奥武蔵、顔振峠-越上山-ユガテ-北向地蔵 (2007.2.26)



☆期日/山行形式:
2007.2.26  単独、日帰り

☆地形図(2万5千分1): 原市場(東京13号-2)、越生(東京9号-3)、飯能(東京9号-4)

☆まえがき
    前の山行で大高山から天覧山まで歩いて高麗川右岸稜線の尾根伝いがあらかた終わった。
今度は対岸に移り、左岸稜線で "赤線遊び" を続ける事にした。
こちらの末端ピークは日和田山で、そこから物見山までは、一昨年の奥武蔵デビュー山行で歩いている。

  今回は、それに継ぎ足す形で、顔振峠から北向地蔵まで歩くプランで出かけてみた。
こちら側は随所に開けた場所があって和やかな山上集落の眺めと、関東平野の広大な展望を楽しんだ。
天気の読みが的中したおかげで終日清透な快晴に恵まれ、楽しい山上散策となった。


顔振峠 摩利支天堂の展望。 奥多摩、有馬山から武甲山(兜の半分がセメントに!)      
(クリックで拡大します)

☆行動記録とルートの状況

<タイム記録>
    宮崎台[6:55]=二子玉川=渋谷=池袋[7:47]=飯能=[9:14]吾野駅(9:25)-林道入口(9:55/10:00)-顔振峠(10:40)-見晴台(10:50/11:00)-諏訪神社(11:30)-越上山(11:40/45)-車道(12:05)-一本杉峠分岐(12:15)-十二曲り(12:30)-エビガ坂(12:50)-ユガテ(13:10/25)-北向地蔵(14:10/20)-五常の滝(14:40)-(15:00)武蔵横手[15:21]=東飯能=八王子=長津田=宮崎台

◆出発点は今回も吾野駅で、この前とほぼ同じ時間に着いたが、天気予報で一日繰り下げて月曜日になったたため、あたりは閑散としていた。

  駅前広場の端から階段を下り、通りを右手に進んだ。
こちらは吾野銀座とも言うべき所で商店が並んでいた。
10分ほどで町を出外れると国道に出会う。
道路の向かい側に渡って右手に入ってゆく所に高山不動登山口と刻んだ石柱が立ち、その脇に沢水を引いた水飲み場があった。


  長沢の集落に入ると間もなく右手に分岐する車道がある。
T字の頂点に、高山不動/顔振峠へ通じる道路の起点である事を示す道標が立っている。

  右折して谷間の道を山に向って歩いて行くと集落上手の民家の脇に水車があった。
凍結でバランスが崩れて回れなくなり、ブランコのように揺動していたのが面白かった。

  谷が狭まって人家がなくなり、登りがやや急になった所で砂利の林道が分岐していた。
こちらに入るとすぐに歩道が分岐する。
石がゴロゴロしている古い道だがチョッと歩いたらまたすぐに林道に戻った。


   100m ほど林道を歩いた所で右手の山に入り、所々折れ曲がる道を登って高度を稼いだ。
途中の木のウロに小さな七福神が祭られていた。
どう言う物か、ゴルフボールが供えてあった。


  高度が上がって、なんとなくまわりが明るくなるとヒョッコリ人家が見えてきて、パッと視界が開けた。

斜面の縁を登って道路に上がると穏やかな山村風景の中に入った。

  顔振峠はもう一段上った所にある。




  横手に広がる山岳展望を楽しみながら斜上して行くと摩利支天堂があった。
そんなに古いものではなさそうだが端整な建物だった。
(左)




  お堂の脇からは奥多摩大岳山と御前山を左右に従えた富士山が見えた。
このあたりは希な展望スポットだ。
(下)


  摩利支天のすぐ上を車道が通っていてその後ろ側の小さな切り通しが顔振峠だった。
道路に面して何軒かの茶屋があった。
車でも来られるので客が多く、商売になるらしい。

  峠のまわりには良い休み場が見当たらなかったのでそのまま見晴台ピークに向った。
見晴台の頂上には10人ほどの熟年グループが賑やかに休んでいた。
言葉の訛りで外秩父から西上州あたりから来たらしい事が分かった。


   ひと息入れているうちにグループが降りて行き、あたりが静かになった。

  山の裏側の谷間は黒山の集落でその両側に尾根が延びている。
平野につながる穏やかな尾根連なりで、いずれ歩いてみようと思った。
北隣りの大平山が立派に見えた。(上左)


  高麗川右岸の稜線と違ってこちら側は山の裏側に関東平野の広大な展望がある。
大展望に満足して顔振峠に戻った。

  次の目的地は諏訪神社だった。
車道を15分ほど歩き、ヘヤピンカーブの手前から歩道に入った。
檜林の斜面を横切って行くと諏訪神社の裏手に出る。  山中にしては大きな社殿で、石段の下にある駐車場の広さから祭りのときに参詣する人の多さが伺われた。

