東丹沢、尼寺-白山-巡礼峠-七沢森林公園-森の里 (2010.1.10)


☆期日/天気/山行形式: 2010年1月10日 単独軽ハイク
☆地形図(2万5千分1): 厚木(東京12号-3)
☆まえがき
    自宅からもっとも近い丹沢は山域が二次元的に広がっているため山の数が多いのが特徴なのだが長年繰り返し通っているうちに次第に空白部が減り、残すところ僅かとなった。
特に手近な東丹沢は、地形図の尾根筋のほとんどに線が引かれており、一部は何度か繰り返し歩いている。

  2010年の初山行で、東丹沢に残っている空白の中で最も目立つ飯山神社・白山周辺の尾根筋をなぞりに行ってみた。
このあたりでは白山から巡礼峠の間がポピュラーで良く歩かれているようだが、尾根続きの北の端の桜山から歩いてみようと思った。
基本プランとしては、飯山観音よりもうひとつ先の尼寺(ニンジ)バス停から山に入って稜線に上がり、巡礼峠まで南下したあと七沢に降りて温泉で身体を温めて帰ることにしたが、もし天気と体調が良かったら、さらに南へ尾根を伝い、森の里の住宅地の背後で尾根が尽きる所まで歩いてみたいと思った。

  当日は正月ボケか、老いボケか、目覚まし時計のアラームをセット損ね、寝過ごした。
出発が遅れ、歩き出しが計画より1時間遅くなっただけでなく、桜山への登路を誤り、ひとつ南のピークに上がってしまう、と言うご粗末もしでかしたが最高の天気に恵まれた。
体調も良かったお蔭で随所で展望を楽しみながら尾根筋の末端近くまで山上の散策を楽しんだ。

物見峠から相模野を望む
 (クリックすると拡大スクロール)
☆ 行動時間
    宮崎台[8:58]=中央林間=相模大野=[9:53]本厚木[10:10]=(神奈中バス)=[10:35]尼寺(10:40)-田野集落への橋(10:48/55)-山道の入口(10:53)-森林公園いこいの広場(11:00)-尾根上の石祠(11:13)-主稜ピーク(11:26)-白山神社(11:30/40)-白山頂上(11:45/12:05)-狢坂峠(12:20)-物見峠(12:28/30)-巡礼峠(13:08/20)-七沢森林公園ながめの丘(13:25/30)-森林公園南口(14:05)-(14:20)若宮橋[14:19+2]=(神奈中バス)=[14:32+3]愛甲石田駅[14:40]=相模大野=中央林間=宮崎

概要
    小正月の三連休の中日は西高東低の冬型気圧配置が緩み、穏やかな晴天が期待された。
今回の行き先は近くて交通も便利な低山のため準備を簡単に済ませたのだが、支度の安易さに気が緩み、目覚まし時計のアラームスイッチをきちんと入れるのをやり損ねた。
早朝の冷え込みで早い時間に目が覚めたのだが、もうひと眠りと思って布団を被ったのが失敗のもとで、パッと目が覚めたときはもう電車に乗っていなければいけない時間になっていた。
  大概の山は予定した朝のバスに間に合うよう最寄り駅に行き着かなければ次の便では遅すぎで、もうその日はダメ、と言うことになるのだが、東丹沢は別で、1時間遅れでも本厚木駅に行けば、それなりの時間のバスに乗れる。
  大急ぎで支度を整えて出発。
本厚木駅に行ったら10時10分発の上飯山行きバスに間に合った。
計画より丁度1時間遅れたことになる。
この時間のバスでも4~5人のハイカーと乗り合わせたがいずれも飯山観音で降りていった。

  ただひとり車中に止まり、その次の尼寺(ニンジ)バス停まで行って下車した。
バス停付近の車道に立つと先の方に桜山らしいピークが見えた。

  バス停で簡単な支度をしたあと、家並の間の道に入って山に向かった。
正規のルートではないためか道標の類は見当たらず最初の関門となる小鮎川の対岸に渡る橋がどっちにあるのか分からなかった。
川を見下ろす道を行ったり来たりしてようやく橋を探し当てた。
対岸は河岸段丘上の平坦地で結構な大きさの集落があり、そこへ渡る橋も堅固な造りになっていた。

