浜名湖 宇利峠-雨生山-金山-瓶割峠-三ヶ日 (2013.11.29-30)


☆期日/天気/山行形式: 2013年11月29-30日 前夜豊川ホテル泊単独行
☆地形図(2万5千分1): 三河富岡(豊橋7号-4)、三ヶ日(豊橋8号-3)
☆まえがき
    天気や体調が原因で二度もトレースし損ねたあと、それきりになっていた奥三ヶ日 宇利峠から瓶割峠への尾根伝いに3度目のトライを試みたところ、最高の天気に恵まれました。
これにより、東海道線新所原駅の近くから始まる湖西アルプス連山から奥三ヶ日の本坂峠、宇利峠を経て湖北の富幕山、尉ヶ岳まで、浜名湖のまわりをグルーッとまわっている尾根筋をカバーできました。

  これまでと違って2日続きの快晴に恵まれ、体調も良かったのは、泊まり場を三ヶ日でなく、山の裏側の豊川に変えたせいで験が変わったお陰かも知れません。
お陰で遠隔の山を楽しく歩きながら珍しい山岳展望を存分に楽しみました。

雨生山頂上付近から南方 湖西アルプスの山並    (画像をクリックすると拡大)
☆行動時間
   宿舎(7:20)-豊川稲荷(7:25/45)-(7:55)豊川駅[8:04]=(飯田線)=[8:26]新城駅[8:30]=(Taxi 約10Km 2980円)=[8:45]宇利峠(9:00)-雨生山(9:39/50)-金山(10:50/11:00)-瓶割峠(11:35)-幡教寺/富幕山入口(11:40)-121m地点(12:10/25)-大福寺(13:15/25)-(14:15)三ヶ日駅[14:42]=(天浜線)=[15:02]新所原[15:14]=(東海道線)=[15:39]浜松[16:11]=(ヒカリ#472)=[17:21]新横浜=あざみ野=[18:06]宮崎台

☆ルートの概況
   前日、鳳来寺山から降りてきたあと新城駅まで足を延ばして偵察し、駅前に客待ちタクシーがいることを確認していたので、この日の朝は早発ちをする必要もありませんでした。
豊川駅前ホテルの朝食バイキングはウドンもあったのが珍しいことでした。
和洋ごちゃ混ぜのおかずたっぷりとウドン、と言う珍しい朝食をユックリ食べて腹拵えをしました。
チェックアウトのあと、駅に行く前に豊川稲荷に参詣しましたが、8時過ぎに出る飯田線下り電車に楽に間に合いました。
空いているローカル線電車のボックスシートを一人で占領し、のんびり沿線風景を眺めながら新城駅へアプローチしました。   
  新城駅前では計算通り客待ちのタクシーがいました。
待ち時間ゼロでタクシーに乗り継げたのと、駅から峠までの道のりが三ヶ日側より短かかったのとで、僅か15分程で宇利峠の雨生山登山口に着いてしまいました。

  雨生山の取り付きは、峠の頂上より100m あまり三ヶ日寄りで、三ヶ日側の山の中腹を横切っている林道と峠を乗り越えている国道が交差している十字路の角です。
高さ2m ほどの石垣に壊れかかった木のハシゴが立てかけてあり、石垣の上のの上の笹薮に埋もれるように「雨生山40分、金山90分」と書いた標識があります。

  石垣の上から100m ほど新城側へ進んで尾根の背に上がり、右折して手入れの良くない杉林の中の登りました。

  ルートは多少の藪潜りがあるものと予想していましたが、そのようなことはなく明瞭な道形は途切れず、少し前に笹薮を刈り払った形跡までありました。

  まもなく杉林が終わり、常緑灌木が密生する暖地林の中に入りました。
木漏れ日が綺麗で、樹木の隙間から浜名湖の水面がチラリと見えたりして、気分の良い登行になりました。

  雨生山手前の浅い鞍部に上がった所からさらにひと登りすると突然まわりが開け、赤松の低木林の中に出ました。
植物相が急変したのは地質のせいで、雨生山付近は蛇紋岩系の塩基性の岩が露出し、植物が生育し難いためだそうです。
 
