新宮 千穂ヶ峯 (2013.10.28)



☆期日/山行形式:
2013年10月28日-30日 市中ホテル利用2泊3日  シニア二人連れ
☆まえがき
    年寄り仲間連れ立って大台ヶ原、前鬼の宿、瀞峡など、東熊野街道沿いのパワースポットを訪ねる旅をしようとしていたところへ台風27号が来てお流れとなりました。
この旅のあとの 「ついで山行」 として雲取越えを計画していたのをどうしようか?ということになったのですが、老友は折角の機会だから是非行きたいと希望しました。
自分としても、この先長丁場を歩けなくなるまでそう長くはないのだからこの機会に熊野の名ルートを再訪しておきたいと思いました。
ということで、2006年に歩いた雲取越を7年振りに再訪することとなりました。

  台風一過のあとの好天をあてにしていたのが長続きせず、肝心の小雲取越えの日は小雨模様となったのが残念でしたが、前日の新宮千穂ヶ峯と最終日の大雲取越前半部(那智高原-舟見茶屋)では快晴に恵まれました。

  以下は雲取越の前の足慣らしとして歩いた新宮 千穂ヶ峯の概況です。
新宮の神倉神社と速玉大社をつないでいるささやかな低山の尾根を伝うルートは意外にワイルドで、好展望のピークもあり、楽しいミニ縦走でした。

千穂ヶ峯第1展望台から新宮市街、熊野川、熊野灘    (画像をクリックすると拡大)

☆10月28日: 新宮 千穂ヶ峯(快晴)
<2万5千分1地形図>
        新宮(田辺2号-2)
<行動時間>
       宮崎台[6:58]=あざみ野=新横浜[7:52]=(ヒカリ503号)=[9:19]名古屋[10:01]=(ワイドビュー南紀 3号)=[13:37]新宮-宿舎(13:45/14:05)-神倉神社入口神橋(14:24)-ゴトビキ岩(14:39/42)-鳥居前登山道入口(14:44)-中道分岐(14:52)-稜線(15:02)-第1展望台(15:10/18)-鞍部(15:20)-千穂ヶ峯(15:30/35)-三本杉口最奥の民家(16:01)-速玉大社参道(16:07)-速玉大社(16:10/20)-浮島(16:35/50)-(17:10)宿舎

<ルートの概況>
        千穂ヶ峰(別名権現山 最高点253m)は新宮の町を熊野川の激流から守るように市街地の西に南北に尾根を連ねているミニ山脈です。
  御燈祭で有名な神倉神社と速玉大社とを繋ぐ尾根筋として数年前に興味を持ち、ルート情報を探索したものの捗捗しい結果が得られないまま気に懸かる山のひとつになっていました。
今回あらためて検索してみたところ、詳細かつ包括的なルート情報が見つかったのはとてもタイムリーな幸運でした。
入手できた情報を参考に設定したルートは、神倉神社の鳥居の下から山道に入り、山腹を僅か北に進んだ所で左折して尾根に上がり、第一展望台を経て千穂ヶ峯に登頂。 頂上から東に派生している尾根を下降して速玉大社に下山するものでした。 

  朝のほどほどの時間に出発し、名古屋で紀州本線特急列車に乗り継いで行くと午後早く新宮に着きます。

  ホテルに荷物を預け、身軽になって山に向かいました。
通りがけに駅に立ち寄り、観光案内所で 「千穂ヶ峯ハイキングコース」 の資料ありますか?と聞いてみたら、「ありません。 千穂ヶ峯に行ったきり帰ってこれなかった人もいますから気をつけて下さい」 と言う返事でした。

  この頃の習いでタブレットPCに表示した国土地理院地形図と GPS 座標ポイントを使って街中をナビゲート。
神倉神社入口を探り当てて御灯祭で有名な石段を登りました。

  不揃いの大石を積み重ねた階段は取り付きの部分はなかなか急で迫力がありました。

  いきなりの急登で息が上がりましたがひと登りして小平地の脇を通り過ぎるとルートが左へ曲がり、山腹を緩やかに斜上してゆくようになりました。

  炭焼き窯跡のような所に山道の入り口を示す標識が立っていましたがそれを見送って進んでゆくと行く手に鳥居が見えてきました。

  間もなく神倉神社奥ノ院の境内に入ると頭の上にのしかかるようにそびえ立っているゴトビキ岩は迫力がありました。
巨岩をご神体とするこの神社は原始の時代の自然信仰の名残りでしょう。

