ダイトレ縦走: 二上山-葛城山-水越峠(2010.5.16-17,19-20)


☆期日/山行形式: 2010年5月16-17、および20日 市中ホテル・山荘泊 単独
☆地図: 大和高田(和歌山5号-2)、御所(和歌山6号-1)
☆まえがき
    奈良盆地の西側に連なっている葛城・金剛の山並みは、大峰奥駆道や小辺路への行き帰りに眺める回数が重なるにつれ、次第に気に懸るようになった。
分県登山ガイドを見ると、ダイヤモンド・トレイルと称する関西有数の縦走ルートが設置され、地元ハイカーに親しまれているらしい。
低山ながら距離はたっぷりあり、山中・山麓に多くの史跡があることにも興味を惹かれたので昨年の春の紀伊方面山行の際、大和八木からの日帰りで、金剛山から水越峠までを偵察してみた。
どことなく高尾山に似た歴史を感じさせる雰囲気の漂う山で、大勢の地元ハイカーで賑わっていた。

  今春の紀伊方面山行では、二上山から竹内峠、岩橋山、葛城山を経て水越峠まで、トレイルの北半分をカバーする計画を立てた。
山行時期は気圧配置が込み入って天気の予測が難しかったが、大和高田のホテルに滞在した期間中、好天日を優先的にダイトレにあてるよう日程を調整するようにした。
  あっちに行ったりこっちに来たりの変則縦走となったが、行程の主要部分は好天日に歩け、随所で奈良盆地と大阪平野への展望を楽しんだ。
下山の途中、山麓の史跡を訪ねる機会も得られ、充実した山行となった。

山の辺の道から見たダイトレ連山    
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☆行動記録とルートの状況

5月16日(曇ときどき晴)  二神神社口-二神山-当麻寺-竹内街道-磐城
<行動時間>

    宮崎台[6:27]=あざみ野=新横浜[7:22]=(ヒカリ#461)=[9:48]京都[10:10]=(近鉄京都線)=樫原神宮前=(近鉄南大阪線)=[11:36]高田市(駅のロッカーにデポ)[11:47]=[11:59]二上神社口(12:10)-二上神社(12:20/30)-二上山駅分岐(12:55/13:00)-二上山雄岳(13:30/45)-雌岳(14:00/05)-岩屋峠(14:15)-祐泉寺(14:30)-当麻寺北分岐(14:50)-当麻寺(15:00/15:20)-史跡の丘(15:42)-竹内(15:46/56)-竹内街道遊歩道終点(16:13)-(16:15)磐城[16:33]=(近鉄南大阪線)=[16:43]高田市駅{ビジネスホテル}

<概要>
  紀伊方面山行の定番になっている新幹線列車で京都に行き、近鉄に乗り継いで南下。 樫原神宮前で南大阪線に乗り換えた。
高田市駅で一時下車し、駅のコインロッカーに中型ザックを預け、サブザックとストックだけ持って次の電車に乗り、二上神社口まで行った。
  駅前通りから国道を横切り、加守の集落に入ると行く手に二上山が高く見えた。
山に掛る所に神社があった。  もとは別々だった神社が合祀されたようで、入り口の石柱に "二上神社"、"倭文神社"、 "加守神社" と連記されている。
手水場の脇で腹ごしらえをした。 軒下の説明板に、豊布都霊神が大国主命への国譲りするときに相撲を取ったと言う言い伝えが記されていた。
 

二上山雌岳頂上の展望    
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  神社から1時間足らずで登り着いた雄岳頂上には大津皇子の墓があり、二上神社の奥宮と言うことで登拝料(200円)を徴収する番人がいた。
雄岳頂上は木立に囲まれて展望がなかったが、雌岳頂上では奈良盆地と、その向こうに並び立っている大峰・台高の山々への大展望を楽しんだ。
下山の途中、当麻寺に立ち寄り、さらに推古時代の官道がルーツと言われる竹内街道を通って磐城駅に出た。

  好天に恵まれ、山行初日の足慣らしとしては中身の濃い山歩きができた。
この夜からの3夜、高田の町はずれの川縁にある割烹ビジネスホテルに泊まった。
近鉄大和高田駅には近いが南大阪線の高田市駅へは少し遠いのが難点だったが、川沿いの公園の遊歩道を歩いてゆけるのは悪くなかった。

<詳細>
  ルートの詳細な様子などは下のリンクから GPS トラック・アルバムへ。



 
  二上山-当麻寺-竹内街道 GPSアルバム



 
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5月17日(晴) ロープウエイ-葛城山-岩橋山-竹内峠-上の太子
<行動時間>