  橋に通りかかったところで靴紐が解けかかっているのに気が着いた。
立ち止まって紐を結びなおしているところを朝の散歩で通りかかった近所のおじさんに声を掛けられた。

  橋の上から見えている山の左の奥が白山の展望台がある所だという。
屋並の間を山に向かって進んで行くと曲がり角があり、そこを直進して山に入る道があった。

  民家の塀の間に入り、犬に吼えられながら山道に掛かると "白山←→尼寺" と記した道標が立っていた。
ここから白山へ、裏参道のような道が通じているようだった。

  道標の前から左手の尾根に取り付くと急坂にロープが固定されていた。

  固定ロープが終わって傾斜が緩んだを進んでゆくと尾根が平らになっている所があり、野外ベンチなども設けられ、"いこいの森" と記した看板が立っていた。

  このあたりは森林公園として整備されているらしく、薮が伐り払われ、高木が立ち並んで綺麗だった。

  困ったのは、遊歩道が縦横に通じていることで、それが仇となって桜山への登路が分からなくなった。

  おおよその見当で右手の方に山腹を横切って行ったのだが、やや下り気味で徐々に高さが失われてゆくのが気に食わなかった。
まだ早すぎるかとも思ったが手近な尾根の背に上がってみた。
尾根の背に乗るところに石祠があり、下から古い道形が登ってきていた。

  道形は薄くほとんど消えかかっていたが、尾根の傾斜もほどほどで登り難くはなかったので真っ直ぐ登って行ってみた。
ルート不明ながら高木が並び立つ綺麗な尾根の登高は楽しかった。

  潅木の隙間を通り抜けて小ピークに上がった。
木の幹に "白山 60" と記したプレートが取り付けてあったがそのほかには何も標識がなかった。

桜山の頂上はミスったようだが正規ルートに会合したことは確実だったので、とりあえず左折して尾根道を進めば白山まで行ける筈と思った。
  僅か進んだ所でひと登りしたら呆気なく白山神社の社殿の後ろに出たので驚いた。

あとで GPS トラックを参照して分かったのだが、地形図で280m と記されている桜山よりひとつ南のピークに上がったことになる。

  社殿の前には濁り水を湛えた小さな池があった。
水溜りと言うくらいの小さな池だが枯れることがないという。
池の背後には "神変大菩薩" と刻んだ石碑と蔵王権現の石像が立ち、修験道との関係を示していた。
  白山神社の鳥居を潜って少し南に行った所が白山頂上で展望台と三角点標石がある。
展望台の下のベンチに年寄りハムがいた。
小さなアンテナを立て、トランシーバで各地の仲間と交信し、新年の挨拶を交わしていた。
  田野の橋から神社まで誰にも遭わなかったがここは賑わっていて次々に人が来る。
巡礼峠の方から歩いて来たらしい人もあるが大部分は長谷寺からのようだ。
そちらからなら30分もかからずに登ってこられる。
  人がいなくなった隙間に展望台に上ってみた。
ほとんど無風のため霞がかかっていたが相模原や横浜のビルが見えた。
白山展望台の眺め    (クリックすると拡大します)
  展望台の脇の野外ベンチで少量の飲み食いをしたあとまたザックを背負いあげた。

  20m ほどもとに戻った所から尾根の西側に入り、植林の縁の急な階段を下った。
階段が終わって平坦な尾根に乗ると西側も自然林に変わってまわりが明るくなった。
幅広く歩きやすい遊歩道が整備され、所々に"関東ふれあいの道" と記したコースサインがあった。

  子供連れの家族や当方より年上と思われる年寄りグループまで、幅広い年代の人たちが歩いていた。
  尾根が細まったところに左上のような切り欠きがあった。
同じような地形がもう一箇所あった。
中世の山城の防御施設かも知れない。

  ふたつばかり瘤を越して行った鞍部に御門へのルートの分岐を示す道標が立っていたが、その向かい側をひと登りした高みに "狢坂峠" と刻んだ石柱が立っていた。

  白山から歩き出していくらもたっていなかったのでチョッと立ち止まって写真を撮っただけで先に進んだ。

  尾根の右下にゴルフ場が見えるようになると、道に沿って金網の柵が続き、プレーしている人の声が時どき聞こえてくるようになった。

  三連休の中日が好天になったので色々な人が歩いていて、中には中型ザックを背負ったトレーニングの "山屋さん" の姿もあった。

  暫く歩いて左下の谷間に霊園が見えてきたところでひと登りすると物見峠と記したプレートの立つ高みに上がった。
左手の谷越しに視界が開け、冒頭パノラマのような広大な展望を楽しんだ。
 

