北高尾-関場峠-堂所山-明王峠-与瀬神社(2005.1.20)


☆期日/山行形式:
2005.1.20  単独日帰り
☆地形図(2万5千分1): 与瀬(東京15号-1)

☆まえがき
    長引いた風邪のせいで、PC自作やホームページのリニューアルなどに力が入り、すっかりインドアモードになってしまったが、それらも一段落したし体調も落ち着いてきたのでそろそろリセットを掛け、アウトドアモードに引き戻そうと、高尾山に行ってみた。
正月以来何度かは降雪があったようだし、そのあと寒い日が続いているから幾らかは雪があるだろうがそれだけでは面白味が足りないのでもうひと捻り、北高尾山稜中腹道から関場峠を経て堂所山に登ってみようと思った。
北高尾山稜の中腹道は谷の中の南斜面を通っているから風も来ず、日溜りになっているに違いない。
また関場峠から先の頂稜部ではソコソコの雪山歩きができるだろう。
堂所山に登頂したあと、南面の底沢に下れば、美女谷鉱泉があるから、山で冷えた手足を温めて帰ることもできる。
大枠のプランは、高尾=(バス)=日影(250)-下小沢キャンプ場跡(315)-浩宮御誕生記念碑(345)-中腹道(450-470?)-鉄塔下(520)-関場峠(545)-堂所山(731)-底沢下降点(715)-底沢/美女谷鉱泉(240)-国道底沢バス停(195)=八王子(or高尾or相模湖)、というものにした。

Kariyoseyama from Dodokoroyama
堂所山頂上から見た市道山-刈寄山
                                          堂所山頂上に戻る
  良い所取りの虫の良いプランだったが、そうは簡単に問屋が卸してくれず、行程の始めの北高尾中腹道でルートミスをやらかし、敢えなく林道に下降してしまった。

  最初からの失敗で少々めげたが気を取り直し、雪の林道を歩いて関場峠に上がった。
堂所山への登路は北面だったせいで、期待以上に良い感じの雪稜になっていた。

  堂所山登頂のあと、底沢への下降はギブアップし、明王峠から相模湖駅に下ったため、美女谷鉱泉にも入れずに終わった。
しかし、久し振りの "山" だった割には、どこかが頚痙したりバテたりするような事もなく順調に歩け、"アウトドアモード" へのスイッチ切り換えができた。


☆行動記録とルートの状況
<タイムレコード>

    宮崎台[7:51]=長津田八王子=[9:04]高尾=(タクシー \1800)=大下(9:15/20)-下小沢キャンプ場跡(10:00)-浩宮御誕生記念碑(10:10/20)-間違った中腹道(10:30)-林道(11:10)-作業小屋(11:25/35)-送電線下(11:45)-関場峠(12:05)-堂所山(12:55/13:00)-底沢下降点(13:15)-明王峠(13:30/14:00)-大平(14:40)-与瀬神社(15:25/40)-(15:55)相模湖駅[16:00]=八王子=長津田=宮崎台

  6時半前に起き出して簡単な食事をし、テルモスに暖かい飲み物を詰て家を出た。
インドアモードで宵っ張り朝寝坊型に嵌り込んでいた所を目覚時計のアラームで無理やり早起きしたのが辛い。
高尾駅まで行く途中の電車の中ではあくびを連発した。


  週日は小仏行きの朝のバスがない。
もともとは週末に予定していた計画を繰り上げたためなので仕方がない。
改札口から駅前のタクシー乗り場に直行。

  ドライバーと話しながら中央線沿いの道を進む。
澄み切った青空が谷の上に広がり、最高の冬晴れだ。
蛇滝口、下小沢橋を過ぎ、線路の下を潜り抜けた所にあるT字路で車を降りた。
  右手に坂を登った所は下小沢の入口で、上を中央道が通っている。
道の右手は梅林で紅梅が色付いていた(左上)。

  谷の中に入って行くと急に雪が増えてきた。
風はないが冷気が澱んで底冷えがしている。
  休場になっている小下沢キャンプ場から10分程で浩宮御誕生記念碑に着いた(左下)。

  石碑には深川木場組合の人達が記念植樹を行い、木を育てていると刻まれていた。

  記念碑のまわりが日溜りになっていたので台座に腰掛けて小休止。
中腹道へは石碑の脇から杉林の下の谷窪をジグザグに登って行く道に入る。
あまり歩かれていない感じの道だが、ルートファインディングに苦労するほどではない。

  おおよそ15分あまり登った所で水平道とT字に交わった。
交点の立木には左下のような目印が巻きつけてある。
  もう少し上かと思い、右手と左手と双方を偵察した。
右の方は30m ほど行った所にビニールテープの通せんぼが張られていて行き止まり、僅かにかすかな踏跡が上の方に向っている模様だ。
左の方ははっきりした道形が水平に延びていたのでそちらに入ってみた。
尾根の背を越して行くと崩れかかっている所があったり、大きな露岩の中間の岩棚を渡るような所が次々に出てくる。
ちょっとこれは厳しすぎるんじゃないの、とは思ったがとにかく道形は続いているので進んでいった。

