清澄山-元清澄山-金山ダム (2013.3.1)


☆期日/天気/山行形式: 2013年3月1日 曇のち風 単独 ホテル泊2日山行の2日目
☆地形図(2万5千分1): 安房小湊(大多喜14号-1)、坂畑(大多喜13号-4)、
                       鴨川(大多喜14号-3)
☆まえがき
  南房総山行の2日目は空模様が良くありませんでした。
前夜チェックした予報では、日本海北部を東進する低気圧の影響で曇りのち雨、春一番の風も吹きそう、ということでした。
朝起きて外を見たら明け方に小雨があったらしく路面が濡れていて、これはマズイなぁ、と言う状態になっていたのですがともかく清澄山に上がることにしました。
清澄寺に拝観しながら空模様を眺め、大丈夫そうに思えたら元清澄山に向かう、と言う心積もりです。

  歩いてみた結果は、途中で薄日がさす程度の天気となって降られずに済んだのですが、元清澄山から金山ダムへの下降路は南房総特有のノコ刃状の尾根の背をなぞって小刻みのアップダウンを繰り返して行くもので、老人にはなかなか厳しいルートでした。
下山先の金山ダムでは長いバスの待ち時間がありましたが、タクシーを呼ぶ代わりにグルメ系蕎麦屋に入って 「鴨せいろ」 を食べてみたら鄙にも稀な特上の美味でした。

清澄山郷台林道から愛宕山方面の展望    (画像クリックすると拡大)
☆行動記録
<行動時間>
天津駅前[7:52]=(コミュニティーバス 清澄ルート)=[8:04]清澄寺(8:30)-郷台林道入口(8:40)-関東ふれあいの道標石(1.0/12.5Km 8:50)-野外テーブル(9:09/15)-池ノ沢番所跡(9:30)-林道小倉松森線分岐(9:35)-元清澄山登山口(10:10/18)-関東ふれあいの道標石(7.0/6.5Km 10:56)-三石山分岐(11:00)-林道末端(11:07/10)-元清澄山(11:30/49)-黒塚番所跡(12:35/45)-関東ふれあいの道標石(11.0/2.5Km 13:17)-ダムが見える少ピーク(13:43/50)-金山ダム(14:25)-金山バス停(14:25)-そば屋打墨庵加瀬(14:30/15:20)-(15:22)金山バス停[15:35]=(コミュニティーバス 南ルート)=[15:51]鴨川駅西口[16:10]=(アクシー号)=[18:23+10]東京駅八重洲口/東京駅[18:47]=[18:48]大手町[18:53]=[19:36]宮崎台

<ルートの概要>
    安房天津駅前から清澄山へは毎日6便の鴨川市営バスが運行されています。
駅前を7時52分に出た便は8時04分に清澄寺(せいとうじ)前に着きましたが全天雲に覆われ、本曇りです。
空模様を眺めながら清澄寺を拝観しましたが空がなんとなく明るくなってきてこの分なら降られずに済むのではないか、と思われるようになりました。
元清澄山へのルートの始めの部分、全長の4割ほどは平坦な林道です。
ここを歩いている間に降り出したらもとに引き返せば良いや、とも割り切りました。

  清澄寺ははじめ元清澄山に創建されたのがのちにこちらへ移転してきたのだそうです。
何度か火災に遭い、明治の廃仏毀釈による荒廃などもあったため建物も古いものではないそうですが、日蓮上人が修行を始めた所で、日蓮宗四大霊場の第一とされています。

  元清澄山への尾根伝いの起点は、門前町を出外れたところにある東京大学演習林作業所の先で、左手に分岐している郷台林道の入口です。

  分岐に入ってすぐ、清澄養老ラインの上に架かっている橋を渡ると車止めのゲートがあり、歩行者しか入れないようにしてありました。

  尾根筋は南房総特有の細かい凸凹が連続する鋸刃状ですが林道はその肩のあたりを左右に縫って平坦に延びています。
関東ふれあいの道 「モミ・ツガのみち」 とされているので、頻繁に黒塗りの道標が見られ、要所に関東ふれあいの道の石標が置かれています。

  長くて平らな林道ですが、野外テーブルのある展望広場、池ノ沢番所跡、林道小倉松倉線分岐など、順次ランドマークが現れるのでそれらを確認しながら進んで行けば単調にはなりません。
所々で左手に視界が広がり、天気の良い日にくればとても楽しく歩けそう、と思いました。

  出発点から1時間半あまりで東大演習林入口のゲートに突き当りました。
車だけでなく徒歩の人も入れないよう、ゲートの両脇が塞がれていました。

  ゲートの手前に 「元清澄入口」 と記した標柱が立っていて、その脇から左下に降りてゆくようになっていました。

  歩道に踏み込んだあたりはセリバオウレンの花が咲くということでしたが、例年1度くらいしか降らない雪が4度も降ったためか、花の気配はありませんでした。
歩道はよく整備され、擬似木の柵や階段が断続しています。

  ピークの肩を巻いたり、尾根の背をなぞって高みを乗り越えたりしながら進んでゆくと入口から50分ほどの所に三ツ石山分岐がありました。
そちらへのルートは右の尾根上へ向かってトラロープが張ってあります。

