白石峠-高笹峠-丸山-札所四番金昌寺(2007.12.10)


☆期日/山行形式:
2007.12.10  日帰りハイキング  単独
☆地形図(2万5千分1): 安戸(宇都宮16号-2)、正丸峠(東京13号-1)、
                                       秩父(東京13号-3)、皆野(宇都宮16号-4)

☆まえがき

    前回の山行で関八州見晴台から刈場坂峠の間を歩いた。
その結果、外秩父・奥武蔵山域の主稜のあらかたのトレースができたことになった。

  ここは年寄りでも無理なく日帰り山行ができる射程距離内にあって優れた展望が得られる好ましい山域だ。
焦点を支稜の尾根や山越えに移し、いま暫くの間、歩き続けてみようと思っている。

  今回はその手始めとして、外秩父の白石峠から高篠峠、丸山を経て秩父横瀬への尾根伝いをした。
白石峠から奥武蔵主稜へ繋がっている尾根と、丸山北の県民の森から秩父横瀬へ下っている尾根を繋ぐ。
双方とも未踏で、どんな様子になっているのか、興味があった。



丸山頂上展望台の広大な視界
 (画像クリックで拡大、自動スクロール)

  幸い、ほとんど無風の穏やかな冬晴れの日和に恵まれ、素晴らしい展望を楽しみながら歩くことができた。

  特に、丸山頂上の展望台では一ヶ月前に初めて訪れたときを上回る視界が得られ、八ヶ岳、浅間、草津志賀、上越国境、奥日光から筑波山まで見ることができた。

  県民の森から横瀬にある札所四番金昌寺へ下るルートは自然林の多い、穏やかで美しい尾根道だった。

☆行動記録とルートの状況

<タイム記録>
    宮崎台[6:04]=渋谷=池袋[7:00]=(東上線)=[8:18]小川町[8:25]=(イーグルバス)=[8:56]白石車庫(9:05)-白石峠(10:10/20)ー高篠峠(10:40)-pk896(11:05)-丸山(11:30/45)-県民の森(11:55/12:05)-pk840(12:20)-札所四番金昌寺(13:40/50)-(13:55)金昌寺バス停[14:02]=(西部観光バス)=[14:24]西部秩父[14:37]=飯能=[16:17]池袋=渋谷=[17:06]宮崎台


◆アプローチは、東武東上線終点の小川町駅からバスに乗り継いで終点の白石車庫まで。
結構な距離があるのとバスの運行時間との兼ね合いで、朝五時前に起き出さなければならなかった。
現金なもので、こういう時には目覚ましが鳴り出す前に目が覚める。


  バス会社の名が変わっていた。
リストラがあったらしい。
山行日和だったが月曜のせいかハイカーの姿はなく、地元の通勤客が4、5人乗っていただけ。
終点まで行ったのは、自分ひとりだった。

  登山口の東屋で身支度を整え、トイレで身体を軽くして歩き出した。
七重峠・堂平山への登路を見送って直進し、20分ほどで白岩峠への登り口に着いた。



  沢沿いの砂利道は、堰堤工事のため車が通れるくらいの幅があるがやや荒れ気味で、小石がゴロゴロしている。


  沢に沿って20分ほど進んだ所で右岸の小尾根に上がる。
ひと登りすると尾根越しに笠山が見えてきた。



  落ち葉のクッションが効いた山道を進んで行くと首がない小さな地蔵が立っていた。
身体の部分の作りから顔の美しさが想像できた。
心ない誰かが持って行ったのかもしれない。



  右上に車道の電柱が見えるようになると登り坂が緩み、綺麗な自然林の間を歩くようになる。











  さらにひと登りで白石峠の東屋の下に着いた。
槻川谷を見下ろす小園地に水源林冶山工事落成記念碑が立っている。




  各地の山中で、この種の立派な石碑を見る。
見に来る人もいないだろうし何の役にも立たない。

  談合請負による金余り工事の象徴ではないか、と思った。

  静かな白石峠でノンビリ日向ぼっこをしながら休憩。


  自作PCと Ubuntu Linux  遊びのせいで身体が鈍り、ここまでの登りが意外にきつく、時間も掛かった。

  川木沢ノ頭に上がって尾根通しに高篠峠へ行くのは中止。
車道を迂回して行くことにした。

  左手の尾根の端に掛かる手前では谷向かいに剣ヶ峰が見えた。


  川木沢ノ頭から下ってきた車道をあわせて左に進み、もうひとつ尾根を横切って行くと高篠峠の広場に着く。
外秩父と奥武蔵とのジャンクションであるためか、広い駐車スペースが設けられている。