  澄み切った青空の下に広大な視界が開け、とても気分の良い山歩きになりました。

  背後を振り返ると宇利峠の向かい側、烏帽子岩あたりのピークが大きく見えました。
その先の方には、湖西アルプスの山並みが連なっています。

  灌木が点在する笹原の中を進んでゆくと金山方面の尾根筋が見えてきました。
右奥遠くに見えるのは富幕山のようでした。

  傾斜が緩むと 「雨生山 313m」 と記したプレートが置かれた石積みがある高みに上がりました。
笹薮に囲まれ、少々狭苦しい感じの場所ですが見晴らしが良く、素晴らしい休憩をしました。

朝日の浜名湖    (画像をクリックすると拡大)
 

  雨生山頂上から金山に向かって進んで行く所は三ヶ日側の緩斜面に笹原が広がり、まばらな樹木の先に朝日に輝く浜名湖の水面が見えました。

南アルプス遠望    (画像をクリックすると拡大) 

  やがて右手遠くの方に白い雪山が見えて来ました。
南アルプスに違いありません。
南西の方角から見ている訳ですから南アの赤石岳、聖岳あたりに違いありません。




  背後を振り返ると南の方に連なっている湖西連峰を縦観し、右下の平地は新城市富岡のあたり、その背後には本宮山を盟主とする三河の山々が連なっています。
 

雨生山北方から湖西連山、吉祥山、富岡方面    (画像をクリックすると拡大してスクロール)
 
  尾根が右手に曲がっている所でルートがほぼ直角に右折すると、曲がり角の先に「金山 50分ほど」と書いたプレートがありました。
緩やかに下って行って砂礫が目立つ広い鞍部を通りました。
雨生山では春と秋に色々な花が咲くそうですが、このあたりの草原がそのお花畑になるのではないか、と思いました。

  雨生山頂上かららこの辺りにかけて、新城側から登ってくるルート幾つかあるようで、合流点を示す道標がありました。
西麓の中宇利から登っくれば短時間で稜線に上がれれそうに見えました。

  鞍部の先にも僅か350m ほどとは思えない高山的な雰囲気の漂う場所がありました。

  さらにひと登りするとまた暖地林に入ってルートが左に曲がります。
そのすぐ先の藪の背後に赤杭が立っていて、根方に石標がありました。
Garmin と NEXUS7 と双方の GPS を照合し、地形図に 348m と記入されている中間峰に相違ないことを確認しました。

  ピークの少し先で杉林の縁を通りました。
その先には明るい自然林がありましたがすぐにまた暖地性の常緑樹が密生して薄暗い林に入りました。


  緩急を繰り返しながら登ってゆくと道の左側が明るくなってきました。
近寄ってみると金網の柵があり、その向こうの切り開きに大きな電波反射板が立っていました。
反射板の先の方に新は城と思われる市街が見えました。
左の写真は、金網の目にデジカメのレンズを突っ込んで撮った物です。

  反射板のすぐ先が金山の頂上で、狭い切り開きの縁に国土地理院の白杭と三角点標石、ごく目立たない山名標、「←瓶割峠」と記した標識がありました。
頂上のような感じのする高みではなく、うっかりしていると気付かずに通り過ぎてしまうかも知れません。

  この日に歩いたルートの最高地点だったので飲み食いをしながら長目の休憩をしていたら、中間峰の先ですれ違った老ハイカーが戻ってきてそのまま通り過ぎてゆきました。
 
  休憩を終えてすぐ北にある筈の下降点に向かって進んでゆくと今しがた通り過ぎていった老ハイカーが戻ってきました。
「おかしいなぁ、この先は道が荒れていて金山の頂上が見つからないんですよ」と言う。
「さっき私が休んでいた所が金山の頂上だったんですよ」 と言ったら 「あれっ、そうだったんですか」 と戻って行きました。

  地形図やコンパスを持っていたかどうか?
年寄りが現在位置も確認できないまま冬の山を歩き回って大丈夫なんだろうか?、と思いました。

  頂上から200m ほど北の下降点で左折、杉林の中を折れ下ってゆきました。
この道は瓶割峠付近の採石場で大きく変化した地形を交わすため、その手前から中宇利側の林道に下降するエスケープルートです。
一部歩き難い所もありましたが道形はごく明瞭でした。 
 
  15分ほど見通しの効かない杉林の中を下ってゆくと林道が見えてきました。
林道に出る所には「金山、雨生山」と記したコースマークと送電線巡視路の標識があります。
瓶割峠の方から逆向きに歩いてきた時にはこの標識が役に立つでしょう。
 