  まもなく右下に降りる所があって、ヒョッコリ林道の末端に降り立ちましたが林道を50m あまり歩いたところにまた尾根の背に戻る階段がありました。

  暫く尾根の背を辿って行くとヌタ場のような湿った所があり、マムシに注意と記した立て札がありました。

  そこを過ぎてもうひと登りした高みが元清澄山頂上でした。
濃密な常緑樹林に囲まれていて展望はないものの、三角点標石、山名標柱、野外ベンチがある穏やかな高みで、長途を歩いてきたあとでは最高の休み場でした。

  清澄山から長途を順調に歩いてこられたのでホッとしたのですが、このルートの骨の部分はこのあとでした。

  まず頂上の南南西 1Km あまりの黒塚番所跡まで、小ピークを5つほど乗り越しながら高度を下げてゆきました。
3度ほどかなりの急降下を繰り返した中には鎖を取り付けた岩場もありました。
尾根が折れ曲がってヘヤピンのような感じになっている所を過ぎると黒塚番所跡で、ひと息入れられる小平地があります。

  番所跡の下は暫く穏やかな道になり、擬似木の手摺も現れてヤレヤレと思ったのですがこの先が大変でした。

  左下の谷にゴルフ場が見えるようになったあたりから高度差20m 前後の尾根の凸凹をなぞってゆく擬似木の階段の登降が続きました。
  ステップの土砂が雨に洗い流されて横木が突出した階段は、まるでハードルのようになっていました。
さらに、丁寧に作られた階段はステップの幅が狭いのが仇となって靴の置き場が安定せず、とても歩き難い状態になっていました。
 

  脚を上げ下げする筋力が衰えてきた老人にとってはとても厳しい下降路で、途中から、もういい加減に勘弁してくれ、と言いたくなったほどでした。

  160m 圏の小ピークへの登りをやっと登り上げると山の裏側にダムの水面が見えました。
狭い天辺に設けられた野外ベンチにザックを下ろし、ダム湖を見下ろしながら最後の休憩をしました。

  昼過ぎから南風になって気温が上がり、全天が雲に覆われましたが、すぐに降り出す気配にはなっていませんでした。

  小ピークから金山ダム湖畔への下降路はそれまでより格段安易でした。
クールダウンも兼ねてスローペースで進み、最後に自然林の中を2~3回折れ下ると湖畔の林道に降り立ちました。
左手に僅か進んだ所で橋を渡り、対岸の砂利林道を400m ほど進むとやや大きな吊り橋があって左岸に渡りました。

  吊り橋を渡ったところはダムサイトで、すぐトンネルに入りました。

  さらにもうひとつのトンネルを抜けた所は金山集落の入口でしたが、道端に 「金山城址」 と印した看板が立っていました。
トンネルの左横へ入ってゆく道の先の山の上には、かつて城があったという事です。
今日通ってきた池ノ沢番所跡や黒塚番所跡も、この城と連携した防衛拠点だったようでした。
  トンネルの先の最奥の民家の脇を過ぎると国道に出遭い、すぐ左手に金山ダムバス停のポストが立っていました。
ここのバスは運行本数がとても少なく、下山時に利用できるのは15時35分発の鴨川方面鯛の浦行き1本だけです。

  1時間あまりもの待ち時間をどうしようかと言う状況になりました。
バス停ポストにはタクシー会社の電話番号表が吊り下げてあり、車を呼んで早い時間に鴨川に出ることも考えられたのですが、出発前に地図検索をして評判の良い蕎麦屋があることも分かっていました。
  時間も早かったので蕎麦を選択、店に入ってみたらとても洒落た内装で蕎麦の代わりにフランス料理のコースメニューが出てきてもおかしくないような雰囲気でした。
  おしながきの値段はどれもかなりのものでしたが、鴨川までのタクシー代を腹に納めると考えれば問題ありません。
「知らない蕎麦屋では鴨せいろ」 と言ういつもの習わしで、鴨せいろを注文したところ出てきたのは期待を上回る美味で久しぶりの口福を楽しみました。

  ゆっくり蕎麦を食べたあと、店のトイレで顔を洗って髪を整え、ザックのパキングもやり直して外に出たら大分風が強くなっていました。
  安房鴨川駅に戻ってみたらJR外房線の特急は強風のため運休になっていました。
アクアライン経由東京駅行き急行バスの運行が心配になったので日東バスの営業所まで行って確かめました。
こちらは通常通り運行しているとのことで安心。
手早く手土産を仕入れて駅西口広場のターミナルに戻りました。

定刻に発車したバスは順調に走り、定刻より15分ほど遅れただけで東京駅に帰り着きました。

<ルートの詳細>




元清澄山の GPS スライドショー



Flickr の元画像スライドショー


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☆おわりに

  冬のはじめに風邪引き状態が続いている間に脚力が大幅にダウンしてしまったので年の初め以来、徐々にステップアップしてきました。
今回、久しぶりに長丁場を歩き通したのですが懸念していた下山後の痙攣も軽微で、脚力はある程度は回復できたことが確認できました。
歩き出す前にイオン飲料の PET 瓶を用意し、それを飲みながら歩くと良いことにも気がつきました。