秋田駒ケ岳 (田沢湖高原温泉-八合目-男女岳-焼森-八合目)


☆期日/山行形式:
2006.8.23-24 民宿泊、足慣らし

☆地形図(2万5千分1): 秋田駒ケ岳(秋田2号-3)

☆行動記録とルートの状況

8月23日

    交通の便などを調べた結果、朝早く出発すれば、その日のうちに秋田駒ケ岳に登って山麓の宿に泊まれそうだということは分かったが、リタイアして何年も経つ年寄りのくせに仕事のような山登りはしたくないと思った。

  地元の観光案内所が紹介してくれた
田沢湖高原温泉アッスルスキー場の麓にある民宿を足溜まりにして頂上へ往復するなら
初日は現地まで行き着くだけでよい。
家で食事をしたあとユックリ出発した。



田沢湖高原温泉スキー場から見た秋田駒ヶ岳
  秋田新幹線田沢湖駅では2、30人が降りた。
週日にこのあたりまで出かけてくる人達はみな似たりよったりの年齢だ。
いずれも温泉旅行に来た風体で、大きなザックを担いでいる者はいなかった。
いい年をして山登りのような骨の折れる遊びを続けている馬鹿者はあまり居ないのかなぁ、と思ったりした。


   ほとんどの人達は乳頭温泉行きバスに乗った。
この温泉は "秘湯" として最近有名になり、訪れる人が増えたようだ。
あまり大勢が来るようになったら、最早それは "秘湯" ではなく、ただの "名湯" だ。

  田沢湖高原温泉で下車した。
ここのバス停は、広い駐車場の隅に待合室の建物があって、いかにもスキー場らしい雰囲気だった


   泊まり場の民宿は、バス停の少し先の道路に面したところにある食堂兼業のスキー宿だった。
女将さんは都会育ちらしく、利発で気風の良い、かつて東京の下町でよく見掛けたようなタイプの女性だった。

  ウッカリ、八合目までの登山バスの週日運行が8月20日で終了していたのに気着かずに来てしまった。
思わぬ誤算にうろたえたが、
ほかにも駒ケ岳に行く客があるので実費で八合目まで送迎できるという事だったのでありがたくお願いした。


  時間が早かったのであたりを散歩した。

  スキー場末端の小高い所に上がると秋田駒が高く聳え、裾野の先に田沢湖の水面が広がっていた。

  谷の奥の空を横切っているのは秋田岩手県境稜線の田代平あたりのように見えた
  宿に戻って温泉に入ったあと暫くで夕食になった。
秋田駒八合目まで同行するのは府中市のI夫妻で、建設関係の仕事を自営しているご主人が秋田で催された会合に来た機会の旅行で駒ケ岳に "ついで登山" すると言うことだった。

  7時に朝食を食べ、7時半過ぎ頃に出発しようという相談が纏まった。
食事は超盛り沢山だった。
腹具合を悪くせぬよう用心し、食べられるだけ食べておしまいにした。

  部屋に戻り、食休みをしながら見たテレビの天気予報は、曇り時々晴ということで、足慣らしには十分な好天だと思われた。
ナップザックに必要な物を納めて早寝した。



8月23日
    薬の助けも借りて早く寝込んだせいで朝早く目が覚めた。
外を見ると霧雨模様で道路が濡れている。
天気予報は外れで、かなり芳しくない状況になっている。
取り敢えず朝食は食べたがI夫妻、女将さんと相談し、2時間ほど模様眺めをすることにした。


   1時間ほど経つと空が明るくなってきて雨も止んだので出発してみようということになった。
もし8合目まで上がって雨だったら小屋に入って様子見をすればいいと考えた。

  20分あまりで八合目に着いた。
頭のすぐ上を霧が流れていたが降ってはいなかった。

  小屋の脇の水場で喉を潤し、足拵えをして歩き出した。

  小屋の向かい側を右手に登って行くと写真のような火山性地形の下に出る。
この中を直上して阿弥陀池に達するルートもあるようだがあまり "綺麗" ではないので右手に巻き上げてゆく道に入った。