    ビジネスホテル(7:40)-高田市[8:07]=(近鉄南大阪線)=[8:09]尺土[8:13]=[8:21]近鉄御所[8:25]=(奈良交通バス)=[8:42]葛城ロープウエイ前[8:50]=(ロープウエイ)=[8:56]山上駅(9:00)-つつじ園展望点(9:24)-かつらぎ高原ロッジ(9:29)-葛城山(9:34/50)-ダイトレ入口(10:00)-忍海道分岐(10:38/45)-岩橋峠(11:35/40)-岩橋山(11:50)-平石峠(12:25/50)-舗装林道(13:30)-竹内峠(13:38/50)-二上山登山口(13:56)-竹内街道資料館(14:18/20)-孝徳天皇陵(14:27/30)-六枚橋(14:45/50)-(15:33)上の太子駅[15:36]=(近鉄南大阪線)=[15:48]尺土[15:50]=[15:52]高田市-ビジネスホテル

<概要>
    高気圧圏内で好天になると言う予報が出たので今回のダイトレの主要部分となる竹内峠から岩橋山を経て葛城山の区間をトレースした。
久しぶりの長い山旅の始まりなのでなけなしの体力を温存しようと、ロープウエイで葛城山に上がって逆向きに歩くことにした。

  山行日が近づいてから葛城山は地元ではツツジが有名と言うことを知った。 春の低温で花期が遅れ、そろそろ咲き揃いはじめた所に巡り合わせた。

咲き揃いはじめていた葛城山ツツジ園    
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  南の正面には昨年4月末に登った金剛山がどっしりした姿で立っていた。

金剛山はダイトレの最高峰だ    
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  広く平らな葛城山頂上から北の方を眺めると左手に大阪平野が広がっていた。
ダイトレの縦走路は画面右端の電波塔の脇から始まる。

  葛城山頂上から南方の展望    (画像をクリックすると拡大)
  縦走路は杉・桧の人工林か濃密な暖地林で覆われていて展望はあまり得られなかったが未知の山域で起伏に変化があったため、この先はどうなっているのだろうか、という興味を最後まで持続できた。

  途中、岩橋峠と平石峠とふたつの鞍部を通った。
両方とも切り通しのような狭い鞍部だった。
古くから人が行き交い、通りやすくするため手が加えられ、自然の地形ではなくなっているのではと思った。

  竹内峠には大峰詣での痕跡を示す石燈篭が残っていた。
前の日に東の大和側を歩いたので、この日は西側の太子町側に下ることにした。
暫らく車道歩きをしたあと旧街道筋に入ったが、竹内街道歴史資料館が休館日だったのは残念だった。
旧街道筋には、堂々とした造りの古民家が残っていたり、孝徳天皇稜があったりで、結構な歴史探訪のおまけつき下山路だった。
  上の太子駅近くの町は、聖徳太子の陵墓などがあり、"近つ飛鳥" と称している。
山を背負った平地の詰め、という地形でも奈良盆地の飛鳥とよく似ていた。
街中にある溜池の岸で振り返ると、屋並みの後ろに金剛山から二上山までの尾根が連なっていた。

葛城山頂上から南方の展望    
(画像をクリックすると拡大)
 
  太子の町中で道に迷い、行ったり来たりしたこともあって上の太子駅に着くまでにかなり疲れたが、終日好天に恵まれ、楽しい山歩きができた。

<詳細>
  ルートの詳細な様子などは下のリンクから GPS トラック・アルバムへ。



 
  葛城山-竹内峠・上の太子 GPSアルバム




 
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  高田市に戻り、宿に帰る途中、駅前の商店街を歩いてみたら蕎麦屋があった。
山のあとは蕎麦、と言うのが習いになっているので早速飛び込んだ。
壁に飾られている輪カンやピッケルが親父さんの素性を表していた。
出てきた蕎麦の味は格別で、親父さんと山談義をしながらおいしく食べた。
宿に帰る途中、閉店売り出し中の駅前ショッピングセンターに立ち寄って、 GPS データバックアップ用の USB メモリーを仕入れ、さらに夜食用にミニうな丼を買ってホテルに戻った。 

5月19日(曇のち雨)
<行動時間>

    <午前は三輪山に登拝> ホテル(13:00)-高田市[13:34]=(近鉄南大阪線)=[13:36]尺土[13:41]=[13:49]近鉄御所駅[14:25]=(奈良交通バス)=[14:44]ロープウエイ[15:00]=(ロープウエイ)=[15:06]山上駅-(15:20)葛城高原ロッジ

