赤城 大沼-新坂平-鍬柄山-鈴ヶ岳-鍬柄山-新坂平(2013.8.14)


☆期日/天気/山行形式:
2013年8月14日 晴時々曇り 前夜現地泊単独尾根歩き
☆地形図(2万5千分1): 赤城山(宇都宮13号-2)、鯉沢(宇都宮13号-4)
☆まえがき
    盂蘭盆法要のため群馬に行ったついでに赤城山に立ち寄りました。
赤城山は中学生時代の夏休みに大沼湖畔でキャンプして地蔵岳に登ったあと沼田に下ったきり、長い年月の間山行の対象として意識していなかった山でした。
この2~3年、ようやく郷土の山に目が向くようになって何度か出かけ、主峰の黒檜山に登ったり、覚満淵を訪ねたりするようになりました。
前回は大沼の北側に連なっている五輪峠から陣笠山、薬師岳、出張山を経て出張峠へ連なる外輪山の尾根伝いをしました。
今回はその続きとなる鈴ヶ岳から新坂平への尾根筋をトレースしてみようと思いました。

  前の夜は高崎、あるいは前橋のホテルに泊まっても良かったのですが、猛暑続きで夏バテ気味になっていたのをすこしでも治したいと、大沼湖尻の青木旅館に泊まることにしました。
猛暑の夏でも爽やかな風が吹きわたって涼しい山上の宿は、ひと晩の熟睡を与えてくれました。

  今回歩いたルートは大沼西側の新坂平から鈴ヶ岳への尾根筋でした。
もとの計画では出張峠から左回りに、鈴ヶ岳から新坂平への尾根伝いをする積りだっところ、訳あってあまり好まない往復ルートを歩くことになってしまったのですが自然林の穏やかな尾根道、好展望のピーク、ヤセ尾根、急な露岩の登降が混じっていて変化に富み、楽しい尾根伝いができました。

姥子峠付近展望点の眺め    (画像をクリックすると拡大)
☆行動時間
    大沼湖尻(8:00)-赤城道路(8:05)-新坂平案内所(8:25/30)-鈴ヶ岳登山口(8:37/40)-尾根の背(8:46)-姥子峠(8:56)-展望所(8:59/9:02)-鍬柄峠(9:11)-鍬柄山(9:26)-大ダオ(9:48/55)-鈴ヶ岳(10:25/45)-大ダオ(11:05)-尾根上で小休止(11:18/25)-鋤柄山(11:45)-尾根下降点(12:18/35)-(12:50)新坂平[13:20]=(関越交通バス)=[13:55]富士見温泉[15:15]=(関越交通バス)=[15:44]前橋駅[15:49]=(JR両毛線)=[16:04]高崎[16:08]=(湘南新宿ライン快速)=渋谷=[18:40]宮崎台

☆ルートの概況
  急に思い立って大沼湖畔に泊まることにしたものの、お盆休みの最中だから混んでいてダメかも、と思いながら電話したところ山側の部屋ならまだ空いているいう返事で涼しい宿でひと夜の安息が得られることになりました。

  赤城山も、隣の榛名山と同じ様に、外輪山巡りを意識していて、前回は五輪峠-陣笠山-薬師岳-出張山-出張峠を歩いています。
今回は出張峠から沼尾川谷を渡ってまず鈴ヶ岳に登ったあと大ダワから鍬柄山、姥子山を経て新坂平への左回りルートを歩きたいと思っていました。 
  朝の出発の際、宿の主人にルートの状況を尋ねたところ、沼尻川谷ルートは整備されていず、最近事故も起きているから行かないでくれと言われてしまいました。

  止められたルートに立ち入って何かあると宿の主人に迷惑がかかります。
  山は自己責任と引き換えに自由に歩くもの、ということを長年実践してきたのに、うっかりルートの様子を尋ねた不注意が原因で、リスクの一端を他人に担わせ、それと引き換えに望みのルートを歩く自由を失うこととなりました。
  ほろ苦い気分で新坂平へ向かう坂を登って行くと、見晴山の肩を越した所で行く手に綺麗な起伏を描いている鈴ヶ岳の尾根が姿を現わし、良い気分になりました。

