抜けた所で見えた赤塗の鳥居は赤石大明神のものでした。 


  芝生の高みにミニサイズの灯台が立っていてその先で海に流れ込んでいる小さな川が青森-岩手の県境でした。

  岩手県に入るとすぐの所に潮風トレイルのコースマップ看板が立っていました。


  岩手県最北の町は洋野町ですが、海沿いの広い空き地に太陽光発電所ができていました。
津波被害地の跡を居住地域に戻すのを避けたことでできた空き地を活用しているのでしょう。

  震災後も以前と同じ漁業を続けることに拘っているように思われる青森県と、空き地をさっさと転用してしまった岩手県と。
地形の違いによるものか、県民性の違いによるものでしょうか?


  角の浜駅入口の下を通過するとまもなく角の浜漁港に差し掛かりました。
港の向こう側に浜の鳥居の頭が見えました。


  県道に上がって進んでゆくと 「これより先 津波浸水想定地域」と記した標識がありました。
地形図に 「大谷地」 と記されているあたりです。
近くを川が流れていて、もともと低い土地のようでした。


 海沿いの堤防の上の道になりました。
八戸から階上までの間の海岸で目立った荒磯はなくなりました。
岸から離れた所に土手のようなものが見え隠れしていて、遠浅の岩場になっている様です。


  幾らか内陸側を通っている道路に沿って歩き、緩やかな坂を登って台地に上がると種市高校のキャンパスが見えてきました。
全国唯一の潜水士養成コースを持っている高校です。

1時間強歩き続けていたので校門の脇にザックを下ろし、暫く休憩しました。


  種市高校から少し南下し、平内駅入口を通過したあたりからルートが海沿いになりました。

 


  海沿いの堤防の上は歩きやすいのは良いのですが天気が良すぎるところへ日陰が全くないのは困りものでした。
北国とはいえまだ残暑の候だったし、3日続きの快晴の日に焼けた額がヒリヒリして来ました。

  川尻川の河口に頑丈な水門がありました。
水門操作室のテラスに上がってみると今歩いてきた堤防が海沿いに延々とつながっているのが分かります。

川尻水門ゲートから北方の海岸    (画像をクリックすると拡大スクロール)


  水門の南側の陸側が広い空き地になっていて、その真ん中に石碑が立っていました。
洋野町の資料によるとこれは川尻津波供養塔で、昭和8年の三陸大津波の犠牲者を供養するものということです。

  供養塔のまわりの広場は、多分、津波で壊滅した集落があった跡ではないかと思いました。


  水門の先に進むと波打ち際にそって半ば水没した堤防のようなものが続き、外海の波から内側を守っているように見えるものはウニの増殖溝のようでした。

  海の中に橋のようなものが架けてあります。
ウニ増殖の作業で使われるものなのでしょうが普段は海鳥の止まり場になっているみたいです。


  種市漁港に着きました。
そろそろお昼という時間になって漁獲物の陸揚げ作業がとっくに終わっている漁港は静かになっていましたが覆屋の下に置いてあった水槽を覗きこんでみたら下のように生きたカニやタコがうごめいていました。

  可哀想に思ったのはタコの方で、メッシュの袋に閉じ込められているのはまるで拷問にかけられているかのようでした。
 

  漁港の南隣にひろの水産会館があったのでトイレを借りて小休止をするため中に入りました。
生きているウニの幼生が見られる水槽や、おみやげ用の水産物を買える売店などがありました。
食事はできないことが分かったので近くに良い店がないか尋ねてみました。
旅の終わりの日ですから、地物の魚料理を食べたい、と思っていたのですが残念なことに近くの店は定休日ということが分かりました。

  普通の食堂なら駅に行く途中の県道沿いにあると言うので、そこで最低の用を足すことにしました。


  水産会館の先には広いスペースがあって子ウニを育成する水槽が沢山並んでいました。

小ウニ育成場の先は海浜公園になっていて、人工っぽい砂浜が広がっていました。


  大きなセンターハウスがありました。
シーズンには大勢の海水浴客やサーファーが集まるようです。

  今回のトレイルウオークはこの海浜公園までで終了することにしました。

  右折して内陸に向かい、 防潮堤のゲートを潜って行くと県道の十字路に出ました。

  角を右折して駅に向かい、少し歩いて町に入ろうとする所に小さい食堂がありました。
メニューには、カツ丼、カレーライスなど、どこにでもあるものばかりで地物魚の料理などは見当たりませんでしたが、それなりの腹の足しにはなりました。
  ゆっくり食事をしたあと外に出て締め括りのウオーキングをはじめました。
町に入るとまもなく通りかかった役場の入口脇には町内のモロモロを描いた大きな案内看板が立っていたので見ていたら向かいの店からオバァちゃんが出てきてあれこれ説明してくれました。

  洋野町の内陸部には久慈平岳と言う山があるそうです。
階上岳の峰続きの山で登山口に宿泊施設もあるということですから次回、トレイルの続きを歩きにきた時には、その山に登ってみよたいと思います。
  種市駅前の広場にある公衆トイレは潜水帽を形どった面白い形の建物でした。  
  帰りは鮫駅よりふたつ手前の種差海岸駅で下車してて鮫行バスに乗り継ぎ、ホテルの玄関先に直行しました。
所要時間が20分ほどですから、預けておいた荷物を受け取り、ユックリ休憩したあとで帰途に就くことができます。

  種差海岸はかなり有名な観光地ですから駅前の店で土産物が買えると期待していたのですがシーズン・オフのせいか、駅前の店はみなシャッターを閉ざしていました。
連れの二人は街中まで見に行きましたがしばらくすると戻ってきたやはり店はなかったと言いました。

  駅前広場の向かい側に立っていた道標の脇から細道を進むと見晴らしの良い高台に上がりました。
国内各地はもとより、近隣国の名所の、膨大な点数の鳥観図を残した絵地図作家吉田初三郎のアトリエ跡でした。

   種差駅から種差海水浴場を通って宿舎のシーガルビューホテルまで約20分。
ホテルで荷物を受け取り、ロビーでゆっくり休んだあと鮫駅まで送ってもらって八戸駅へ。

夕方の新幹線列車で家に帰りました。
<ルートの詳細>




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☆おわりに

    三陸海岸の沿って整備が進められている「みちのく潮風トレイル」の味見に出かけました。
初秋の好天周期に巡りあい、変化に富んだ海岸の景色を楽しみ、地域の名山 階上岳に登ることができました。

   地理不案内のため、さまざまなマイナートラブルがありましたが、素朴で親切な地元の人達に助けて貰いました。
景色の良さは期待通りでしたが、それにもまして美しいと思ったのはこの地域に住んでいる人々のハートでした。
グロバリゼーションとかなんとかで海外諸国に蔓延し、我が国も広範囲に汚染されてしまった欲望ドリブンの悪風はまだこの辺りまで及んでいないようです。

  海沿いのトレイルは先が見えすぎるせいで、山歩きより単調になる嫌いがあるような気もしましたが、それと引き換えるかのようにシーフードが美味しいので、ひと味違う楽しみの要素はあります。
また、原則として平坦な里道を歩くので高齢者でもリスクなしでトレースできるのが取り柄です。

  このあと、もう少し山っぽい信越トレイルの味見をしたところ、綺麗な里山ウオークを楽しめることが分かりました。
「みちのく潮風トレイル」と「信越トレイル」とは今後、「老後」のメインテーマになるでしょう。

  この旅全体のルートマップ

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