  広場の隅で林業用車両が丸太の積み下ろし作業をしていた。
向かい側の稜線の上にチョビッと頭を出しているアンテナを確認して先に進んだ。



  ヘヤピンカーブをふたつみっつ過ぎた所に山道の入口があり、道標が立っていた。

  車道から上がるとすぐに丸太階段の登りになる。
この間の虚空蔵峠ほどではないが幾分ハードル状になっていて足腰に負担が掛かった。


  しばらく我慢して登り続けていたら尾根筋の道に出た。
右は桧の植林だが左側が自然林で明るく、気持ちが良い。

  間もなく大野峠から上がってきた道との合流点を過ぎた。


  道が合わさったすぐ先の所が地形図に896m と記入された小ピークの頂上だったが緩やかな登り下りしかないためほとんど気づかずに通過した。

  その先の鞍部から小ピークを越すと右上にアンテナ塔が見えてくる。

  重要な通信回線のアンテナのようで、まわりが鉄柵で厳重にガードされ、赤外線侵入探知装置と監視カメラが設置されていた。

   柵の角で定峰側車道からの登路に突き当たった。

左に折れ、檜林の中を緩やかに登って巨大な展望台の裾に着いた。


  まわりの景色とは全く不調和だが展望の良さには文句のつけようがない。
今日は3人居た。
今日はじめてであったハイカーだ。

  前回ほど大気が澄んでいないのと薄雲のせいでコントラストが弱いが、遠くの山に掛かっている雲が少ない。
  隣の武甲山と秩父盆地は下のように見え、さらに右手に視線を移してゆくと冒頭パノラマのように、筑波山まで確認できた。

丸山展望台から武甲山・秩父盆地・両神山  (画像をクリックすると拡大します)


  存分に展望を楽しんだあと、ザックを担ぎ上げた。

  尾根の背を通って県民の森へ行く途中、2組、計8人ほどとすれ違った。
丸山は登りやすさと展望の良さとで人気があるらしい。

  右手の谷越しに定峰方面の尾根筋が見えた。



  県民の森は、12月初旬から休止で、入口が閉ざされた森林館の玄関で老ハイカーのグループがお昼を食べていた。

  こちらもその時間なのだがどうも腹具合が変で軽い腹痛を感じていた。
シャリバテ(低血糖症)の兆候はないのでそのまま下山に掛かることにした。



  森林館の手前に立つ道標に従って裏側に回りこんでゆくと左のような幅広の山道に入った。


  僅か進んだ所で車道に降りると向かい側に先のルートへの入口があり、 "札所四番金昌寺" と記した道標が立っていた。


  880m と地形図に記された小ピークの左肩を乗り越してゆくと綺麗な自然林の尾根に乗った。


  道は丁寧に整備され、歩き難いところはほとんどない。
地形図の840m ピークの北肩を巻いて行ったあたりで林間に秩父盆地の街が見えた。


  右下の谷の中にある青少年野外センターの建物群が近づいた所に十字路があり、芦ヶ久保から野外センターに行く道と交差する。
地形もやや錯綜して方向の見分けが難しくなるが要所に道標があるので迷う恐れはない。


  717.9m の大棚山の北面を下って行ったところで札所二番真福寺への道が分岐し、それを示す道標が立っていた。
そちらへ回れば栃谷にある札所一番妙音寺に下りつけるのだがかなりの遠回りになりそうだ。



  金昌寺道を進み続けていると地形図に306m と記入されているあたりに左のような祠があった。
庇の下に "愛宕神社" と記した額が架かっていた。


  祠のすぐ先から篠竹の藪が現れ、何となく人里の雰囲気になった。


   間もなく墓地の奥手に降りついた。

  墓石の間を曲がり下って行くとこじんまりしたお堂の脇に着いた。

  前に回ってみると、小ながら堂々とした風格のあるお堂だった。



  お堂の下には無数の石仏が立ち並んでいた。


  山門も堂々としたもので、巨大な草鞋を立てかけ、ここが巡礼参詣の寺だという事を示していた。

バス停は寺から5分ほどの郵便局の前にあった。
ネットから印刷して行った時刻表と少し違っていたが、うまい具合に5分待ちで西武秩父行きバスが来た。

  今回、コンディションはあまり良好とは言えず、白石峠への登りに時間が掛かった。
天気が良かったお蔭で、途中からペースが戻り、結果的には意外に早い下山となった。
おかげで予定より1時間以上も早い電車で帰途に就き、途中で用事を足して帰ることができた。

                                                                                                       ページ先頭


☆おわりに
    外秩父の白石から秩父の横瀬まで、山域北辺部の尾根続きを辿るささやかな日帰り山行だったが登り口と、降りていった先と、山麓の雰囲気が大きく異なっていたため、気分的な距離感が大きく、ちょっとした山旅気分を味わうことができた。

  特に、県民の森から横瀬の札所四番金昌寺へ下降するルートは自然林の多い穏やかな尾根道で秀逸だった。
新緑の時季や紅葉の季節など、再訪三訪してみたいと思った。

次回は山越えのあと温泉で身体を温めて帰る計画を立ててみたい。