足利・佐野市境 越床峠-鳩ノ峰-塩坂峠(2013.4.13)

☆期日/天気/山行形式: 2013年4月13日 晴  ホテル泊の2日目、単独
☆地形図(2万5千分1): 田沼(宇都宮6号-4)、足利北部(宇都宮10号-2)

☆まえがき
    前日に引き続き、越床峠から北方に延びている尾根筋を歩きました。
越床峠は普通の峠と違って地形が少し込み入っています。
「山道の越床峠」は、大小山と大坊山を繋いで東西に走行している尾根筋の最低鞍部ですがその鞍部の近くからもう一本、北に延びる別の尾根筋が 「T字形」 に派生していて、そのジャンクション付近がもうひとつの 「越床峠」 になっているのです。
  地形図を見るとこちらへは東の佐野側から車道が登ってきて 「山道の越床峠」 の鞍部のすぐ北の鞍部を乗り越し、西の足利側へ降りて行く様子が描かれているのが分かります。
この日は、この足利・佐野市境稜線のトレースを行うことにしました。

☆行動
時間
    足利市駅[7:50]=(足利生活路線バス \200)=[8:14]足利病院(8:25)-越床峠(8:50)-車道/尾根取付(8:57/9:03)-祠の峠(9:40)-祠のピーク(9:49/54)-樺崎分岐道標右折(10:10)-廃道の古峠(10:29)-鳩ノ峰(10:54/11:30)-樺崎分岐(11:35)-塩坂峠(11:47/12:11)-塩の井戸(12:19)-熊野神社(12:37)-(13:00)寺久保さくらの里[13:15]=(佐野市営バス \300)=[13:52]佐野駅[14:27]=(東武/メトロ/東急)=[14:43]館林[15:14]=[15:43]久喜[15:44]=[17:37]宮崎台

越床峠北の少ピークから西南方の展望    (画像クリックすると拡大 スクロール)
ルートの概要
    前日に通った越床峠に戻り、峠の北側にある車道の越床峠を起点に祠の峠・祠の峰、255.5m峰、鳩ノ峰を経て進んでゆくと、以前、寺久保山に登ったときに通った塩坂峠に達します。
この尾根筋を歩ききれば大小山周辺の尾根筋のあらかたをカバーできたことになります。

  越床峠入口の足利病院へのバスは足利市駅を8時前に出るのですが駅のすぐ隣りのホテルに泊まったおかげでゆっくりホテルの朝食を食べたあと、のんびり食休みをしてからの出発となりました。

  週末に掛かったのでいくらかは人が出るかと思っていましたが、乗り合わせたのは地元のハイカー一人だけでした。
これで三度目となる越床峠の切通しを乗越して北側へ降りてゆくとすぐに車道が見えてきて、舗装車道に降り立ちました。

  向かい側は擁壁になっていて登れないので左手へ坂を登って様子を探りました。
峠の頂上の足利/佐野市境で道を塞いでいるフェンスに突き当たるまで行ったのですが北側の擁壁が高くなる一方でとても脈がなさそうでした。

  回れ右してあとへ戻り、道路に出てきた所を通りすぎて 50m ほど東に行った山裾に朽ちた道標の支柱と、塩坂峠方面への入口を示す手造りの新しい標識が見つかりました。

  斜面に道形はなく、ごく薄い踏み跡が見えたただけでしたが目印の上の斜面の藪の枝に赤テープが巻いてありました。
グズグズで足場の悪い斜面の藪の間を強引に登ってゆくと尾根の背を通っている踏み跡に出合いました。 
  僅か進むと道の一段下が平らになっているところがあり、さらにその先に開けた平地がありました。
後ろを振り返ると前日に頂上の裏側を通過した鉱山山と、その東肩にある休憩舎が見えました。

  樹木がまばらで開けた感じの尾根を登ってゆくと頭の上に青空が広がり、気分爽快です。
  左のほうを振り返ると冒頭パノラマのような関東平野北部の展望が広がりました。
山の下にあるのは砕石プラントのようで、このあたりの地形が不自然なのは採掘の影響と言うことが分かりました。
  高みに上がると行く手の尾根の起伏が一望で、その先の遠くに、日光連山の山並が連なっていました。

