南房総、安房高山と三郡山 (2012.3.26-27)


☆期日/天気/山行形式: 2012年3月26-27日 旅館利用1泊2日 単独行

☆地形図(2万5千分1): 坂畑(大多喜13号-4)、鬼泪山(横須賀1号-2)、
                                    鴨川(大多喜14号-3)、金束(横須賀2号-1)
☆まえがき
    2月に登り損ねた三郡山の登り直しをすることにしました。
日帰りで登れないこともなさそうでしたが時間を気にしながら気ぜわしい山歩きはしたくありません。
前回泊まった長狭の春木屋はなかなか良かったのですがもっと近い所にと、あらためて探してみたところ、豊英ダムの近くに鎌田屋という一軒宿が見つかりました。
釣人がよく泊まる宿のようで、郡境尾根から三郡山への登山口がある奥畑まで1Km あまりですからここに泊まれば朝ゆっくり出発しても、余裕で歩けます。
前の日は前回と同じで半日コースを歩ける時間があります。
三郡山の取付きを探し歩いたとき頂上の肩をまわっている林道をうろつき、隣の愛宕山に登って好展望を楽しんだ安房高山に登ることにしました。

長狭盆地と愛宕山・嶺岡浅間の眺め 手前は国道 410号線  
 (クリックすると拡大 スクロール)
☆行動記録

3月26日(晴一時曇)  尾崎-安房高山-清和県民の森(下の台旅館泊)
<行動時間>

宮崎台[7:34]=溝の口=川崎[8:20]=(アクアラインバス)=[9:25]木更津駅東口[10:40]=(日東鴨川急行バス)=[11:31]サンラポール(11:45)-県民の森(11:54)-林道入口(12:13)-高山取付き(12:39)-安房高山(12:56/13:15)-愛宕神社石祠(13:24)-梵字石碑の登山口(13:30)-三叉路(13:43)-関東ふれあいの道入口(14:41/55)-キャンプ場入口林道(15:35)-(15:50)県民の森バス停[16:00]=(君津コミュニティーバス)=[16:04]下の台{鎌田屋旅館}

<概要>
    前回と同じ木更津駅東口10:40発の安房鴨川行き急行バスでアプローチしたのですが、アクアラインバスを川崎駅前発のに変えたところ、到着が木更津駅東口に変わりました。
乗り継ぎ時間を利用して朝食をする店のほか日東交通バスの営業所兼待合室も東口側にあるので何かと便利です。
安房高山へは県民の森付近から山に上がり、尾根を伝わってゆくのが正規ルートのようですがトンネルの手前で一旦淵ヶ沢奥米林道に降り、100m ほど先でまた尾根に上がるということなのでそこまで林道を歩いて時間を省くことにしました。

  2月に来たときには南房総ではめったに見られない雪景色に驚きながら君津市最奥の小糸川谷の源流部に分け入ったのですが今回はあたりに春の気配が充満しています。
老人保養所の大きな建物がふたつ並んでいるサンラポールでバスを降りて歩き出し、道路の脇の木の枝に新芽が萌えだしているのを眺めながら谷奥へ進みました。

  県民の森管理事務所前には夕方下りてきたときに乗る君津市コミュニティーバスのポストがあります。
高山から降りてきて下の台まで乗るバスの時間を確認して前に進みました。
尾崎の農産物直売所に差し掛かったとき、後ろから走ってきた君津ナンバーの車が広場に止りました。
3人のハイカーが降りてきて道路の向かい側の台地に上がって行き、どうやら三郡山に向かっているようでしたが、一人で歩いている見慣れぬ老人が気になるようで、振り返り振り返り歩いてゆきます。

  2月に来たとき、土地勘がないところへ雪が積もって三郡山入口の見当がつかず、あちこちウロウロしたもののとうとう入口を見つけられないで終わりました。
3人が歩いてゆく方向から、台地に上がったら右寄りの山裾を進んでゆくのが正解だったように見えました。

  貯木場を通り過ぎた先で国道410号線から左に分かれている車道に入って僅か進んだ所に淵ヶ沢奥米林道の入口を示す看板が立っています。
林道とはいえ立派に舗装された道路ですが南房総の奥深いこのあたりまで入ってくる車は滅多にないようです。
静まり返った谷奥に分け入ってゆくとまわりの景色はいかにも南国の春の奥山、と言う感じになりました。

安房高山のアプローチ淵ヶ沢奥米林道の景色  
 (クリックすると拡大 スクロール)

