奥武蔵、芦ヶ久保-二子山-武川岳-妻坂峠-名栗(2006.5.8)


☆期日/山行形式:
2006.5.8  日帰り単独

☆地形図(2万5千分1): 正丸峠(東京13号-1)、原市場(東京13号-2)、秩父(東京13号-3)、
                                  武蔵日原(東京13号-4)

☆まえがき
    この前の冬から奥武蔵/外秩父山域に行きはじめた。
ひと冬の間に主だった所のあらかたは歩けたが、二子山から武川岳へ繋がる尾根筋は、早くから行きたいと思いながら未踏になっていた。
比較的時間が掛かるので日が長くなるのを待っているうちに時機を逃がした形となったからだ。

ゴールデンウイーク中は、山もアプローチも混むし、天候も不安定なところがあるので、近年は長期山行はせず、天気の良い日を選んで日帰り山行をする習いになっている。
遅まきながら、この気に掛かるルートを歩いて見ようと天気待ちをしているうちに風邪を引いた。
珍しく続いた五月晴れを見送っているうちに連休が過ぎてしまったが、ようやく体調が落ち着いたので、休み明けの日にリハビリを兼ねた山行に行ってみた。

  基本的には、芦ヶ久保駅(310)から兵ノ沢ルートを経て稜線の鞍部(740)に上がり、二子山雌岳から雄岳(882.7)に登ったあと、焼山(850)、蔦岩山(1004)を経て武川岳(1052)に達しようというものだったが、下山ルートは体調に応じて柔軟に選択する積りだった。
妻坂峠(840)を経て山中(542)に下山し、名郷(340)からバスで飯能に出て帰るのを基本とするが、もしきつかったら焼山付近から横瀬川谷に下山して芦ヶ久保へ。
逆に、時間的・体力的な余裕があったら、名栗げんきプラザへ降りたあと山を越えて正丸駅へ下山して見ようかとも考えていた。


焼山頂上から望む武甲山と秩父盆地        (クリックで拡大します)
☆行動記録とルートの状況

<タイム記録>

    宮崎台[6:03]=渋谷=池袋[7:00]=飯能[7:50]=[8:29]芦ヶ久保駅(8:40)-小尾根取付き(9:30/35)-稜線の鞍部(10:00)-二子山雌岳(10:20)-二子山雄岳(10:30/40)-焼山(11:20/30)-尾根平坦部(12:10/20)-蔦岩山(12:30)-武川岳(12:50/13:05)-妻坂峠(13:30)-山中(13:50)-(14:30)名郷バス停[14:43+3]=[15:27]東飯能[16:09]=八王子=長津田=[17:48]宮崎台


  天気予報の通り空模様が芳しくなかった。
電車の窓から重苦しい曇り空を見上げ、最悪、二子山へピストンして終わりかな、などと考えたりしていたが、飯能あたりから少しずつ青空が見えてきた。
芦ヶ久保駅のホームには穏やかな薄日が当り、まわりの山の新緑が鮮やかだった。

  二子山の兵ノ沢ルートは芦ヶ久保駅前広場の奥手から僅か歩いて線路の下を潜るとすぐに山道になる。
線路沿いから僅か上がると左のような新緑に囲まれ、山深い雰囲気になる。

  尾根の末端を乗り越すと兵ノ沢右岸の斜面を緩やかに斜上して行くようになる。
やや沢が急になると数回流れを沢を渡りながら高度を上げて行き、左のような道標があ所から左手の小尾根に取り付く。

  数回折り返して高度を上げ、尾根の背に乗った。
穏やかな雰囲気の漂う鞍部だ。(左)

  右手に向うと正面に二子山雌岳が高く立ちはだかっている。


  樹木の中を緩やかに登り、徐々に傾斜が強まると折り返しの登りになる。
中間に沢の上部を横切っている所があって視界が開け、横瀬川対岸の丸山、大野峠、カバ岳を繋ぐ稜線のなだらかなうねりが見渡せた。
紅葉の時期にでもノンビリ歩いてみようかと思った。(下)

  頂上が近づくと滑りやすい粘土状の所に急登がある。
雨の後で今にも滑るのではないかというほどツルツルしていたが、虎ロープが張り廻らされていて助かった。

  傾斜が緩み、ロープが終わる間もなく二子山雌岳頂上だ。

落ち着いた雰囲気の頂上広場だったが樹木に囲まれ、捗々しい展望はない。


  雄岳まで10分と道標に記されていた。
そちらに行けばもう少し眺めが良いのではないかと思ったのでひと息入れただけで先に進んだ。

 雌岳の下りはかなり急で、5〜6m の露岩を下る所が二箇所ある。
下りきった鞍部から30m あまりの高度差を登り返して雄岳頂上に上がった。(左)
こじんまり落ち着いた感じの頂上だが、雌岳と同じように樹木に囲まれていた。