  ところが、20分あまり行った所で急に道形が怪しくなった。
前方は谷窪の急峻なザレ場、そこを強引に渡ったとしてもその先が岩壁になっていて通り抜けられそうもない。
後に戻るか、谷底の林道に降りるか、二者択一となったが、4〜50m ほど下に林道らしい雪面が見え、何とか降りて行けそうだったので下降を決心。
立木や藪を伝わって斜面を下り、最後は雪の斜面をキックステップして無事に林道に降り立った(左)。
  最初からミスを犯して少々めげたがまだ時間は早いし、天気も上々だ。
林道を歩いて関場峠まで行き、そこから尾根を伝わって堂所山に上がろうと決めた。
雪の林道を15分ほど進んだ所に作業小屋があった。
施錠してあって中には入れなかったが物置の屋根の下に乾いた場所があったのでそこに腰を下ろして軽く飲み食いをし、その後の登りに備えた。
  小屋から10分程で送電線の下を潜り、さらに20分ほど歩いた所で関場峠に着いた(左)。
  峠のコルから雪稜の登りになった(左)。
最初のピークを越すと視界が開け、まず右手に御前山が、続いて大岳山が姿を現した。
いずれも雪化粧で奇麗になっている。
20年ほど前、奥多摩歩きで登山を再開して以来、千日ほど山行し、あちこちで数多くの山を見てきたが、これらふたつはそれぞれ、姿の良い山だと思う。

  稜線は20cm 位の雪に覆われていて、少数が通ったトレースがあった。
周りの雪面は凍結気味で締まって靴が潜らない。
ラッセルの労はなく、スリップにだけ気をつければ良い状態だった。
  3、4回、緩急を繰り返しながら小ピークを越して行くとようやく堂所山の頂稜に上がる。
低山とは言え、さすが冬の主稜は風当りが強く、薄手フリースの耳覆いや手袋を寒気が通り抜けてしまう。
  堂所山頂上の野外ベンチには老女が一人腰掛けていた(左)。
"やっぱり冬の山は寒いですね"、と挨拶したあと、老女が眺めている方を見ると、谷向かいに市道山からトッキリ場あたりの連なりが見えている(冒頭写真)。
それらも雪化粧で、せいぜい7、800m クラスの低山とは思われない見栄えがしている。
老女が去って空いた野外ベンチにザックを下ろしたが吹き付ける風の冷たさに落ち着けない。
ニ、三駒の写真を撮っただけでまた歩き出した。
堂所山の頂上を巻いている縦走路に合流するまで15分ほど掛かった。
高尾山と陣場山を繋ぐメインルートはさすがに賑やかで、歩いていると5分に一度位の頻度で人に遭う。
トレースはシッカリ踏み固められていて夏道と大差なく歩けるが、ムードはかなり本式の雪山になっている。

  間もなく道標の立つ分岐点に着いた。
底沢方面への下山路の道形はあるのだがそれを示す腕木が外されている。
気味が良くないので慎重に地形図と対比し、間違いなく下降点の分岐だと判断して踏み込んではみたのだが誰も歩いた形跡がなく、靴が潜って歩きにくい。
朝方にルートミスをしたあと、このルートを強引に下って行き、下の方で崩壊している所にでも当ってまたトラブッたらたまらない。
3,40m 程進んだ所で反転して縦走路に戻った。

  陣場山の方に少し進んだ所に陣馬高原下バス停への下降路があり、かなりの人数が歩いたトレースがついていたがそれは見送って進むとすぐに明王峠だった(左)。

  峠の小屋は営業していなかったが、前庭は日当たりが良くて風も来ない上に、眺めが良く、最高の休憩スポットだった。
相模湖への下降路に入るに先だち、稜線上最後の長休みをした。

  正面に三ツ峠から道志・御正体を経て北丹沢までが連なり、その後の雲間に富士山が聳えているのがとても良かったのだが、逆光のせいもあってデジカメでは白トビの中に溶け込んでしまった(下)。

  色々飲み食いをしながら休んでいると陣場山の方から熟年の大パーティが来た。
冬の山があまり賑やかだと調子が狂う。
早々にザックを纏めて下山に掛かった。


  このルートは20年ほど前に初めて高尾に来た時に通った筈で何となく憶えがあるのだが、ひと下りした所を乗越している車道は記憶がない。

  傾斜が緩んだ尾根道を進んでゆくとやがて大平の休憩小屋に着いた。

  この先も、ほとんど平坦か僅かな登り坂の道が続く。

  暫くの間、山の右側の斜面を歩いて子孫山ノ頭を過ぎると一転して急降下が続くようになる。

  間もなく樹木の間に相模湖の水面が見えてきて、

  路上の雪も急に少なくなり(左)、
やがて与瀬神社の境内に入った(左下)。

  山中にひっそりたたずんでいる神社だが大きく立派な造りの社殿で、何となく大峰の玉置神社を思い出させる雰囲気がある。

  神前で今日の無事を謝し、この年の山の安全を祈願した。


  神殿の石段で飲食をするなと言う注意書きが掲げられているので横手の信者控所の椅子に腰を下ろして最後の休憩をした。

  色々飲み食いをしたあと、ブラブラ歩いて駅に行ったらあと数分で東京行きの快速電車が来る所だった。
そのお蔭か八王子、長津田の乗り継ぎもスムースで、早い時間に家に帰り着いた。

☆おわりに
  久し振りの "山" なうえ、最初の部分でルートミスをやらかしたり、下降ルートも予定とは違ってしまったりして行動時間も6時間半ほどとなったが、その割には元気に雪山を歩ききれ、アウトドアモードへのリセットができた。

  今回トレースに失敗した北高尾中腹道だが、色々考え合わせると正しいルートはもっと高い所を通っているようだ。
T字路を右に行き、通せんぼのテープの手前で左折している薄い踏跡を辿って、さらに高くヘ登って行くべきだったと思われるので、いずれ機会を見つけて再訪し、確認しようと思っている。

今回誤って入った、下部の作業道は、かなり厳しい露岩のトラバースが頻繁に出てくるので要注意だ。
山慣れた人以外立ち入るべきではないと思う。