サクラ沢峠-高ノ丸-白岩-稚児落し (2005.12.10)

☆期日/山行形式:
2005年12月10日
☆地形図(2万5千分1): 大月(甲府3号−1)
☆まえがき
    数年前、宮路山から大岱山へ回り、セーメーバンを通ってサクラ沢峠から金山に降りたことがあったがそのとき、峠の樹木に掛けてある小さな木切れに、"岩殿山" へと記してあるのを見た。
市販ルートマップには何も記されていない空白地域だったが、尾根が繋がり、そこを歩いている人がいるのだからそんなに難しいこともなさそうだ、 いつか歩いてみようと思っていた。

  前回の山行で雁ガ腹摺山吹切尾根の下半部を歩いてほぼ完歩したが、その野分ノ頭から派生している支尾根の末端部分である訳だから、この際、こちらもトレースしてしまおうと思い立った。

  大月駅を9時30分に出る遅能戸行きバスで入山し、金山(520)から桜沢峠(705)に上がり、高ノ丸(780)、トズラ峠(625)、白岩(730+)、笹平(713.5)と尾根筋を、稚児落し(595)まで辿ったあと浅利(385)に下山。
まだやる気があったら、梅久保山(755)にも登って上真木から帰ろうというプランだったが、一旦人里に降りてしまうとまた山に入りなおす気にはなれず、登り口を確かめただけで通り過ぎ、後日の楽しみとして取り置くこととなった。



トヅラ峠北側斜面からの展望。 近景左端は百蔵山と扇山、右端は笹平と白岩。 中央部遠くは道志と丹沢


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☆行動記録とルートの状況

<タイムレコード>
宮崎台[7:36]=長津田=町田[8:15]=(ハマカイジ)=[9:15]大月[9:30]=(バス)=[9:46]遅能戸(9:45)-金山(10:05)-山道入口(10:10/15)-桜沢峠(10:40/45)-高ノ丸(11:00)-トズラ峠(11:15)-白岩(11:45/55)-笹平(12:05)-稚児落し(12:20/30)-浅利(12:50)-小休止(12:55/13:00)-(13:35)大月駅[14:31]=[15:19]八王子=長津田=宮崎台

  この冬の入り最高の好天が予想された日を狙って山行日を設定した。
大月駅から出る西奥山行きバスは一日に3本しかない。
珍しく二人のハイカーと相客になった。
いずれもザックの布地が擦れている。

  遅能戸で全員下車し、いずれも金山の方に向かって歩き出したが、ひとりは途中から右手の山に入って行った。
もうひとりはさっさと車道を進んで、谷奥の金山鉱泉の方に姿を消した。
  サクラ沢峠へは金山集落の下手にある森谷荘(左)の下で分かれている林道に入り、橋を渡って右手の山に上がる。
  分岐から200m あまりで沢溝を渡るとその先に "セイメイバン" と記した金属性標識が立っていた。(左)
前に通ったときにはこんな立派な道標はなかったと思う。
奈良倉山周辺などと同じ様に、最近、大月市が整備したようだ。

  踏み込んだ山道も以前のように藪っぽい感じではなく、ごく普通の登山道の様相になっている。

  しばらく杉林の中を登ると右上から流下してくる細い水流を渡り、まもなく尾根の上に乗った。
穏やかで程よい傾斜の感じの、良い尾根道だ。
  
  しばらく尾根を登り続け、左上に峠の鞍部が見えてくるとまもなく、尾根の左斜面に入り、2−300m ほど斜面を斜上して峠に上がる。(左)

  峠の鞍部にも、大月市の道標が立ち、左はセイメイバン、右は岩殿山と、間違えようもないほど明瞭に指示している。
あまりに立派な金属製道標は、人跡もまれな峠の風情に似合わない。
  一息入れながら30m ほど北にある石祠の健在を確かめたが、その行き帰りにまわりの山が木の間に見えることに気が着いた。
峠の周りの木がいくらか伐られたらしい。
百蔵山が意外に尖がった姿に見えた。

  休憩を終わって南に向かう尾根に上がった。
穏やかな尾根を歩いてゆくと、落ち葉と雪がまだら模様を描いていた。(左)
2、3日前に降った初雪の名残りだ。

  やや傾斜が強くなって斜面が広がった所を適当に真っ直ぐ登りあげると高ノ丸の頂上だ。
伐り払いがやや広目になっているだけで何の目印もない。(左下)

  左手に曲がり進んで行くと向こうから歩いて来た男とすれ違った。
バスで一緒だった男のような気がした。
トズラ峠から北上してきたとすれば時間的に妥当だ。
セーメーバンから大岱山あたりまで行くのだろうか?