  日だまりでひと息入れて先に進んだ。
芽萌きの樹木の間を緩やかに上下して行く気分のよい尾根道が続く。


  ややザラザラした所を登りきると焼山頂上だった。
南側の尾根筋以外、まわりの木が伐られているため、すこぶる眺めが良い。

  西から北に掛けて視界が広がり、ページ冒頭のパノラマ写真のように、武甲山から秩父盆地にかけての展望が得られる。
  武甲山は、昔、モッコリした兜の様な形をした貫禄のある山だった。
半世紀の間に山体の半分近くが削り取られてセメントになり、妙に尖った山になってしまったのが痛々しい。

  北の方には二子山と今歩いてきた尾根が穏やかな姿で横たわっている。(下)

  焼山頂上の南肩に林道への降り口がある。
横瀬川の二子山入口から上がって来てる道の上部だ。
林道は稜線に沿っていて、そちらを歩いてもよさそうだったが、尾根の背の道が歩きやすいのでそちらを歩いた。
  暫く進むと右下の沢窪が崩壊している所があり、その縁の丸太階段から蔦岩山への登りが始まる。
一段やや急に上がり、また一段、ザレ気味で大石が散在している急な斜面を上がると蔦岩山は近い。

  風向きが北寄りに変わり、ヒンヤリするとともに日が翳ってきた。
スタミナ切れで小休止したあと、登って行くと間もなく目立たぬ高みで蔦岩山のプレートを見た。(左)

  蔦岩山の先は、尾根の左側の斜面が伐採されて視界が広がり、行く手に武川岳が見えた。(左)

  "ホウキ平" の別名があるそうだが、こちらから見た姿はまさにその通りで、至って平坦な高原状になっている。

  急に雲が増え、霧も出てきた。
怪しくなった空模様が気に掛かった。


  蔦岩山から武川岳への尾根道は至って穏やかな散策路となる。
高度が上がったせいもあって、まわりの樹木は新緑と言うより芽萌きの状態だ。
所々に山桜やミツバツツジの花が見えた。

  ひと登りしたあと緩かな登り坂を進んで武川岳頂上に着いた。

前回来た時は斑雪だったが、今回は芽萌きと霧だ。(左)
谷から吹き上げてくる風で霧が発生し、展望を妨げているのが残念だ。

  双子山からここまで、風邪の病み上がりにしては順調に歩けた。
ささやかな満足を感じながらゆっくり休憩。

  時間的には順調に歩けたが山行間隔が空いたため、少し疲れたような気がした。
欲張るのは止め、妻坂峠から名栗に下山することにした。

  妻坂峠へのルートはほんの2、3ヶ月前に通ったばかりだったが、霧のため大分感じが違い、はじめてのような気がした。
露岩を回り込んで行った先にある道標の所から左に急降下すると峠への尾根に乗る。
下部に急で下り難い所があるのが記憶にあった。
前回と同じ様に左側の杉林の中を迂回した。
ここを通過するとすぐに石地蔵の立つ妻坂峠に降り着いた。

  ポツポツ雨が落ちてきたので立ち止まってひと息入れ、すぐに名栗への下降路に入った。
杉林の中を折り返し下って行く所は樹木が傘代わりをしてくれた。

  流れが見えてきた少し下に竿を振っている男がいた。
声をかけ、尋ねてみたら小さい岩魚や山女魚が釣れると言う。

  やがて林道末端の車止め広場に出た。(左)
頂上から45分で山中まで下れた。
意外な好ペースで、予定より1時間早い14:43のバスに間に合う見込みが立った

  僅かな違いで逃がさないよう気を着けながら、できるだけゆっくり歩き、クールダウンに努めた。


  前回通った時には寒々としていたキャンプ広場も新緑に覆われ、美しい園地に変わっていた。(左)

  名栗近くの大鳩園オートキャンプ場では、ゴールデンウイーク明けで休みになった人達のグループがバーベキューをしていた。

  名栗集落に掛かるあたりでは霧雨模様になった。
昼からあとは天気予報が当った形だ。

  民家の塀の屋根の下に入っているバス停のベンチで山支度を解き、乾いたTシャツを着こんで風邪のぶり返しを防いだ。
                                                                                                        ページ先頭
  名栗から東飯能へのバスは "貸切" で発車した。
途中の河又で有間ダムの下にあるさわらびの湯に立ち寄る。
次の便までの1時間で汗を流して帰ることも可能だと思ったが、そうする事で夕方のラッシュに引っ掛るのは嬉しくないと思ったので早く帰る方を選択した。

  思ったより手早く順調に歩けた山行だったが、やはり風邪の影響はあったようで、電車の中では珍しく居眠りをし、目が覚めたら間もなく八王子だった。


☆おわりに
    前回山行の後始末に時間が掛かったり、天気の回り合わせや風邪やらで、山行間隔が空いた割には順調に歩けたて安心した。
5月下旬は四国の山に行く計画だったが、その前に予定していた大菩薩長峰は "重要山行" だから外したくない。
順送りにして梅雨に引っ掛かる心配もあるが、成り行きに任せよう。