  神殿の石垣の裾の小広場は最高の展望所で、新宮の市街と熊野灘が一望です。

  登って来た道を少し戻って鳥居の外に出たところから左手に上がると小さな池があり、その先に登山道入口を示す標識が立っています。

  木の根が露出している山腹の道をわずか進んだ所に「第一展望台を経て千穂ヶ峯」と記した標識が立っていました。

  左折して羊歯の藪道を急登するとすぐに尾根道が通っている鞍部に上がりました。
  右折して辿った尾根には市街地に面した超低山には似合わない山っぽい雰囲気が漂っていました。
やがて登りついた第一展望台は、山の頂の北寄りに築かれた石積みの上に六角形の東屋があります。

  東屋に上がると南の方への視界が開け、ページ冒頭のパノラマ写真ような展望が得られました。
北の方にはこれから向かう 253m の前衛峰と本峰が並び立っていました。
山が 「薄べったい」 せいで非常に尖って見え、どうやってあれを越して行くの?、と一瞬心配になった程でした。

  展望台の先をわずかに急降下すると狭い鞍部に降り立ち、牛の背中から登ってきた道が合流しました。

  鞍部の向かい側から頂上へ登って行く尾根は、西側が急崖となって切れ落ちているのですが、そちら側は擬似木の柵が連続しています。

  細尾根の背をなぞって行くルートは、傾斜が案外緩やかで、危険な左側はしっかりガードされ、意外に安易に登高を続けることができました。

  やがて登りついた千穂ヶ峯の頂上は、密生した暖地林に囲まれた、直径僅か 3~5m ほどのごく狭い高みでした。
赤塗りの三角点標石と権現山の名の由来を記した看板があるものの、まったく展望はありませんでした。

  千穂ヶ峯北尾根の下降路のはじめは左のように至って穏やかでしたが、すぐに右手の斜面へ回りこみ、固定ロープもある急な露岩を下降して、三本杉の方へ派生している支尾根に乗り移りました。

  急降下が終わった所から左へ回りこむとまた穏やかな尾根の背に乗り、のんびり進んで行けるようになりました。

  穏やかな尾根の背をひと下りすると尾根の末端に近くなり、平坦な鞍部状の所では左側の疎らな杉林の下に熊野川が見えました。
対岸には相野谷川が流れこんでいます。
 
  新しい遭難慰霊碑の先で右折、折り返すような感じに崖を下ると竹藪に入って里道の雰囲気になります。

  やがて人家が見えてきて、その脇の石段を下ると集落の中の道に降り立ちました。

  山から出てきた所で振り返ると左のようになっていました。
登山口を示す標識などはなく、こちらから山に入るには幾らかの山勘が必要なように思いました。
      登山口の僅か先でタバコ屋の横を過ぎると速玉大社参道入り口の太鼓橋の脇に出ました。
速玉大社参詣は今度で6度目か7度目でしたが、先年の大水害の跡は一見した所では分からないほどに復旧されていました。

  神社からホテルに帰る途中、浮島の森に立ち寄りました。
浮島というものは尾瀬など、寒冷な高地にある湿地のものと思い込んでいましたが、新宮のは暖地林の密林が水に浮いている珍しいもので、隠れた名勝と思いました。

<ルートの詳細>



  GPS スライドショー



  Flickr の元画像スライドショー



  ルートマップ


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☆おわりに

      千穂ヶ峰の尾根伝いは僅か2時間あまりで終る 「マイクロ縦走」 でしたが、街中の超低山に似合わぬワイルドな雰囲気が漂う好ルートでした。
南奥駈道の復活・維持で知られている地元の山好き達のたまり場にもなっているようでしたが、神倉神社と、速玉大社と、ふたつの由緒古い神社を繋いでいるだけでなく、大展望の展望台もあって、「ついで山行のついで」 の足慣らしとしては、望外の楽しい山歩きでした。