  広場の端に寄ってみると、左の写真のように行く手の尾根の連なりが見えた。
起伏は少ないがズゥーッと遠くまで続いている感じで、まだ先が長いな、と思った。
  物見峠から段の間隔の長い階段を下った。
階段が終わって平坦な尾根の背に乗り、暫く進んだ所に笹竹の薮があった。
山が低くなって麓の建物との高度差が減り、なんとなく三浦半島の山と似たムードになってきた。

  竹薮の間を通り過ぎた先で僅か登って高みを乗り越すと幅広の階段道がうねり下っている。
階段を下りてゆくと下の方に巡礼峠の広場が見えてきた。
  巡礼峠は広々した鞍部が園地になっていて、石で葺かれた道が西麓の七沢から東麓の上古沢へ乗り越している。 

  もとの計画ではこの峠から七沢に下り、温泉に入って帰る積もりだったのだが、天気も体調も良いのでもう少し歩いてみようと思った。
この尾根を末端まで辿ってみる積りになって地形図でチェックしてみると、2Km ほど先で尾根が尽きることが分かった。

  下山先にバスがあるかどうか分からないのが少々不安だったが、尾根の左下は森の里の住宅街だし、その東約1Km ほどに青山学院大学があるのだから大丈夫だろう、と計算した。

  峠の広場から南に向かう石畳道を登った左手に東屋のようなものが見えた。
何かなぁ、と思ってそちらに入ってみたら東屋と野外テーブルの先に展望広場があった。

遠景は白山頂上からこの方、何箇所かで眺めてきたのと大差なかったが、近景は大分変わってきているので広場の端にあった展望説明板で近くに見える建物の確認をした。
このあたりには大学や企業の研究所が多いようだ。
七沢森林公園ながめの丘    (クリックすると拡大します)

  見晴らし広場の先、七沢森林公園の遊歩道をゆくところはクヌギやナラの林立する尾根が続き、気分がよかった。
山は低くなったが、白山から巡礼峠までの間より人が少なく、静かだった。

  これまで尾根の左手は檜/杉の植林が多かったのが自然林が続くようになった。
丹沢側の見通しが良くなり、所々でピラミダルな形の整った大山が見れるようになった。

  細まった尾根の背を進んでゆくと、徐々に高度が下がってきて山の下の人家の屋根が近付いて山道と言うよりは丘の上の散歩道と言う雰囲気になった。

  谷間を埋める住宅地の家並みの先に大学のものと思われる建物が見えた。
谷向かいにも低い尾根続きが見え、そちらの方にも歩ける所がありそうに思えた。

  人家の屋根の高さと同じくらいまで下った所で道が左に曲がると森林公園南口の看板が立っていた。
  出口の角の向かい側にバス停の案内地図があったのでそこまで行ってみた。
本厚木行きと愛甲石田行きと、あわせて毎時3本くらい運行されていることが分かったタイミングが悪く、待ち時間が長かったので、時間つぶしもかねて向かいの山裾を通っている大通りまで歩いた。

  通りに出たところに若宮橋バス停があったが、そこに着くやいなや、愛甲石田行きのバスが来たのはありがたかった。
身体が冷える前にバスに乗れたお蔭で、近頃よく悩まされる帰りの乗り物の中での頚痙が出なかった。
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☆おわりに
  白山から巡礼峠への尾根筋は、あまりパッとしないのではないかと言う思い込みで足が向かないまま残り物になっていたのだが、実際に歩いてみたら、自然林の多い綺麗な好ルートだった。

(クリックすると拡大します)

  交通の便が良くて容易に登れ、眺めも良いからこの辺りのベスト低山ルートと言っても良いだろう。

  白山の神社の北の尾根筋はあまりポピュラーではなさそうで人が少なく、静かで綺麗な山だった。
巡礼峠の南の七沢森林公園もきれいな尾根筋の散策路だった。

  ルートミスのため頂上を踏み損ねた桜山は再訪せねばと思っている。
小鮎川北岸から高取山頂上までの尾根も空白になっている。
これらを繋げて歩けば、ささやかなバリエーションを楽しめるかも知れない。

  後日、メーリングリストのメンバーのひとりから、メッセージを受け取った。
  青山学院の後に見えた尾根は愛名から下古沢へかけて連なっている丘陵で遊歩道が設置され、高松山の付近は桜が綺麗だと言う。

花の季節に、そちらも歩いてみようと思っている。








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