  駐車広場の向かい側から越上山へのルートが始まった。
   間もなく尾根の背に乗り、ついで北側の斜面に入ったがその捲き道もすぐに終わり、尾根を乗越す所に越上山への入り口があった。

  越上山への尾根は結構急で、途中にある祠の先からは所々に露岩が現われる。
左手に回り込むように急登して傾斜が緩むと、細尾根になった。
頂上の手前に大岩が立ちはだかっていた。
両側が切れ落ちているため正面を乗り越すしかない。


  岩を乗り越すとすぐ広く平らな頂上に出た。
越上山(オガミヤマ)の山名は "拝み山" に由来するそうだが、"越上" の当て字には、岩を乗り越していった頂上、と言う意味も含んでいるように思われた。

  また大岩を乗越してもとの道に戻った。
途中に日高方面が良く見える場所があった。

  もとの道に戻ってしばらく歩くと長沢から越生に通じている舗装車道に出た。
峠の北側に苔生した越生町案内地図の看板が立っていた。
登山道の続きへの入口は左の写真のようになっている。

  入口から10分ほどで一本杉峠・桂木方面への分岐、また10分あまりで獅子ヶ滝への分岐を通過した。


  このあたりから先は、車道を避けるため尾根の背に歩道を移したようで、昔からある山道のような合理性がなく、、無理やり通って行くような感じとなる。
  所々、右下に車道がチラチラ見える点でも落ち着かなかったが、 しばらく我慢して歩いているうちに "本道" に戻ったようで、また穏やかな森の道になった。

  僅かな高みから右に曲がり降りて行く角に標柱が立っていた。
地名は表示されていなかったので不確かだが十二曲りのようだと思った。

  杉檜の密生の中で見通しが利かず、やや単調になったが、やがてエビガ坂の道標の前に出た。

  ここでは鎌北湖への下降路が分岐している。
顔振峠からかなり離れた所まで歩いてきている事を実感した。

  エビガ坂の道標からひと下りで舗装車道に出た。
車道が尾根を乗り越す所にユガテへの尾根道の入り口があった。
そのすぐ先で砂利の車道が分岐し、"ユガテ" と記した看板が立っていた。

  いったん車道に入ったが思い直して元に戻り、尾根道を進んだ。
すぐに分かったことはどちらを歩いても結果は同じで、鎮守の祠の前の広場に出る。(左)

  大杉が立つ広濶な広場で気分が良かったがユガテがどんな所か興味があったのでそのまま歩道を下った。


   ユガテは僅か3軒の極小集落だが森に囲まれ、蝋梅、紅梅、白梅が咲く、山上の別天地だった。

  畑の先に芝生の広場があったのでザックを下ろした。

  風もなく2月の厳冬期とは思えない。

  脇の農具小屋の壁に "ユガテ" の言われが記されていた。

  もとは "湯ヶ天" だそうで、昔、温泉が湧出したとかしなかったとか、草津とお湯争いをしたとか、などの伝説があると記した説明書が貼ってあった。

  軽い腹拵えをしながら長い休憩をした。
次は北向地蔵。
今日最後の目的地だ。

  山腹をトラバースして谷窪を横切ったあと、約100m ほど高い所で小尾根を乗越す。
大分疲れが溜まって登りが辛かった。

  もう一回沢窪を渡ってひと登りすると北向地蔵と土山の分岐に着く。
分岐点には古い石標と新しい道標が立っていた。
(左)


  杉林の中を緩やかに登って行くと車道が見えてきてその向こう側に北向地蔵堂があった。
天明6年、疫病防ぎのため岩舟地蔵を分祀し、それと向かい合わせにしたため、北向きになったと記した説明看板が立っていた。

  地蔵堂の下の日だまりで休憩しながらどっちに下るか考えた。
北側の鎌北湖に下り、毛呂駅まで歩いてJR八高線で帰る選択肢に興味があったが少々疲れ気味なように感じた。
より安易に、五常の滝から武蔵横手駅への下山路を取る事にした。

  昼なお暗き杉林の中を歩いて一昨年歩いた五常の滝道に下り、またしばらく歩いて国道出口に着いた。
ここには人目を引く赤塗りの標柱が立っている。
武蔵横手駅はすぐ近く。
国道沿いを100m ほど行った所にある。

  東飯能の乗り継ぎが悪く、40分近くも待たされため、思ったより遅くなったが、八高線・横浜線と、ノンビリ首都圏ローカル線の旅をして夕方帰宅した。
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☆おわりに
    はじめて顔振峠とユガテを訪れた。
昔からよく聞いていた地名だったが実際に行って見てなるほど有名なのはもっともだ、と納得できる良い所だった。
高麗川左岩稜線は、穏やかな山が連なり、冬晴れの一日をノンビリ楽しむ日だまりハイキングのフィールドとして最高だと思った。
この冬の間に行きたい山のリストを作っていたが、少々奥武蔵に嵌り気味になってきた。
静岡、千葉方面の山までカバーできないうちに冬が終わってしまいそうだ。