  やや急な斜面を斜上して行く道の両側にはカバーページの写真のようにさまざまな花が咲いていた。

  ひと登りすると台地の上に出て傾斜が緩む。
天気が良ければ田沢湖方面への展望が広がっているのだろうが今は霧の中で、もっぱら近所の花を眺めて楽しむこととなった。

     "片倉岳" の標柱が立つ高みから少し下り、もうひと登りすると阿弥陀池につながる広く平坦な鞍部に出た。
一瞬、霧が切れて右前方に男岳が見えたがまたすぐに視界が閉ざされた。(左)

  天気が良かったら男岳と男女岳とに登るか、湯森山へ回るかしようと思っていたがこの状態では何も見えないだろうと考え、男岳はスキップ。
登り口の分岐を通り過ぎた。

  木道が現れると、間もなく阿弥陀池の水面が見えてきた。
水際を歩きながら見ると溜まり水の割りには澄んでいて綺麗だった。

  池の奥手に男女岳の登り口があった。
こちらの頂上も何も見えないに違いなかったがこの山の最高点だからともかく登ることにした。

登頂ルートは、手入れのし過ぎと言いたい位で、ほぼ全長が木材の階段になっていた。

  頂上は予想通り五里霧中。
ひんやりした風に乗って霧が流れているばかりだったので、ひと息入れただけで下った。

  短いルートだったが、足腰は快調で、どこかに痛みが出たり張ったりするようなこともなかった。

  下りついた鞍部の向かい側にある阿弥陀池避難小屋に入った。
二階建てだが一階は土間で、二辺の壁にベンチが取り付けてある。

  二階から話し声が聞こえてきたので上がってみたらI夫妻と中年女性二人組がいた。
話仲間に入って暫く駄弁ったあと、夫妻は八合目に下ると言って出て行った。
同じ車で降りるにはあまり遅れない方が良い。
湯森山は次回の楽しみとし、少し遅れて出発した。

  小屋の後ろのトイレの前から山腹を斜上し、横岳分岐に上がった所で左に折れ、頂稜を辿って焼森に向かった。

  焼森は "南ア光岳のセンジヶ原" を連想させる広々した砂礫の円頂だった。
積み石の横を通ってまっすぐ進んで行くと湯森山への縦走ルートから八合目への下降路が分岐する。
下降路の左上の砂礫の斜面にはコマクサのローゼットが散在し、数輪の咲き遅れの花が見えた。


  一瞬霧が切れたとき、湯森山方面へ繋がっている幅広い尾根の緩やかなうねりが見えた。

  間もなくI夫妻に追い着いた。
ボツリボツリ話をしながら歩いて、12時過ぎに八合目小屋に降り着いた。

  迎え車の約束は2時だった。
駐車場の端の大石の上に登って何とか携帯を繋ぎ、早めに来てもらうよう頼んだ。
  小屋の中で飲み食いをしながら車を待っているうちに篠突く大雨になった。
I夫妻と、よいタイミングで歩き終わって小屋に入れたのは幸いだったと話し合った。
雨のせいか、話の途中で携帯が切れてしまったのでどうなるかと思ったが、女将さんの気働きは想像した通りで、1時過ぎに迎えの車が上がってきた。

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☆おわりに
    雨の隙間を縫って手早く駒ケ岳に登頂して、足慣らしができた。
軽荷とは言え、楽々歩けたことで体調が良さそうな事が分かり、縦走の成功への自信を強めた。

  駒ケ岳は北奥羽有数の花の名山と思った。
紅葉も綺麗だという。
山スキーのフィールドとして最適な地形が多く、残雪期もなかなか良さそうだと思った。
少し遠いがアプローチも便利だから季節を変えて再訪、三訪して見たい。