  まばらに生えた背丈ほどの笹の間から緩く下ると、左側が桧、右側が自然林の尾根に乗った。(右下)

  しばらくの間、緩やかに下って行くが、トヅラ峠が近くなると左手の斜面に入り、くの字に折り返して高度を下げる。
この一帯は伐採跡になっていて視界が開け、冒頭パノラマのような展望が広がっていた。

行く手には白岩から笹平への稜線が見渡せた。
送電線鉄塔が立っている一番高い峰が白岩だ。

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  折り返して右手に進んで尾根上に戻り、ひと下りした藪の中に旧峠道の目印だったと思われる楕円形の石碑があった。

  石碑の手前から左に降りてトヅラ峠の車道に出た。
出口には大月市の金属道標が立っていた。(左)

  峠の頂上にある車止め広場を横切って向かい側の山に近づくと左下のような道標が岩殿山への進路を示している。

  峠の南側の尾根筋は痩せ気味で岩っぽくなり、側面、特に右側が急峻に切れ落ちている。(下右)

  所々に急登を混えた痩せ尾根で、これまでのように余所見をしながら歩くわけに行かなくなったが途中の裸尾根に "富士展望点" と記した看板が立っていた。

  右の方を眺めると、梅久保山、馬立山などの先に富士山が立っていた。

  富士山の頂上から旗雲がたなびいている。
上空には寒波の強風が吹き込みはじめているようだ。

  一番手前で前衛峰を持った尖峰に見える梅久保山がなかなか格好良い。

  やや急に登って白岩の頂上に上がった。
それほど広くない切り開きの脇に送電線鉄塔が立ち、金山民宿村まで50分と記した道標がある。

鉄塔が眺めの邪魔をしているが、その脇からは、下のように権現山、麻生山、三ッ森から小佐野峠、奈良倉山への連なりが良く見える。
去年から今年に掛けて楽しく遊ばせてもらった山並みだ。
奈良倉山の左後ろに頭を出しているのは三頭山だろうか?


  白岩からの下りは50m ほど、かなり急な部分があった。
送電線巡視路の黒色合成樹脂の階段になっていいたので助かったがそれがなかったら横手の藪の中に逃げ込みたくなる位だった。

  急降下が終わった所からは緩やかな登り加減の尾根筋になる
笹平は左のように、南西面が伐採され、その跡に桧の幼木が生えている。
笹平というより "藪平" と呼びたくなるくらい藪っぽく、標識は何もない。

  笹平から先はルートが一段と明瞭になる。
穏やかな尾根の背の笹の間の道を下って行くと送電線鉄塔が見えてきた。
鉄塔の脇を過ぎるとまもなく、岩殿山から稚児落しをつなぐ道とT字に交わる
大きな倒木があり、指導標と民宿案内の看板が立っている。



  看板の左脇の大岩の割れ目を下り、僅か進むと稚児落しの小岩峰に上がる。


  すぐ下はスラブ状の絶壁でその先の方に岩殿山の後姿が見えている。


  後ろを振り返って見ると、雁ガ腹摺山の吹切尾根が近い。

  野分ノ峰から鳥屋ノ丸、ゴゼの頭あたりへの連なりがよく分かる。
吹切尾根の背後に連なっているのはハマイバから滝子山への小金沢連峰だ。


  稚児落しから浅利に下る尾根ルートは既知の部分で、特に問題はないことが分かっているため、ノンビリムードになった。

途中に露岩があって梅久保山が正面に見えた。

主峰は結構尖がっていて格好がいい。
隣に来たついでに登るのは失礼かなぁと思う位、立派な姿をした山だ。


  やや急な斜面をジグザグに降りて、金属製の階段を下ると左のような橋があり、それを渡ると最奥の民家の庭先だった。


  道端で山支度を解いて浅利の道路に上がる。
出口には "浅利の千本松" の説明看板が立っていた。(左)

道路に上がって10分ほど歩いた所に梅久保山入口を示す廿三夜石碑があった。
いったん降りついた里からまた山に入る気持ちになれなくてそのまま通り過ぎ、大月駅に向かって歩き続
けた。

  浅利川を渡って対岸の台地に登ってゆく途中で歩いてきた方を眺めると、雁ガ腹摺山、野分ノ頭から鳥屋ノ丸が正面だった。
足元からまわりの展望を楽しんだ送電線鉄塔もよく見える。


 早い時間に大月駅に着き、余裕があったので、久し振りに駅前の中華蕎麦屋に入った。
いつもは空いているのだが珍しく椅子席がひとつしか残っていないほど混んでいた。
飛び切りという程ではないが、細くて弾力のある細い麺はなかなか悪くない。
時間を掛けて食べたあとゆっくり食休みをし、隣の桔梗屋で土産の菓子を買って立川行き電車で帰った。
  
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☆おわりに
    岩殿山から稚児落しの間は、大分以前に歩いているから今度の山行で雁ガ腹摺山 吹切尾根のセイメイバン分枝は、末端までのトレースが完成したことになる。

  吹切尾根主脈の末端にあたる梅久保山に登り損ねたのは残念だった。
この山は小なりとはいえ立派な尖峰を持った独立峰だからまた日を改めて出かけるに値する。
この冬から春に掛けての藪山シーズンのうちにぜひとも歩いてみたいと思っている。