  林道から高山に取付く場所は、あらかじめ地形図を仔細に検討して見当をつけていたのですが、あやうく通り過ぎてしまう所でした。
国道分岐から25分ほどのトンネルの入口が見えるところに、写真のように林道の左側の擁壁が立ち上がる所があり、吹付コンクリートの表面を引っ掻いた 「高山」のふた文字があります。
道標はなく、ごく地味で目立たないため見落としやすいですが、左脇の潅木に赤テープが巻きつけてあり、その根方を見るとしっかりした踏み跡があります。
入口から踏み込むとすぐ、足場の悪い急斜面になり、潅木を頼りに登り上げて尾根の背に乗りました。
  その先はしばらく両側が切れ落ちた細尾根の登りで、バランスが衰えてしまった年寄りにとっては中々おっかない所でした。
トンネルの上を通り過ぎてひと登りするとようやく傾斜が緩み、さらに浅い鞍部を通過すると尾根の背が広がって丸みを帯び、緊張から開放されました。
しばらく緩やかに登ったあと、ロープが固定された急な所を登り上げると間もなく高山頂上が見えてきました。
狭くとんがった頂上には三角点標石と山名を記した標柱が立ち、一段下がった所に野外トイレのようなボックスに納めた気象ロボット(?)が立っています。
頂上の西は茅戸の尾根になっていて20m ほど先の段差の縁に出ると視界が開け、長狭盆地とその向こう側の山並みが一望でした。

  雲が出て海に近いところが時雨模様になっていたため、2月に愛宕山から見たような素晴らしい眺めではありませんでしたが左方遠くに太平洋が広がり、その手前側は鴨川市街から手前の長狭盆地への穏やかな佇まい、盆地の向こう側に嶺岡浅間と愛宕山が並んでいて、その背後に和田の烏場山が頭を出していました。
この山はあたり一帯で最高の展望峰と言われているようですが、綺麗に晴れ上がった日に来たらさぞかし、と思った眺めでした。
 
長狭盆地と愛宕山・嶺岡浅間の眺め 手前は国道 410号線  
 (クリックすると拡大 スクロール)
  頂上から西へ尾根を下り、3基の祠があるピークから左手へ下りて梵字の石碑と馬頭観音が並んでいる所で林道に降り立ちました。
左折して林道を東へ歩き、高山頂上北側の切り通しの先にある三叉路で淵ヶ沢奥米林道に突き当たって右折し、静かな林道を関東ふれあいの道分岐まで北上しました。

 ここのふれあいの道は、あちこちの山で見かけるふれあいの道とは違ってなかなか厳しい道で、両側が切れ落ちて背を忠実になぞってゆくしかない尾根が鋸のように細かく上下していました。
最後のシゴキを切り抜けて県民の森キャンプ場脇の林道に降り立ち、バスの時間と時計の針を見比べながら県民の森管理所まで歩きました。
10分ほど待っていた所に来たコミュニティーバスで下の台まで移動しましたが、他所から来たものでも65歳以上は運賃100円と言うことでした。

  鎌田屋旅館はバス停の目の前の畑の中でした。
ここは小糸川源流のダム地帯で、釣り客が多いようでしたがこの夜はほかに客がなくて貸切でした。

<ルートの詳細>



GPS スライドショー



元画像のスライドショー



ルートマップ



3月27日(晴) 奥畑-郡境尾根-三郡山-長狭

もどる    
<行動時間>
    下の台(7:50)=[宿の車]=(7:55)高宕山奥畑入口(8:05)-八良塚分岐(8:35)-郡界尾根分岐(8:45)-お茶立場分岐(9:21)-笹郷山(10:08/15)-ロマンの森分岐(10:36)-尾崎分岐(11:02)-330m 圏峰(11:28/33)-三郡山(12:00/20)-林道(12:25)-旧三島トンネル(13:00/10)-新国道(13:32)-(14:05)長狭中前[14:25+5]=(日東鴨川急行バス)=[15:25+10]木更津駅東口[16:15]=(アクアラインバス)=[17:20]川崎=溝の口=[18:06]宮崎台
<概要>
  奥畑集落の奥にある登山口まで車で送ってもらえることになりました。
距離は僅かでもその分の時間が浮くので朝食のあとゆっくり休憩できたのはありがたいことでした。
前回と違って今回は、「正規の登山口」から取り付くので入口探しの必要はありません。
入口で車から降りるとすぐ、道端にザックを置いて支度をしました。
前日やりそこねたタブレット機内蔵 GPS を慎重に起動し、さらにバックアップに持ってきていた Gramin製ハンディー GPS を起動。
この頃ではわりと長い方のややバリエーションっぽい尾根伝いなのでそれなりの足拵えをしました。

  支度を終えて歩き出し、入口の道標の脇からやや急な階段を登り切ると、いかにも関東ふれあいの道、という感じの穏やかな登りになります。
一部やや水っぽい所もありますが良く整備された道で谷側に擬似丸太の柵が続きます。
  しばらく進むと左手に三郡山から高山へ繋がる主稜が、また、行く手の谷奥に郡境尾根が見えてきました。

