西上州、物語山 (2008.11.15)


☆期日/山行形式: 11月15日(晴のち曇) 地元宿泊先から単独日帰り
☆地形図(2万5千分1): 下仁田(長野3号-4)、荒船山(長野7号-2)

☆まえがき
    この秋、小沢岳と稲含山に登って西上州山域に再入門した。
この山域2度目の山行として、物語山と鍬柄岳・大桁山とに行くことにした。

  物語山は荒船山の東、5.5Km 程の所にある小さな地味系の山だ。
紅葉も秋晴れもこれで最後かと言う時季の週末だったせいか意外に人が多く、小さな頂上は人で一杯だった。
頂稜部はもう冬景色。 雲も多くて眺めもあまり良くなかったが谷間は紅葉の盛りだった。
山が小さく、アプローチも短かったため、登降には大して骨を折らなかったが、下山後の風呂場探しで国道を行ったり来たりした。
山を降りてからの方が大変だった代わりに、道路沿いに咲いている冬桜を見ることができた。

2番目の鍬柄岳・大桁山は好天周期を逃がした形で雨となったため中止、後日の楽しみとした。

物語山西峰の展望  
 (画像をクリックすると拡大、スクロールします)

☆行動記録とルートの状況

<タイム記録>
    上州富岡[8:51]=(上信電鉄)=[9:14]下仁田[9:25]=(しもにたバス \350)=[9:47]サンスポーツランド前(9:50)-小休止(10:10/15)-登山口(10:50)-コル(11:25)-物語山西峰(11:30/40)-コル(11:43)-物語山(11:55/12:10)-コル(12:25)-登山口(12:45)-サンスポーツランド(13:30)-(14:30)荒船の湯[15:46]=(しもにたバス \400)=[16:12]下仁田[16:20]=[16:42]上州富岡


◆地元発山行は朝が楽なのがありがたい。
ほんのチョッピリ早く起き、ユックリ食事をしたあとで支度を済ませて家を出れば楽勝だ。

  駅まで歩いて2分、電車25分ほどで下仁田駅に着いた。
しもにたバス市野萱線はほかの路線と違って普通の大型車だったが乗客はたったふたりしかいなかった。

物語山登山口はサンスポーツランド前バス停にある。

サンスポーツランド    (画像をクリックすると拡大)

  道平川ダムへ行く車道に入り、みやま橋で市野萱川を渡ると右横のサンスポーツランドの紅葉が綺麗だった。

  僅か左手に進んだ所に物語山への林道と阿唱念の滝へのルートを示す道標が立っていた。
右手の沢に入ってゆく砂利の林道が物語山へのルートだ。


  沢の中は前年の台風による出水でかなり荒れていたが歩く分にはあまり差し支えない程度だった。

暫く進むと左上にメンベ岩の岩塔と頂上の一角と思われる高みが見えてきた。

  谷の中ほどで右岸に移り、岩棚状の上に出たところで振り返ると山肌の紅葉が綺麗だった。

  所々に金属製の道標が立っていて、物語山まであと何分と記してある。
林道が尽きたところで左下の沢溝に降り、対岸の杉林の中の急斜面につけられた山道に入った。

  急斜面をジグザグに上って行く道は歩き易いとまではいえないが、所々、擬似木丸太の階段で整備されている。

急坂を上がった所に炭焼き釜の跡があった。

歩き難い所にはトラロープが張ってあった。

  ひと登りした所で右手の尾根を乗越し、尾根の裏側の急斜面をトラバースして沢窪に入った。
沢の中はややガレ気味で、カラカラと音を立てる板状の岩片に覆われている

物語山頂稜の鞍部    (画像をクリックすると拡大)

  暫くの間、葛篭折れを辿って高度を稼いで行くとやがて上の方が明るくなってきた。
まわりに熊笹が目立つようになると間もなく、上の方に頂稜の鞍部が見えて来た。

  鞍部の左手の急斜面に取付き、潅木の中を折れ登ってゆくとすぐに西峰頂上に出た。
小さい頂上だが視界は広く、冒頭パノラマのような展望が得られた。

  崖っぷちの急降下を慎重に下って鞍部に戻り、向かい側に取り付いた。
いきなり急な露岩の登りになるがその先は潅木の間の登りになって徐々に傾斜が緩む。
小ピークを乗り越した先は穏やかな頂稜の上に積もった落ち葉を踏んで進むようになった。