  新坂平頂上の観光案内所はちょうど入り口の鎧戸が開く時間でした。
玄関先で休んでいたら自転車の若者が次々に登ってきました。


  鈴ヶ岳登山口は牧場の柵に沿って10分ほど進んだ所にありました。
増えすぎた鹿を捕獲するための罠が仕掛けてあるので注意するよう記した掲示板が道標の横に立っています。

  ひと登りで尾根の背に上がり、右折して鈴ヶ岳に向かって10分ほど歩いたところにある笹原の右手に展望点があります。
尾根の背を外れて 30m 程行くと小岩峰の端に出て、ぐるっとまわりの視界が開けました。

  足元は白樺牧場の草原でその向うに見晴山。
さらにその先に黒檜山から駒ケ岳が連なっています。

  茅戸の浅い鞍部からやや急にひと登りすると鍬柄山の頂上でした。
地元の5つの高校が行った合同山行の記念プレートが道標の支柱に打ち付けてあります。

  鍬柄山頂上は、鈴ヶ岳ルート上で随一の展望点です。
下のパノラマ画像のように、正面に地蔵岳が座り、その左手に黒檜山から駒ケ岳、右手には荒山から鍋割山への尾根続きが眺められます。

姥子峠付近展望点の眺め    (画像をクリックすると拡大スクロール)

  鍬柄山の北肩には痩せた岩尾根の急降下がありますがそこを下りきると穏やかな笹尾根に代わります。

  小ピークを乗り越して行った先からまたやや急に降って大ダオの鞍部に降り着きました。
落ち着いた雰囲気の鞍部で、尾根筋を通っている鈴ヶ岳ルートと沼田市赤城キャンプ場からの周回路が交差しています。

  沼尻川から登ってきたルートは至って明瞭で、こちらから登って来ても問題なかったのでは、とチョッピリ悔しい気分で小休止をしました。

  鞍部から僅か進んだ所から硬い岩塊が積み重なっている急登にかかりました。
立ち木の中なので高度感はなく、危険な場所もありませんがよそ見をしながら登ることはできません。

  岩場を抜けると傾斜がゆるみ、もう一度岩場が出てくると間もなく大岩が積み重なった頂上の一角に上がりました。
頂上の北の端の高みには左のように三柱の神を祭った石碑が立っています。

  幾つもの峰が立ち並んでいる赤城山の奥座敷とも言える場所にあるこの山は信仰登山の対象だったことを知りました。

  年中でももっとも山が賑わう時期ですが奥深く地味なこの山ではほとんど人影を見ませんでした。

  静かな山の頂きでしばしの休息を楽しんだあと帰途につきました。
降り口では今歩いてきた尾根筋が見え、結構な登り返しが待っていることが分かりました。

  大ダワでは左手の沼尻川ルートへの下降路に強く惹かれましたが沢を渡ったあと出張峠への登り返しが嫌かも、と思ったので来た道を戻ることにしました。


  鍬柄山の頂上では朝に見たのと同じ山並みと再会しました。
盛夏の上昇気流で湧き出した雲が日差しを和らげていました。

姥子峠付近展望点の眺め    (画像をクリックすると拡大スクロール)
    残りの尾根筋はのんびり歩き、尾根末端の近くで道が左折する角にあるベンチで最後の休憩をしました。

  登山口に下り、牧場の境の柵に沿って道を歩いて新坂平の案内所に戻りました。
朝、案内所を通ったときはサイクリストばかりでしたが昼をまわったこの時間には、マイカーで登ってきた家族連れが目立ちました。

  案内所の展示コーナーでは文学展をしていました。
芥川龍之介のお気に入りの山だったこと、志賀直哉が小屋を建てたことなど、赤城山が文学と縁が深い山だったことを知りました。
 

☆ルートの詳細



  GPS スライドショー



  Flickr の元画像スライドショー




ページ先頭へ    
☆おわりに
    鈴ヶ岳は赤城山がの最も奥まったところにある、静かで綺麗な山でした。
うっかりしたひと言が原因でいつも避けるようにしている往復ルートを歩くことになったのですが変化に富んだ尾根筋だったお陰で楽しく歩くことができました。