  やがて八良塚分岐を過ぎると間もなく郡境尾根に出合いました。
ここからは、右折して高宕山へ向かうものがメインルートで入口に立派な道標が立っています。
三郡山はその反対方向で、左折して郡界尾根を南下して行くのですが、そちらの入口には「三郡山」と記した小ぶりの手作り道標があって、「南房総最奥の尾根を歩こう」と言うふうな文字が書き添えられています。

  郡境尾根は房総の山でときどき出くわす露岩の多いほっそりした尾根で尾根で、三郡山の肩に到達するまで頻繁に登ったり降りたりを繰り返しながら進んでゆくことになります。
所々にある露岩の高みでは周囲への視界が開け、下のように安房の奥山の山並みや近くの鹿野山、東京湾越しの富士山などが眺められるのが嬉しいのですが、その前後には足場の悪いトラバースが多く、それなりに注意して通過する必要があります。

お茶立て場分岐付近から元清澄山方面  
 (クリックすると拡大 スクロール)
  左下のロマンの森、右下の宇藤木への分岐を見送って進み、最後の右下の尾崎への分岐を過ぎて左手に427m 峰が見えてくると間もなく尾根が右に折れ曲がります。
少し東に向かって進んだあとまた左に曲がって南向きになり、緩やかにひと登りして三郡山の頂上に上がりました。

杉林と自然林に挟まれたこじんまりした切り開きで展望はありませんでしたが再度のトライアルで到達できた頂上の感激を味わいながらしばらく休憩しました。

  下山先は、前回訪れて様子がわかっていて、バスのが多い長狭の中学校前交差点にしていました。
頂上から西へ続く尾根をしばらく進んで行った所からやや急に左下に下るとすぐ横尾林道に降り立ちました。
出口には小さな道標が立っています。
林道を東へ10分ほど進むと東の登り口を示す黄色い標識がありましたが、そこを過ぎると間もなくまわりの景色が見覚えのあるものに変わって来ました。
前回は雪景色だったのが今回は春の兆し一杯の景色に変わっていますが、登路を求めて入り込んだ石段道や、長狭盆地と愛宕山が綺麗に見えた茅戸の広場などは記憶に新しい状態でした。
日頃馴染みのない山域でも、一度歩いたことがある所は断然気楽になります。
なかば遊び気分でブラブラと、林道散歩ムードとなりました。

三郡山付近 横尾林道から見た長狭盆地と愛宕山  
 (クリックすると拡大 スクロール)
  鉄板で入口を塞がれた旧三島トンネルを過ぎるとすぐに三叉路があり、長狭に降りてゆく旧道が右に分岐しています。
旧道に入ったところでひと休みしたあと、今歩いてきたばかりの山をふり返り振りかえり歩いて新道合流点へ。
往来する車が煩いのを我慢してそのまま歩き続け、30分ほどで君鴨線と長狭街道との交差点に着きました。
長狭中学校前バス停からは、東京湾フェリーが出る浜金谷と、アクアラインバスが出る木更津と、両方向の急行バスが通ります。
この時は 14:25 の木更津行きバス少々の余裕で間に合うタイミングとなりました。
予定より1時間あまりも早く帰途につけ、木更津での乗り継ぎもほどほどにできたので、予定よりかなり早く家に帰り着くことができました。

<ルートの詳細>




GPS スライドショー



元画像のスライドショー



ルートマップ


もどる    
☆おわりに
  2月に敗退した三郡山へ一ヶ月後にリベンジ山行を行い、無事に登頂しました。
郡界尾根は変化に富むロングルートで、なかなか楽しめるものでした。
前日の午後、安房高山に登りました。
取付き付近と、下山路の終わりの部分が厳しく、頂上では素晴らしい展望が得られ、小粒ながらピリリと辛い、山椒のような山でした。
  下の台の鎌田屋旅館は部屋は小綺麗で食事もなかなかの御馳走だったのに料金はリーズナブル。
長狭の春木屋に劣らぬ居心地の良い宿でした。
宿の南1.5Km ほどの奥畑登山口は関東ふれあいの道の道標が立っていて高宕山へのメインルートです。
高宕山を登りに来たとき、また利用してみたいなと思いました。

  内蔵 GPS について最初の本格的なフィールドテストを行った Android タブレットですが、初日は起動手順に抜かりがあっったため途中で GPS 情報の取得が中断しました。
二日目は、慎重に起動した結果終日正常に作動し、全行程の軌跡を取得することができました。
バックアップ兼参照用に持参した Garmin 製 ハンディー GPS の軌跡と比較した結果、開けた尾根上では良好な情報が得られますが、衛星への視界が制限される谷道では座標取得間隔が妙に空いたり位置情報の偏差が大きくなる傾向があることが分かりました。
設定によってこれらの誤差を軽減できるかどうか、今後試行を繰り返し行なってゆこうと思っています。