  痩せ気味の鞍部を渡って僅か進んだところに立っている道標の前を左に折れると、すぐ先が頂上広場で、思いがけない数の人が居た。

  手前の20人ほどのグループと奥の標柱のまわりに5、6人のグループがいて狭い頂上は人で一杯だった。

  まわりの人が一時的に避けてくれたので左のような登頂証拠写真が撮れたが、ふたつのグループの間の僅かなスペースに身をすぼめてザックを下ろし、休憩した。

  ジュースで喉を潤したりしていたがどうも落ち着かないので早々に立ち上がった。

  下山はもと来た道を下るだけなので至って気楽だった。

  ノンビリ下ってゆく途中、二人組と3回すれ違った。
不便な所にあるごく小さくて地味な山だが紅葉の週末ということでか、あわせて30人ほどが登ったことになる。

  谷間の紅葉を愛でながらノンビリ歩いた。

  谷の中ほどになると沢の中を僅かながら水が流れるようになる。
下手では綺麗な滑滝が見えた。

  登山口に戻ったが時間が早いのでサンスポーツランドの中を散歩した。
奥手の管理棟には人も来ているようだったが、そのまま歩きすぎた

  奥手のテニスコートを過ぎて谷際の道を行くとこじんまりしたログハウス村があった。
セカンドハウスとして建てられたらしい山小屋風の小さな建物ばかりだった。

  ログハウス村の先に掛かっていた橋を渡って国道に上がり、地形図の温泉マークを頼りに入浴場所を探した。
それらしい建物はあったが、一方は "荒船鉱泉" と記した看板を出したまま廃墟になっていた。
  もうひとつ、みやま大橋のすぐ下手には比較的新しく綺麗な建物があったが、入り口のゲートが閉ざされ、 "売家、大小浴場あり" と記した看板が立ててあった。
  あてにしていた風呂場がダメだったので、谷の上手にある西下仁田温泉まで歩くことにした。

対岸の谷の奥に物語り山が見えた。

  国道を僅か進んだところでは道平川ダムが見えた。

冬桜    (画像クリックで花が見えます)

  さらにもう少し進んだ道路脇にある食堂の駐車場の縁では冬桜が満開だった。
紅葉と並び立っているピンク色の木立が珍しかった。
個々の花は小さなものだったが、5、6本が満開で、その周囲だけが華やいでいた。

  小1時間歩いて西下仁田温泉 荒船の湯に着いた。
週末で賑わっていたがユックリ浴槽に浸かって身体を温めることができた。
風邪薬の影響の汗に濡れたシャツを用意してきた着換えに代えてサッパリした。

  帰りのバスのドライバーは朝と同じ青年だった。
山はどうでしたと聞かれたのが始まりで、ボツボツ話しながら走った。
地元の人によくあることで、物語山に登ったことはないという。
危ない所はないのかなど、山の様子を聞かれた。

  このバス、週日は通学の生徒や病院通いの年寄りが利用するが週末ははとんど乗る人がいないそうだ。
ここからあまり離れていない外秩父では、週末はバスが混むので山行を避けるようにしているのだが、西上州は状況が違っているようだ。
関東の辺境で交通不便なため、みなマイカーでアプローチして登るのかも。

  谷間の紅葉を見ながらノンビリ走って下仁田駅に戻った。
片田舎の駅だがいつ来てもカメラを持った旅行者の姿が見える。
この日は、大きなレンズのデジイチを持った外人が居た。
関東平野どん詰まりの駅として結構マニヤに受けているのかも知れない。

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☆あとがき
  翌日の天気予報は芳しくなかったが、雨が弱かったら鍬柄山、大桁山に行く積りで、富岡に帰ったあと折畳み傘を調達して雨の備えをした。
ところが、朝起きてみたらバシャバシャ音がするほどの降りになっていた。
この山域で展望が得られなければ面白くないし、岩場の多い山を雨で濡れたときに登るのは危険だ。
西上州は良い足場が得られたお陰で、何時でも出直せる。
あっさり山行は中止し、持参していたサブノートパソコンでダイヤルアップ接続ができるようにするセットアップなどをしたあと、高崎を経て家に帰った。