  林道に降り立って右折、苔生した林道を歩いてゆくと前の方に扇山方面の山が見えてきました。

  やがて砕石場の一角に出ました。
たまたま週末で作業が止っていたので静かな砕石場の西の端近くを適当に歩いて瓶割峠の道路に上がりました。
道路から振り返ってみて採石による地形破壊の規模の大きさに度肝を抜かれました。

  瓶割峠の道路に出た所で右折して三ヶ日へ向かいました。
峠頂上の県境標識から300m 程三ヶ日寄りまで進んだ所で左に向かって林道が分岐し、その入り口に播教寺・富幕山への登り口を示す標識がありました。

  三ヶ日への道路は幅が狭く、「ダンプ多し、注意」と記した看板が立っています。
週日に来れば大型ダンプが頻繁に通ってかなり危険かも、と思いましたがこの日は土曜日で出遭ったのは3台だけでした。

  途中にあった小広場で小休止しました。
まだ先が長いのでシャリバテ予防のため大福餅を食べましたが一度に全部食べてしまったのは常人の七掛けサイズの胃袋には少々多すぎたようでした。
  道路を進んでゆくと谷が開けてきて、たわわに実っているミカン畑が見えてきました。

瓶割峠道から三ヶ日みかん畑、背景は尉ヶ岳?    (画像をクリックすると拡大してスクロール)

  長い車道歩きに飽きたので途中から右手の林道に入って近道をしたのですがみかん畑の中で道が途切れ、短時間の間ミカンの木の間を登ったり降りたり迷い歩くこととなりました。

  下の方に見えていた農道に降り立ったあとはのんびり歩き、見当を付けていた第2東名沿いの農道に出たのですがこのあたりで足の筋肉がオカシクなりかかりました。
  大福の食べ過ぎで血行が消化器管に集中していたところへ、道が無くなったみかん畑の斜面を登ったり降りたりしたのがダブルパンチになったようでした。

  あちらこちらの筋肉が入れ代わり立ち代わり痙攣しそうになるのを騙し騙し歩き続けていると大福寺の鐘楼が見えてきました。

  冬桜の花の脇を通り過ぎて境内に入りました。
赤塗の本堂は本尊の薬師瑠璃光如来を納めているそうです。
この寺は もと、瓶割峠北の扇山にあった播教寺が移転したもので、鳳来寺とも関係が深いようです。

  石段の下にある庫裏に立ち寄り、この寺の名物となっている大福寺納豆を買い求めました。

  南の向かってまっすぐ延びている参道を10分ほど歩いた所に仁王門がありました。
赤塗の大きな門は国の重要文化財だそうです。

南アルプス遠望    (画像をクリックすると拡大)

   参道を進んでゆくとみかん畑が広がり、その先に富幕山の頂上にある電波塔が見えました。

  参道は途中で東名高速道と交差しました。
高速道の上に架けられた橋の上からは、この日に歩いた尾根筋を見渡すことができました。

  橋を渡って昔の参道の道筋に戻り、更に進んでゆくと宇利峠から降りてきた車道に出会いました、
左折して橋を渡ったすぐ先の角にコンビニがあります。
その斜め向かいにある浜名惣社の前から僅かに坂を登って行った所で三ヶ日の市街に入りました。

  三ヶ日は何度か通っているだけでなく、ふた晩も泊まっているのでいくらかは勘が働く街です。
道筋を選びながら進んでドンピシャで天浜線三ヶ日駅に到達し、予定より1時間早い新所原行きに程良い待ち時間で間に合うこととなりました。

  駅舎のカフェで紙コップに入れてもらったコーヒを持ってホームに出ました。
  このあとの乗り継ぎも順調で、浜松でも早い時間の新幹線に間に合い、約1時間早く家に帰りました。

☆ルートの詳細



  GPS スライドショー



  Flickr の元画像スライドショー



  ルートマップ





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☆おわりに

   好天に恵まれ、その御蔭でこれまでツイていなかった尾根筋を楽しく歩くことができました。
雨生山のあたりは展望も優れていますが、特異な地質による隠れた花の名山でした。
少々遠い所にある山ですが新城側からアプローチすれば短時間で登降できることが分かりました。
花の季節に再訪してみたいと思っています。