越床峠北の小ピークから北方の展望    (画像クリックすると拡大)

  所々に露岩が出てくる尾根を進んでゆくとコブの裏側を右手斜めに下るよう誘導するロープが張ってありました。
ロープに沿って下ったあと左手に折り返して行って降り着いた小鞍部は切通しの脇の高みに石祠がありました。

  鞍部の向かい側を急登して高度を回復し、地形図の越床トンネルの上を通過したあと、さらに登り続けてゆくと背後の視界が開けてきて、大小山からこちらへ向かって延びている北尾根が見渡せるようになりました。

大小山北尾根から越床峠を経て鉱山山辺の尾根筋    (画像クリックすると拡大)
 

  さらにもうひと登りで祠のピークに上がり、祠の脇にザックを下ろして休憩しました。
あたりにまったく人の気配がなく、静まり返った山に春の日差しがさんさんと降り注いでます。




  綺麗な芽吹きの林を見ながら所々に出てくる露岩や細尾根をを通りすぎてゆくと地形図で 255.5m の三角点マークが書き込まれている小ピークに上がります。
 
  塩坂峠方面へのルートはここで直角に右折するのですが、うっかりし直進すると樺崎に下ってしまうミスを犯すことになります。
これを防ぐためか、道のど真中に左の写真のような道標が立っています。

  道標の手前で右折して穏やかに下り、穏やかな鞍部から登り返して行った高みに「銃猟禁止」と記した赤地のプレートがありました。

  プレートの先から左手へ緩やかに曲り降りて行くと前方に鳩ノ峰と思われる尖ったピークが見えてきました。
 
  乗越し道が藪に埋もれた切通しを横切って向かい側を急登し、赤い杭が打ち込まれている高みを越えて行くと赤松が疎らに立っている明るい鞍部があります。

  鞍部の先から鳩ノ峰の登りに掛かりましたが、途中からザレて足場の悪い急登になり、長い固定ロープが張ってありました。

  ストックも持って来なかった年寄りには有難い登高支援だったので有効に利用させてもらいましたが下降する時には若くて元気な人でも有難いと感じるに違いありません。
 
  傾斜が緩んでロープが終わるとすぐに前方が開け、コンクリート階段の前に着きました。
階段は神社の階だったようでしたが、神殿は失われ、その跡と思われる高みに残っている礎石の囲いの中に小さな石祠が据えられていました。

  広場の縁のヤマザクラに降り注ぐ春の日差しを眺めながら気分の良い休憩をしました。

  神殿跡の背後に高さ3m 幅1m あまり石碑が立っていました。
沢山の人の名が碑面に刻まれ、以前ここに神殿が建立されたときに大勢が小額の寄進をしたことが記されていました。
    鳩ノ峰の北肩で寺久保への下降路を分け、さらにその先で樺崎への道を分け、もうひとつピークを越して行った所で塩坂峠に着きました。
  このあとは既知の道を歩いて寺久保へ下るだけなので、赤松が林立する静な峠でのんびり休みました。

  下山の途中、峠のすぐ下にある塩の井戸に立ち寄って見たところ、弘法大師所縁の井戸と言う伝説を記した立て札が立っていました
  この日も順調に歩け、寺久保のさくらの里から出る早い時間のバスに間に合い、お蔭で佐野の駅前ではこの頃売り出し中のラーメンを食べて帰ることができました。

☆ルートの詳細



GPS スライドショー



Flickr の元画像スライドショー



ルートマップ
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☆おわりに

  大小山周辺の尾根筋は低くて至極地味な山並みながら関東平野の北端に臨んで見晴らしがよく、楽しい尾根伝いができます。
露岩やヤセ尾根になっている所も多く、変化に富んでいるので、この冬から春にかけて、数次にわたる山行を楽しみました。

  佐野、足利の後背山地は私にとっては、まだ広大な未踏域が残っている未知の領域です。
少々遠いのでアプローチに時間が掛かるのですが、東急・メトロ・東武 (あるいはJR) を乗り継いでゆくアプローチはそれほど不便ではありません。
これからも定期的に山行を続け、ひと通り歩き切りたいと思っています。