<概要>
    昼ごろから雨が降り出していたので川縁の道を避け、街中の旧商店街を歩いて高田市の駅へ行った。

  高田は昔から大和盆地の交通の要衝として栄えていたという。
本町通りに面して立派な山門がある専立寺と言う寺があった。

  高田市から尺度を経て近鉄御所までは二日前に通ったばかりのルートなので別段の事もなかったのだが昼頃から降り出した雨が本降りになってきたのは嬉しくないことだった。
  ロープウエイからの眺めもパッとせず、僅かに畝傍山が見えただけだった。
 
  晴れていればロープウエイ山上駅から頂上に行ってみるところだったが雨の中では意欲が湧かない。
傘をさしてロッジに直行した。
途中で谷越しにみた奈良盆地は厚い雲の下だった。

  ロッジはこぎれいな個室で居心地がよく、管理状態もなかなかよさそうに見えた。
  ひと休みしたあと風呂に入っていた頃から外の風雨が強まってきて、夕飯時には荒れ模様になった。
風が強いほど天気の変化は速い訳だからどんどん吹いて早く回復してくれと祈りながら早い時間に寝床に入った。

5月20日(雨のち曇) 
<行動時間>

    葛城高原ロッジ(8:45)-葛城山頂上(8:49)-下降点(9:14)-ダイトレ合流(9:30)-水越峠(10:15)-祈りの滝(10:38/10:46)=(車便乗)=(10:56)名柄入口交差点-長柄の通り(11:14)-中村家古民家(11:17)-竜正寺(11:22/25)-一言主神社鳥居(11:36)-一言主神社(11:45/50)-綏靖天皇高丘宮跡/楢原休憩所(12:08/10)-九品寺(12:17/40)-六地蔵(13:03)-猿目橋バス停(13:07/10)-櫛羅入口交差点(13:18)-(13:41)近鉄御所駅[13:55]=[14:04]尺土[14:11]=(近鉄南大阪線)=[14:42]阿倍野橋/天王寺[14:51]=(地下鉄御堂筋線)=[15:13]新大阪[15:40]=(ヒカリ#478)=[18:21]新横浜=あざみ野=[19:09]宮崎台
<概要>
  天気予報は一段階悪い方に外れた。
欲は引っ込めて最低限の行動に止めることとし、水越峠から名柄を経て御所に下山して帰ることに決めた。
下山に先立ち、もう二度と来ないかもしれない葛城山頂上にお別れを言いに行った。
濃密な霧の小雨模様で、3日前とは大違いだった。  

雨の葛城山頂上


3日前の葛城山頂上

  水越峠への降り口を求めて歩き回ったがよくわからず、ミニ版のリングワンデリングをやらかして二度頂上に上がる始末となった。
いったんロッジに戻り、降り口を確認して出直したが、それでも危うく廃林道に引っ張り込まれそうになりてあと戻り、ツツジ園の中を左に向かってトラバースして行く道に入ってようやくルートに乗った。

  ツツジは暖かい日が続いたのでほぼ満開になっていたが、視界がせいぜい10m くらいまでしかないため僅か数本しか見えず、三日前の美しさを想像するのは難しかった。

  久しぶりに雨の山道を歩いて水越峠に下ったが、祈りの滝に水汲みに来ていた人の車に乗せてもらい名柄まで雨避けができたのは幸だった。
お蔭で名柄から一事主神社、九品寺を経て六地蔵まで、葛城の道をゆっくり歩いて御所に下ることができた。

  葛城の道は、奈良盆地を挟んで山の辺の道と対称的な位置を通っている歴史散策路だった。
もし天気が良かったら素晴らしい展望が楽しめただろうに、と思いながら歩いた。
<詳細>
  ルートの詳細な様子などは下のリンクから GPS トラック・アルバムへ。



 
  葛城山-水越峠-名柄-御所 GPSアルバム




 
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☆おわりに
    ダイヤモンドトレイルのトレースは最終日の葛城山から水越峠の部分で雨に降られたが二上山と、竹内峠を経て葛城山へまでは、好天に恵まれ、山の両側の平地の展望、大峰・台高の山々の遠望を楽しみながら歩けた。

  昨年春の分と今回のとを合わせると、二上山から金剛山まで "赤線" が繋がった。
今年の秋には金剛山以南をトレースし、全山縦走を完成したいと思っている。
さらにその先には、和泉葛城山を盟主とする大阪・和歌山県境稜線が繋がっている。
こちらも引き続きトレースしてみたい、と思っている。